2020年建築関係法令集

注文していた2020年(令和2年)版の建築関係法令集「法令編」と「告示編」が届いた。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い全国の小中高の臨時休校を政府が唐突によびかけたのが口火になったようで、今日3月の資格更新講習会や出席しようと思っていた展示会、講習会。講師をする予定だったセミナー等と、ほとんど延期・中止になったことを知らせる連絡が飛び込んできた。

何だか 夜の時間があきそうだ。まず昨年改正になった差分を確認し、昨年公布された告示を読みこなし、法・施行令、規則、告示と一通り読み替えそうか。

日本の社会は、この先どうなることか・・・。

こんな時は、家に引きこもり本でも読んでいるしかない。ということで商売道具の法令集をパラパラとめくるのでした。

何処にも行けない(-_-メ)

新型肺炎の感染拡大が心配で、楽しみにしていた孫娘達との苺狩りが中止になり爺さんは、少し不機嫌。

出来るだけ公共交通機関を使わず車で動いて、外出時にはマスクして、外から帰ってきたらうがいして、顔洗って、厚生労働省推奨の手洗いしてと・・・少しウンザリぎみ。

行く予定だった講演会等もキャンセルし、必要最小限の外出しかしない。食料品はオイシックスとか生協を利用して外食は極力しない。よって主夫は結構忙しい。

何処にも行けない。ストレスがたまる。

中国人観光客が来なくなって京都に落ち着きが戻っていると聞くので「そうだ京都に行こう」か。

新幹線は心配だけど・・・

前代未聞!!  9つの指定確認検査機関が行政処分

既に報道されているが、国土交通省は2020年2月14日、建築基準法に基づいて建築確認や検査を実施する国土交通大臣指定の確認検査機関9社に対し行政処分を行った。

【今回行政処分された指定確認検査機関】

  1. AI確認検査センター(東京都町田市)業務停止(期間:4カ月と20日)
  2. ビューローベリタスジャパン(横浜市)業務停止(1カ月と10日)
  3. 国際確認検査センター(東京都中央区)業務停止(1カ月)
  4. 富士建築センター(神奈川県川崎市)業務停止(10日間)
  5. アウェイ建築評価ネット(東京都新宿区)業務停止(10日間)
  6. J建築検査センター(東京都渋谷区)業務改善計画書を提出(期限は3月6日まで)
  7. 日本建築総合試験所(大阪府吹田市)業務改善計画書を提出(期限は3月6日まで)
  8. ハウスプラス確認検査(東京都港区)業務改善計画書を提出(期限は3月6日まで)
  9. 西日本住宅評価センター(大阪市)業務改善計画書を提出(期限は3月6日まで)

これだけ多くの行政処分が一度に行われたのは、かって無い事。

指定確認検査機関が増え、競争激化により「早い、安い、ゆるい」が横行していた確認審査制度。株式会社としての利益を確保する為に、人件費削減で必要な人員が充足していない。雇用条件の見直し。外注化。過重労働が横行している。そういう労働環境が業界内に明らかなってきたのか人気がなくなってきてスタッフの補充が難しくなってきている。

指定確認検査機関制度を創設するときから指摘されていた危惧が全て的中している現状。行政指導の強化ではなく抜本的な見直しが必要な時期を迎えているのではないか。

国交省・指定確認検査機関等の処分について

新型ウイルス感染拡大

竣工間近の現場で、住設機器の納入時期が確定しなくなってきて、工事竣工引渡しに影響が出始めてきた。パナソニック、TOTO、LIXIL等がそうで、メーカーを変えても商品の確保が難しくなっている。機種変更依頼、在庫新古品ではどうかと要望が来ている。

中国全土での新型コロナウイルス感染が拡大する中、春節期間延長等によりサプライヤーの通常操業の目途が未だたっておらず、部品調達に遅れが生じている。また、中国における各住宅設備メーカーの生産拠点でも行政指導等により、操業停止を延長しており各メーカーの商品の生産に一部遅れの影響が出ている。

