「堀部安嗣作品集Ⅱ・2012年~2019年全建築と設計図集」

なんと美しい本なのだ。そう思った。

久しぶりに建築家の作品集を買った。

自分より若い年代の建築家では、以前から堀部さんに注目していた。

堀部さんの設計したものに最初に触れたのは外観と本だけだが「阿佐ヶ谷の書庫」

残念ながら まだ堀部さんの作品を体験したことがない

高知の竹林寺納骨堂と一連の施設を見に行きたいと以前から思っているのだが

中々機会がない

堀部さんの建築には「無理」がないのだ

この本の中で中島岳志さんが「堀部安嗣論」を書いている。

その中で

「堀部にとって『美しさ』は創作するものではない。美しさはやってくる来るものであり、宿るものである。美しいものを作ろうとすると、美しさは逃げていく。大切なのは、必然性に促されること。建築家の重要な仕事は、この必然性の風に乗ることである。だから、堀部の目指す建築は必然と『”すわり”がいい』建築へ回帰する。」

重要なのは「自己の表現」ではなく「場所の価値」

また住宅を設計したくなっている今日この頃

「ゴールデンカムイ鍋」

「今晩は、ゴールデンカムイ鍋だ」と妻が叫び買い物に

すぐ見てきたこと、聞いたことに感化される爺婆です。

残念ながら、リスやカワウソの肉は売っていませんでした。まあ当然と言えば当然ですが。

それで鶏肉と牛肉にしました。

鶏肉は「チプタプ チプタプ」しないで済む挽肉を肉団子に。味は「オソマ」ではなくキムチ調味料を投入。

「なんだ キムチ鍋じゃん」ということなかれ、我が家では「ゴールデンカムイ鍋」と命名されたのです。

最後にマルタイのラーメンを追加。

 ヒンナヒンナと言って皆で食べました。

映画「ゴールデンカムイ」

久しぶりに映画を観てきた。妻ちゃんと。

すでに漫画本やアニメでも見ていたが、平日の夜 映画館に

 先月末からつい先日まで、怒涛のように難易度の高い事案の相談。見積提出が続き、頭の中がプニョプニョになりつつあつた。寝不足だし、長時間寝れないし、少し休息が必要かなと思っていた。

 最近、孫娘達と話があう。

見ているものが一緒なのだ。この「ゴールデンカムイ」や「VIVANT」「ドラゴン桜-2」等。片方に合せるのではなく体験を共有していると会話が弾み楽しい。

さて実写版「ゴールデンカムイ」想像していたものよりはるかに良かった。北海道の冬の自然の中での撮影や動物たちもリアルで その迫力に引き込まれた。

 冒頭部の二百三高地の戦闘シーンも、近年まれに見るリアルな撮影。

 アシリパちゃんが可愛い。

 この女優さん、奥深い素敵な眼をしている。

 日本映画人のレベルの高さを世界に示す作品で、次回作に期待。

区画避難安全検証法

 最近、既存建築物のリノベ―ション事案で、避難安全検証法を利用することが多くなっている。

 現在基本設計を手掛けているプロジェクトでも、既存の機械排煙は老朽化で実質機能していなかったので、リノベーションに伴い新規の機械排煙設備を設置するのではなく階避難安全検証で排煙設備、防煙垂れ壁を適用除外させる方向で進んでいる。

 別の相談を受けた事案では、テナントからの要望で区画を広げたところ排煙機の容量が足りなくなり、排煙機の容量を変えると、それに伴い非常用発電機も変更しなければならず、結構な金額の設備投資となるので、避難検証法でどうにかならないかというもの。

 2020年4月1日に施行された防火避難関係規定の合理化にともない示された項目に、区画安全検証法(令128条6)が追加された。

 従来は令129条の階避難安全検証法、令第129条の2で全階避難安全検証法が規定されていたが、これに区画避難検証法が加わった。適用除外される項目は「排煙設備の設置」「排煙設備の構造」「内装制限」のみと限定されているが、階の一部分の検証で適用除外ができる。

