インバウンドは増え続けるのだろうか

2015年のインバウンド(訪日外客数)が過去最高の1973万人を超えたという日本政府観光局(JNTO)の発表があった。

東京の街には外国人(アジア系)が溢れ、ホテル建設ラッシュが続いている。とりわけ品川周辺のホテル用地の価格が高騰しているらしい。さらに規制緩和で「民泊」が話題に上がっている。

JNTOの資料を見ると2015年の年計では、中国・韓国・台湾・香港の東アジアからが72%。東南アジア+インドからが11%で全体の83%がアジア系の観光客のようだ。

元々、池袋はリトルチャイナタウン(北池袋)があるぐらいだから中国人は多いのだが、それに加えて日本語学校が増えているらしく街を歩いていても聞いたこともない言語が飛び交っている。

昨年年末まで業務が押しており、年明けてそれらの修正・補足に追われていた。そうはいっても年賀状も年末に間に合わせて、毎年恒例のTAF通信(PDF)も発行できた。そして2016年の事業計画書を作成して社内協議をした。もっとも二人だけ・(笑)

近頃、ようやく時間があいてきたので色々なことを考える。

その中で考えたのが、これからの日本社会・経済の動向。

インバウンドが増えたのは2015年の円安、原油安=燃油サーチャージの値下げによる航空運賃の低下、ビザの大幅緩和等々に起因している。

さて、これからどうなっていくのだろうかと思うと2016年は円高になりそうだし、右肩あがりでインバウンドは増加していくだろうか。

今はやりの「民泊」という怪しいビジネスモデルに手を出して資金回収を図るころには、東アジアの観光客が大幅減ということにならないとも限らない。

消費税10%になると、また国内消費者の需要は低下するのだろう。一定の駆け込み需要の後は反動があるし、死んだ親父が東京オリンピック(私は小学生)の後の数年は不景気だったと言っていたのを思い出すと202×年まで・・・

そんなことを考えると暗澹とした気持ちになる。

以前買って読み半端な「下流老人」という本を読んだ時のような気分。

「求道学舎再生・集合住宅に甦った武田五一の大正建築」

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2008年日本建築学会賞(業績)を受賞した「求道学舎」の再生の全貌を設計者であり施主であり住人である著書がその全貌を綴っている。

東大正門にほど近い本郷の住宅地にあるこの建物は、大正15年(1926年)に学生寮として建てられた。

求道学舎の建物を生かしつつ、62年間の定期借地権付き分譲マンションとして再生された。元はワンルームだった部屋を複数連結し、小家族向けの住戸に改造している。

こんにちでは文化財ではない戦前の建物の多くは解体されているが、この求道学舎は戦前の建物として改修・再生事例として取り上げられることが多い。求道学舎は耐震診断時のコンクリート圧縮強度は公表されていないが、「コンクリート強度は戦前のものとは思えないほど良かった」とこの本でも書かれている。

この建物は耐震性能を確保するために、コンクリートの打増しや外壁仕上げ下地にポリマーセメントモルタルの吹付け等の工事を行っており2009年の改修・再生時に約100万円/坪の工事費がかかっている。(延べ床面積768.1㎡=232坪、概算改修・再生工事費 約2.3億円として~公表資料による。)

求道学舎は、リノベーションと言ってもほぼ新築するのと変わらない工事費がかかっているので、経済合理性を第一番に考慮する民間における一般的なリノベーションとして適用するのは比較しづらい。

恐らく収益性の高い分譲マンションというビジネスモデルだったから成立したのではないだろうか。

以前、この建物の外部だけ見させてもらった事があるが、都心とは思えない静かな住宅地に大正・昭和の雰囲気をかもしだしていた。

内覧

日曜日、中古一戸建て住宅の内覧に付き合った。

業務の一貫ではなく、ボランティアのようなもの。

ネット検索等で絞り込んで、これぞという物件の内覧であり、かつ探し始めて最初の内覧だった。

私には、物件の住所の丁目までと建物の外観・間取りがわかるとネット上で事前に位置を特定(住所・地番)することができるという得意技があって、この日も的中していた。

物件は築15年の中古一戸建て住宅だったが、建物の状態が良かった。恐らく小さい子供が住んではいなかったからではないかと思う。

内外装、設備機器に大きな問題箇所はなかった。

居住中の物件だったので隅々まで見るのは遠慮したが、家具類が片付けられ、ハウスクリーニングをかけたら見違えるようになるだろうということでは内覧参加者の意見が一致した。

