最新の知見に基づいたコロナ感染症対策を求める科学者の緊急声明

空気感染対策を求める科学者の緊急声明。


http://web.tohoku.ac.jp/hondou/stat/

対策が尽きてしまったと言うほどのことはなされていない。エアロゾル滞留濃度を下げることで感染抑止は可能なはずであり、少なくとも以下に挙げる2つ方向において対策の余地は大きい。

1)ウイルス対応マスクによる、口腔から空間に放出されるエアロゾルの量と、他者からのエアロゾル吸入の抑制。若者を中心に広く使われているポリウレタン製のマスクや布製のマスクは、直接下気道に吸い込まれ肺炎のリスクを高める粒子径5μm以下のエアロゾルの吸入阻止に無力である。

2)滞留するエアロゾルの機械換気による排出、エアロゾル濃度抑制
屋内で感染者から放出されたエアロゾルは長時間空間に滞留しうる。窓開けやドア開けが有用な換気方法だが、1時間に2回程度の短時間の窓やドアの開閉では必ずしも十分な換気は確保されない。

A)ウイルス対応マスク装着についての市民への速やかな周知と必要な制度的措置


B)熱交換換気装置や空気清浄機等の正しい選択と有効な活用についての行政の理解と市民一般への周知


C)最新の知見から有効と予想できる対策は、中立的組織による効果の検証を平行しつつ、公平性や安全性に配慮して実施する。

エアロゾルが主経路

新型コロナウイルスは、空気中を漂うエアロゾル(1ナノメートル=100万分の1ミリメートルから1マイクロメートル=1000万分の1ミリメートル程度の非常に小さな微粒子)を介した感染が主要な経路だという研究結果が台湾・米国・イスラエルの国際研究グループが米科学誌「サイエンス」(8/27付け)に発表した。

https://science.sciencemag.org/content/373/6558/eabd9149

新型コロナウイルスの感染は、何らかの表面に付着したウイルスの接触や、感染者が排出した大きな飛沫を吸い込んだためではなく、空気中を漂うエアロゾルを介した感染が最も可能性が高い伝搬経路であると結論づけている。

エアロゾルは飛沫より空気中に長くとどまり、非常に小さいため細い気管支や肺の奥まで移動して沈着することができるとあり、ウイルスは大きさが5マイクロメートル未満のエアロゾルに多く存在する言われています。

研究は換気の重要性を強調している

建築基準法施行令第20条の2第2号では、20m³/h・人
(成人男子が静かに座っている時のCO2排出量に基づいた必要換気量

空調・衛生工学会規格 HASS 102 1972では、30m³/h・人
(室内炭酸ガス許容濃度0.1%になるよう居室の必要換気量を算出)

厚生労働省では、ビル管理法における空気環境の調整に関する基準に適合していれば、必要換気量(一人あたり毎時30m³)を満たすことになると言っている。(厚生労働省:「換気の悪い密閉空間」を 改善するための換気の方法)

今後は、換気量が十分か否かの判断基準として「一人あたり毎時30m³」が最低限の目安となるかも知れない。

たかが網戸 されど網戸 -1 単位

網戸(防虫網)にはメッシュと呼ばれる単位がある。この単位は網戸の網目の細かさを表したもので「1インチ(25.4mm)の範囲に何個の網目があるか」を表す単位。

一般的には18メッシュから40メッシュのものが使用されることが多いが、18メッシュのほうが40メッシュよりも網目が大きい。

網目が細かいと、網目から侵入する害虫を防ぐ効果がある。網戸の網目は数mmの大きさだが、その間から侵入できる害虫が存在する。そして当然ながら網目が密な方が価格は高くなる。

18メッシュ 1.15mm
20メッシュ 1.03mm
24メッシュ 0.84mm
30メッシュ 0.67mm
40メッシュ 0.64mm

ステンレス網の場合は下記のようにサイズ指定される。

「メッシュ(Mesh)」金網の網目の数を表わす単位であり、1インチ(25.4mm)間にある網目の数をいう。通常金網はタテのメッシュを最初に表示し、ヨコを後に表示する。
「目開き(Opening)」網を構成している線と線の空間の長さを目開きという。目開き(mm)=25.4÷メッシュ-線径(mm)
「空間率(Open Area)」 網の空間の面積の割合をいいます。空間率(%)=(目開き)2÷(目開き+線径)2×100 

