
久しぶりに、既存建物の鉄骨調査、材寸を計測

脚立の上り下りは、結構な運動

継手も確認
所々 床に水漏れの跡を確認。給排水関係と推測
この既存建物は、ミルシートが残っていたので材寸確認等で済んだ。
建築法務/ 建築ストック再生・活用 /長寿命化/ 環境建築 / 建築設計監理 / ㈱寺田建築事務所・一級建築士事務所
久しぶりに、既存建物の鉄骨調査、材寸を計測
脚立の上り下りは、結構な運動
継手も確認
所々 床に水漏れの跡を確認。給排水関係と推測
この既存建物は、ミルシートが残っていたので材寸確認等で済んだ。
鉄筋探査は、コンクリート構造物の鉄筋の配筋状態・かぶり厚などの調査を、構造物を破壊せずに行います。施工管理状態の品質確認や改修工事・耐震補強工事などの際に鉄筋切断や埋設物の損傷事故を防ぐために事前調査として使用されます。
測定原理としては「電磁誘導法」と「電磁波レーダー法」によるものが主流です。
既存住宅状況調査技術者 講習テキスト等でもさらっと紹介されていますが、RC造やS造等の特殊建築物の調査の場合は、もう少し詳しく特徴を把握しておいた方が良いと思います。
「電磁誘導法」とは
試験コイルに交流電流を流してできる磁界内に、試験対象物を配置する試験方法によりコンクリート構造物内の鉄筋位置やかぶり測定ができます。
また、機器の種類によっては鉄筋径の推定も可能です。特徴としては、コンクリートの湿潤状態や品質等による影響を受けないため、かぶりが比較的浅い場所では非常に有効で、浅ければ浅いほうが分解能も良く確実な探査が可能です。
橋梁上部工の鉄筋探査・建築物のかぶり厚検査・コア抜き・耐震補強のアンカーを打つ位置の確認等に適していると言われています。
「電磁波レーダー法」とは
電磁波をアンテナからコンクリート表面に向けて放射することにより、コンクリートと電気的性質の異なる物質である鉄筋や空洞等との境界面で反射され、機器の受信アンテナの受信に到るまでの時間から、反射物体までの距離を知ることができます。
平面的な位置は、機器を移動させることにより、位置情報を得ることができます。
特徴としてはコンクリートの湿潤状態や品質等に影響を受けやすいため、比誘電率をキャリブレートすることで鉄筋かぶり厚の精度を高めることができます。電磁誘導法より精度面は落ちますが、かぶりが厚い場合には有効な手段です。
コンクリート橋脚・大型コンクリート建造物等の耐震補強工事・改修工事のあと施工アンカー工事等に適していると言われています。
以上のように建築物では鉄筋の位置、かぶり深さを非破壊で調査することは可能ですが、鉄筋の太さを確認するのは 一部コンクリートを破壊しないとなりません。
既存の地中梁とかフーチングを丸ごと探査して位置・かぶり深さ・鉄筋径を3Dで結果表示してくれる機械があればなぁ~といつも思っています。
RC造やS造の配筋状態を調査する場合には、高精度の機器がある専門業者に依頼しているのだが、配筋の有無だけを調べたいときはデジタル検知器を使用している。
このデジタル検知器は、壁うらの鉄筋、非鉄金属、通電線、間柱、同縁を探知可能で
最大測定深度:金属:120mm、非鉄金属:80mm、通電線:50mm、木材38㎜なのでまあまあ使える。
上の写真は、ブロック塀の配筋状態を探査している。テープを張っているところが鉄筋が探査できたところ。
上2枚の写真は、軽量鉄骨造の鉄筋ブレースの有無を調べている処
このデジタル検知器は、住宅関係では布基礎の鉄筋の有無などの調査や壁筋違の有無などを調査する時に使われていると聞きますが、特殊建築物の基礎的な調査でも結構使えます。昨今は、簡易的な調査用機器が手頃な価格になってきて助かります。
多数の人間が集中して調査を行う現場には、業務調査責任者とは別に衛生全体を指導する衛生管理者を配置している。コロナ感染リスクは長期間継続すると思われるので、こうした衛生管理の徹底を図っていきたい。
上の写真は、さる調査現場で説明した厚生省手洗いの手指の2回洗いの推奨。手洗い前と手洗い後の細菌数の調査では、1回洗いだと50%程度しか減じないが、2回洗いで90%程度まで減じる調査データがあるそうです。
