ドナルド・トランプは、アメリカ国内に新設される公共建築物および政府庁舎はすべて、古典主義建築が望ましいとする大統領令に署名した。
「美しい連邦公共建築(Beautiful Federal Civic Architecture)」と題されたこの大統領令は、「地域の遺産を尊重し、アメリカの古典的伝統に沿った」建築デザインを強調することで、「公共の空間を美しくすること」を目的としている。「古典的」という言葉は、新古典主義、ジョージアン様式、ギリシャ復興様式、ゴシック建築、およびモダニズム建築時代以前の建築様式を指しているという。
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トランプ政権が公共建築に画一的な建築スタイルを押し付け、国家主義的な理想を強引に推し進めようとしている表れである。
第一次政権時代に署名された大統領令をめぐっては、米建築家協会(AIA)が全面的に反対することを表明していると聞いた。
かってナチス政権のもとで建てられた建築は、ヒトラーによって建築統制がおこなわれた。 ヒトラーは古代ローマ帝国への憧れをもちながら、イタリアのファシズムにも心酔していて、それらをモデルにしながら都市計画をおこなった。 様式は単純化した古典主義で、国家権力を誇示するような威圧的な建築が建てられたことをすぐ想起した。
40年ほど前になるが、イタリア・コモにイタリア合理主義の建築であるジュゼッペ テラーニの建築を見に行ったことがある。その頃 テラーニに心酔していたが、その後カテゴリー分けされる「ファシズム建築」とはちょつと異なると感じていた
そしてEUR(エウル地区)、<ローマ万国のための新都心>も訪れたが、ローマ万国博覧会(1942)開催のために計画された新都心EURの建築には興ざめした記憶がある。
かって全体主義を達成するため、民衆の意思をまとめる「舞台装置」として建築はフル活用された。
「国民国家」という人為的に人々を一つにまとめ上げるシステムは「伝統」と親和性が高く、権力の象徴としても効果的に機能する。
やっぱりトランプの本質は、ここにあるんだなと再認識。