「建築物省エネ法説明会~適判における疑問点と対処法の紹介」

今日は、朝から川越市役所に行き 折り返して永田町へ、午後から「建築物省エネ法説明会~適判における疑問点と対処法の紹介」講習会に参加してきた。地下鉄有楽町線と東武東上線を東西に行き来しているだけなので電車の中で睡眠時間を補えれる。

2017年4月からの建築物省エネ適判は、自分は3件しか経験していないが、建築確認決済に合わせてバタバタと修正し間に合わせたようになった。これから軽微変更や計画変更、完了検査を迎えるわけだが、その経験を踏まえていないので、どういう問題点が発生するのかわかるのはこれから。

夕方 事務所に帰ると、(株)計画・環境建築 代表取締役 澤崎宏氏が今朝亡くなったとの訃報が届いていた。

東京都建築士事務所協会 千代田支部長、工学院大学非常勤講師、工学院大学校友会役員等、数々の公職を勤めている。

彼は大学の後輩にあたるので、会えば働き過ぎだよと注意していたのだが、昨年夏ごろから体調を崩し、入院して闘病していた。暮れに容態を聞いたとき この日が来るかもしれないと思っていた。

無念だろうな澤崎君。

残念だよ 君がいなくなって

合掌

「伝統的民家における温熱特性と現代住宅への応用に関する研究」金田正夫著

本書は現在、無垢里一級建築士事務所を主宰されている金田正夫氏の学位論文です。金田氏は 設計実務を続けながら法政大学に学び2011年3月に博士号を取得され、現在も実務と研究を続けられている「在野の研究者」です。

本書では、民家の温熱特性については茅葺屋根の日射遮熱効果や民家の通風特性についての既往研究は調査事例があり解明されつつあるとし、夏季における置き屋根による日射遮熱、土壁による西日遮熱、民家構成材による調湿、冬季における放射熱源と土壁の採熱・蓄熱については調査事例が少なかったので それらを補完するのが本研究の第一目的としています。

また、民家の温熱特性を現代住宅の諸条件の中で応用し、その効果を対比検証していますが、それが第二の目的としています。

とりわけ面白いと思ったのは「置き屋根(二重屋根)」による遮熱効果。夏の良好な温熱環境をつくるうえで無視できない西日遮熱の問題。民家の調湿効果を類似の新建材に特化した調湿実験の結果。約10年間にわたる実測に裏打ちされた研究成果が満載されています。

「自費出版」ですが、住宅の温熱環境に関心がある人には読んでほしい一冊です。

申込は 下記「無垢里」サイトへ

無垢里

 

新「そらまどの家」 丸谷博男著

「地球の恵みの素は、太陽の熱 その熱は、1億5千万㎞を駆け抜けてきた輻射熱です。 「そらどま」は その輻射熱を 住まいに採り入れ その輻射熱で 採暖採涼をします。 太陽の恵み「そら」の熱と 地球の恵み「どま」の熱を 両手両足を背一杯広げて 受取る仕組みです。 そして、人と住まいの健康の素「呼吸する家」をつくります。」

エコハウス研究会

エコハウス研究会のホームページ巻頭に書かれていた この言葉にほれぼれとしました。

「そらどまの家」はフランチャイズではなくオープンシステムです。

「その土地の微気候、それぞれの工務店の工法や技術力にふさわしい、きめの細かいパッシブな家づくりを創案し、皆様のものにしていただこうというものです。このような考えこそがパッシブデザインの本質と考えています」

高断熱・高気密住宅には違和感をずっと感じています。ビーニール袋にアルミの蓋住宅の傾向は、今も昔も何ら変わっていません。省エネと言いながら石油製品の断熱材を多用する矛盾。

日本の風土と共に息づいてきた伝統工法の知恵を生かした家づくりは憧れですが、庶民には高嶺の花であるという現実も存在しています。

省エネ適判が始まって・・

省エネ適判・非住宅2000㎡以上が2017年4月1日より始まり二カ月半あまり経ちました。この間二つの審査機関から計3件の省エネ適合通知を貰いました。内、標準入力法2件、モデル建物法1件でした。