今回の建物は、建築確認申請の許可書は添付されていたが完了検査済証はなかった。建蔽率・容積率の違反はないので銀行融資は問題ないだろうが、完了検査済証が無くても不動産の商品として瑕疵にはならないというところに、日本の不動産商品のコンプライアンスの不十分さがある。

周辺環境で道路の幅員がもたらす空間のゆったりさは、とても大事だと思った。細街路の地域に比べると全然違う。住宅街のせいか日曜の日中でも人が歩いておらず車もほとんど走っておらず静か。

私の住んでいる木密地域は、細街路だし電車の音はうるさいし、日当たり悪いし住環境としては散々なのだが、交通利便性の良さと見知らぬ人が立ち止まったりしていると近所の人が監視していてくれて防犯上はとても安心していられる。

今回出てきた問題は、小学校・中学校の学区の問題。若いお母さんは、色々と学校の評判を調べてきたりしていて とても教育熱心。学校への距離は、1km以内なら問題ないのだが「質」が問題とのこと。

小中学校の有名校への進学率とか勉強熱心な地域は、住宅不動産の価格は高いらしい。そういえば豊島区と文京区の区界周辺に住んでいるのだが、文京区の住所だと不動産の価格が変わると聞いたことがあった。

中々 勉強になるわい。

依頼者には、不動産屋はあれこれ浮気しないで、第一印象でここぞと思ったらそこに探してもらうと良いでしょうとアドバイスしていたが、応対してくれた若い営業担当者の説明には、好感を持てたようで以後の物件探しをこの営業担当者を通じて行うことにした。他社の扱い物件でも気に入ったものがあれば連絡することにした。

窓口になってくれた営業担当者の第一印象はやっぱり大事だなぁ~。

帯びに短し 襷に長し

常々「中古住宅を購入しリフォーム・リノベーションしたら」と吹聴していたからか、年末に中古一戸建て住宅の物件探しに関わつた。

建築を生業としながらも住宅には ほとんど関わりがなく工務店とか不動産屋さんを知らないので ほぼネット検索に頼った。

依頼者からリストアップされてきた物件について意見をつけて返し、自分でもネットで検索し良さげな物件をリストアップしたり、仲介業者に電話をしたりしてみた。

依頼者からの要望は、二世代住宅で5LDK程度、駐車場は1台で出来ればビルトインタイプでない方が望ましい等。通勤の関係で探すエリアは概ね決まっていて、依頼者からの注文を整理して文書にして探した。

まずは、新築一戸建て住宅を探した。

基本的には建売住宅の売れ残りなのだろうか、規模は4LDK程度だが予算と最寄り駅からの距離など諸条件に合致するものは沢山あった。

両親に二部屋(在宅の仕事部屋が必要)、兄弟が来た時の部屋とか要望を入れると5LDK以上の物件は、新築一戸建て・建売では商品がない。さりとて注文住宅をと土地を探してみると更地の場合は、ほとんど建築条件付きとなり不動産屋に毛の生えた程度の住宅会社に頼むのは不安だと言う。

ということで1部屋減らせば諸条件に合致するというのがわかった。

そこで 中古住宅一戸建てを探してみた。

それこそ標題のように「帯に短し襷に長し」なのだ。

  1. 路地状敷地で路地幅員が2mで路地部分の距離が長く実質的に車を駐車するのは困難。車が駐車していると人も通れない→ゆえに安い
  2. 北側道路で採光悪そう。部屋の名称がやたら納戸になつている
  3. 容積率・建ぺい率オーバー(ようするに違反建築)で都市銀行の融資は困難。信販系でも6割程度しか融資されず自己資金がかなり必要。検査済み証がなくても良いが容積率・建ぺい率違反物件は融資が難しいらしい。一戸建て住宅には建築確認申請時の図面とは全く異なる建物が建築されているものがある。
  4. 接道されていなく再建築不可
  5. 昔の家だから駐車場がない。
  6. 最寄り駅から遠すぎ。

