【用途】大規模進学塾・予備校

建築基準法における「学校の定義」は、文部省又は都道府県の設置認可を受けたものをいう。

予備校のうち、各種学校又は専修学校として学校教育法に基づき認可されたものは建築基準法上も各種学校又は専修学校として取り扱われる。そうでないものは令第130条の5の2第5号に規定する「学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設」として扱うのが一般的であると思う。「学習塾」の場合、用途の大分類上は「事務所」であり特殊建築物でないということになる。ゆえに用途変更確認申請は不要となる。

学校法人か株式会社かという違いで、実態はさほど変わらないにもかかわらず建築基準法上は「学校」か「事務所」に取扱いが分かれる。これは最近増えてきたインターナショナルスクールでも同じことが言える。インターナショナルスクールの場合は、まだ学校法人の認可を受けたものは少ないと思う。

学校法人だと法人税が非課税となるなど税制面で優遇を受け、専門学校・各種学校等の認可を受ければ補助金も受けることができるそうだが、新興の予備校は株式会社のところが多い。

従来からある学習塾や予備校が大規模化してきている。しかも多くは駅周辺のビルに入居している。

ある事務所ビルの6階以上の階に予備校がテナントとして入居することになった。このビルは、階の居室面積が200㎡以下で屋外避難階段+避難上有効なバルコニーの設置により(令第121条第1項第六号(イ))より、ひとつの屋外避難階段と9人乗りのエレベーターが設置されている。

上記の計画は、駅周辺の高層テナントビルとして、かなり一般的である。

居室の面積が200㎡以下で教室のレイアウトをしてみると150人以上は収容できる。仮に3フロアー使用すると教職員を含めて500人が収容される。これだけ収容人員が増えても「事務所」で取り扱って本当に良いのだろうか。

9人乗りのエレベーターで迅速に縦移動ができるとも思えないから、屋外避難階段を使って縦移動をすることになる。使用上支障が生じそうなものだ。

遵法性遵守といいいながら、本当にそれだけで良いのかという疑問が生じることが多い今日この頃。

再建築不可 -2 法第43条第2項

従来の「法43条但書」は無くなり、現在は、法43条2項1号(認可)2号(許可・建築審査会)になっています。

43条但し書きの改正法が平成30年6月27日に公布されています。(43条但し書きと説明した方が、「すぐわかる」という建築関係者の方が多いので ついつい言ってしまいます)

第2項第1号認定及び第2項第2号許可の適用にあたっては、事前に行政の担当課との相談が必要です。
接道義務に対する例外的な認定・許可になるため、法の主旨に基づく適切な判断が求められているので、比較的長い打合せ期間と(許可の場合は)建築審査会の同意が必要となりますので、認定・許可を受けるまでにかなりの期間を要します。

内容によっては適用できない場合もあり、認定・許可になったとしても、将来建替える際には、改めて適用の可否の判断が必要となります。

建築基準法第43条(改正後、平成30年9月25日施行)
第1項 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。
第2項 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
 その敷地が幅員四メートル以上の道(道路に該当するものを除き、避難及び通行の安全上必要な国土交通省で定める基準に適合するものに限る。)に二メートル以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの
二 その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの

【関連】
建築基準法施行規則第10条の3
第1項 法第四十三条第二項第一号の国土交通省令で定める基準は、次の各号のいずれかに掲げるものとする。
一 農道その他これに類する公共の用に供する道であること。
二 令第百四十四条の四第一項各号に掲げる基準に適合する道であること。

第2項 令第144条の4第2項及び第3項の規定は、前項第二号に掲げる基準について準用する。

第3項 法第四十三条第二項第一号の国土交通省令で定める建築物の用途及び規模に関する基準は、延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合にあっては、その延べ面積の合計)が二百平方メートル以内の一戸建ての住宅であることとする。

第4項 法第四十三条第二項第二号の国土交通省令で定める基準は、次の各号のいずれかに掲げるものとする。
一 その敷地の周囲に公園、緑地、広場等広い空地を有する建築物であること
二 その敷地が農道その他これに類する公共の用に供する道(幅員四メートル以上のものに限る。)に二メートル以上接する建築物であること。
三 その敷地が、その建築物の用途、規模、位置及び構造に応じ、避難及び通行の安全等の目的を達するために十分な幅員を有する道路であって、道路に通ずるものに有効に接する建築物であること。

