【覚書】再エネ導入

 東京都(都環境局・クールネツト東京)が熱心にマンションオーナーやマンション管理組合に宣伝しているせいかもしれないが、最近省エネ・再エネ導入についての照会や相談が多い。

 弊社は、東京都の既存マンション省エネ改修や再エネ導入を促進するため、管理組合・所有者等の判断・合意形成のための有効な材料として補助金対象の検討計画書を作成する「協力事務所」となっているので、昨年から共同住宅の省エネ・再エネの検討、補助金申請の業務が増えている。 

【想定年間発電量】

東京の平均日射量×システム容量で計算できる。

例えば全システム容量が41.5KWとしたら 1,362Kwh×41.5KW=56,523Kwhとなる。
(年平均日射量は国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構「日射
量データベース閲覧システム」(MONSOLA-20)を参考。全国10都市は太陽光発電協会「表示ガイドライン、解説編(2023 年度)」に記載の都市および3次メッシュを参考。発電容量1kWあたりの年間発電量の目安は、年平均日射量×損失係数0.85×年間日数365により計算する。当然地域によって数値は異なる)

【計画のシステム容量】

例えば屋上(陸屋根)に太陽光パネルを何枚設置できるかという計算を行う。

多くの場合太陽光パネルは約2㎡で、100枚設置できるとすると415W/枚のパネルなら合計41.5KWとなる

当然既存の屋上平面図でパネル配置計画を作成しても良いが、ざっくりと計画枚数を算定しても、検討段階の概算値としては、さほど問題がない。

【削減電気料金概算(円/年)】

例えばマンションの共用部の電気料金を削減したい場合は、オーナーや管理組合、管理会社から共用部の年間使用量(電灯KWh、非常用KWh、動力KWh)の資料提供が必要である。及び年間の支払った電気料金の資料を提供してもらう必要がある。

例えば共用部電気料金の内訳は、管理組合から提供された資料により、年の合計料金は250万円、年の合計使用量は、70,000KWhであるとする。
計画のシステム容量は、上記より41.5KWとして、想定年間発電量は56,523KWhとなり、削減電気料金は、2,500,000円/70,000≒36円/KWhとして36/KWh×56,523KWh=2,034,828円となり、約81%削減できる計画となる。

【補助金活用後費用】

 東京都の「家庭における太陽光発電導入促進事業」「家庭における蓄電池導入促進事業」によると、太陽光発電システムは、既存住宅(50KW未満)で太陽光発電システム12万円/KW、架台の補助額は、架台の材料費及び工事費の合計金額を上限としているので、見積書により仮に300万円とする。
又、蓄電池は太陽光システムがある場合は(6.34KWh以上)15万円/KWhである。仮に蓄電池容量は16.4KWhとして計算する。

以上により補助金額を算定すると41.5KW×12万円+300万円+16.4KWh×15万円=1,044万円が補助額となる。

太陽光発電システムの概算工事費見積額は、仮に2,000万円(太陽光・蓄電池の設備、工事費額)+架台基礎工事=165万円で、合計概算工事費は約2,165万円とする。

概算工事費2,165万円-東京都補助金1,044万円=1,121万円が管理組合又はオーナーの負担となる。年約203万円の電気代を削減できるため、約5.5年で初期投資を回収できる計画となる。

【太陽光パネル等耐用年数】

イニシャルコストを下げるためには中国製とかの選択になるが、心配なのは耐用年数である。

【その他の問題】

 屋上に太陽光パネルを設置する場合、防水の問題や積載荷重(特に地震時)等の検討も必要となる。

 よって既存建物に係るソリューションは、常に総合的な視点が必要となる。