中古一戸建て住宅を商品としてみたとき欠陥もあり、建物が単に古くなったものとだけでは言いきれない色々な問題を内包している。ストック活用といいながらも空き家になつてしまうのがわかるような気がする。

 

2015年を振り返って

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【写真は、1歳2ヶ月になった初孫の初めての靴】

2015年もまもなく終わります。

今年を振り返ると、業務を通じて戦前の法律である市街地建築物法やその成立過程について詳しく勉強する機会がありました。そうしたことが刺激になり近世から建築基準法成立までの「日本建築法制史」が整理できてきました。また建築ストック活用・再生・リノベーションというような業務からイノベーションの領域に足を踏み入れた一年でもありました。

私事ではありますが、昨年の暮れに長女夫妻に子どもが生まれ、また今年初夏には長男夫妻に子どもが生まれました。たてつづけに二人の女の子の孫がいる爺ちゃん・婆ちゃんになってしまいました。

爺は、孫の誕生によって全体的には後ろ向きだつた物事に対する意識・姿勢が前向きに変わりつつあること。子どもたちの頃には、無関心に近かった食の安全、保育、子どもを巡る社会環境等に俄然関心を持つようになりました。

「生きがいは?」と聞かれたら「孫」と躊躇なく断言する爺・婆です。

そんな二人が運営する事務所ですが、2016年以降は異なる領域のコラボレーション「建築×食・栄養」によってイノベーション業務に関わっていければと考えております。

来年度も引き続きブログを中心に書き続けていきますが、幾つかの領域に関するコンテンツを結合したものに再編成したいと考えています。

今年の更新はこれで終了とさせていただきます。

今年1年間のご愛読に感謝いたします。ありがとうございました。

来年も引き続きご愛読のほど、お願い申し上げます。

来るべき新たな年が、皆様にとって良い年でありますように。

渡海

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門司港から渡海して下関・唐戸港に行った。一度は下関側から門司港の街並みを見ておきたかった。

写真は、唐戸港から門司港を映す。

以前から下関側に来てみたかったが、フェリーに乗っていた時間は5分ぐらいで、あっという間に渡海した。

海は穏やかだったし、距離も短かいし、古代から本州と九州の往来は頻繁だったろうと予想できる。

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カモンワーフという飲食店が集まる施設。

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唐戸市場と関門橋

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唐戸港フェリー乗り場から唐戸市場へ

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唐戸市場は、年末休業に入っていた。

フェリーは大人往復800円、乗船客は数名だった。

出張

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クリスマスイブに北九州に出張だった。

打ち合わせの時間が午前中だったので羽田からスターフライヤーで北九州飛行場へ。ほぼ満席だった。

スターフライヤーは、7年連続顧客満足度1位とか。椅子は革張りだし国内線としてはいい感じ。

飛行機は嫌い(怖い)なので、北九州への行き来は、ほとんど新幹線を利用しているのだが、今回は前泊する時間的余裕がなかったので飛行機を利用。

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小倉駅までのノンストップバスを待つ。

雨が上がり、暑かった。

「建築」は魅力がなくなったのか

毎年末の一級建築士の合格発表を見ていたら、今年の一級建築士の実受験者数は2万5千人あまりだったようだ。昔は毎年5万人ぐらい受験していたものと記憶していた。どうも2005年頃から低下し始めて、ここ10年程で半減したようだ。

国内の名目建設費は1992年の92兆円をピークに20年間下がり続け凡そ半減したあと、2010年・2011年頃を底に上昇に転じている。しかし2013年の東日本震災復興と2020年の東京オリンピックで一定の上昇はするだろうが、その後の未来はよく見えない。

一級建築士の受験資格があるのは大学の建築系学部を卒業して実務2年だから、年齢にして24・25歳というところだろうか。今の受験世代は、国内建設投資が下降してきた時代に育った世代で、建設業界では失われた20年とも言っているが、建設業の倒産、リストラ、他業界への転出に見舞われた時代だった。

私が一級建築士に合格したのは1982年。学生時代に見えていたのは建設業の輝ける姿だった。その象徴はゼネコンだったし、組織設計事務所だった。

今年11月、鴻池組が積水ハウスの傘下に入ったと報じられた。フジタは、2013年に大和ハウス工業に買収された。今後も不動産大手がゼネコンを傘下におく傾向は増えるだろうが、時代は変わったのだと思った出来事だった。

