●調査者は、依頼書とともに提出された図書および現地調査可能な範囲においてその責任を負う。
調査者は、依頼者より提出された依頼書や図書を用い、現地調査可能な範囲において、その責任を負うこととなる。例えば、当該部分の提出図書がない場合、立入りができない場合、隠蔽されており現地調査の実施が不可能な場合は責任を負うものではない。
ただし、調査者が現地調査を実施する際、明らかな見落とし、見誤り、不誠実な行為等があった場合は、調査者の責任が問われるケースも想定される。
なお、調査者は、依頼者から提出される図書や現地調査が可能な場所が限られる場合、その範囲内での調査・報告となることや法適合状況調査全体としての完成度が低くなることとなり、結果として調査結果を活用できる範囲も限定されることを、依頼者に対して十分理解してもらう必要がある。
また、調査者は、依頼者に対して調査結果に係る留意事項として、次の事項も明らかにしておく必要がある。
・瑕疵の有無を判定するものではなく、瑕疵がないことを保証するものではないこと
・報告書の記載内容について、調査時点からの時間経過による変化がないことを保証するものではないこと
【免責・制限事項】
ここでは、ガイドライン調査者である指定確認検査機関の免責事項について記載している。
同様に、既存建築物の状況調査には限定、限界があるので、依頼者より委任された代理者(設計者等)も調査にあたっての免責・制限事項を書式にして依頼者に交付しておくのが賢明である。(参考書式:非公開)
例えば、鉄筋コンクリート造の詳細調査を行う中でコンクリート強度が低く適合性が確認できない。あるいは鉄骨造でダイヤフラム部のUT調査して溶接が不合格である場合等は、事前に想定できない補強若しくは補修工事の必要性が生じることがある。それらの追加調査、補強工事の発生により費用対効果から調査そのものが中断する場合がある。
そうした場合等も想定して、後日債務不履行等のトラブルに発展しないような文章の作成、依頼者への交付が必要かと思う。