 注意点は準耐火構造の壁、防火設備(遮煙性能付)で区画するというところ。

「めざせ!ムショラン三ツ星」黒柳桂子著

 新しいもの、変わったものをお店の中から狩猟する臭覚が優れている妻が面白かったと、背後に来て渡して行った本。1時間ぐらいで読めると言っていたが、半日ぐらいかかった。私は本を読むのが遅いのだろうか。

 刑務所には看守などの役割を担う刑務官だけでなく、教育専門官や福祉専門官(社会福祉士)、医師や看護師などの医療スタッフ。作業療法士や管理栄養士が在籍しているそうだ。

 病院や学校だって給食があるのだから、ムショだって当然 集団調理があり管理栄養士が配置されているのは何となく予想できた。

 ただ女性の刑務所管理栄養士は少ないらしい。

 この本は何も知らずに刑務所の炊場(調理場)に飛び込んだ女性管理栄養士と、料理初心者の男子受刑者たちの給食作り奮闘記。

 滅茶苦茶面白かった。

 知らなかった事を知ることは興奮する

 食生活と犯罪には因果関係があるらしい。岩手大学名誉教授の故大沢博さんの研究が紹介されている。低血糖症と犯罪の関連性やジャンクフード症候群について、それらが暴力や無気力、感情コントロールができないことにつながる可能性を指摘されている。

 ヒトの身体が食べ物で出来ている以上、思考や行動を司る脳を作るのも食べ物。そのことを意識しなければならない。

 空腹を満たせばよい、簡単で安ければそれでよいという「エサ」的な考え方では、「心身ともに」健康ではいられない。

 妻が年老いてから食と食品衛生について学び直した関係で、随分と感化されている。

 

施工会社の選定と準備期間の見直し

 どうも場所打ち杭の太物鉄筋の納期がかかっているらしい。

 鉄筋は在庫の状況などにもよるが、ロールで発注すれば1~1.5ヶ月位はかかる。というのが今までの常識。

 既製コンクリート杭の場合も端部の金物などの材料が、ものにもよるが1ヶ月ぐらいはかかる。

 また、鋼管巻きの杭の場合は、鋼管の納期が通常3ヶ月程度かかる。

 エスカレーターは18ヶ月前。エレベーターは12ヶ月前。キューピクルは6ヶ月以上前。電気の幹線や低圧ケーブルも 買い占められれているのか どうにも理由がわからいないが入荷しない。入荷しても少量。

 こんな日本に誰がした。

 こんなこと今までなかったな。

 建築工事には、相当な工事準備期間が必要だし、施工会社の選定時期、選定方法も考え直さないといけない。

 こんな時代なのに、設計図が完成してから競争見積もりで施工会社を選定し、確認おりたら、すぐ着工してという寝ぼけた設計事務所もあるようだ。

 

日比谷公園 -1

 

日比谷公会堂+市政会館

市政会館

日本プレスセンタービル

都立日比谷公園再生整備計画の説明パネル

 「都立日比谷公園は、日本における近代的洋風公園の先駆けとして明治36年(1903年)に開園した都立公園です。皇居など周辺と一体となった都心の貴重な緑と憩いの場として、長きにわたって都民に親しまれてきました。
 都は、令和3年(2021年)7月に「都立日比谷公園再生整備計画」を策定し、開園130周年を迎える令和15年(2033年)の完了に向け、本公園をエリアごとに段階的に整備していくこととしています。
 本計画では、日比谷公園を、年齢、性別、国籍、障害の有無などに関わらず、誰もが利用しやすく、楽しめる公園に進化させ、将来の都民へ引き継いでいく必要があります。令和5(2023年)年7月に本計画の実現に向け、事業計画として「バリアフリー日比谷公園プロジェクト」を取りまとめました。」と東京都のホームページにある。

ふ~んと眺めていた

「講演会・建築用仕上塗材の基礎知識」

 