他にも省エネの届け出は、数多く提出していますが、届出とは異なる適判ならではの問題があります。

とりあえずの感想としては「省エネ適判の実務者は大変だぁ~」でした。

恐らく省エネ計算をする担当者、審査者も同じような感想を持っているのではないかという想像しています。

まず第一に省エネ適合となると意匠・設備関係の変更・修正の影響を確認済証交付の最後まで、まともに受けます。これは構造適判とは異なるところです。

意匠図と設備図との整合、開口部の変更、面積の修正や変更、消防からの指摘事項に伴うもの(消防法の無窓階判定により開口部が変更になったりとか)、建築確認申請が本受付になり、消防同意送付をしている短い期間で補正をして省エネ適合通知を貰っておかないと建築確認済証は交付されないからです。

大概のプロジェクトは確認済証交付日の厳守は絶対ですから、実務者は翻弄されます。

出す側も審査する側も初めてなので、これから試行錯誤しないといけないかと思いますが、幾つか改善点があると思います。

1、意匠設計者や設備設計者の図面等の記載事項・記載方法の改善

  • 断熱仕様等の名称・厚み・(密度)等は正確に記載する
  • 平面図に室面積・天井高を記載してもらう
  • 幾つもの図面に同じことを記載しない。不整合を生じる要因
  • 設備関係の機器の仕様は、新しいカタログから引用する。時々廃番あり
  • とにかく設計者は、意匠図や設備図等との整合は自分でやってほしい。
  • その他多数あり

2、審査機関は、なんでもかんでも計算根拠・図の提出を求めない

例えば

  • 換気扇の定格出力は、消費電力(KW)×電動機効率(0.75)×1/1000=定格出力(w)で電卓をチョコチョコと叩き入力シートに記載するが 、計算根拠の提出を求められた
  • 給湯機器の定格加熱能力と熱源効率の計算根拠を求められた。ガス給湯器の32号の場合、定格加熱能力は 32号×1.74=55.68KW、定格消費電力が0.075KW、定格燃料消費量(表示ガス消費量) LPG 58.7とした場合。熱源効率は、定格加熱能力/定格消費電力×9760/3600+定格燃料消費量で求めるのだが、これも今までは電卓をチョコチョコ叩いて入力していた。
  • とにかく第三者が審査するとなると、とかく数値の根拠を求められますが簡単な計算のものは根拠を求めないでほしい。

3、審査機関は自分でWEBPRO等のプログラムを使ってみて欲しい

  • 省エネの室用途は、建築基準法の室用途とは異なります。換気があっても換気計算対象室になっていない室用途はエラーが出るので別の室用途にしなければなりません。現実の建物は多様なのです。自ら入力シートを作成しプログラムで計算して経験の上で指摘して欲しいものです。

4、省エネ適判の時代に備えて、特に意匠設計者の頭を切り替えて欲しい。

全建物省エネ適判の時期は迫ってきています。設計のスケジュール管理や図面の記載方法、省エネサポーター等の外注任せでは これからはいけないと思いますよ。

他にも書きたいことはありますが、この程度でやめておきます。

深夜? 、早朝5時に毒を吐いてしまいました。

モデル建物法と標準入力法

4/1から非住宅2000㎡以上の省エネ適判が始まり、今日2件の省エネ適判の事前申請を提出してきました。連休明けにもう1件省エネ適判の事前申請を提出しないとなりません。今晩はつかの間のオフ。ブログに投稿する余裕がちょつとできました。

建築物省エネ法における非住宅建築物の計算方法については、「標準入力法」「モデル建物法」「主要室入力法」があります。

【モデル建物法】

建物用途毎に建物形状や室用途構成などを想定したモデル建物に対して、評価対象建物全体の外皮や設備の仕様を適用した場合のPAL*及び一次エネルギー消費量を算定して評価する簡易な計算方法です。