下記のような商品に影響が出ているようだ。

水回り商品(システムキッチン、システムバス、洗面化粧台、トイレ等)
建材(内装ドア、収納用建具)
空調設備(ルームエアコン、パッケージエアコン、換気扇)
電化商品(ビルトイン食洗器)
太陽光(パワーコンディショナー)

建築・リフォーム業界に受難。

イベント・セミナー等にも影響が出ていて、昨日17日から予定の組み換えが忙しい。

長引けば、日本の観光業界・飲食業界・インバウント向け小売業界に壊滅的な打撃をあたえるかも知れない。

「欲望の時代の哲学2020」マルクス・ガブリエル NY思索ドキュメント

既にNHK「欲望の資本主義」シリーズでメディアの寵児となり哲学界のロックスターとも呼ばれるマルクス・カブリエル。

2020年3月25日からNHK ・Eテレで放送が始まる「欲望の時代の哲学2020 マルクス・ガブリエル NY思索ドキュメント」を楽しみにしている。

「SNS社会の中、増幅する欲望、怨恨、そして分断。コミュニケーションツールとして期待を集めたデジタルメディアこそが私たちの社会を壊しているとガブリエルは指摘する。なにゆえに人々の心をむしばんでいるのか?カント、ヘーゲルを引きつつその本質を明らかにしていく。カントが考えた「自由意志」という概念、その先にある「目的の王国」とは?ドイツ伝統の哲学に新たな生命を吹き込むことで、現代人の心の問題を解き明かす。」

NHK ドキュメンタリー

先行して読んだのが「資本主義の終わりか、人間の終焉か?  未来への大分岐」

斉藤幸平氏とマルクス・カブリエル、マイケル・ハート、ポール・メイソンとの対談集。この新書5万部を突破した。

とっても刺激的な内容だった。哲学・経済の専門的な言葉が多いので、若干ついていけないところもあるが、今のシステムが限界を迎えつつあることは一人の社会人として肌で感じるし、どうにかして乗り越えないといけない時期がそこまでやってきてる感覚もある。

建築の技術や知識を学ぶことも大事だろうけど、基盤となる教養を広げることはもつとも大事。

「後藤新平・日本の羅針盤となった男」山岡純一郎著

昨今の新型肺炎の拡大で、以前読んだ この本を思い出し書棚から探してきた。

この本は、付箋紙だらけになっているから実に学ぶことが多かつた本なのだが、後藤新平が陸軍次官だった児玉源太郎の命を受けて担当した日清戦争後の検疫事業について書き出してみる。

日清戦争の戦地では伝染病が流行した。広島は、日清戦争の大本営(臨時首都)が置かれた。1895年(明治28年)3月から同年11月つまり戦争末期から終戦後兵士が凱旋して以降にかけて広島県内で3,910人(死者2,957人)うち広島市内1,308人のコレラ患者が発生したとある。
また当時大本営参謀総長である有栖川宮熾仁親王が広島で発症した腸チフスで1895年1月薨去し指揮にも影響した。

明治28年(1895年)4月1日、日清戦争の帰還兵に対する検疫業務を行う臨時陸軍検疫部事務官長として官界に復帰した後藤新平は広島沖の「似島(にのしま)」検疫所を作った。その他に彦島検疫所(下関市彦島)・桜島検疫所(大阪市桜島)も整備指揮を行った。

似島検疫所は、敷地面積2万3千坪、消毒部14棟、停留者舎24棟、避病院16棟、さらに事務所、兵舎、倉庫、炊事場、トイレ等、棟者以外に火葬場と汚物焼却場を造り機能させた。病院と消毒工場が合体したような世界最大級の検疫施設だったと書かれている。似島では最高1日4千人の検疫がされた。

検疫所開設までに与えられた時間は当初は3ヶ月間だったが、2ヶ月の不眠不休の突貫工事で完成させた。後藤新平の凄さは施設建設のハード面だけでなく、その運用ソフト面でもイニシアチブを発揮したことである。

検疫業務は凱旋兵を載せた輸送船が沖合に見えたところから始まる。沖に停めた船に検査官が乗り込み、伝染病患者や死者の有無を臨検する。患者は運搬船で避病院、遺体は屍室に送り船内の消毒を行う。健康な兵員は検疫所で20分間の淋浴し消毒する。衣類や携行品は熱気消毒、薬物消毒される。停留の日数は5日、その間に発病者出れば隔離し、さらに4日停留日数が延長される。