NPO法人湿式仕上技術センターおよび日本建築仕上材工業会(NSK)の講演会「建築仕上塗材の基礎知識」に行ってきた。

 会場は日比谷図書館B1F日比谷コンベンションセンター。千代田区立日比谷図書館分館にくるのは久しぶり。

 建築用仕上塗材。この見慣れた仕上材 実のところ どのような性能があり、どのように製造されているのか、又どのように施工されているのか 正直深くは知らなかった。

 講師はエスケー化研さんと日本ペイントさんの方。「仕上塗材の材料説明(役割、構成、製造方法など)」「仕上塗材の施工説明(塗装方法、塗装の条件、塗装時の問題点など)」

 「既存建物の再生と活用」をテーマに、この10年程 大規模改修等に関わり始め、鉄筋コンクリート造の修復・補修技術。外壁仕上塗材の選定。古いタイル貼りのリフレッシュ工法。外部鉄骨部の塗装など 気になる事が沢山湧き出してくる。

 建築病理学が確立していない日本では、補修技術ひとつとっても手探りの状態が続く。

 この講演会の後、日比谷公園を徒歩で横断し有楽町へ、日本橋、神田、東京駅へと移動。今日も何だか慌ただしかったなぁ~。

「BCJ技術セミナー 設備設計シリーズ/ 給排水設備編」-2

 セミナー2日目は、排水通気設備・雨水排水設備の講義と演習。消火設備の講義と演習。その他の設備・トピックスの講義。

 雨水排水設備の雨水立管、横管の管径算定や負荷流量、器具単位法について学習。雨水排水計画について始めてまともな算定方法を聞いたように思う。

 この日はセミナー時間中に、珍しく何本も留守電があり、せっかく設備脳のまま昇天する気分だったのに、現実世界に引き戻された。

 まだ建築の世界では解放してくれないようだ。

 日本建築センターのセミナーは、講義も演習も丁寧で実務者向き。スキルアップには最適だと思う。

 火曜日、夕方外にでると冷たい雨が降っていた。

結婚記念日

もう過ぎてしまったが3月2日は結婚記念日

3月3日のお雛様に式場の予約が取れなくて前日になった

亡くなった妻の母が全部仕切ってくれた

写真は娘が結婚記念日にくれた花

外食をしたが、それだけでは済まないようだ

「南海トラフ巨大地震-1」原作biki、漫画よしづきくみち

出来れば目を背けていたいこと、でもいつかは現実となる巨大地震による被害

生きているうちには巨大地震は来てほしくないと、最近 爺婆連中と話している。

東日本大震災の時から、水や食料等の防災用品は整えている

こうした地震がテーマの本は、避けるんだけど つい買ってしまう

この本は、2023年に初版で、私が購入した本は2024年2月の第5刷

重版出来のベストセラー

皆 同じような気持ちなんだろうな

地震と向き合い乗り越えてきた民族

「BCJ技術セミナー 設備設計シリーズ/ 給排水設備編」-1

 

 設備パーションアップイヤーのステップ-1が「設備設計一級建築士更新講習」。ステップ-2が「BCJ技術セミナー 設備設計シリーズ/空調設備編」。そしてステップ-3が、この「BCJ技術セミナー 設備設計シリーズ/給排水設備編」。ステップ-4が「建築設備一般」が6月の予定。ステップ-5の電気関係セミナーは、どこのを受講するか、まだ決めていないが仕事の関係で秋以降になりそうだ。

 月曜日このセミナーに参加した。対面式で朝から夕方まで受講。

 第1日目は、給水設備の講義と演習、午後は給湯設備の講義と演習だった。

 基本的な事項からおさらいが出来た。演習が多いので刺激になる。何だか設備設計者になった気分。

 見回したところ爺は他にいない。意外と若い人が多いが、それでも初心者というわけでもなさそうだ。

 資格試験の為の勉強とは異なり、実務に役立つ勉強は有意義だ。

 建築コストの中で設備関係のコストは年々比率を高めている。建物が使われてからのクレームも設備関係が圧倒的に多い。それにも関わらず設備設計者は段々少なくなる。同年代のベテランも自営業を辞めたり、事務所の規模を縮小した人が多い。口だけ動かす人ではなく実際手を動かす人を増やさなければ。