【標準入力法】

評価対象建築物の室毎の面積や外皮・設備の仕様を入力して計算します。
BELS認証取得など詳細な数値が必要な場合は、実際に建つ建物の面積・形状に仕様を当てはめて計算する標準入力法を採用しす。入力に時間がかかり設備の知識も一定程度必要です。

「モデル建物法」は、「標準入力法」よりも計算方法は簡易ですが、一般的には1割ほど安全側(不利側)の評価結果になります。「モデル建物法」でクリアできない建物でも、「標準入力法」で計算する事でクリアできる場合も有ります。

【主要室入力法】

小部屋などの主要でない室の入力を省略できる計算方法ですが、主要室選定の条件が複雑で適用が難しい場合があり、実務的には使いづらくあまり使われていないと聞きます。計算支援プログラム(WEBPRO)は標準入力法と同じです。

【モデル建物法か標準入力法の選択】

建物の図面を見た時に、モデル建物法か標準入力法で行うか判断しないとなりません。入力作業量がかなり違いますので見積額・報酬も異なりますし、省エネ適判の申請料も大きく異なります。

通常 建物の用途が単一(飲食店・事務所・学校・物販店等)あるいは2程度であり、建物形態が単純であればモデル建物法。建物用途が多数の複合建築物であれば標準入力法の方が逆に入力が簡単であり、説明資料の作成も簡単ではないかと個人的には思っています。ましてやモデル建物法のような大雑把な計算方法で本当にいいのかしら??とも思うので、出来ればすべて標準入力法でやりたいところです。

とは言え趨勢は「モデル建物法」になっていく事でしよう。政策的にも省エネレベルを安全側に誘導できるのですから。BELS認証が必要な建物や特殊な形状なものなどが「標準入力法」を採用することになるのではないかと思います。

ともあれ省エネ適判が始まり、その混乱の渦の中にいます。建築確認申請と同時並行って結構疲れます。

なたねづゆ

【車窓から・飛鳥山の桜】

菜の花が咲く頃の3月から4月にかけての 降り続く小雨のことを菜種梅雨(なたねづゆ)と、いにしえから言うそうですが、それにしても今日は寒いですね。

このところ引きこもりで省エネ計算に取り掛かっています。

今年は花見も行けていません。

多分 ゴールデンウイークもずっと仕事になりそうです。

3月末から4月にかけてH28基準の省エネ計算ツール、入力シート等が変更になり、またエネルギー消費計算計算プログラム入力シートからモデル建物法入力支援ツールの入力シートを生成するコンバートツール等も発表され新規建物の計算に追われる中で変更箇所を勉強していました。

モデル建物法を推奨するのは、建築環境技術者・設備技術者が建築業界・審査機関に少ないからというのもありますね。

建築環境技術者というのは今後確立した領域としなければならず、その人たちが省エネ・CASBEE等を扱っていくのが望ましいと思います。

弊社は、省エネ計算は基本的に標準入力法ですがコンバートツールを使ってみて、標準入力法の場合とモデル建物法で、どの程度差異があるか興味深いです。

弊社は、立方体の建物の省エネ計算を依頼されることは少ないので、標準入力法で計算しておいて、BPI・BEIに余力がある場合はコンバートしてモデル建物法で省エネ適判に提出するというのが良いかなと思ってます。

省エネ適判の申請料が、どこも高額なので顧客の負担を減らすためにはコンバートする方が審査時間も短縮できるから良いのかなと思いますが、こちらの手間は少し増えますね。

これから何件か省エネ適判を提出しますが、審査機関の対応はどんなもんでしょうか。

4月 新年度

4月、新年度になりました。寒の戻りがありましたが桜はあちこちで咲き始めました。

4月1日から建築確認申請書式が新しくなります。そして非住宅2000㎡以上の建物の省エネ適合判定がいよいよ始まります。

登録建築物エネルギー消費性能判定機関(多くは民間の指定確認検査機関)が「建築物省エネ法判定業務規程」と「料金表」を発表し始めています。まだ準備中のところもあるようですが、来週中には各社出そろうでしよう。