検疫を通過した人数は23万2346人。検疫船舶数687隻、そのうち患者を乗せてきた船は258隻。真性コレラ患者369人。疑似コレラ313人。腸チフス126人。赤痢179人。痘瘡9人と記録されている。

明治28年(1895年)は、全国でコレラ患者5万5144人。4万154人が死亡している。やはり日清戦争がコレラを流行させたといえる。ただ その5年前は平時でありながら3万5227人がコレラで死亡している事から、後藤新平が指導力を発揮した大検疫事業が行われなかったら、どれだけ死亡者が拡大したことか。翌年からコレラ死者数は数百人台に激減しているところから、入国する外国船の検疫を徹底的に行えるようになったことが要因だと指摘されている。似島・彦島・桜島の検疫事業は その後の成功モデルになった。

後藤新平は、行政手腕の巧みさから、臨時陸軍検疫部長だった児玉に評価され、児玉が第4代台湾総督になると台湾民政局長に抜擢されるのであった。

さて120数年前に世界から絶賛された検疫事業に学ぶことなく、迷走する日本の防疫対策のもとで新型肺炎は市中感染の段階に移った。あらためて日本の政治家や官僚には「人」がいなくなったのかなと思う。

「そして日本国憲法は作られた」

このところ幾つか同時並行で難しい症状の建物に取り組んでいるせいか、頭が悶々していた。気分転換に漫画でも読むかと 娘から借りていたこの本を読んだ。

最近は弁護士・司法書士・行政書士の法律家の皆さんとお付き合いが増えているので、常日頃一般的な法律知識の習得は欠かせない。

憲法改正の動きがあるが、現在の日本国憲法がどのような経過で作られたのか、そしてどういうものなのか正しく判断する必要があるのだろう。

マッカーサーが日本国政府に憲法改正を指示した時、政府案とは別に民間でも沢山の草案が作られた。その中でも有名なのが憲法研究会の「憲法草案要綱」。

この「要綱」は、
・「日本国の統治権は、日本国民より発する」
・「天皇は、国民の委任により専ら国家的儀礼を司る」
・「国民の言論・学術・芸術・宗教の自由を妨げる如何なる法令をも発布することはできない」
・「国民は、健康にして文化的水準の生活を営む権利を有する」
・「男女は、公的並びに私的に完全に平等の権利を享有する」
など現行日本国憲法と少なからぬ点で共通する部分を有している。一方、軍に関する規定を設けておらず平和思想の確立と国際協調の義務を定めるものの、戦力や交戦権の放棄についての記述はない。

GHQの原案は、国内の草案も参考にしながら1週間で作られたのは確かだが、その後の交渉経過で日本側の意見も十分に取り入れられ、3カ月半にわたる国会審議でも、国内の第一線の憲法学者や学識経験者が加わっている。「押しつけ憲法」と断じるのは、歴史を学ばないものの決めつけでしかない。

建築とは、まったく異なる本を読んでリフレッシュできた ! ?

住宅医に認定されました。

1月23日、一般社団法人 住宅医協会の住宅医検定会に臨みましたが、本日2月5日認定通知が届きました。

これから正会員登録をして正式に住宅医となります。

検定会の講評等で寄せられた意見・質問には、この場で回答したいと思います。

たぶん住宅医検定会に参加した人にしか、解りづらいものとなるかも知れませんが御容赦ください。


【Q :  リノベーション物件の不動産としての資産価値については どのように考えていますか】

【A :  既存建築物の検査済証の無い建築物は、建築基準法の集団規定が違反していなければ現在のところ購入の際に銀行融資は可能のようですが、既存建築物を売却したい場合「検査済証」が無いと買い手が中々つかないようです。買い手がついても売却希望価格よりかなり低減されると聞いています。本件のように検査済証の無い既存建築物を増築し全体として工事完了検査済証を取得して適合化することは、資産価値(価格)の下落を防ぐことができます。】