スイカゲーム

最近、密かにマイブームなのがスイカゲーム。

孫娘達が来たとき、スイカゲームで遊んでもらう為に特訓中。

スイカ1個はできるのだが、スコアが低迷中

土曜日に孫娘が来たがゲームでは遊んでもらえなかった。

彼女は彼女で色々と忙しいようだ 

 このゲーム、頭の中が空っぽで出来るし、反応速度が遅いので年寄り向き。

アクセスデーター 2024年2月

2024年2月のアクセスデーターは、visits一日平均6,997。pages一日平均24,655でした。

またvisits月202,920。pages月715,005でした。

 2月は随分アクセス数が増えました。「人狼」ゲームで反応がありましたが、その他でも従来にないアクセス数となっています。

 AI生成、チャットGPTのために、ビックデータ収集の各社のロボットが汗水たらして働いているからではないかとも言われています。

 本当のところは知りませんが。

 

既存建築物の図面復元

 既存建物の遵法性調査やリノベーション、レイアウト変更を行う際、新築時の図面が全部または、一部しか残っていなかったり、当時の図面と異なっていることがある。

 不動産が流動化する時代では、既存建物の図面、図書等整備も資産価値を下げない一つの要素である。

 現状を実際に把握しないと方針は決まらない。とにかく図面がなければ次の展開には進められない。

 検査済証があろうが、無かろうが、既存建物を活用しようと思ったら「まず調査」から始めないといけない。実際には一度ならず追加調査が必要だったりする。そしてその調査の野帳は、自分だけでなく他人が判別できるものでなければならない。それには一定のレベルの人材による作業が必要である。

 実際の図面復元は、アナログの極致で平面・断面・立面の各部位を実測し野帳図に書き込み、写真や動画を撮影して、現在ではCADで作図する。図面の復元と言っても意匠、構造、設備、電気等 どこまで復元するかによって人手と費用は大きく変わる。

 

 上記の2枚の画像は、10年近く前だが木造家屋の調査で私が担当した断面野帳。フリーハンドでも、他の人が見て判りやすい野帳にする必要がある。

 もっとも最新鋭技術で、建物全体を3Dデータ化することで、3DCAD上で建築図面を再現することができるそうだ。まあ高額なので中々一般には普及しないとは思うが。

 一方で図面復元をしたことを、ことさら「すごいでしょう」と吹聴したり、過大評価する第三者がいたりするから世の中面白い。図面復元をしたことがない人達からしたら大変な業務なのかもしれないが、古民家や木造住宅、社寺仏閣のリノベーションの世界では当たり前の作業。

 筆者も学生時代から伝統建築物の調査や図面復元に関わっているので、汗をかきかき灼熱の天井裏で調べたり、狭くてかび臭い床下にもぐり調査したり大変な作業であることは間違いない(尚、最近は体積が多くなり過ぎたのと加齢のため、小屋裏、床下の調査があっても若い人にお願いしている)が、だからといって全体を指揮して調査し図面を復元するのは苦にはならない。

 現場に行くこと、汗をかく仕事を避ける設計者もいるようだが、古来より「現場に神宿る」と言われている。歳をとっても、それだけは譲れない。

スリランカ紅茶専門店 風舎

 先日、調布市に行った折。集合時間の15分前に調布駅に着いたので、以前クライアントとお茶して美味しかった「スリランカ紅茶専門店 風舎」に立ち寄り紅茶を買ってきた。

 調布駅北口の電通大通りの東側にある天神通りは道幅は狭いが、小さいが個性的で魅力的な店舗が幾つかある。その中の一軒がここで、昨年調布に来たときは「風舎」は休みだった。

 「砂糖もミルクも入れないで飲んで美味しい紅茶を下さい」と聞き、お薦めでこの紅茶葉を買った。

 深い香りで旨し。

Dキューブ 見学会

 

 昨年2023年9月末に引き渡しが完了した調布市のテナントビル「Dキューブ」の見学会があった。

 建て主が会員になっている一般社団法人 日本不動産経営協会の見学会で、16名が参加された。日本不動産経営協会は、1981年に結成された賃貸不動産経営者の団体で会員数100名余りと聞いた。