 色々な事務所の建築設計図 をみても、メッシュサイズや網の材種を指定して記載されたものは少ない。そういう自分もそういうことには無頓着だった時期はあった。

一般的に虫の大きさは、蚊 2mm~5mm、大きいハエ 7mm~8mm、小さいハエ 1mm、小さい蛾13mmぐらいなので18メッシュ程度でも構わないが、幼虫等は1mm以下のものも多く、その建物の置かれている環境にも配慮しなければならないようだ。

尚、我が家の網戸は18メッシュで、サッシュ屋さんに聞くところによると特に指定がない場合は18メッシュで納品するとの事。

自然換気システム

自然換気システムは、外部風や室内外の温度差によって、室内よりも冷涼な外気を取り入れて、室内で発生した熱を排除することにより、室温を調節するとともに冷房負荷を削減する伝統的な技術である。

自然換気システムの省エネ効果への期待は高い。

現行の非住宅建築物の省エネルギー基準では、自然換気システムは評価対象外だが、現在、評価・設計法の開発が進んでいるので、いずれ技術的に確立し省エネ評価対象となるだろう。

自然換気の方法としては「温度差換気」と「風力換気」の二つがあり、これらを併用することでより大きな効果を発揮する。

温度差換気は,暖められた空気が軽くなって上昇する原理を利用するもので,「煙突効果」とも呼ばれている。主に階段室やアトリウム,吹抜けなど上下の連続した空間を活用する。

風力換気は,室内の異なった面の二つの窓を開放して行う換気と考えれば分かりやすい。季節風など一定方向の風を期待できる場合は風向に応じた「風の道」を設定し積極的に外気を取り入れるような建築計画にする。

写真はオイレスECO(株) : 定風量型自然換気装置「エコレーターER-f」

一定量以下の時はフラップが開放状態を保ち、外気を取り込みます。一定量以上の風が流入した際には、フラップが閉鎖方向に回転し、室内に取り込む外気の量を調整する。

突風や強風が吹き込んだ時は、風の圧力でフラップが閉鎖側に動きます。強風や雨の吹き込みが少ないので、閉め忘れた際にも安心です。ナイトパージ(夜間冷房)にも適している。

完全閉鎖を必要とする場合は、モーターの駆動力により、フラップを強制閉鎖することができる。

先進的な建物は、自然換気システムが積極的に採用されている。

「台湾旅人地図帳」片倉佳史・片倉真理著

何時になったら台湾に行けるようになるのだろう。

五度にわたる緊急事態宣言にうんざり気味

ある占い師によると日本の運勢は、しばらく凶だとか

今宵も地図を見ながら異空間に誘われる

この本は、通常のガイドブックとはちょっと異なる

厳選された台湾の魅力的な街、地方都市や田舎町が紹介されている。

普通のガイドブックには取り上げられないような建造物や歴史的遺構、

日台の結びつき、交流の現場等が地図の上に落とし込まれている。

著者は「台湾体験」と言う言葉を用いる

「台湾という土地に触れると、自分の中に新しい何が見つかり、新しい自分に出会い、そして新しい感性が呼び起こされる。台湾はそんな力を秘めた土地である」

京和傘 日吉屋

京和傘・日吉屋さんは京都市上京区、宝鏡寺前にある江戸時代後期から続いている伝統ある京和傘のお店です。和傘産業は衰退し、京和傘の店として唯一残っていると聞きました。

日吉屋さんが照明に取り組み始めたのが、2005年とか。和傘で培った技術を照明という異分野の分野に転用することで、伝統に新たな息吹を吹き込んでいます。

社長の西堀さんは、奥さんの実家である日吉屋を継いで5代目となるまでは、地方公務員だったとか、異業種の視点がイノベーションを生むのかもしれません。もっとも事業を継承した時 年間の売上が160万円だったと言いますから、恐らく廃業寸前の状態だったのでしょう。