【Q  : 既存との一体増築ではなくEXP.Jにより構造的に分離することにした理由を、もう少し詳しく説明してください。】

【A : これは「増築等に係る制限緩和の主な条件(令第137条の2関係)・出典 東京都荒川区」PDFを見てください。kanwa-joken

本件は「増改築部分の床面積が既存部分の1/2以下」ですが → 「増改築部分の床面積が既存部分の延べ面積の1/20以下かつ50㎡以下又は大規模の修繕・模様替」ではありません。50㎡以下ですが1/20を超えています。 → 「増改築後に法第20条第四号となる建築物」とはなりません。軒高が9mを超えています。 → 「増改築部分と既存部分が構造上分離」ここで一体増築と分離増築の分岐点となります。一体増築なら既存部分は、現行法の「耐久性関係規定」に適合させなければなりません。分離増築ならば既存部分は「地震に対する耐震診断+暴風積雪に対する許容応力度計算」となります。

本件は、平成9年に確認済証取得で今回実施した建築基準適合性状況調査により適合しており新耐震建築物なので、既存部分の暴風積雪に対する許容応力度計算を実施しました。

一方、一体増築の場合は既存部分と増築部分を現行の耐久性等関係規定に適合させ地震+地震以外の構造計算を行わなければならない規定になっています。また既存は構造計算ルート2の建物ですから全体として構造適判の対象となることを避けました。増築部分は軒高を9m以下にしてXY方向ともルート1で構造計算を行いました。】


【Q  : 検査済み証の無い建物の増築にあたって「ガイドライン調査」ではなく「法12条5項報告」で行った理由をもう少し詳しく説明してください。】

【A :  平成26年7月に国土交通省は、既存建築物の建築当時の法適合状況を調査するためのガイドラインを公表しました。調査者は、国土交通省に登録した指定確認検査機関のみに限定しています。この通称「ガイドライン調査」は、法的根拠がない任意の制度です。そもそも指定確認検査機関は、特定行政庁の確認事務をおこなっているにすぎません。法第6条の2第8項に規定されているように特定行政庁が法に適合してないと認めたときは、民間指定確認検査機関の確認済証は効力を失います。その結果、指定確認検査機関、確認検査員、設計者は処分を受けることがあります。

既存建築物の現場では、調査方法や調査結果の判断も含めて建築主事の法的判断が必要となることが多く、決してマニュアルだけでは解決できない問題に直面します。

何故弊社が多くを「ガイドライン調査(民間指定確認検査機関)」ではなく「法12条5項報告(役所)」を選択しているかというと、危機管理意識の問題だと思います。その他具体的には様々な相違がありますが、それは個別に回答します。】

般若心経

時々「般若心経」を聞く

歌う僧侶・薬師寺寛邦キッサコ

薬師寺寛邦 キッサコ

愛媛県今治市 臨済宗・海禅寺 副住職

【書き下ろし文】

観自在菩薩、深般若波羅蜜多を行じし時、五蘊皆空なりと照見して、一切の苦厄を度したまえり。
舎利子、色は空に異ならず、空は色に異ならず。
色はすなわちこれ空なり、空はこれすなわち色なり。
受想行識もまたまたかくのごとし。
舎利子、この諸法の空相は、不生にして不滅、不垢にして不浄、不増にして不減なり。
この故に、空の中には、色もなく、受想行識もなし。
眼耳鼻舌身意もなく、色声香味触法もなし。
眼界もなく、乃至、意識界もなし。
無明もなく、また無明の尽くることもなし。乃至、老死もなく、また老死の尽くることもなし。
苦集滅道もなし。
智もなく、また得もなし。無所得を以ての故に。
菩提薩埵の、般若波羅蜜多に依るが故に、心に罣礙なし。
罣礙なきが故に、恐怖あることなし。一切の顚倒夢想を遠離し究竟涅槃す。
三世諸佛も般若波羅蜜多に依るが故に、阿耨多羅三藐三菩提を得たまえり。
故に知るべし、般若波羅蜜多のこの大神呪、この大明呪、この無上呪、この無等等呪を。
よく一切の苦を除き、真実にして虚しからず。
故に般若波羅蜜多の呪を説く。
すなわち呪を説いて曰く、
羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶
般若心経