進化論を唱えたダーウィンは、「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」と、また最近耳にすることが増えている。2013年に小泉首相の所信表明演説で引用されたけど、この言説はダーウィンの著作にはなく、後の時代の創作であるというのが定説。まあしかし「変化に対応する」そういうことなんだろうなとは思う。

余談だが、本来のダーウィンの学説からすると「変化に対応できるというより、繁殖能力の高いもの」が生き残るらしい。

師走

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あれよあれよという間にもう師走。

12月も半ばになった。

仕事の締め切りに追われている。

たぶん年末まで・・・

書いておかなければならないことがあるのだが

手をつけられずにいる

何だか落ち着かない

と言いつつwordpressがバージョン4.4になったので

更新してテーマも新しくした。

スタイリッシュ

カスタマイズして遊んでいるような状態か?

 仕事、仕事

子供の貧困問題~放置すれば経済損失2.9兆円 日本財団

「子供の貧困問題:放置すれば経済損失2.9兆円 日本財団」というショッキングな記事が、毎日新聞12月3日号で報じられていた。

http://mainichi.jp/select/news/20151203k0000e040222000c.html

「研究は、今年7月~11月、日本財団と三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京都)が実施した。15歳の子ども約120万人のうち、ひとり親家庭の15.5万人、生活保護家庭の2.2万人、児童養護施設の0.2万人の計約18万人を対象とした。子どもの時の経済格差が、学力や進学率の教育格差を生み、将来の所得に影響すると推定し、現状のままの場合と教育格差を改善した場合を試算した。

 大学や専門学校などへの進学率は80%に達しているが、貧困世帯の子どもは32%にとどまる。18万人の就業状況を推定すると、正社員は8.1万人、非正規社員3.6万人、無職4.8万人などとなり、現状では64歳までに得る所得の合計は約22.6兆円だった。

 一方、何らかの対策が行われ、高校の進学率、中退率が一般家庭の子どもと同じになり、大学などへの進学率が54%まで上昇したと仮定すると、正社員は9万人に増加し、非正規社員は3.3万人、無職は4.4万人に減少して、合計所得は約25.5兆円に増えた。

 所得が増加すれば、国に納める税金なども増える。税と社会保険料の個人負担額から、医療費や生活保護費などの給付額を差し引いた「純負担額」は、現状では約5.7兆円だが、改善すれば約6.8兆円になった。

 厚生労働省によると、17歳以下の子どもの貧困率は16.3%(2012年)で過去最悪を更新し、6人に1人が貧困状態にあるとされる。日本財団は「子どもの貧困を経済的観点から見た調査はこれまでなかった。国民全体の問題と捉え、官民の対策の後押しになれば」としている。【黒田阿紗子】」

外国の子供の支援をしているどころではなく、足元の日本の子供たちの貧困が危ぶまれているのだ。慈善事業に頼ることなく、緊急に経済対策としても取り組まなければならない。

「旅はゲストルーム」浦一也著

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もう10年ぐらい前に出版された本なのだが、仕事で煮詰まったときに、この本で取り上げられているホテルのスケッチをながめ、ネットでホテルを検索して、HPを見ながら海外旅行やそのホテルに泊まった場合を夢想するという、私にとって息抜き、ちょっとした現実逃避のための本である。

1994年に「TOTO通信」に連載されていた時から楽しみにして読んでいた。ここで取り上げられているホテルの多くが五つ星や四つ星の高級ホテルで、いつかは泊まってみたいなぁ~と、あこがれていた。

若い時にイタリア・コモにテラーニのカサ・デル・ファッショを見に行った時は、貧乏旅行だったし、高級ホテルは調べてもみなかったのだが、コモ湖畔の「ヴィラ デステ」は五つ星でも星が足りないとも言われているホテルだし、私が生まれて初めて海外で訪れた地がウィーンだったのだが、そのウイーン中心部にある「ホテル・インペリア・ウイーン」は迎賓館とさえ言われている。