手洗いには、ミューズ石鹸、消毒液、手拭き用ぺーパー、アルコール綿、専用ゴミ袋等を配置した。
トイレ使用時の説明、人-物感染防止の徹底。共用トイレでの人-物感染リスクが高いらしいが、あまり重視されていないとのこと。
弊社では、所有していた無水エタノールに精製水を加え消毒用エタノールを作っている。無水エタノールも現在では価格が高騰。平時の5倍ぐらいになっている。
ゴムラテックス手袋の装着を推奨、使用済みマスクや手袋などは専用のゴミ袋を用意。マスクは一日に何度か取り換えるように推奨している。マスクの価格は落ち着いてきており、市場に出回りつつある。
ゴミは分別
久しぶりに鉄筋の検査をしました。配筋検査ではなく、工事現場事務所で書類上の検査(監査)です。
鉄筋の場外加工の場合、問屋から出荷された鉄筋は加工場に搬入されます。そして加工場で加工された鉄筋が、後日工事現場に搬入されます。
通常受入検査時に工事管理者(現場監督)は、下記の点を確認します。
・メタルタグに記載の製造番号とミルシートに記載の製造番号が一致しているか。
・ミルシート記載の鉄筋の規格、径、長さ、本数などが設計図書と整合し間違いなく搬入されているか。
・ロールマークより鉄筋の規格、径、メーカーなどを設計図書と確認する。
ようするに、頼んだ鉄筋が間違いなく納品されているかの確認・検品作業です。
検査員は、これらが書類として整理されているのを確認するのですが、鉄筋検査は久しぶりだったので写真で整理されていた書類のロールマークの見方を忘れていました。でも写真を見ているうちに思い出してきました。検査予習は常に必要です。
上記の写真の見方は、D25、東京鉄鋼、SD345です。
1月23日、一般社団法人 住宅医協会の住宅医検定会に臨みましたが、本日2月5日認定通知が届きました。
これから正会員登録をして正式に住宅医となります。
検定会の講評等で寄せられた意見・質問には、この場で回答したいと思います。
たぶん住宅医検定会に参加した人にしか、解りづらいものとなるかも知れませんが御容赦ください。
【Q : リノベーション物件の不動産としての資産価値については どのように考えていますか】
【A : 既存建築物の検査済証の無い建築物は、建築基準法の集団規定が違反していなければ現在のところ購入の際に銀行融資は可能のようですが、既存建築物を売却したい場合「検査済証」が無いと買い手が中々つかないようです。買い手がついても売却希望価格よりかなり低減されると聞いています。本件のように検査済証の無い既存建築物を増築し全体として工事完了検査済証を取得して適合化することは、資産価値(価格)の下落を防ぐことができます。】
【Q : 既存との一体増築ではなくEXP.Jにより構造的に分離することにした理由を、もう少し詳しく説明してください。】
【A : これは「増築等に係る制限緩和の主な条件(令第137条の2関係)・出典 東京都荒川区」PDFを見てください。kanwa-joken
本件は「増改築部分の床面積が既存部分の1/2以下」ですが → 「増改築部分の床面積が既存部分の延べ面積の1/20以下かつ50㎡以下又は大規模の修繕・模様替」ではありません。50㎡以下ですが1/20を超えています。 → 「増改築後に法第20条第四号となる建築物」とはなりません。軒高が9mを超えています。 → 「増改築部分と既存部分が構造上分離」ここで一体増築と分離増築の分岐点となります。一体増築なら既存部分は、現行法の「耐久性関係規定」に適合させなければなりません。分離増築ならば既存部分は「地震に対する耐震診断+暴風積雪に対する許容応力度計算」となります。
本件は、平成9年に確認済証取得で今回実施した建築基準適合性状況調査により適合しており新耐震建築物なので、既存部分の暴風積雪に対する許容応力度計算を実施しました。
一方、一体増築の場合は既存部分と増築部分を現行の耐久性等関係規定に適合させ地震+地震以外の構造計算を行わなければならない規定になっています。また既存は構造計算ルート2の建物ですから全体として構造適判の対象となることを避けました。増築部分は軒高を9m以下にしてXY方向ともルート1で構造計算を行いました。】