今や海外にも市場を広げ、メディアにも取り上げられ、随分と有名になりました。

とっても良い雰囲気を醸し出してくれる照明器具です。やっぱり日本は「ものづくり」で世界と勝負しないといけないのだと思います。

https://www.wagasa.com/cp_jp/

尚、日吉屋さんは欧州を中心に世界各地の約5000工房が参加する世界最大の匠が集うポータルサイト「マイスターストラーセ / Meisterstrasse」ジャパンの総代理店となっています。

https://ms-je.com/

「白蛇・縁起」

妻に誘われて「白蛇・縁起」を観てきました。たてつづけに映画観てますね。

本来なら爺婆割引、夫婦割引で格安ですからコロナ禍でなければもっと映画館に通っています。普通の生活を奪ったのは「コロナ」? 。いやいや、もはや「人災」といった方が良いかもしれません。

映画、とても良かったですね。時間と空間のスケール感がさすが中国映画。それにワーナーのテクノロジーがプラスされて映画の中に引き込まれてしまいます。たまには他の人の好きなジャンルも覗いてみるものです。

映画の観客は9割以上が若い女性。泣いてる子もちらほら。

エンディングで流れたSnow Manの「縁 -YUÁN-」はとても優しく感じられて、この美しい映画に華を添えていました。

続編もあるようなので、楽しみです。

「パンケーキを毒見する」

久しぶりに映画館に行きました。1年半ぶりでしょうか。

以前より映画館内部の換気量が相当増えたように思えました。それに、ソーシャルディスタンスですし、思っていた以上に安心して映画を見ることができました。

やっぱり映画は映画館で見るのが一番です。NETFLEXとイヤホンには疲れていたので

映画は、菅総理をシニカルに切り取った政治ドキュメンタリーですが、アニメも多く挿入されていて内山監督曰く「政治バラエティ映画」に仕上がり、堅苦しくないドキュメンタリーになっていると思います。

7月30日に封切りした途端「パンケーキを毒見する」公式Twitterが一時凍結されたぐらいで、何時コロナにかこつけて上映禁止になるか予断を許さないと制作陣が言っていたので、早めに見に行きました。

ポンコツ政権のもと無駄死にしないようにしましょう。

再循環空調

3711人の乗員乗客のうち、2割にあたる712人の感染が確認された大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス(DP)号の事は記憶に新しい。そのDP号の客室(キャビン)への給気の70%が別の客室などから排出された空気を循環させたものだった。公室・階段室は50%。医療室・調理室(ギャレー)は100%で設計したと書かれている。

2008年3月 日本船舶海洋工学会誌、「大型客船の空調システム設計・
Princess Cruises」三菱グランドシリーズ実施例という論文によると、

通常の客船では、新鮮空気量100%を設計条件すことが多いが、メガ客船では「省エネ対策」として新鮮空気を一部取り入れて還気させることが一般的だと記されている。「省エネ対策」とは名目で外気と比べ温湿度差が少ない客室同士の空気を還流させれば、電気代等コストや工事コストも抑えられるためだろう事は推察できる。

このコロナ禍において「換気」「空気」について勉強して色々と再認識することが出来た。今後の建築には、省エネだけでなく衛生的な換気という新たな要素を加わる必要がある。

日本は熱交換器による全(100%)外気換気が遅れている。常に再循環するようなことは決して推奨されるべきではない。空気感染制御を前提とした再循環回路がない空気調和機 AHUの開発が必要だ。

「軍艦防波堤へ・駆逐艦涼月と僕の昭和20年4月」澤章著

戦艦大和の最期は、映画もあるし出版物も多いので結構知っていたが、大和とともに出撃した駆逐艦の戦闘状況は知らなった。

この本の駆逐艦涼月(すずつき)は、戦艦大和とともに沖縄方面に出撃した軽巡洋艦1隻と駆逐艦8隻の中の1隻。そのうち帰還したのは冬月、涼月、雪風、初霜の4隻のみ。

涼月は、大破、艦首 – 前部主砲付近に直撃弾を受け大火災となり、後進で佐世保に帰還

その時の艦長・平山敏夫中佐が澤さんの曽祖父にあたるという。

澤さんが小学校6年生の時に父親と北九州の軍艦防波堤(正式名称:響灘沈艦護岸)を訪れた思い出から、戦闘中の駆逐艦涼月にタイムスリップし、戦闘状況を記している。

大和とともに出撃した艦についても知らなかったし、軍艦防波堤も知らなった。

涼月(すずつき)