アジアでは、ベトナムの「ホテル コンチネンタル サイゴン」とか、台湾の「ザ・シャーウッド台北」とか、自分でも手の届きそうな宿泊料のホテルもあるのだが、30歳代を最後にすっかり海外旅行とは御無沙汰してしまつた身としては、これら高級ホテルに宿泊するのは今や高嶺の花であり、夢想するにすぎないものになっている。

仕事で国内のホテルに泊まっている方だとは思うが、大概は駅近くのビジネスホテルの無味乾燥な客室ばかりではあるが写真撮影と軽く実測はするようにはしている。こうしておくと、空間のスケール感覚を養うことができる。

さて今夜のホテルはどこにしょうか・・・。

日本建築学会住宅系研究報告会・10th

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異質なものに触れると脳が活性化され認知症予防になるからという友人の誘いで日本建築学会の第10回住宅系研究報告会に行ってきた。

たまに電車に乗って出かけると、目で見るもの聴くもの全てが刺激的だ。

田町の建築会館に来たのは何年ぶりだっただろうか。

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この住宅系研究報告会は、建築計画委員会・建築社会システム委員会・都市計画委員会・農村計画委員会が共同で開催しているらしく、購入した論文集も豊かな内容だった。

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第一日目の午後の部である、セッション2「集落の地域性と空間構成」とセッション3「復興とすまいの諸相」、パネルディスカッションの「地域に『住ま・ふ』ためのストック考~住宅系研究の次の10年を見据えて」のみの参加となったが、それぞれ報告者との質疑回答も活発で楽しく聞かせてもらった。

通常、住宅系の仕事には触れていないので、友人の言うように異質のものに触れると確かに脳の活性化にはなるようだ。

食を中心に据えた地域の活性化

■食の貧困化は全世代に~とりわけ重大化している子どもを巡る「食」の貧困化

日本では、子どもの6人に1人が貧困状態にあると言われています。その背後にあるのは、家庭の貧困であり親たちの貧困です。とりわけ、ひとり親(シングルマザー)家庭の貧困率は50%を超えており、深刻な状況となっています。

又、朝ごはんを食べないという食習慣を親から子へ引き継いでしまっている場合もあります。

その中で、子ども時代のまっただ中にある子どもたち、特に貧困状況にある子どもたちに対し、美味しい食事・幸せな時間・地域とのつながりを無料や低価格で提供する「子ども食堂」の試みが、全国各地で行われ急速に広がっています。

聞くところによると現在、都内で22件の子ども食堂が活動していると言われています。

これら子どもは無料若しくは低価格で、ごはんを一緒に食べようという試みです。しんどい状況にあるシングルマザー親子に「実家の様な居場所を地域につくろう」、地域で「子どもたちを見守りサポートしよう」という地域の連携の中から地域を活性化するまちづくりの取組みでもあります。

子どもだけでなく非正規雇用が40%を超えた日本では若い世代でも、「下流老人」が増えている高齢者の世代でも「食」の貧困は進んでいます。

■地域の実状や要望に応じた「食堂」が生まれている

「子ども食堂」や「ユースカフェ」、「おとしより食堂」等の世代別の企画や、通常の食堂の運営の中に組み込むなど多種多様です。しかしながらボランティアが寄付などによって運営をまかない月2回程度の食事を提供することにとどまっています。月2回の食事だと一日3回、月90回の食事のうち2/90=2.2%の食事を援助しているに過ぎません。

ボランティア運営からビジネスモデルの策定を指向

もっと恒常的に食事を提供できないか、こども達の居場所を作ることができないか、そんな思いの中から小さくてもビジネスモデルを確立して、「家業」で運営していく「食堂」を作ろうという動きが始まっています。

■地域活性化食育プロジェクト

名付けて「地域活性化食育プロジェクト」です。

食事を提供するだけでなく空き店舗・空き室の利用を図り、地域での交流を促進します。これらは、まちづくりの活動でもあります。大学・地域・行政との連携をはかりながら弊社は、その活動の中心を担っていこうと思っています。

■高度集積化ではなく住み続けられるまちづくりを

街は再開発が進みタワーマンションが建てられ、既住民の約80%以上が住み慣れた場所を去らねばなりません。一説によるとタワーマンションの2/3の住民は、転入者であり職業は医者であると言われています。