各社とも建物用途、面積別、入力法の三つで料金を考えているようですね。

審査対象面積が2000㎡~5000㎡までは同価格で標準入力法・主要室入力法の場合はモデル建物法の概ね倍の価格というところが多いですね。

意外と高い料金設定になっているという印象を持ちました。

例えばA社は審査対象面積2000㎡から5000㎡で用途が老人ホームの場合、標準入力法・主要室入力法で250,000円(税別)、モデル建物法で150,000円(税別)となっています。B社は同条件で標準入力法・主要室入力法で300,000円(税別)、モデル建物法で150,000円(税別)となっています。

建築確認申請と併願の場合は減額したり、事業者別に特約を締結して実際は料金表より低価格で受注している指定確認検査機関が多いと聞きますから、実勢価格は公表価格と異なるでしようけど。

指定確認検査機関の受付窓口に、審査機関系列会社と思われる省エネ計算コンサル会社や省エネ計算サポート会社のチラシを置いて業務を誘導したり、計算は系列会社で行い審査は審査機関でワンストップというのは止めて欲しいものです。

遮熱措置

倉庫業の登録は10種類に分類されますが一類倉庫は、求められる構造基準が厳しい分、保管可能な物品の種類も多くなっています。危険物及び高圧ガス、10℃以下保管の物品を除いた全ての物品の保管が可能です。

一類倉庫の施設設置基準は、倉庫業施行規則運用方針(H14.3.29付け、国総貨施第25号)に詳しく記載されていますが、その中に表題の「遮熱措置」(則第3条の4第2項第6号)があります。

既存の自己用倉庫を一類倉庫として登録申請するためには施設設置基準を満たさなければなりませんが、その中の一項目である「遮熱措置」の規定は、屋根・外壁・開口部の平均熱貫流率が4.65W/㎡・K以下となるようにしなければならないと定められています。

熱貫流率、熱伝達率、熱伝導率等、建築の環境計画を学んだ人なら基本的な事を知っていれば容易に計算できますが、外皮の平均熱貫流率が4.65W/㎡・K以下というのは、結構緩い基準のようにも思えます。

私の試算では、屋根が折版の場合は断熱ペフt=4mm、外壁は角波サイディングに石膏ボードt=9.5程度があれば平均熱貫流率は満足するようでした。

もつとも運用方針でも、天井がある場合や準耐火構造の屋根、外壁の場合は適合しているものとして扱うとありますから、さほど厳しい基準ではないということです。

昔は、おおらかだったのに・・

最近、知人から聞いた話ですが、

確認申請・実施設計が完了し、省エネ設置届をコンサルに依頼したら計算がOUTになったので断熱材の仕様を変更して省エネ設置届を提出した。仕様変更の旨を工事会社と建築主に告げたら、それは設計者の瑕疵だから断熱仕様変更に伴う追加工事費は、設計者が負担すべきとなり、設計監理料から減額されることになった。との事でした。

昔は、追加になっても工事会社で面倒みてくれたり、他の部分で変更してプラスマイナス0にすることもできましたが、今は 世の中余裕がないというか、すぐコンプライアンスがどうのこうのと言われる方もいるみたいです。

省エネ関係の法令や計算ブログラムは毎年のように変わっているので、過去の経験だけで省エネ仕様を決めていると、紹介した事例のように、あとで痛い目にあうこともあるようです。

弊社は、特定の会社の省エネ支援しかしていませんが、非住宅の建物用途も毎回異なりますし、形態も結構複雑なものが多いので計画段階から一緒に省エネ検討を行っています。断熱材の仕様選定、開口部やガラスの仕様選定は、計画段階で確定できます。

このところ省エネスタディーの毎日です。

建築物省エネ法の詳細説明会@東京

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11/15「建築物省エネ法の詳細説明会」国際フォーラムに参加してきました。いよいよ来年H29年4月(予定)より、非住宅部分の面積が2000㎡以上の建築物の新築建物について、省エネ基準への適合義務化が始まります。

