都市計画法と建築基準法

都市計画法と建築基準法との関係で問題になることが多いのが、都市計画法第29条(開発行為の許可)、都市計画法第37条(建築制限)、と建築基準法の建築確認申請の本受付時期、確認決済時期、工事完了済証交付時期(使用開始時期)等についてです。

*****

■都市計画法第37条 通称:制限解除、公告前申請

「開発許可を受けた開発区域内の土地においては、前条第3項の公告があるまでの間は、建築物を建築し、又は特定工作物を建設してはならない。ただし、次の各号の一に該当するときには、この限りでない。
(1)当該開発行為に関する工事用の仮設建築物を建築し、又は特定工作物を建設するとき、その他都道府県知事が支障ないと認めたとき。
(2)法第33条第1項第14号に規定する同意をしていない者が、その権利の行使として建築物を建築し、又は特定工作物を建設するとき。」
 *****
上記が都計法第37条の条文ですが第一項による制限解除申請を行い承認された場合に建築等が可能となります。
「建築が可能」とは、取りも直さず「建築確認の本受付」「建築確認決済」「建築工事」は可能となります。建築工事の工事完了検査・済証交付は、都計法開発行為の工事完了検査済証交付後にすれば、建築の使用は制限されます。
 *****
■横浜市・都市計画法(開発許可制度)に関するよくある質問
Q2-4 開発完了前に建築確認申請はできますか
A  建築確認申請は可能ですが、確認済証の交付を受けても都市計画法上は建築工事に着手できません。なお、建築工事を同時に行わなければ開発行為が適切に行えない正当な理由がある場合には、建築制限の解除願を承認しています。
 *****
■容易ではない建築制限解除

都市計画法第29条による開発行為をする必要がある場合、安易に都市計画法第37条第1項による制限解除ができるものとして工程を組んではいけません。

制限解除の詳細規定は、行政庁による「開発行為の手引き」「開発許可制度の解説」等の中に詳細に記載されています。

例えば埼玉県の「開発許可制度の解説」では「審査基準」を下記のように記載しています。

*****

審査基準
開発許可を受けた開発区域内の土地において、法第36条第3項に規定する工事完了の公告前に建築物の建築又は特定工作物の建設を支障ないと認めるのは、次の各号の全てに該当するときとする。
1 建築等しようとする建築物等は、当該開発許可に係る予定建築物等であること。
2 工事工程上、開発行為に関する工事の完了前に予定建築物等の建築等を行う必要があると認められること。
3 開発区域が現地において明確にされていること。
4 開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設の工事がほぼ完了していること。
5 建築等工事の完了に先行して開発行為に関する工事が完了する見込みであること。
6 造成の規模や地盤の性質に鑑み、開発行為と建築行為を同時に施工しても開発区域及びその周辺の安全性に支障をきたさないこと。
承認に付する条件〉
本条の承認は開発工事の工程上、開発行為と建築行為を同時に行うことが合理的と認められるときに、やむを得ないものとして例外的に認められるものです。完了検査を受けずに当該区域を建築物等の敷地として使用することを認めるものではあり
ませんから、原則として工事完了公告前に建築物等を使用することは認められません。このため、法第37条第1号の承認に際しては、原則として次の条件を付します。
条件 工事完了公告前に承認に係る建築物等を使用しないこと

*****

また、制限解除を承認すると都市計画法の工事完了検査を飛ばす業者も多い為、あまり建築制限解除を積極的に承認しない傾向の行政もあります。

一方小規模の場合は申請を不要としている場合もあります。つくば市では、開発面積が1000㎡未満の小規模開発行為で自己の用に供する開発行為は、一括で建築制限解除したものとみなし個別の申請は不要としています。

*****

建築基準法の接道基準は満たしているか

次に問題になることが多いのは、建築基準法第43条の「建築物の敷地が道路に2m以上接しなければならない」の規定です。特殊建築物の場合は、条例で定めれた接道長さの規定によります。

一敷地の開発区域で既存の道路に接道しているような場合には問題になりません。

開発区域を幾つかの区画に分け、開発行為による道路をこれから造成する場合は、開発行為による道路(建築基準法第42条第1項第ニ号道路)が実態としては存在していないので、建築基準法第43条は満たしていないことになります。よって建築制限解除の承認を受けていても建築確認申請を本受付することができないことになります。

いくら開発許可申請で「道路」が設計上担保されていても、設計通り工事されているか検査してみないとわかりませんから、実態として接道を満たしているかは大事だと思います。

これを解決するために建築基準法第43条第1項ただし書を活用すべきと指導するところもありますが、住宅ならば包括同意基準がありますが、一般的には建築審査会の同意が必要となりますので、時間も経費もかかり屋上屋を重ねるがごときのようにも思えます。

以上のように都市計画法では良くても建築基準法では不都合な場合もありますから、開発行為が絡むプロジェクトでは調整が必要となります。

都市計画法施行規則第60条証明

都市計画法施行規則第60条証明とは、都市計画法に適合している建築物か証明する書面で、都市計画法施行規則第60条に基づいて添付図面をつけて申請し概ね1~2週間程度で交付される。

具体的には、「都市計画法の許可」が不要となる特定の建築行為の証明等をする書面であり、建築確認申請で使用される。

ところが、新規で都市計画法第29条許可を取得し、建築確認申請にその写しを添付する(厳格な指定確認検査機関は副本と照合する)のは必要条件(関係規定の確認)なのだから、その許可証を事前に確認するのは必須だろう。