今、子どもたちの間では親の職業による差別やいじめがあると指摘され、地域に今までになかった職種の偏りを生じさせ、「いびつな街」を生み出しています。

長年関わってきた建築業務によって、いびつな街が生まれてきてしまったという現実は悲しいことです。残り少ない時間を人に役立つことをしていきたいと考えているこの頃です。

【覚書】難燃材料

難燃材料とは、

「建築材料のうち、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後5分間第108条の2各号(建築物の外部の仕上げに用いるものにあつては、同条第一号及び第二号)に掲げる要件を満たしているものとして、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。」(建築基準法施行令第1条の六)

建築基準法施行令第1条第六号(難燃材料)
平成12年建設省告示第1402号(難燃材料を定める件)

一般には難燃合板、難燃繊維板、難燃プラスチック板などの材料が難燃材料に含まれる。

その物が薄く下地の不燃性能に影響されるクロスや塗料・吹付材等については、下地面材(基材)との「併せ技」で認定を取得している。

このような材料は、下地の種類に応じてその仕上がった状態での不燃性能が異なってしまう。

塗料などで国土交通省防火材料/不燃材料認定とあり認定番号NM-■■■■とあっても、決められた基材での認定なので、かりに木材等の可燃物に塗装しても難燃材料とはならない。

木部系塗料で樹脂限定(松系等)で認定を取得しているものがある。

国士舘大学世田谷キャンパス

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久しぶりに世田谷区役所に行ってきた。東急世田谷線の松陰神社前で下車して住宅街を抜けていくのだが、いつも道を間違えてしまう。

しばらく来なかったうちに、国士舘大学世田谷キャンパスが新しくなっていた。

写真は、メイプルセンチュリーホールで2013年に竣工したらしい。体育館とか温水プール、フィットネスジム、学生ラウンジからなる複合施設。

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上の写真は中央図書館・情報メディアセンター

雨交じりの天気だったので写真を撮る意欲も起きず、スナップのみ。

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世田谷区役所第一庁舎。前川国男さんの設計で1960年に竣工したので55歳

大分疲れてきた感じがするが、残しておいて欲しい庁舎建築のひとつ。

検査体制はひとつも機能しなかった

友人からの情報によると 今、建設会社や大手の設計事務所では、「杭」に関する建築主からの照会とその対応に追われ通常業務が出来ずにいるらしい。あの耐震偽装事件の頃を思い起こして、現役の人達は大変だろうなと思った。

横浜市の「パークシティLaLa横浜」の傾きに端を発して次々と明らかになった旭化成建材の杭打工事のデーター偽装は、全国各地の公共施設にまで波及し、さらにジャパンパイル等の他の杭打ち業者にまで広がっており、地盤と杭の認定工法の問題、施工管理のありかた、重層構造、工事検査体制、確認中間検査など建設業界の構造的問題を幾つも露呈し、業界全体の信頼を揺さぶる問題に広がってきている。

あの耐震偽装事件とその後の建築基準法の改正を経て、建設業界への信頼も回復し少しは落ち着いていたように見えたが、今回の問題は、耐震偽装のときより大きな問題になっていく予感もある。これから原因究明・保障・行政処分・法改正と収束していくのに10年近い年月がかかるのだろうか。

今度の事件を知り残り少なってきた人生を、未だに建築業界に投じて糧を得ている事が、なんだか空しく感じている。そんな個人的思いを書いていても仕方ないので「検査体制」について書いておきたい。

元請け建設業者には、施工管理を行う監理技術者を置き安全を確保する責任がある。今回の問題では、建物の安全にとって最も重要な基礎杭が支持層(強固な地盤)に届いておらず、杭を固定するコンクリートのセメント量のデータも偽装していた。施工会社(元請け)の三井住友建設の監理責任が果たされていなかった。(そこには、工事現場の職員構成が一握りの正社員と工事期間に限定された契約社員・派遣によって成り立っているという工事管理体制のあり方も問われるだろう)

「パークシティLaLa横浜」は、三井住友建設の設計施工であり、三井住友建設一級建築士事務所の管理建築士には、建築法令や条例で定める基準に適合するよう設計、監理することが義務付けられているわけだから、設計上の工事監理者の検査は、まったく機能していなかったことを示している。(杭打ち工事の最初のみ立ち合い、後は、杭打ち業者まかせだったという報道もある。重点監理方式では結局施工業者任せとなる)