【Q : 検査済み証の無い建物の増築にあたって「ガイドライン調査」ではなく「法12条5項報告」で行った理由をもう少し詳しく説明してください。】
【A : 平成26年7月に国土交通省は、既存建築物の建築当時の法適合状況を調査するためのガイドラインを公表しました。調査者は、国土交通省に登録した指定確認検査機関のみに限定しています。この通称「ガイドライン調査」は、法的根拠がない任意の制度です。そもそも指定確認検査機関は、特定行政庁の確認事務をおこなっているにすぎません。法第6条の2第8項に規定されているように特定行政庁が法に適合してないと認めたときは、民間指定確認検査機関の確認済証は効力を失います。その結果、指定確認検査機関、確認検査員、設計者は処分を受けることがあります。
既存建築物の現場では、調査方法や調査結果の判断も含めて建築主事の法的判断が必要となることが多く、決してマニュアルだけでは解決できない問題に直面します。
何故弊社が多くを「ガイドライン調査(民間指定確認検査機関)」ではなく「法12条5項報告(役所)」を選択しているかというと、危機管理意識の問題だと思います。その他具体的には様々な相違がありますが、それは個別に回答します。】
日本は、少子高齢化や建築物の老齢化、経済活動の低迷の影響を受け、従来のスクラップアンドビルドから、環境面にもやさしいストック活用型に移行しつつあり、今後もその傾向は一層拡大していくことでしょう。
高度経済成長時代(1965年~1973年)に作られた、企業や官庁の施設・インフラ等は、これから軒並み耐用年数を迎え、所有する不動産の再構築が必要となります。
補修して使い続けるのか、解体するのか、別の用途に変更するのか、新しく建て直すのか、色々な選択肢があります。
民間はCRE戦略、公的不動産はPRE戦略といいますが。各自治体では公的不動産の活用についての検討が進んでいます。
豊島区では、区議会の中に「公共施設・公共用地有効活用対策調査特別委員会」が設けられており「学校跡地、公共施設及び公共用地のあり方に関する調査」を行っています。調査項目としては 1.公共施設の再構築等に関する諸課題、 2.施設・用地の有効活用に関する諸課題について検討をしています。
公共施設の再構築を図るためには、すなわち「公共施設等総合管理計画」を具現化するためには、施設の現状把握が不可欠です。
その為には、各種調査診断(遵法性調査・劣化調査・耐震診断・省エネ診断等)を行い、施設の状態を正確に分析・評価することから始めなければなりません。
弊社の不動産の再構築のための建物調査診断は、
5月15日、「建築ストックの再生・活用技術セミナー」IN 大阪は、会場一杯の参加者を得て終了しました。住宅医スクール関係・MOKスクール関係の人達の参加が多かったので、どうしても木造関係の話の方が馴染みやすかったようです。
これで企画・構想から始まった6ヶ月間の独自セミナーは終了しました。シナリオライターとしては、朝ドラが一本 ようやく終わったと言う感じです。
セミナー事務局長兼講師で、しかも 講師の中で一番長い90分という時間に変更したので、両方の準備が重なり 講師の方の準備が疎かになりがちでした。
それでも、この5年程の仕事をリフレクションでき、形にすることができたことは、大きな成果だったと考えています。
また、次の展開に向けての 足掛かりができました。
もともとゴールデンウィークにはどこにも行かないことにしている。かわいい孫達も遊びに来ることだし、天候も不順だけど、何だかどこかに行きたい。
頭を空っぽにする時間が欲しい。
キャンプにも行きたいが 時々ギアを買い集めるのとアウトドア関係の本を買うだけで済ましているものだから、余計ストレスが溜まってきて噴火寸前。
さて5月セミナーの為の原稿をようやく書き下ろした。
A4で30頁にもなった。
4月の東京セミナーでは原稿を作らなかったので言い忘れた事が沢山あった。
果たして90分で収まるだろうか。
配布資料を増やしてポイントだけ説明するようにした方が良いかもしれない。