「さわやかに澄みきった秋の月」美しいが物悲しい名

8月は、鎮魂の月。

引き継いでいかなければならない。

「建築断熱リノベーション」柿沼整三編著

世の中には、木造・鉄骨造・RC造・混構造といった多種多様な構造の建物があり、又共同住宅や一戸建てなどの形式も多様。実際既存建物の下見や調査に行くと、事前に目視できる範囲も限定され、尚且つ図面どうりににはなっていない事も多い。全ての現場が個別解を求めており、省エネ関係の教科書どおりにはいかない時も多い。

この本は2部構成となっていて、1部では断熱の基礎知識の解説。2部は実践編でRC集合住宅の「内断熱」、木造戸建ての「ゾーニング断熱」、RC戸建ての「外断熱」という三つの既存建築の断熱改修の事例を紹介している。

とにかく図面や施工手順の写真が豊富でわかりやすく、断熱リノベに対する思考プロセスや現場の施工手順には多くのヒントが詰まっている。

既存建築物の潜在力(ポテンシャル)をどう評価し、活用の道筋を描くか。省エネ・断熱だけに限らず、まだまだ課題は多い。

2025年から新築住宅と延べ面積300㎡未満の非住宅も省エネ基準適合化するというスケジュールが7/20発表され、省エネ・断熱等の建築の性能とデザインの双立は避けられなくなっている。

シュリンクフレーション

最近、以前と比較して容量・数量が減少している商品が目につく。

「あれ、前より少し量が減ったような気がする」パッケージはそのままなのに内容量を見ると明らかに減っている。そんなことが続いて調べてみたら「シュリンクフレーション(shrinkflation)」という「小売りされる商品の価格は変わらないまま内容量がシュリンク(収縮)していく」経済現象だそうです。

シュリンク(縮小する)と継続的な物価上昇を指すインフレを合わせた造語だとのこと。

昨今、あらゆる商品が増税や製造コスト、企業努力等の要因により減少させているようです。

どうりで妻が最近「たいした買ったように思わないのに金額がかかってびっくりした」と言うはずです。

「減量はこっそり値上げと同じ」

建築界にもシュリンクフレーションはあります。

とある分譲マンションの図面を見ていたら住戸の平面詳細図(縮尺1/50)はありましたが、展開図が無いので聞いたら。「今は書かない」とか。担当した設計事務所というより設計監理料を抑えるためにデベロッパーが認めていたようです。

別な案件、基本設計が出来上がったと言うので見せてもらったら外部仕上表も内部仕上表も無いのです。「なんで仕上表ないの」と聞いたら「仕上げは実施設計で」と言うのです。
これは「オーダーメードの洋服を作る時に採寸だけで終わっていると言う事で、生地の種類や裏地程度は決めないと概算工事費の算出ができないじゃないですか」と聞くと「もによもにょ」

当然ながら基本設計完了時に提出すると設計監理契約書に記載ある概算工事見積書は未提出。

設計事務所は国交省告示に基づき契約しているので「成果図書」が不足。基本設計の内容も稚拙。報酬は立派。

あ~ぁ

「ZEBのデザインメソッド」空気調和・衛生工学会編

ZEB(ゼブ) ネット・ゼロ・エネルギービル

「先進的な建築設計によるエネルギー負荷の抑制やパッシブ技術の採用による自然エネルギーの積極的な活用、高効率な設備システムの導入等により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現した上で再生可能エネルギーを導入することにより、エネルギー自立度を極力高め、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物」

2019年に公益社団法人 空気調和・衛生工学会編で技法堂出版から出されたZEBの基本的な解説書。

以前は、大規模な建物、先進的なプロジェクトの話と思っていたら、中小規模の建物でもZEBが話題になってきた。そこで再学習のつもりで基本を確認。

御存知のようにZEBには4つの評価基準があるが、投資対効果を考えたら無理せず Nealy ZEBあたりを目標にした方が良いのかなと思ったりしている。

オフイスビルにせよ、全ての建築物に言えることだが、「雨風を凌ぐ」「単なる箱」から「性能とデザイン」の両立が求められる時代を迎えているのだと思う。