 協会の主旨は「JRMA(ジャルマ)=社団法人日本不動産経営協会は賃貸不動産経営者の組織で、相互に情報をギブアンドテイクし、不動産賃貸経営の知識を高め実践していく勉強会です。マンション、アパート、ビル等の賃貸物件を事業的規模で所有し、賃貸経営に係る知識やスキルを磨くといった、賃貸経営に前向きに取組む姿勢のある会員が集まっています。」と書かれている

 見学会の為に簡単な説明資料(A4版7頁)を作成し説明をしてきた。建物概要、建物履歴、Dキューブの選択、技術的問題、検査済証が無い既存建築物のデメリット等を出来るだけクライアントの立場でわかりやすいものと考え作成した。

 1、2階各2区画のテナント入居契約が1月末に全て完了し、1階の南側に既に昨年11月KFCがオープンしている。これから残りの3区画の内装工事が始まる。

  見学会の後、飲食店を借切った懇親会にも参加して交流してきた。参加者の多くはレジデンスのオーナーのようだったが、「すごく勉強になった」「刺激になった」「検査済取れるのがすごい」「頂いた資料を見返して、調べて勉強します」等の感想をいただいた。

 

 

「BCJ技術セミナー 設備設計シリーズ 空調設備編」-2

日本建築センターの「技術セミナー 設備設計シリーズ 空調設備編」2日目をWEB受講した。

 セミナーの第2日目は「空調負荷計算」「個別分散空調システムの設計」「エルルギー消費性能の評価」だった。

「空調負荷計算」では、空気調和・衛生工学会の熱負荷計算ツールであるHASPEEを利用したことがなかったので今後役に立ちそうだ。

「個別分散空調システムの設計」では、全熱交換機・外気処理機を設置すれば空調負荷が軽減される事。室外機の能力ダウンにつながる事。さらに直膨コイル付き全熱交換ユニット又は調湿外気処理機を設置すれば、外気負荷はほぼ100%処理可能となることを知ったのは、新しい知見だった。

「エネルギー消費性能の評価」は、標準入力法の解説で、これは既知の分野だったが、「標準入力法と空調設備パターン別入力方法早わかり講習テキスト」は、実務に役立つテキストだ。

 BEIの算定も、同一建物の条件で「全熱交換器なし」「全熱交換器あり」「外皮性能向上+全熱交器あり」の3ケースで比較した演習で、その違いがわかり為になった。

 2000㎡以上の大規模建築物の省エネ基準は、今年2024年4月から「0.8程度」に引き上げられる。(詳細は下記、建物用途によって基準値は異なる)

又ZEB対応も増える事から、モデル建物法から標準入力法の利用が増える事が予想されている。

 2日間の空調設備のセミナーは、今後の実務に役立つ内容だった。

「土に贖う」河崎秋子著

 2020年第39回新田次郎文学賞を受賞した河崎秋子氏の「土に贖う」(つちにあがなう)を読んだ。今、河崎秋子氏の小説を続けて読んでいる。

この本を読んで、つくづく生まれ故郷の北海道の事を知らなかったなぁ~と思った。

 北海道の厳しい自然環境の下で近代に栄えた産業や職業。具体的には養蚕、ミンクの飼育と毛皮、海鳥の羽根、馬、ハッカ草、煉瓦等を題材に、それらの消長を通して、人が今日生存する意味を問いかける短編集となっている。

 表題作の「土に贖う」は、戦後急速に需要が伸びた煉瓦の生産現場を舞台にしている。便利さと効率を追求し続けた近代以降の社会は、人間を豊かにした反面、生産にノルマが課され、労働者は徹底的に管理されてゆく。本当に「豊かに」なったのかということは疑問に思っているが、それは又別の機会があれば書いておきたいと思う。

 「皆が皆、同じ動きを繰り返して綺麗な直方体になるよう」土から成型されるレンガを近代労働者のメタファーにして「少しの歪みや割れが生じれば、正規品からいとも簡単に外される。不要とされ、捨てられ、顧みられることはない」レンガ同様に、それを作る人間も容易に使いつぶされる。