それについての適合義務(適合性判定)・届出マニュアルについて、設計図書記載例・工事監理マニュアルについて詳細が明らかになりました。

計算方法については、これまでの「モデル建物法」の5000㎡以下の建物に適用としていた面積要件を撤廃、中央式空調の評価を可能にし、建物用途の適用を現行8モデルから14モデルに選択肢を増やし、集会場モデルでは計算対象室用途を12に増やしています。

省エネ法の計算法である「標準入力法」から「モデル建物法」へと誘導しています。標準入力法とモデル建物では、その計算手間、審査手間は雲泥の差がありましたから、その誘導の意図はわかります。ただ弊社としては、同一建物で標準入力法と新モデル建物法の計算比較をしていませんので、これまでの建物を比較してどの程度の差があるかを把握しておきたいと考えています。

省エネ適合義務に合わせて設計図書への記載方法も変更する必要があり、仕上表や建具表、設備関係の機器表への対応が必要です。適合義務マニュアルに沿う設計図書が設計者・設計事務所に周知徹底されるかどうか不安が残ります。今でも従来通り、設計図書が完了してから省エネ届を依頼してくるケースが多いの現状です。仕上表への記載名称や数値は整合しなければなりませんが、それが相変わらず省エネ届出に対応していない為、あとから設計図書を是正してもらうことが多いです。また省エネ適合義務と建築確認申請の時期が同時期ですから、一定期間業務の混乱が起こる可能性が高いように思えます。

省エネ適合義務においては、計画変更申請と軽微変更が、ほとんど発生するものと予想しています。

業務が大きく増加しそうなのが工事監理と施工管理事務です。大規模な建物=設備工事監理担当者がいる。施工管理者(現場監督)が多数いるような物件では心配不要でしょうが、意匠設計者が工事監理全般をみているような建物、所長しか正社員でないような弱小現場での事務量増加による負担と責任は、これまでより、かなり重くなると予想します。

ともあれ省エネ適合義務に係る詳細が明らかになりましたから、スムーズに対応できるように、よく読んで準備を怠らないようにしたいと思っています。

 

ERIアカデミー・住宅・建築物の省エネを学ぶeラーニング講座開設

e-learning

株式会社ERIアカデミーは、株式会社建築技術とのコラボレーションにより、建築技術者を対象とした住宅・建築物の省エネを学ぶeラーニング講座“eri-college”を10月1日から開設しました。

株式会社ERIアカデミーのサイトには「開設目的」について、以下のように書いています。

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「1. 開設の目的
建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)に基づく省エネ性能表示努力義務が始まり、大規模非住宅建築物の省エネ基準適合義務化を控えるなど、住宅・建築物の設計者や技術者にとって、省エネ性能に係る知見が重要になってきています。
当該分野に関する情報提供の要請が急増していることなどから、設計者や技術者を対象にした専門家による住宅・建築物の省エネに関するeラーニング講座を開設することといたしました。」

*

2020年までには、省エネ基準への適合が義務化され、また標準的な新築住宅がZEH化されるなど、建築・住宅の省エネ性能向上に向けて事業環境が急速に変化しつつあります。省エネは、これからの設計者にとって必須の知識になろうとしています。

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早速 開講されている4つの講座の内、2つの講座を聞いてみました。1講座16分ぐらいで無料で聞けます。グルーバルな視点から語られているのが特徴で、実務に漬かっていると 時々 こうしたグローバルな視点の話を聞くと新鮮です。

http://www.a-eri.co.jp/elearning/

リノベ―ションと断熱改修

雑誌等に紹介されているリノベーションの事例には、コンクリート躯体を剥き出しにしたスケルトンのものや、既存の断熱材や断熱効果のある天井を撤去してしまったものが散見される。断熱改修どころか、既存建物より断熱性能が低下しているような断熱改悪のような事例もある。

省エネ法では、用途変更(コンバージョン)でも、省エネ法の届出が必要な場合がある。第一種特定建築物(2000㎡以上)の場合で、それ以下の面積や別紙の要件に該当しているものでも意外と省エネ届出は作成提出されていない。なかには、検討して断熱性能指標(PAl*)や一次消費エネルギーが未達成で、断熱材の変更が必要だと告げると工事費が嵩むからと「省エネ届出」そのものを提出しない人もいる。