原稿をパワポ修正チームに渡して作業に着手してもらわないとならない。
終わらしても終わらしても仕事が積みあがっていく。
【講師の大貫さん】
4月22日(月)「建築ストックの再生・技術セミナー」IN 東京 会場いっぱいの参加者を得て無事終了しました。
とにかく楽しいですね。
他の講師や参加者、若い人達から刺激を受けて。
一人で仕事をしていると家族以外とはあまり喋らないので、そのうち言葉を忘れて認知症になってしまうのかなと思うことがありましたが、しばらくは大丈夫のような気がします。
さて昨日は、回収したアンケートを読んだり、修正点を講師間で忌憚なく指摘しあうなどしました。改善(リバイズ)にむけての取組みが開始されています。みんな真面目ですね。来月の大阪セミナーでは、よりバージョンアップしたものを提供できるかと思います。
東京セミナーの参加者を見渡した限りでは、木造系の設計者・技術者が多かったので「古民家」のほうが親しみやすかったかなあと思っています。
現役時代はパワーポイントを自分で作ったことが無く、若い人の作ったもの、発表したものに意見を言っているだけでした。
60歳過ぎてから自分でパワポを作るようになり、まだ数回なので技術も稚拙ですね。
講師の野上さんが原稿を作っており感心しましたが、他の人に聞いたら原稿は必要と言われました。ということで早速原稿づくりに着手。
また全体的に弁当箱にいっぱい詰め過ぎとも言われました。聞いている方が満腹になってしまうそうです。もっとゆっくり喋れ、原稿作らないで喋るから雑談みたいになるんだと・・・
この連休にプロジェクトチームが、私のパワーポイントを修正してくれるようなので大阪セミナーでは よりわかりやすい内容にしたいと思います。
写真を取り忘れ、また依頼するのを忘れて大貫さんの写真しかありません。
以前から告知していました「建築ストックの再生・活用技術セミナー」IN 東京は、4月22日(月)にいよいよ開催されます。東京会場は、関係者の皆様の御尽力で満席となりました。ありがとうございました。
セミナーというと、とかく一方的になりがちですが、公開カンファレンス(症例・事例研究)に近づけることができればと思って取り組んできました。あまり名前の知られていない建築事務所4社が共同開催なので、「上から目線」ではなく「事例研究」よって今後とも参加者と経験を交流していければと考えています。
カンファレンスは医療の世界のみならず、最近では弁護士事務所の中でも行われていると聞きます。しかし建築の世界では あまり事例がありません。上下の関係が強い企業の中では難しく、こうして設計者や工事関係者が経験を持ち寄って技術や意見を交換することが、技術的な課題も多く残っている「建築ストック再生・活用」の分野では とりわけ大事なのではないかと思っています。
準備は概ね出来てきましたが、私の担当分野については、お話しすることの推敲を未だ行っているところです。
このたび「都市×地方それぞれの建築ストック再生」を副題として「建築ストックの再生・活用技術セミナー」を開催する運びとなりました。
弊社で近年取り組んできた都市の多層階住宅のリノベーション・重量鉄骨造検査済無建物の増築改修と、野上氏・大貫氏が取り組んできた養蚕農家のホテルへのリノベーション・増築改修の二つのテーマで公開セミナーを行います。いずれも調査・申請・設計というプロセスに焦点をあてた実務者に役立つセミナーになっています。
講師陣・建築系事務所4社共同主催・共催 (一社)住宅医協会です。
是非 御参加いただけれは幸いです。
【東京会場】4月22日(月)13時~17時 連合会館401号室
<終了しました>
詳細及び参加申込書・PDF
【大阪会場】5月15日(水)13時~17時 (株)ニチネン本社4階会議室
<終了しました>
詳細及び参加申込書・PDF
*新建ハウジング・WEBで紹介されました。新建ハウジング
*(一社)住宅医協会・WEBで紹介されました。住宅医協会
【3/26 講師陣打合せ】
4人の講師陣がセミナーで発表するパワーポイントを持ち寄り、それぞれの担当部分を説明し、みつちり4時間にわたり意見交換等を行いました。調査・申請・設計にわたるプロセスが詳細に語られ、経験やノウハウも語られるレベルの高いセミナーになりそうな予感がします。