 先日、集まりの中で、現代は職人技術が急速に失われて行っていると言う事が話題になった。建築、印刷、自動車等。異業種の集まりだったので盛り上がった。ちゃんと食べていけて家族を養っていける職種ならば、息子や娘に継がせることはできるだろうが、食べていけないと予測できるから、職人は自分たちとは違った将来を自分の子供達に望むのではないのかと・・・。

 それにしても河崎秋子氏のリアリティある描写は圧巻であり、現実の厳しさを再現しながら、それらに打ち勝つ力のようなものを読者に蘇(よみがえ)させる。

「BCJ技術セミナー 設備設計シリーズ 空調設備編」-1

 日本建築センターの「技術セミナー 設備設計シリーズ 空調設備編」をWEB受講した。

 セミナー2日間の第1日目は「空調設備設計の進め方」「空調機と湿り空気線図の利用」「空気搬送設備の設計」「水搬送設備の設計」だった。

 暗記重視の資格試験的セミナーではなく、実務に役立たせるセミナーだったので、とても興味深く、かつ面白かった。

 セミナーで対象としている建物が大規模なものや高層建物を対象としていた。延床面積10,000㎡を超えるような大規模な建物に関わった経験が少ないので、新鮮な知見が多かった。

 とりわけ「湿り空気線図」は、学生時代に「建築環境工学」で学んで以来のような気がして、あの頃はさっぱりわからなかったという記憶が蘇ってきた。空気線図は空調設計の基本であり、これを理解することで様々な空調設計の問題を検討可能になると指摘された。

 実務上は、中間期に冷房負荷が少ないが、梅雨で湿度が高くなるので除湿をしたい場合。湿気のある部屋の外壁が冷えて結露が発生することを予測する時。電算センターをパッケージで冷房したいが、顕熱の処理能力は足りているか検討する時等に再度空気線図に立ち戻り検討する必要があるそうだ。

 空気搬送設備も最近の省エネやZEBに対応で厳密な設計で動力や消費電力を算定する必要が増加しているという指摘があった。実際BEIの算定の中で空調と照明の占める割合は多い。

 水搬送設備における空調配管系の圧力線図も興味深かった。高さ60mを超えるような建物でないと、圧力線図は使用しないのでないかと思われるが、これは使ったことがなかったので新鮮だった。

 第2日目のWEBセミナーは来週。

 頭の中が設備脳になっている。

アネックス方式

 アネックスとは付録、別館、離れといった意味だが、経営の分野では「分社」として使われる事がある。

 この間「軍師たちの日本史」半藤一利×磯田道史対談を読んでて、この別会社・分社方式で思い出したことがあった。

 イタリアのボローニャにティーバックと薬品の充填包装システム機械で世界一と言われているIMA社(Industria Macchine Automattiche)がある。

 現在 IMA LIFE JAPANという会社が江東区にある。日本語名「イマ」社。その企業案内には、「イマ・ライフ・ジャパン株式会社は、世界的な包装/プロセス機器メーカーであるイタリアのIMA社の唯一の日本法人として、2008年に発足致しました。なおその前身は、英国の工業用ガスの会社であるBOCグループの一員であったエドワーズ株式会社の医薬品事業部であり、凍結乾燥装置を数十年に渡り取り扱ってまいりました。

 IMA社は、様々な分野でその事業を展開しておりますが、医薬品関連事業部門(IMA Pharma)に属して無菌製剤製造装置を担当するIMA LIFE部門の下で、当社は主として日本の医薬品業界に向けて、各国の工場で製造された機器類の、販売/保守/各種技術支援等を行っております。」と書かれている。

IMA LIFE JAPAN

この会社は1924年に設立されたACMAという包装機械のメーカーが母会社。ACMAはチョコレートの自動包装機を開発した会社。

 ロマニョーリという若者が1961年にACMAから独立してIMAを設立した。

 ここで大切なことは母会社の技術を持ち出すことは許されるが母会社と同じものを作ってはいけないそうだ。創業者は自動ティーバック包装システムを開発し、続いて自動薬品充填システムを完成させ世界市場を制覇したとある。

 このティーバックの止める部分、初期はホツチキス止めだったものをIMA社が伊藤園のティーバック包装機械を受注したとき糸で縫う方式に改良し、それがまたティーバック包装機械の更なるヒットに繋がったと聞く。