「届出対象となる特定建築物の修繕・模様替・設備改修の規模一覧表」(横浜市)

弊社が最近関わったプロジェクトで、廃校となった小学校を用途変更して展示場等にする計画の省エネ検討を紹介する。

省エネ3地域で、木造平屋の一般校舎とRC造2階建ての特別教室等部分により構成されている延床面積1800㎡、築23年の比較的新しい既存建築物である。

プロジェクトは基本計画段階の為、今後実施設計に移行した際、内部の平面計画や天井高さ等が変更になる可能性があるため、現存する既存設計図書に基づき、外皮性能指標(PAL*)を算出し、その上でH28省エネ基準に適合するよう外皮性能指標(PAL*)を算出する省エネ改修計画を立てた。

リノベーション時の断熱改修は、施工性や経済性を勘案する他、大規模模様替えに該当しないように法規上の問題も検討しておく必要がある。

既存建物は、木造平屋の一般校舎とRC造2階建ての特別教室等部分に構造的に分かれている為に、外皮性能指標(PAL*)は、別個に計算した。下記に既存建物(学校)及び断熱改修前(展示場)、断熱改修後(展示場)の外皮性能指標(PAL*)を示す。

0007以上の検証により、既存建物(学校)の木造部分は達成していたが、RC部分は未達成だった。展示場に用途を変更して検証したところ、やはり同じように結果となった。そこで断熱改修は、屋内側からの施工に限定しシュミレーションしたところ、いずれも達成した。実施設計段階では、用途・内部間仕切り・天井高が変更になる可能性が高い為、計画段階では余裕のある断熱改修計画が望ましいと考えている。また今回の検証結果により工事費が嵩む開口部(サッシ・ガラス)の変更は必要ない事が事前に把握でき、コストコントロールに寄与できたと評価された。築年数が比較的新しく旧基準とはいえ一定の断熱材が施工されていたのが幸いし、比較的軽微な断熱改修計画になった。

尚、計画段階では一次消費エネルギーの検討は行っていない。又標準入力法により計算を行っている。

省エネ適合に対応して設計は二段階ロケットに?

建築物エネルギー消費基準への 適合性判定の制度が平成29年4月に迫ってきた。2000㎡以上の建築物は、建築確認申請時に構造適合と同じように省エネ適合を受けなければならなくなる。

その省エネ適合機関となる登録建築物エネルギー消費性能判定機関の登録要件として適合性判定員の選任が必要とされ、この制度の円滑な開始のために、施行前に一定数の適合性判定員の資格要件者確保する必要から、一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構で国土交通省補助事業として事前講習「省エネ適合性判定に関する講習」の開催計画が発表された。

これまでは施工着手日21日前までに省エネ設置届を特定行政庁に届出すれば良かったが、来年4月からは指定確認検査機関に確認申請を提出する場合(2000㎡以上)、事前審査段階に省エネ適合計算書を間に合わせ省エネ適合性判定を受けなければならない。

設計事務所・設計施工の建築会社にとつて建築確認済証を取得する日時は、契約上とても重要であり、工事着手日に影響することから、申請スケジュールは厳守である。

意匠・構造・省エネと同時並行的に審査が進められている中、かつ建築主側からの変更の要望を組み入れながらで、事前審査段階での省エネの修正対応が忙しくなることが予想される。

また非住宅の場合、これまで確認申請図書には不要だった一般照明図、空調図、(建具表)なども省エネ計算をするには必須となるため設計スケジュールは、これまでと大幅に変わることとなる。

それゆえにある規模以上のプロジェクトでは、確認申請段階ではとりあえずの設計図書を作成し確認済証を取得後、基礎工事段階でVE等に伴う空調機器や一般照明器具の変更等を反映して計画変更確認申請を提出するようにならざるを得ないのではないかと思われる。すなわち設計・確認二段階ロケットである。