1998年の建築基準法改定で、それまで地方自治体の建築主事が行っていた建築確認検査を、民間の「指定確認検査機関」でも可能にするなどした建築行政の規制緩和はどうだったのかということを振り返り、問わなければならないのではないかと思う。

建築会社・設計事務所・指定確認検査機関と勤務した経験から、現在の建築に関わる「検査」は形式的になるばかりだ。(指定確認検査機関の検査員の一日あたりの検査件数を調べてみれば、驚愕すると思う。例えば特殊建築物だと膨大な施工実施報告書を見なければならないが、その時間は少なくなる一方だし、特殊建築物でも住宅でも相当な件数を一日に検査することが強要されている)

建築基準法に基づく中間完了検査も機能しなかった。報道では指定確認検査機関については個別名が出ていないが、いずれ明らかになることだろう。

2005年におきたマンション耐震強度偽装事件から10年。また大規模なデータ偽装が再びおこったことは、国・自治体が徹底解明とともに、再発防止にむけて安全性確保のための建築確認検査についての体制整備、中立・公正な第三者による検査体制の確立など抜本的改善を図る必要がある。

しかし道は遠い。

水戸市低区配水塔

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水戸市役所は現在、改築中で丁度 半分ぐらい建屋の解体が進んでいた。

市役所は幾つかの仮設建物に分散して業務が行われているが、

本庁舎臨時庁舎や三の丸臨時庁舎と渡り歩かないとならない。DSCF2087_RDSCF2094_R

三の丸臨時庁舎の道路向かいにあるこの低区配水塔は、水戸市街の低地部分に給水するため、水道技師・後藤鶴松の設計・市の直営工事により昭和7年に完成し、平成11年度まで現役で活躍していた。その優美な姿は建設直後から評判が高く、平成8年に国指定の登録有形文化財になっている。

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小石川二丁目マンションが確認申請取消処分

昨日、友人から電話がかかってきて、東京都建築審査会が小石川二丁目マンション(ル・サンク小石川後楽園)の建築確認申請を取消したと新聞で報じていると知らされた。

【東京新聞 2015年11月14日朝刊】

『文京区で建設中のマンションが建築基準法に違反しているとして、近隣住民が都建築審査会に建築確認を取り消すよう求めた審査請求があり、審査会が取り消しの裁決を下していたことが分かった。法律で安全確保が定められた、道路に直接通じる出入り口がある「避難階」に問題があるとされた。裁決は2日付。
このマンションは文京区内の傾斜地に位置し、地上8階地下2階建て。約100戸は完売している。急坂に面した地下1・2階と、地上1・2階が避難階となる。
 審査会は、このうち、一階の駐車場から道路へ出るために約2.5メートルの高低差があるスロープを上らねばならない構造になっていることなどを問題視した。区内の9人の住民が行った審査請求の申立代理人を務める日置雅晴弁護士は「危険なマンションに人が住むことを未然に防ぐ画期的な裁決」と話した。
 建築確認は民間の検査機関が行い、都に報告した。検査機関を指導・監督する都は、審査会の裁決を受け、建築主に「違反状態」の是正を指導できる。』

もうかれこれ10年以上争われている係争案件だったし、2005年にも清水建設の設計施工で確認が出され、(株)東京建築検査機構(TBTC)にて建築確認が許可されたものが東京都建築審査会で確認取り消しになっている。その後清水建設は事業から撤退し、設計は日建ハウジングシステム、施工は安藤・間で事業が進められていた。事業者は最初からNIPPOと神鋼。

都市計画法の開発許可に対する審査請求、棄却などを経て、今回の建築確認申請は2012年に都市居住評価センターが建築確認処分。2012年9月28日に付近住民9名が東京都建築審査会に審査請求をしていた。審査請求から裁決までに3年かかっている。まあ都市居住評価センターは、国交省に再審査請求なりをするだろうから、まだまだ係争は続くことだろう。