リノベーションセミナーは最近多くなっていますが、どちらかというと「まちづくり系」で、実務者(建築設計者・建築技術者)の知りたいことに寄り添った「技術セミナー」は、あまりないと思います。今回のセミナーは、再生・活用技術を深化させたセミナーとなっています。
野上氏・大貫氏の養蚕農家を旅館にリノベーションした事例は、木造の一体増築にチャレンジした意欲的な作品です。用途変更した事例は数多いのですが一体増築は現行法の構造規定に遡及しなければならないので技術的にハードルが高く、それをひとつひとつクリアした経験が述べられています。プレゼン資料も美しく、説明も親切で感心しました。
私、寺田と構造設計担当の伊藤氏による「多層階住宅のリノベーション」は、数件の同様事例を比較する事で、法的な問題点、調査項目や行政の対応など分かってくる事が多いと思います。そして今のところ重量鉄骨造の多層階住宅がスケルトン・インフィルが実現できる最適な構造ではないかと考えています。
個々の説明時間を調整した結果、私の持ち時間が増えました。
また学生参加費を1,000円としてリノベーションに取り組んでいられる大学の研究室を通じて参加をお誘いすることにしました。
【4/10 東京セミナー満席】
おかげさまで東京セミナーは、満席となりました。
東京セミナーは秋田県、宮城県、群馬県、名古屋市、埼玉県各地等 遠方からも参加申し込みがあり、建築ストックの再生活用技術への関心が全国各地に広がっていることを新めて実感しました。
ありがとうごさいます。
「リフレクション」(省察・内省)という言葉がビジネス界や教育現場で注目されているようだ。
「リフレクション」とは実践を振り返り教訓を導き出すこと。「リフレクション」を「主要能力の核心」と位置付けているところもある。反省とはことなり実践して起きた事象を振り返り本源的なものに気付く事と本には書かれている。
現役の頃は、忙しさにかまけて振り返ることがなかった。今も現役と言えば現役で、たぶん今の方が仕事の時間は長いと思うが、毎週毎週作らされた業務報告書や会議に忙殺されていたころよりも何故か時間を作れる。現在は、年に一度程度セミナーをすることでようやくリフレクションすることができている。
今年東京と大阪で開催する「建築ストックの再生・活用技術セミナー」は、多層階住宅のリノベーションに対象を絞ってリフレクションした為に、色々な課題が明確になった。
ほとんど書下ろしみたいな内容になっているので、以前のセミナーで使ったパワーポイントのページはあまり使えなかった。現在も4月22日のセミナーに向かって推敲を続けているが、自分なりに面白いもの、若い技術者に役立つものに仕上がってきたと思っている。
このセミナーには東京会場では、宮城県・群馬県・名古屋市等の遠方の方々。大阪会場では福岡・金沢・兵庫・奈良等と全国各地の方々から参加申し込みがあった。
私なりのリフレクションを公開できると思う。
築21年、鉄骨造3階建て既存延床面積182㎡の建物の前面道路側・横に増築するプロジェクトです。既存建物の工事完了検査済み証がなかったので建築基準適合性状況調査を行い、荒川区に法第12条第5項報告と建築確認申請を提出しました。
建築主からの最初の希望は、屋上に増築して4階をつくりたい。新築する時に施工会社に依頼したし、上増築が出来るようになっていると言われていた。と言う事でした。
既存建物の構造計算書が残っていたので検討した結果。確かに屋上の積載荷重を多く見ていましたが、逆日影で検討したところ屋根裏部屋のようなものしか出来ない事。直通階段の設置が難しい事。既存建物全体の補強工事や法適合工事がかかる割には要望する空間が得られない事。つまり投資対効果が悪い事から4階増築は断念し横増築に変更しました。
既存建物が建てられた頃は建ぺい率が60%でしたが、その後の都市計画の変更で建蔽率が80%に変更されていましたので、横増築が可能となりました。
