省エネ適判が始まって・・

省エネ適判・非住宅2000㎡以上が2017年4月1日より始まり二カ月半あまり経ちました。この間二つの審査機関から計3件の省エネ適合通知を貰いました。内、標準入力法2件、モデル建物法1件でした。

他にも省エネの届け出は、数多く提出していますが、届出とは異なる適判ならではの問題があります。

とりあえずの感想としては「省エネ適判の実務者は大変だぁ~」でした。

恐らく省エネ計算をする担当者、審査者も同じような感想を持っているのではないかという想像しています。

まず第一に省エネ適合となると意匠・設備関係の変更・修正の影響を確認済証交付の最後まで、まともに受けます。これは構造適判とは異なるところです。

意匠図と設備図との整合、開口部の変更、面積の修正や変更、消防からの指摘事項に伴うもの(消防法の無窓階判定により開口部が変更になったりとか)、建築確認申請が本受付になり、消防同意送付をしている短い期間で補正をして省エネ適合通知を貰っておかないと建築確認済証は交付されないからです。

大概のプロジェクトは確認済証交付日の厳守は絶対ですから、実務者は翻弄されます。

出す側も審査する側も初めてなので、これから試行錯誤しないといけないかと思いますが、幾つか改善点があると思います。

1、意匠設計者や設備設計者の図面等の記載事項・記載方法の改善

  • 断熱仕様等の名称・厚み・(密度)等は正確に記載する
  • 平面図に室面積・天井高を記載してもらう
  • 幾つもの図面に同じことを記載しない。不整合を生じる要因
  • 設備関係の機器の仕様は、新しいカタログから引用する。時々廃番あり
  • とにかく設計者は、意匠図や設備図等との整合は自分でやってほしい。
  • その他多数あり

2、審査機関は、なんでもかんでも計算根拠・図の提出を求めない

例えば

  • 換気扇の定格出力は、消費電力(KW)×電動機効率(0.75)×1/1000=定格出力(w)で電卓をチョコチョコと叩き入力シートに記載するが 、計算根拠の提出を求められた
  • 給湯機器の定格加熱能力と熱源効率の計算根拠を求められた。ガス給湯器の32号の場合、定格加熱能力は 32号×1.74=55.68KW、定格消費電力が0.075KW、定格燃料消費量(表示ガス消費量) LPG 58.7とした場合。熱源効率は、定格加熱能力/定格消費電力×9760/3600+定格燃料消費量で求めるのだが、これも今までは電卓をチョコチョコ叩いて入力していた。
  • とにかく第三者が審査するとなると、とかく数値の根拠を求められますが簡単な計算のものは根拠を求めないでほしい。

3、審査機関は自分でWEBPRO等のプログラムを使ってみて欲しい

  • 省エネの室用途は、建築基準法の室用途とは異なります。換気があっても換気計算対象室になっていない室用途はエラーが出るので別の室用途にしなければなりません。現実の建物は多様なのです。自ら入力シートを作成しプログラムで計算して経験の上で指摘して欲しいものです。

4、省エネ適判の時代に備えて、特に意匠設計者の頭を切り替えて欲しい。

全建物省エネ適判の時期は迫ってきています。設計のスケジュール管理や図面の記載方法、省エネサポーター等の外注任せでは これからはいけないと思いますよ。

他にも書きたいことはありますが、この程度でやめておきます。

深夜? 、早朝5時に毒を吐いてしまいました。

「伝統民家の生態学」

学生時代に伝統民家について学んでいた時、伝統民家の秀でた温熱環境について感覚的・情緒的に語るものはあったが、科学的に調査し考察をした研究は少なかったように記憶しています。

そうした中で花岡利昌氏の研究は刺激的でした。

1991年に初版が発行されたこの本は、各地の伝統民家についての調査と研究の集積であり、伝統民家の形態に地域性をもたらしているのがその風土、すなわち気候や地形などの自然条件であることを物語っています。

今、省エネや環境建築が業務の中心になってきて、改めて伝統民家について生態学的アプローチをされている研究文献を再読しているところです。

【伝統民家の生態学・目次】

第一章 伝統民家と風土
第二章 住居気候とその測定方法
住居気候/住居気候測定における問題点/測定法/測定結果の処理
第三章 加賀白山麓の大壁造り民家
白峰村の大壁造りの構造/白峰村の自然環境/大壁造り民家の住居
気候/(附記1)大和高原の真壁造り民家
第四章 飛騨白川村の合唱造り
合唱造り民家の構造と分布/合唱造りの住居気候
第五章 庵美の分棟民家
分棟民家の構造/庵美の気候風土/分棟民家の住居気候
第六章 庵美の高倉
庵美大島の高倉/庵美式高倉の構造/高倉の屋内気候
/改造高倉の室内気候
第七章 大隅の二棟造り民家
二棟造り民家/二棟造り民家の構造/二棟造り民家の住居気候
と瓦葺き住宅との比較
第八章 沖縄先島(石垣)の民家
石垣の風土と伝統民家/先島の宮良殿内と分棟民家/先島民家住
の居気候
第九章 四国の竹床(簀掻床)民家
竹床民家/竹床民家の構造/竹床民家の室内気流
第十章 岐阜高山の吹き抜け民家
吹き抜け民家の構造/吹き抜け民家の室内気候
第十一章 出雲の屋敷防風林
築地松/自然環境と対象民家/築地松の効果
第十二章 山形の土座民家
山形の土座/自然条件と対象民家/土座の室内気候
第十三章 新潟の土座民家
新潟の風土と土座/土座の構造/土座の温熱環境
第十四章 近江伊香の土座民家
伊香型の土座民家/伊香型民家の構造/土座の温熱状況
第十五章 アイヌの伝統民家「チセ」
アイヌの冬の住生活/チセの種類と構造/住居気候の測定内容
/チセの住居気候/冬季のチセの防寒性能とそのメカニズム/
(附記2)秋田横手のカマクラ/(附記3)雪の断熱性を利用した
上越のアイディア住宅
第十六章 山梨のオンドル民家
オンドル室の構造/測定方法/測定結果
第十七章 韓国の伝統民家におけるオンドル
韓国のオンドル事情/在来式オンドルの測定/セマウル温水ボイラー
オンドルの測定