 この母会社ACMAから分社化した会社が50社以上あり、この包装機械のネットワークの部品を供給する300社以上が取り巻きボローニャに「パッケージバレー」を形成している。

 かれこれ30年以上も前だが、イタリアのミラノ、コモ、モデナ、ボローニャ、ローマを旅行した事がある。その時、イタリアは職人の街だ。スリも泥棒も職人だからといわれた事を思い出した。ようするにテクニックが上手ということ。

 若い時 養鶏場の設計にかかわったことがあり、プラントシステムの図面がイタリア語とかスペイン語とかあり、精密機械はヨーロッパが優秀と聞いた覚えがある。

 イタリアには多くの車メーカーがある。フィアット(FIAT)/アルファロメオ (Alfa Romeo)/ランチア(Lancia)/マセラティ(MASERATI)/アバルト(ABARTH)/フェラーリ(Ferrari)/ランボルギーニ(Lamborghini、フォルクスワーゲングループ傘下)/パガーニ・アウトモビリ (Pagani Automobili)/マイクロ・VETT(MICRO-VETT)/ピアッジオ(Piaggio)

 日本だけが技術が優秀という事ではない。

 日本の企業は、経路依存性が強いから分社化というのは、ひとつの選択肢なのだろうと思う。 

設備設計一級建築士・定期講習2023

3年ぶりの設備設計一級建築士の定期講習

今回も確認サービスで受講だが、講習も試験もWEBを選択した

テキストを1日で下読みして、WEB講習が5時間あまり

そして今日、WEBで終了考査が終わった

これで設備バージョンアップ・イヤーのファーストステップが終了

空調換気・給排水衛生・電気・建築設備一般と

次のステップが目白押し

新しい知見を得るとハイになる

エクスタシーとまではいかないが、この高揚感はなんだろう

ワンオブゼムの神から天皇の氏神へ・・・伊勢神宮

 

 ずっとよくわからない事があった。八百万の神々がいる中で何故、伊勢神宮が天皇の氏神となったのか。

 歴史を遡ること壬申の乱(672年)。天皇家内部の争いがあった。

 関ヶ原のあたりで大友皇子軍と大海人皇子軍が衝突した。

 戦いの中、突然疾風が大海人皇子軍の後ろから吹き、矢は長く勢いよく飛び、逆に大友皇子軍のほうの矢は風に押されて途中でバタバタ落ちてしまう。大友皇子軍は一気に押しまくられて負けた。

 以来、大海人皇子軍を助けたその風は、伊勢の方から吹いた風であるというので「神風」と呼ばれるようになる。

 そこで伊勢神宮が浮上する。

 伊勢神宮が天皇家の氏神になるのは壬申の乱が契機。

 大海人皇子はこのあと天武天皇となって皇位につく。美濃と伊勢の豪族を連れて勝利したこともあり、それから恐らく日本で始めて集権的な政府をつくっていく。

 そしてワンオブゼム、八百万の神々のひとつでしかなかつた伊勢神宮が、天武・持統という夫婦の天皇の時代に氏神化されていった。

 各地に元伊勢(もといせ)がある。現在の三重県伊勢市に鎮座する伊勢神宮が、現在地へ遷る以前に一時的にせよ祀られたという伝承を持つ神社・場所で伝承地の真偽のほどについては不明であるが、20社から60社ぐらいある。

 「伊勢神宮内宮の祭神・天照大御神は皇祖神であり、第10代崇神天皇の時代までは天皇と「同床共殿」であったと伝えられる。すなわちそれまでは皇居内に祀られていたが、その状態を畏怖した天皇が皇女・豊鋤入姫命にその神霊を託して倭国笠縫邑磯城の厳橿の本に「磯堅城の神籬」を立てたことに始まり、さらに理想的な鎮座地を求めて各地を転々とし、第11代垂仁天皇の第四皇女・倭姫命がこれを引き継いで、およそ90年をかけて現在地に遷座したとされる」

 元伊勢を巡ってみたいという衝動が・・・