港区内の延12,000㎡の事務所ビル。1フロア1,500㎡で機械排煙設備(天井チャンバー方式)が設けられていたが、テナント区画発生(天井裏まで間仕切壁)により法不適合箇所が生じるビルを階避難検証法により機械排煙設備、防煙垂れ壁を緩和する改修設計が2024年6月から始まり、現場調査、テナント図の作成、検証法の計算を経て2024年11月末に日本建築センターから「改修計画の法適合性審査報告書(意匠)」が交付された。
今回、改修計画の第三者機関による設計と工事後の現場検査により適合性を審査してもらったのは、この建物がリート案件(不動産投資)だったからだった。今後も所有者は変遷していく可能性があったので、弊社からクライアントの信託銀行・リート投資法人に提案したものだった。
設計の結果、一部鋼製不燃扉を防火2号(遮煙)に改修する工事が必要になり、2024年12月から2025年4月までは、建具施工図の確認、試し施工で実際の使い勝手と工事時間を確認した。そのうえで一部改良を加えて建具施工図の承認。テナントとの工事日の調整を行った。実際の工事は2025年4月連休開始とともに始まり、作業は土日限定で行われ6月上旬には工事は完了したので実質工事期間は2か月だった。当然ながら工事監理も土日に現場に足を運ぶこととなった。このトライアル施工で不具合を確認して進めたのは、その後の工事の出戻りがなく、とても良かったと思う。
日本建築センターに施工後の現場検査をしてもらい6月末に「改修計画の法適合性審査報告書(意匠)」(計画変更に伴う追加審査)及び(現地の法適合性調査)が交付された。
ビルの所有者・管理者が変わるという事で「館内細則」「貸方基準書」、テナント向けに「避難検証法取扱い書」も業務に含まれていたので弊社で作成したが、新ビル管理者からの質疑がさみだれ式に続き、7月は落ち着かなかった。
「避難検証法取扱い書」は、避難検証法の一般的な注意事項を記載し、テナントが内部計画図(内部間仕切り図)を作成する際に、計画図に記載する事項を書き、計画図段階で避難検証専門事務所(弊社)の確認を経る手順とした。
ともかく1年近くのプロジェクトは無事完了した。