文月

今日から七月・文月

あっという間に、今年も半年が過ぎてしまいました

歳を重ねると

坂から滑り落ちるように時間が過ぎていくと申しますが

仕事に追われていると、余計スピードを実感します

梅雨がうっとうしい季節になりましたが

もう少し身体いたわりながら

出来るだけ長く仕事を続けていこうと思っています

【写真は、近江市八日市・招福楼本店】

クラブハリエ・日牟禮カフェ -3

キッシュが美味しかつたです

ケーキは色々種類があって目移りするぐらい

旧忠田邸を改装しカフェにしたと書かれています

店内から眺める庭

近江八幡、昔ヴォーリス 今たねや

というくらい「たねや」グループの建物が目立ちます

近江八幡の水郷

近江八幡和船観光協同組合の乗場

手漕ぎの和船

葦が勢いよく伸びていました

「近江八幡の水郷」

は重要文化的景観選定第1号に選ばれています

鴨×2

天気に恵まれたせいもあるでしょうが、

船で揺られていると とてもゆったりとした気持ちになりました。

これが「1/fゆらぎ」かな

桜の開花時期が良いと船頭さんは言っていましたが、

葦の勢いがある この6月上旬の時期も

生命の息吹を感じて良いですね

時代劇・剣客商売のロケ地としても有名です

 

ALBERTO GIACOMETI 展

彫刻好きのパートナーに誘われて国立新美術館で開催されているジャコメツティ展に行ってきました。日曜日でしたが雨のせいか空いていました。ジャコメッテイ没後半世紀を経た大回顧展です。

写真撮影ができる幾つかの野外彫刻

虚飾を排したスレンダーな人物像

絵画やデッサンも多く展示されていましたが、さすがに上手でした。ジャコメッテイの作品というと人物像が有名ですが、数少ない動物像である「犬」が展示されていました。何だかやせ細った野犬のようでしたが、見れて良かったです。

ジャコメッテイ展

八幡堀

八幡堀

八幡堀は天正13年(1585年)に豊臣秀次(秀吉の甥)が八幡山に城を築き開町したことに始まるそうです。秀次は、八幡堀と琵琶湖とを繋ぎ、湖上を往来する船を城下内に寄港させることで、人、物、情報を集め、さらに楽市楽座制を実施することで城下を大いに活気づけたと書かれています。

八幡堀は交通路や生活の場として長く機能してきましたが、生活形態が変わりだした昭和30年代もなると、忘れ去られた存在となり、草が生い茂りハエや蚊が発生しゴミが不法投棄されるなど公害源となったそうです。

一時は、埋め立てしまう計画があったそうですが、地元から反対運動が起き浚渫と復元により現在の状態になったとあります。

今は映画やドラマのロケ地としても活用されています。

かわらミュージアムの一画

今、八幡堀は近江八幡の貴重な観光資源となっていますが、先人達の環境を守る運動のおかげです。西日本でも江戸時代からの風情を残す数少ない場所となっています。

調査なくして設計なし

昨日は、京都府京田辺市に日帰り出張

先週に引き続きの出張で腰が痛い・・・

町所管建物のコンバージョンにあたり京都府・町・設計事務所・私と打合せとなった。検査済み証の無い建物という触れ込みで彼此一か月前から相談に乗ったりあれこれと調べたりしていたが、町が建築確認の工事完了検査済証が無い建物と言っていたのですっかり信用し、それが大前提となって調査・手続き・見積りと進んでいた。

何しろ遠方なので行政から取得する「建築確認記載台帳証明」は、自分では取得に動きずらく、強く言って町に動いてもらえば良かったのだが、すっかり町の情報を信じてしまった。

この日土木事務所での打合せを終わり、町が「建築確認記載台帳」を閲覧したことがないと言うので、府に特別に閲覧させてもらうと、推定していた年のそれらしいものを発見。概要書を見せてもらうとビンゴ。おまけに工事完了検査済証も発行されていた。

多額の詳細調査が必要なくなり万々歳。

弊社の仕事は減ったが、無駄な税金が使われなくて良かった。

それにしても行政の言う事だからとすっかり信用してしまっていた。相談された時点で「建築確認記載台帳証明」を取得してもらうようにもっと強く依頼しておけばよかったと反省。

「調査なくして設計なし」

建築設計の道を歩み始めた頃 先輩に言われたこの言葉を思い返した。

ラ コリーナ近江八幡 -10

オフィス棟展望室を見上げる

草屋根の端部

カステラショップ

このショップの内装は、栗の木がモチーフとなっています。日本人と栗とは縄文時代より関わりがあったようで、青森の三内丸山遺跡からはたくさんの栗の柱と大粒の栗が出土しています。また三内丸山遺跡では、栗の巨木を柱に使った建造物があり、遺跡の周辺の森は大半が栗の林でしかも縄文人が肥料を与え計画的に植林をしていたのではないかとも推測されており栗とともに栄えた定住型都市型社会だったと言われています。