
「I」とは、都市から地方への移住を意味するIターンの事
舞台は田舎の中の田舎、市全体の過疎化に加え、恐らく東北の山間部を設定しているのだと思うが、ひとつの限界集落が無人になってしまい「死んだ集落」となった。そうした「死んだ集落」も、もう日本の地方では見慣れた光景になってしまったが・・・。
その「死んだ集落」に行政が中心になって都市から新住民を呼び込み、一旦は集落を復活させるが、やがて新住民は少しずつ、集落を離れ、永遠の眠りにつく。
移住者を増やすという取り組みは、人口減少の我が国の地方自治体では、どこもかしこも取り組んでいる。一見前向きな政策も、地方自治体の財政状態から見たらインフラ整備の予算もなく、とんでもなく負担でもある。
行政の現場と地方の現状に視点を向けた社会派ミステリーの体裁をとってるが、反転する結末が面白いし、Iターン政策について考えてしまう本。