だが、その上に60条証明を添付しなければ確認申請を受理してはならないという県、行政があるが、これはちょつと過剰な行政指導にあたるのではないか。

(開発行為又は建築に関する証明書等の交付)
第六十条  建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項 (同法第八十八条第一項 又は第二項 において準用する場合を含む。)又は第六条の二第一項 (同法第八十八条第一項 又は第二項 において準用する場合を含む。)の規定による確認済証の交付を受けようとする者は、その計画が法第二十九条第一項 若しくは第二項 、第三十五条の二第一項、第四十一条第二項、第四十二条、第四十三条第一項又は第五十三条第一項の規定に適合していることを証する書面の交付を都道府県知事(指定都市等における場合にあつては当該指定都市等の長とし、指定都市等以外の市における場合(法第五十三条第一項 の規定に適合していることを証する書面の交付を求める場合に限る。)にあつては当該市の長とし、法第二十九条第一項 若しくは第二項 、第三十五条の二第一項、第四十一条第二項、第四十二条又は第四十三条第一項の事務が地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十七の二第一項 の規定により市町村が処理することとされている場合又は法第八十六条 の規定により港務局の長に委任されている場合にあつては当該市町村の長又は港務局の長とする。)に求めることができる。

埼玉県は「開発許可制度の解説(平成22年6月版)」の第28章で「開発行為又は建築に関する証明書等の交付」について記載している。その中の「法令の解説及び審査基準」345P~349Pを見てみると

【法令の解説及び審査基準】

建築基準法は、いわゆる建築確認において、その計画が、都市計画法第29条第1項若しくは第2項、第35条の2第1項、第41条第2項、第42条、第43条第1項又は第53条第1項の規定のすべてに適合していることも、確認を受けるべき内容としています。そこで、建築基準法施行規則は、建築確

認の申請に当たっては、原則として、その計画が、先の都市計画法の規定に適合していることを証する書面(「適合証明書」といいます。)を添付することとしています。
これを受け、省令第60条は、建築確認を受けようとする者は、開発許可権者に対し、適合証明書の交付を求めることがでるとしています。

したがって、開発許可権者は、その計画が都市計画法の規定に適合することを確認した場合は、適合証明書を交付しなければなりません。

適合証明書の請求手続や様式については、県手続規則第13条に規定されています。
ここでは、適合証明書の交付に際しての審査の概要について記述します。
なお、適合証明書の添付が必要か否かは、建築確認を行う者が判断します。

1 法第29条第1項若しくは第2項に適合していること

適合証明に関する規定の中で、都市計画法の規定に適合していることを求められている「その計画」とは、単に建築計画のみを指すのではなく、開発行為を伴う場合は、これを含む一連の計画をいうものと解されます。建築計画のみを指すものと解した場合は、開発行為に関する規定に適合している
ことを求めていることが無意味となるからです。

「その計画が本条に適合している」とは、次のいずれかに該当する場合です。
(1)開発行為を伴わない計画である場合
(2)開発行為を伴うものの、許可を要しない場合
(3)開発行為を伴うものの、それが既に許可を受けた内容に適合している場合

 

2 第35条の2第1項に適合していること
「その計画」が、本条に適合しているとは、次のいずれかに該当する場合です。
(1)「その計画」が当初の計画と変更がない場合
(2)当初の計画から変更しようとする「その計画」が、許可を要しない場合
(3)当初の計画から変更しよう事項が省令で定める軽微な変更をしようとする場合
(4)当初の計画から変更しようとする「その計画」が既に許可を受けた内容に適合している場合
3 第41条第2項に適合していること
「その計画」が、本条に適合しているとは、次のいずれかに該当する場合です。
(1)開発区域内の土地が建築物の敷地、構造及び設備に関する制限が定められていない場合
(2)「その計画」の建築物が建築物の敷地、構造及び設備に関する制限に適合している場合
(3)「その計画」の建築物が既に許可を受けた内容に適合している場合
4 第42条に適合していること
「その計画」が、本条に適合しているとは、次のいずれかに該当する場合です。
(1)建築物等の敷地が開発許可を受けたことがある土地でない場合
(2)建築物等が開発許可における予定建築物等である場合
(3)「その計画」の建築行為が、「増築」及び「移転」のみでる場合
(4)本条の規制を受けない「改築」、「用途変更」である場合
(5)建築行為等が既に許可を受けた内容に適合している場合
(6)建築物等の敷地について用途地域等が定められている場
5 法第43条に適合していること
「その計画」が、本条に適合しているとは、次のいずれかに該当する場合です。
(1)建築物等の敷地が市街化調整区域にない場合
(2)建築物等の敷地が開発許可を受けたことがある開発区域内地である
(3)建築物等が本条の許可を受ける必要のないものである場
(4)建築物等が既に許可を受けた内容に適合している場合
なお、1から5のいずれの場合も、「その計画」が開発許可
等を要する計画であって、開発許可等を受けるために必要な内容を備えている計画であっても、まだ許可を受けていない場合は、本条に適合しているとはいえません。

その解説・審査基準の中で許可を受けていても必要だと記載しているが、添付が必要かどうか建築確認を行なうものが判断すると記載している。

この都市計画法第60証明を確認申請時に添付するかどうかというのは、全国的にも二分されており東京都等では添付していない。