この物件は、法第12条第5項報告が比較的短期間にスムーズに終了しました。一番の理由は、荒川区が検査済証の無い建物の調査について調査報告書の指針・書式等を完備しているからだと思います。都内で自前の書式等を整備しているのは荒川区だけです。イレギュラーな部分は打合せ協議をし、物理的調査について調査者の判断で良いのかあるいは第三者機関の証明が必要なのか個々に打合せしておけば良く、後から追加調査が必要となるような追加指示がありませんでした。勿論弊社の調査報告書の完成度が高かったと言う事もありますが、行政側の方針がゆるぎなかったと言う事が一番の要因です。
既存延床面積182㎡+増築面積33㎡ 合計215㎡で1階から3階までが多層階住宅(二世代住宅)となっています。また新たに3層用ホームエレベーターを設置しています。建築確認申請上の工事種別は増築となっております。
【建築場所】東京都荒川区町屋
【法的規制】準工業地域・準防火地域・容積率300%・建蔽率80%
【既存書類・図書】意匠図・有/設備図・有/構造図・有/構造計算書・有/各種施工報告書・無/工事中写真・一部有
【調査・設計・許認可申請】株式会社 寺田建築事務所
【構造設計】一級建築士事務所 ビオス
【法12条5項・建築確認】荒川区
荒川区町屋の鉄骨3階建て外壁・屋根ALC版t=100の建物・築27年
外壁劣化・屋上防水に際立つた損傷がなかったので、内部結露であろう。3階天井裏すなわち陸屋根屋上の下の鉄骨部に発錆が見られた。鉄骨造の建物では、鉄骨部の発錆は比較的よくある事象である。
恐らく天井裏に敷き込んだグラスウールt=50に保水し結露したものと思われる。鉄骨部材・材質調査を担当していた調査員が 簡単な温湿度測定を実施してくれたが、外気温と3階室内、3階天井裏では温度はほとんど変化がなかったが、3階天井裏の湿度は外気に比べて15%程高かった。
言われたことだけ自分の担当部分だけ調査するのではなく、常に建物全体を総合的に目を配る調査員になってくれれば調査員としては一流だ。
1階の西側外壁面の内壁の石膏ボードにカビが発生していた。これも壁体内結露だろうと推測できる。
こうした詳細調査を通じて既存建物の問題点が浮かび上がる。既存建物の温熱計算をして、断熱改修を検討する必要がありそうだ。
鉄骨の部材や材質の調査の為に天井点検口を設置し天井裏を覗いたのだが、鉄部の発錆から、その場で総合的に考えるのが大事だと思っている。調査が外注だと温湿度計で測る事などしてくれないだろう。調査員達で事象から意見交換を行い方向性を見出すことができた。
昨晩 新千歳夜9時発の飛行機で東京に戻り、自宅に着いたのは少しばかり日が変わっていた。ちょっと疲れた。
今朝は、荒川区町屋の鉄骨造3階建ての検査済みの無い建物に、エレベーター等を増築するのと二世帯住宅にするために全面的に改装する計画の詳細現場調査の準備の立会。
都市住宅は、一方向だけ道路に接している場合が多く、他は建物と敷地境界との離隔距離が無い為、地面下の調査には苦労する。
予想通りではあるが、排水管と建物との間にはガス管が敷設されており、下部には水道管等が敷設されていた。この隙間でコンクリートコアを抜くことができるだろうか。コアが抜けなければシュミットハンマーで調査するしかないかなと思案する。
コアを抜く予定の他の二カ所は、スラブ配筋でコンクリートが厚かったので斫るのに苦労した。配筋はD13@200縦横だった。
地盤が悪い為に耐圧版なのだがコンクリートガラを粉砕した再生砂で埋め戻しし、よく転圧してからコンクリートスラブを打設していた。地中梁の施工状態も良好で、最初に施工された基礎工事会社はいい仕事をされている。
明日の、現場詳細調査の準備はできた。
鉄骨の材質調査の為にサムスチールチェッカーを使ってみた。
物事は全て準備が必要で検査部分の錆止め塗装と黒皮をサンダーで除去した。
調査部分に測定用プローブを押し当てる。
メーターの針が赤い表示部分(SS400)を示している。
梁・柱・ダイヤフラムを検査する。
この建物の建設時期はSS材とSM材しか使っていなかった頃だからサムスチールチェッカーでも事足りるだろう。
最後に調査チーム全員に、サムスチールチェッカーを体験してもらった。