本年9月に確認申請の執行停止が東京都建築審査会で決定されていたので、最終的には建築確認申請は取消されるだろうと個人的には予想していた。

実は、この2015年9月7日付の執行停止処分が出たこと自体が画期的な裁決で、事例も少ないのではないかと記憶している。

この案件については、もっと住環境に配慮した事業計画や設計がなされても良かったのではないかと思っていた。

友人から電話で聞かれたことはこうした係争案件で敗訴した指定確認検査機関の確認検査員(決裁者・担当者)は、これから起きるであろう事業者等からの損害賠償請求についていかなる保証義務を負うのかということだった。

たぶん担当した確認検査員は、針の筵の上に座らされている精神状態だろうから、ここで書くのは控えさせてもらう。

この案件についての事実経過は下記のサイトが詳しい

小石川二丁目マンションの無秩序な開発・建築を考える

『2025年の建築「七つの予言」』

2025年建築

人口減少、建築・住宅ストックの増大等、急速に変わりつつある今日の日本の社会状況、経済環境に対応する建築業界の将来を考えるための本。
建築・不動産に関わる実務者や研究者、関連メーカー、学生などが参画する一般社団法人「HEAD研究会」が開催した、連続シンポジウム「七つの予言──その先の建築」の再録を中心に構成されている。
全4回の連続シンポジウムでは、松村秀一・東京大学大学院教授による建築講義「七つの予言」(業界予測、技術予測等)を踏まえた上で、それらに関する予見的な活動を始めていると思われる第一線の建築家や不動産事業者、建築・住宅関連の研究者などが講演と議論の内容が記されている。
松村教授による新たな書き下ろしが加えられ、連続シンポジウムの企画・監修者である嶋田洋平氏(建築家、HEAD研究会フロンティアタスクフォース委員長)による各回解説などを加えて編集された本。

松村教授は、いつ神の啓示を受けたのかは知らないが、なにやらちょつといかがわしさも感じる本の題名で、しばらく前に買っておいたが積んだままだった。風邪で休んでいて新しい本も買えなかったので読んでみた。

近年、建築系の大学出身者で設計者×不動産×建築施工と多面的に活動しビジネスにしている若い人達が増えている。「建築家は専業」と教わった我々の時代とは「建築家の職能」も随分と様変わりしているようだ。
ともかくリノベーション(ストック活用)や地域再生・まちづくり、新しい社会状況・経済環境に対応する建築の構法・建築技術に関心を持っている方は、読んでおいた方がよいだろう。

霜月(しもつき)

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【門司港ホテルの客室の窓から】

10月末の京都・北九州の出張から帰ってきてから風邪をひき

市販の薬に始まり、病院から処方された薬を飲んでいるのだが、

いまだに咳が止まらなくなり呼吸が苦しくなる。

もう11月、霜月(しもつき)だというのに

充分に仕事に集中できていない。

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【門司港ホテルの客室】

今年の後半は、ほぼ北九州のプロジェクトにかかり切りになった

現在の仕事の内容は「コンバージョンの為の検討調査業務」で、

今年の12月には一区切りつくのだが、

来年以降、複数年にわたって

このプロジェクトと関わるかどうかは微妙なところ

いつのまにか、北九州が自分にとって身近な存在になってきている。

三宣楼

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 門司港レトロ地区にある木造三階建ての料亭「三宣楼」(さんきろう)

昭和6年に開業し昭和30年頃廃業

地元の保存活動の末、北九州市に寄贈

平成26年に保存修復が完成し公開されている。

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玄関

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個室だったところ

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2階大広間

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かしわうどん@小倉駅

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 北九州市小倉駅の在来線ホーム(7、8番線)にある

「かしわうどん・そば」・北九州駅弁当さんの店

駅の立ち食いソバのたぐいは大好きだ

蕎麦・饂飩と一口に言っても全国各地で麺の硬さや使う粉が異なり、

汁の味わいも相違し地方性が如実に現れる。

小倉駅で何か食べようと思っても駅ビルに入っている飲食店は、

ほとんどが大手チェーン店で食指が伸びない。

その点、駅の立ち食いそばには、期待を裏切られたことがあまりない。

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「かしわそば」は、あっさりめの汁に、

少し甘辛く煮た鶏肉が乗せられているのだが違和感はない

これがスタンダードらしい。

美味しかった。

別のホームではラーメン専門の店がホームにあるようだが

いまだ食べたことがない。