ところで省エネ適判となった場合、確認検査員は工事完了検査において設置されている空調機の機器、照明器具の機種、個数等は確認するのであろうか。あるいは工事監理者からの報告書類のみで適合判定をすることになるのだろうか。

弊社はH25年基準以降、比較的複雑な形態(外皮計算が面倒な)の建築物の省エネ設置届の作成を業務として行ってきた。

最近はプロジェクトの基本設計段階で参画し省エネ計算でシュミレーションし必要な断熱性能・断熱材の種別などを意匠設計者側にフィードバックしている。こうした参画ができる場合は、設計者にコストコントロール意識があるときである。

リノベーション案件でも基本設計段階で既存図を基に省エネシュミレーションを行い施工性や大規模模様替えにならないよう配慮し断熱改修を提案し意匠設計者側にフィードバックしている。標準入力法で計算しているので、予算が限定されたリノベーションの場合、例えば北側だけ壁面断熱改修をするとか細かなシュミレーションが可能となる。

来年は、省エネ適判導入によつて忙しく振り回されそうな予感がする。

卯月(うづき)

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 四月 新年度になった

卯の花が 咲く月「卯の花月(うのはなづき)」

相変わらず近所しか出て歩かない生活が続いている

従前の省エネ法の基準の経過措置期間が終了し、

4月1日から、

住宅用途の平成25年省エネ法基準も完全施行された。

 共同住宅系における省エネ基準適合の評価は面倒にはなる。

計画段階からの環境設計部分でのプロジェクト関与が必要になってきている。3月末で整理してみたら、いつのまにか環境設計(省エネ・CASBEE・ビル管・避難安全検証等)の業務の割合が大きく増えていた。

既存建物も含めて多くの建物が環境配慮型の建物になっていってもらいたいものだ。

「建築物省エネ法(案)」が閣議決定された

報道によると、本日3/24大規模な建築物に省エネルギー基準への適合を義務付けることなどを盛り込んだ「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」案が閣議決定された。今国会での成立を目指すとのこと。

http://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_000584.html

大規模な非住宅建築物(特定建築物=2000㎡以上)について、新築時等における省エネ基準への適合義務及び適合性判定義務を課し、これを建築確認で担保することとなる。今国会で成立すれば2017年施行となり、その後2020年までには段階的に対象建物を増やしていく計画との事。

数年前から噂されていたように、いよいよ省エネ(特定建築物のみ)も建築基準法の関係規定となるわけで、指定確認検査機関の多くが建築物エネルギー消費性能適合性判定機関として登録することになろう。書類上の審査は、数値の適合さえチェックしていくだけでよいのだから容易だが、性能基準で計算するのは中々大変。

長年の建築設計業務から指定確認検査機関に行き、又建築設計の立場に戻った身になった経験から審査と設計とは、まったく異なるもの。

性能基準での省エネ計算には、建築の知識、環境設計の知識、設備の知識が必要で、ちまたでは省エネ技術者が不足していると聞く。

H25年基準が施行された昨年度から省エネコンサルタントの業務がパンク気味で、納期がかかっているようだ。人材不足もあるけど、従来の仕様(例えばH11基準)で設計したものを設計図書が完成してから、あるいは工事契約が終わってから省エネ届を提出してくれといわれても外皮性能も一次消費エネルギーも適合しないことがほとんどだ。

検討→不適合→断熱仕様の見直し・予算の検討等→断熱仕様の仮決定→再検討→適合・省エネ届という繰り返しが時間を費やしている。これからは基本設計段階で省エネの検討を並行して進めなければならないという頭に切り替わっていない。

弊社も昨年来 これまでお付き合いのある会社の省エネ計算・届出の業務が増えていたが、年度末になってH11基準の駆け込みや、基本設計段階のH25基準での省エネ検討が重なり、頭がゴチャゴチャになっている。

H11年基準とH25年基準 外皮性能は従来の設計仕様では、ほとんど不適合だということを認識してもらいたい。