第57次南極地域観測隊の女性料理人が極限の地で見つけた暮らしの知恵が、素敵な南極の写真と可愛らしいイラストとともに綴られている。
昔「南極料理人」という映画で、南極観測の厳しさ、楽しさ、その魅力を知ったが、この本の著者・渡貫さんが、南極観測隊員を志したきっかけも「南極料理人」とのこと。
映画よりも更に詳しく、観測隊員の受検から訓練、準備、出発から観測隊員としての生活に渡るまで知ることができた。
特に「ごみ」処理については、興味深かった。
そもそも「ごみ」は、全て日本に持ち帰らなければならない。分類としては「燃えるごみ」と「燃えないごみ」でこれは日本と同じ。難しいのは「生ごみ」の考え方で、「生ごみ」の中には液体も含まれる。ラーメンのスープや煮汁など。「生ごみ」は、生ごみ処理機で乾燥させ、重さも体積も減らして焼却炉で灰にする。「燃えないごみ」はとにかく量(かさ)を減らして、ガラス類は破砕。缶類はプレス。ごみの最終形態をイメージして各自が捨てる。
ごみ箱は食堂と風呂場にしかなく、それを当直が毎日回収し、集積所で30品目くらいに分別後、種類別に重さを測る。南極観測隊員になると、どうやって「ごみ」を出さないようにするか、極力出さないようにする工夫と知恵が自然と身に付くようだ。
この本は、私にとっては、もうひとつの「南極料理人」本となった。