再建築不可 -1  相談事例

建物の新築、改築、増築を行う場合には建築確認を受ける必要がありますが、建築基準法第42条で定められた道路に対し、当該敷地の接道間口が2m未満の場合は、これら既存建物の新築、改築、増築ができませんので、既存建物の再建築不可ということになります。

昨年末から、たて続けに再建築不可物件の相談がきています。

今までは、関わりが少なかった小規模木造住宅ですが、再建築不可物件の活用需要が高まっているのでしようか。

1、隣地の再建築不可物件の土地建物(B)を購入したが、その建物を取り壊し、現在住んでいる住宅(A)と繋げて増築したい。住宅(A)は検査済証が無いので諸手続きをお願いしたい。

2、再建築不可物件を相続したが建て直したい(改築)、ただし従来の法第43条但し書きの適用が受けられそうなので諸手続きをお願いしたい。

3、再建築不可物件を購入して大規模なリフォームを行い貸家にしたい。その場合設計から工事会社の紹介までお願いできるか。

再建築不可物件は、資産としての活用価値を正しく評価されず解体されることや、不動産価格が安く売却されることがありますので、是非弊社に相談をしていただければと思います。

用途変更の設計者資格と工事監理者

先般 用途変更の確認申請書類を役所に受理しに行った時の事。

副本に、「着工前に工事施工者届、工事監理者届を提出してください。それが提出されていないと工事完了届は受理できません」とメモしてあった。

「用途変更は工事監理者不要では?」「(法第87条の)準用規定から除外されているはずだよ」役所担当者「ちょつと調べてみます」

用途変更については、建築基準法第87条の準用規定に於いて、200㎡超の特殊建築物の用途に変更する場合に建築確認申請が必要とされています。
しかし、法第87条の用途変更の確認に対する準用規定に於いては、法第6条3項は除外されています。
即ち、用途変更については建築士法第3条の建築士の業務範囲が確認申請を受理を拒否する理由にはなりません。
つまり、用途変更確認申請・設計は、資格に関係なく誰でも行うことが出来るという事になります。ただし これは申請上のことで、業務として報酬を伴うものは建築士事務所登録が必要となります。

建築士法第3条の、資格による業務範囲についても、新築、増築、改築、大規模修繕、大規模模様替えについては、可能な設計・工事監理の範囲を定めていますが、用途変更については記載がありません。用途変更をするに当たり、増築・改築・大規模修繕・模様替えが伴わないのなら、工事監理者の資格もその存在も問われません。

しばらくして役所担当者「工事監理者届は不要です」との回答。


2019年10月22日追記

*横浜市では、横浜市建築基準条令第56条の6、第1項、第2項で、用途変更でも工事施工者、工事監理者の選任届が必要と規定している。


現在では、この用途変更に関わる部分の建築基準法・建築士法の規定は問題ありだと思います。

例えば床面積10,000㎡の用途変更や10階建てのビル全体の用途変更(フルコンバージョン)でも工事監理者が不要という事になります。設計者の資格も問われない。工事完了検査は不要で工事完了届(ただし監察対象となる場合がある)のみというのは、いかがなものでしょうか。これで遵法性を保持できるでしょうか。

用途変更の確認申請料が民間でも役所でも低価格すぎないか? 少し申し訳なささもありますので、料金についてもここに記しておきます。

又、用途変更は建築確認申請に際して「建築工事届」の提出が不要な為、国交省の統計データーから除外されてしまいます。どのぐらい用途変更の確認申請があるのか、実態は消防の統計データーで把握しなくてはならず、総務省のデーターに依存しているような状態です。ちなみに東京消防局では、この数年 年間600件前後の同意数があり過去から見ると飛躍的に用途変更の件数が増加しています。

「世界コンバージョン建築巡り第16回・ヘルシンキ」

東京都建築士事務所協会のコア東京に連載されている首都大学東京教授の小林克弘先生の「世界コンバージョン建築巡り・第16回・ヘルシンキ」が、とても参考になった。

ヘルシンキのサブタイトルが「コンパクト・シティにおけるコンバージョンの有用性」。

フィンランドの首都・ヘルシンキは、人口60万人強のコンパクトシテイ。中心部から東西南の三方向の港湾地区まで徒歩圏という規模の街。小林先生は、それぞれの地区の性格が変化した場合は、建築コンバージョンによる都市整備が有効に機能する実例としてヘルシンキを挙げている。

