「MATERIALIZATION 山本理顕的設計監理思想 生まれ変わる名古屋造形大学」

久しぶりに山本理顕さんの本を読んだ

 名古屋造形大学名城公園キャンパスを訪れてみて、このプロジェクトの全容を詳しく知りたいと思い、この本を取り寄せた。

 この建物を見て、「地域に開かれたキャンパス」を目指したのだろうということは、山本理顕さんのこれまでの考えから容易に伝わって来た。

 ここで本のタイトルにもなっている言葉「MATERIIALZATION」(物化)が登場する。ユダヤ人政治哲学者・ハンナ アーレンの言葉だ。読んでいた本が山本理顕さんと重なっていて驚いた。ハンナ アーレンは全体主義を分析し批判したことで知られている。MATERIIALZATIONは邦訳すると具体化、体現ということで、「考えの視覚化」ということなのだと思う。

 そう意味でいえば、この建物はコンセプトが明確に視覚化されている。

敷地の南北を貫くアートストリートの地下には、地下鉄が走っている事を知った。当然ながら地上部の荷重制限がある。それを解決する為に上階に大空間のスタジオを作っている。下記は初期計画の断面図。

 この建物を見に行き、まるで「大屋根の下の集落」という感じを受けたが、実にコンセプチュアルでテクノジカルな集積を このプロジェクから伺えることができる、