鉄骨の材質調査をしてくれる会社はそう多くない。まだビジネスにならないからだろうか。今回も弊社で測定器具をレンタルし、天井裏の狭い個所でサンダー掛けをしてから測定を行った。
時々、一級建築士だか職人だか わからなくなってくることがある。
塗装を落とすのに、紙やすりではかったるいので、サンダーと替え用品を購入した。ついでに電源コードのドラムを買い。脚立も買い。安全保護メガネや高性能防塵マスクも買ってしまった。それに養生関係の諸品や掃除用具も用意しなければならなくなった。
調査に来ている姿かたちからは、ただの職人にしか絶対見えないだろうな。
現地詳細調査も物件の規模等に応じて調査チームを編成しないとならない。今回の八王子の場合は、重量鉄骨造2階建て200㎡以下と規模は小さいので、以下のように調査チームを編成した。規模が大きくなるとそれぞれの調査パートに補助員を付け研修する事もあるが今回は内部も狭いので調査員だけとした。
以上5人の調査チームである。その他に非破壊・微破壊検査の方々
外部の実測調査を担当した人は 某会社の社長夫人で一級建築士。普段は主に住宅関係のリフォームの図面を書いているとか。今回が調査参加4回目なので補助員から調査員に昇格。
実測調査4回目ともなれば、こちらが調べて欲しいことをきちんと見ている。
Q 電気の分電盤の写真撮った?
A 撮りました。12回路です
Q 契約アンペアは?
A 45Aです。
Q 電柱の番号調べた?
A 写真撮りました
ふむふむ 成長著しい !(^^)!
建築ストックの業務では、既存の「調査」はかなり重要な要素。
いざ仕事が決まったから学生を集めるとか、他社の所員を借りるとか、調査に不慣れな人を人海戦術で というのでは いい調査にはならない。また一級建築士を持つていれば正確な調査ができるというものでもない。
調査をする人を常日頃 自社で養成しておくことが必要。ただし社員を増やせという意味ではない。どうやって優れた調査員を養成していくのかは課題でもある。
そんなことは調査会社に頼めばよいのだと言う人もいるだろうが、そう気にいる手頃な価格の調査会社は中々見つかるものではない。
それにアウトソーシングしていると、どうしても自分達で考える力が低下してしまう。
しかも特殊建築物の調査が出来る人はそう多くない。規模が大きくなると法令の知識が必要不可欠になる。しかも建築基準法に限れば現行法、改正の履歴、そして戦前の市街地建築物法についての知識も必要になるが、この事については又書く機会があると思う。
今日は、現場調査の準備工事の立ち合いの為 朝から八王子へ行った。
またしても検査済証の無い建物の用途変更+増築 調査・申請・設計業務の為の現場詳細調査。
明日のコンクリートコア採取の為に土間を掘削した。立水栓があったので水道管に注意しながらコンクリートカッターを入れたのだが、あまりにも浅い位置に敷設してあったので、給水管も排水管もカッターで切ってしまった。
あとからの工事だったんだろうな~。あまりに浅すぎる敷設。まあよくあることだ。
配筋探査とコア抜きの為に掘削の位置を少し拡大した。
鉄骨の調査の為に天井点検口を設置した。
ハイテンションボルトは、トルシア型を使用しているようだ。鉄骨の溶接の状態は良さそう。ダイヤフラムも図面どうりで一安心。
明日は、詳細調査だ。
以前 鉄骨造の既存建築物調査で鉄骨の材質調査方法について書いたことがあるが、では木造では樹種の特定はどうしているのか、古民家等で限界耐力計算をするときに樹種の特定や木材の強度がどの程度あるのか、どうやって判断しているのかと疑問に思った。
そこで分かったことは、通常は樹種の特定は目視だそうだ。匂いでわかるという人もいたし、適当と言い放す人もいた。木材の割れの比率で強度を低減するという人もいた。ようするにまちまちで 木造病理学と言っても材料強度についてはあまり深く研究されていないようだった。
しかし 世の中には、そういうことを研究する人がいることが分かった。またそういう計測器があるそうだ。
上の写真は、木材試験機ファコップ / FAKOPPというハンガリー製の測定器。一台税込定価842,400円という高価な測定器だ。商品説明書にはこう書いてある。
