セットメーカーとデバイスメーカー

コンピューター業界に例えれば、PCを製造販売しているDELLやAppleはセットメーカーで、PCを作るのに必要な部品を供給しているインテルやサムソン、ハードディスク、マウス、プリンター等の周辺機器メーカーはデバイスメーカーになると言われています。
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ただし、TV業界の松下電器の場合、TVセットを製造販売している点ではセットメーカですが、TVセットに必要なキーデバイスを提供する部品メーカでもあります。このように水平分業体制がきちんと構築されている業界以外は、セットメーカーであり部品メーカーでもある場合が多いの実状です。
完成品を作るメーカーは「アセンブリーメーカー」とも呼ばれます。アセンブリーメーカー以外は「デバイスメーカー」というとも言われています。
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建築業界の建築設計事務所もセットメーカーとデバイスメーカーに分かれます。
一般的な建物の場合、意匠事務所がセットメーカーであり、構造・設備・電気等の専門事務所がデバイスメーカーで、最近では省エネ・CASBEE・避難安全検証法・耐火安全検証法等の専門コンサルタントもあり、各専門事務所も多岐に渡るようになりました。
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また意匠事務所でも他社の実施設計を請け負う事務所もあります。
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最近、知人との話題で良く話がでるのは、建築プロジェクトに係る事務量の増大です。それだけ建築プロジェクトに係る法令の増大、許認可が増えています。所員は増やせないし労働時間もこれ以上増加させれない(現状でも充分、労基違反)。おのずと外注依存度が高くなる。利益が出ない。そうした経営者の悩みを多く聞きます。
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またセットメーカー的建築設計事務所の力量の低下を指摘する向きもあります。事務所の世代構成上、中堅どころが少ない事務所は悩みが尽きないようです。
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大手組織事務所は、デザインビルドに舵を切り始めたところも出てきました。
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先行きを心配する人も増えてきました。日本の人工の減少、経済の縮小、オリンピック需要の終焉と消費税の値上げが重なる2019年以降の不安。
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これから建築業界は、どうなっていくのでしょうかね。
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弊社は、各種ソリューション・法令・環境等のデバイスメーカーですが、最近は増改築・用途変更の実施設計・監理まで一貫して依頼されるケースが増えてきたので
デバイスメーカーでありながらセットメーカーでもあるかも知れません。
これからも「隙間」を探していくしかないのでしょうか。