建築中のRC14階建ての建物が、7階部分施工中に工事会社が倒産し破産宣告を受け工事が中断した。この工事会社の破産管財人弁護士より依頼され、地方裁判所の了承を得て工事途中建物の資産価値策定業務を2024年初頭に行った。
建築主は破産工事会社に工事前渡金を支払っており、この工事途中の建物について第三者調査機関に依頼して非破壊検査等を行い、施工建物は瑕疵が多数あるとして、その是正などの工事費用が嵩むため、資産価値はないと主張した。
弊社は、依頼されてから第1回債権者集会までの時間が短かったために、建築主が依頼した第三者調査機関の調査報告書を基に瑕疵の是正方法を計画立案し工事費を積算した。尚工事継続の場合、他の指定確認検査機関では検査等を受任しない可能性があるため、確認申請、中間検査(基礎・2階床)の処分を行っていた指定確認検査機関と打合わせ調整を行った。
この業務を通じてRC建物の多数の是正方法、補強方法について新たな知見を得ることができた。一方で構造安全性を証明できたとしても、それらが建築基準法に適合しているのかどうか、判断に迷う事、考えることも多かった。
この業務は2025年も債権者からの質疑に回答するなど継続していたが、2025年4月30日、破産管財人弁護士より連絡があり、この度、資産価値があるものとして工事前渡金を返済しない旨の協議が建築主と整い、地方裁判所の許可を受け和解が成立。工事前渡金を全額返金しないことになったとの事だった。
これに伴い、一般的破産債権者の方々にも、少ないながらも配当することができる見込みとなり、弊社が作成した調査報告書が役に立ち「希望した期間内に、かつ、詳細で説得的な報告書を作成くださり、誠にありがとうございました」と破産管財人弁護士からお礼が届いた。
和解で協議が整い 良かった。
喉に突き刺さっていた骨が取れたような気分。