「打ち込みセンサーに衝撃を与え、発生するエネルギー(応力波)が受信用センサーに到達するまでの時間(μs)を測定します。物質に振動を与えるとその振動(衝撃)は地震の波のように伝達します。 ファコップはその原理を応用した高性能な伝播時間測定器です。 木材の片側から衝撃波を発生させ、反対側の受信センサーに到達するまでの時間から、木材内部の腐食、空洞や密度などの推測が可能です。」とある。
岐阜県の建築アカデミーで1台所有しているそうで、「微小な時間(マイクロ秒)単位を 測る”ストップウォッチ”のイメージ」のような測定器と吉野先生からは教えられた。
「ヤング係数=伝播速度の2乗÷密度
(Pa) (m/秒) (kg/立米)
という関係があり、柱、梁、桁のヤング係数の 推定に使われています(まだ実験段階?)。
1)パラメーターに密度があるので、密度がわからないと正確に推定できない。
⇒密度を統計学的に扱うことで、この問題点の解決を名古屋大学農学部
の山崎真理子先生らが研究されています。
2)測定値が相当ばらつくたたき方によって、数値がかなり変わるので
たくさんたたくとか、たたき方を一定にするとかの工夫が必要です。」
ということで名古屋大学農学部 の山崎真理子先生が研究されていることが分かった。別ルートでも山崎先生に辿りついたので この分野では山崎先生が権威なのだろう。
古民家をコンバージョンする相談がきており、その時に木材強度の推定をやってみたいと思っている。
青木茂建築工房が設計した(仮称)林マンションリファイニング工事の完成見学会に行ってきた。環七沿いに位置する昭和41年に建てられた築52年の検査済証が無い共同住宅兼店舗をリファイニングした。
既存バルコニーの手摺壁はRCだったが、それを撤去し軽量化を図るため有孔折版に変更している。周辺の建物と比較しても今風に軽やかな感じに仕上がっている。
エントランス部分
この建物の特殊性は、工事完了検査済証がないことに加えて旧耐震の建物で、かつ昭和41年建築確認申請取得ということで都市計画法の容積率の定めがなかった時代の建物で、現行法では容積率300%となっているので既存不適格。第三種高度地区なので既存不適格。住居地域から現行は準住居地域で日影規制にかかるので既存不適格ということ。
ようするに建築基準法の「増築」に抵触すると現行法に適合させる必要があるために、既存建物を減築しなければならない。
そこで耐震改修法に基づく認定及び工事種別大規模の修繕による建築確認取得を行っている。
法第12条5項報告(大田区)と耐震診断+耐震補強+耐震促進法認定+耐震第三者評定という面倒な仕事の合わせ技を行っている。
手続き的には 悪知恵を発揮した建築と言えるかも知れない。
個人的意見としては、都市計画法や建築基準法の集団規定に既存不適格な建物を青木流外科手術を施して(リファイニング建築)延命させることが、果たして世のため人のためになることなのだろうかと思った。
従来、現場における鋼材種別の調査には、サムスチールチェッカーで行われることが多かった。現在でもサムスチールチェッカーで調査しても良いというところもある。
【鋼材判別機 サムスチールチェッカー M-100型】
アナログ、現在は製造中止。しかし現在でも機器をレンタルしている会社もある。
【鋼材判別機 サムスチールチェッカー D-200型 立花エレテック】
デジタル、M-100型の後継機
サムスチールチェッカーはSM490とSS400の区分を行う装置。SN材等の種々の鋼材が用いられている現状に対応しない面がある。サムスチールチェッカーは、シリコン、マンガン量を電気抵抗率で評価し鋼材の種別を判別しているためその条件に当てはまらない場合があると言われている。
サムスチールチェッカーは、SS材とSM材しか使っていなかった時代の鋼材判別には向いているのかも知れない。
レンタル機器としても広く普及しているし第三者機関の検査は特に必要ないという時は、諸注意に留意して操作すれば専門家でなくても扱えれる機器である
いずれにしても鉄骨材質調査をする場合は、相手先とよく打合せして調査方法を決める必要がある。