
この本も黒田辰秋に関する本。
近年は、木や木工に関することがマイブームで、ひとりの人について関係する本を幾つか読むことにしている。この本は、2000年5月に発行された本だから、もう25年も前の本だし、著者の早川謙之輔さんは、既に故人。
帯には「現代の名工が偉大な先達から学んだ木の心、木の技」。黒田辰秋との出会い、黒澤明御殿場山荘の家具セット製作など、その20年余の熱い交流を描いている。
黒田辰秋は、若き日に河井寛次郎に出会い、柳宗悦らの民芸運動に加わり、若手芸術家のギルドのような上加茂民芸協団を組織したことは知られている。
私が民芸に興味を持ったのは、1970年代の半ば頃だったか、新宿歌舞伎町の入り口に「民芸茶房 レストランすずや」という飲食店があり、民芸が趣味だった店主の鈴木喜一郎さんのコレクションが沢山飾ってあった。
棟方志功の版画を初めて見たのも「すずや」だったかも知れない。婆ちゃんと新宿3丁目のジャズ喫茶「DUG」で待ち合わせして、時々「すずや」に食べに行った思い出が蘇る。
版画家の棟方志功は、「すずや」の看板やメニューの表紙を直筆で書いているし、当時の民芸運動の中心だった柳宗悦、浜田庄司、芦沢圭介、池田三四郎、バーナード・リーチなど、後となっては人間国宝級の人々が店に通っていたという。さながら民芸運動の美術館のような飲食店だった。その時から有名なのは「とんかつ茶漬け」だが、当時は「とんかつ茶漬け」以外のメニューも沢山あった。
「すずや」は、2016年にビルを建て替えて新しく「とんかつ茶漬け」と「とんかつ」専門店のような店になったが、新店は昔の民芸茶屋の面影は大分薄い。
さて私の民芸との接点は置いておいて、
早川謙之輔さんは、以前も「ゴッホの椅子」の本の紹介で書いたように、岐阜県中津川市付知というところで工房を持たれていたが、黒田辰秋は黒澤明御殿場山荘の家具セット製作の時に付知に滞在し、同じ付知の「上見屋」という老舗旅館を定宿にしていたことや、付知(つけち)の風景、山や木のことなどが書かれていて、とても親近感を抱いた本だった。

















