ヘルシンキといえば昔・アアルトだが、現代建築でもスティーブン・ホールの「ヘルシンキ現代美術館」や、2018年12月にオープンしたヘルシンキ中央図書館「Oodi」等と興味深い建築があるのだが、コンバージョン建築も中々面白そうだ。

ヘルシンキは、地理的に都市拡張が限定されているので、コンバージョンが活用されているようだ。

サウスハーバーの「スカンディック・ホテル・グランド・マリナ」は、1928年のRC造倉庫を1992年に高級ホテルに転用した事例。「ワンハ・サタマ」は1900年頃竣工した平屋の税関倉庫を、1984年のコンペをへて8つの貸ホールとレストラン施設に転用した事例等 豊富な事例が紹介されている。

小林先生は「ヘルシンキ自体、都市化の歴史が浅いため、過去の建築を尊重するという姿勢が強い」。その姿勢がヘルシンキのコンバージョンを盛んに推し進める原動力と記す。

自分にとってヘルシンキは、にわかに興味深い対象になった。

仏様の居室

先だって調査した御堂は、月1回2時間だけ御開帳され住職が御経を読むとの事だった。

調査に参加したメンバーに、「この建物は、建築基準法上の居室か否か」と問いかけてみた。すると居室とするものと非居室とするものに意見が分かれた。

「居室」の定義は、法第2条第4号において「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と定義されている。

あくまでも人間様の視点で書かれてる建築基準法の場合では「継続性」が極めて少なく「非居室」と考えるのが妥当だと思うと言った。

尚、「採光のための開口部を設けることを要しない居室について」は、平成7年建設省住指発第153号というのが出され解釈の統一化が図られている。

平成7年建設省住指発第153号
採光のための開口部を設けることを要しない居室について
平成7年5月25日
建設省住宅局建築指導課長から特定行政庁建築主務部長あて通知
 近年、建築物の機能の高度化及び多様化、照明設備及び換気設備の機能の向上、国民の住生活様式の多様化等により、居室の利用形態が多様化しており、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)第28条第1項ただし書に規定する「温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室」の解釈について、地方により統一を欠く向きもあるので、その統一を図るため、今後は左記により取り扱われたい。

一 温湿度調整を必要とする作業を行う作業室
 次に掲げる居室は、法第28条第1項ただし書に規定する「温湿度調整を必要とする作業を行う作業室」に該当するものとする。
(一) 大学、病院等の実験室、研究室、調剤室等温湿度調整を必要とする実験、研究、調剤等を行う居室(小学校、中学校又は高等学校の生徒用の実験室を除く。)
(二) 手術室
(三) エックス線撮影室等精密機器による検査、治療等を行う居室
(四) 厳密な温湿度調整を要する治療室、新生児室等
二 その他用途上やむを得ない居室
 次に掲げる居室は、法第28条第1項ただし書に規定する「用途上やむを得ない居室」に該当するものとする。
(一) 開口部を設けることが用途上望ましくない居室
1) 大音量の発生その他音響上の理由から防音措置を講ずることが望ましい居室
ア 住宅の音楽練習室、リスニングルーム等(遮音板を積み重ねた浮き床を設ける等遮音構造であること並びに当該住宅の室数及び床面積を勘案し、付加的な居室であることが明らかなものに限る。)
イ 放送室(スタジオ、機械室、前室等で構成されるものをいう。)
ウ 聴覚検査室等外部からの震動・騒音が診察、検査等の障害となる居室
2) 暗室、プラネタリウム等現像、映写等を行うため自然光を防ぐ必要のある居室(小学校、中学校又は高等学校の視聴覚教室を除く。)
3) 大学、病院等の実験室、研究室、消毒室、クリーンルーム等放射性物質等の危険物を取り扱うため、又は遺伝子操作実験、病原菌の取扱い、滅菌作業、清浄な環境の下での検査、治療等を行う上で細菌若しくはほこりの侵入を防ぐため、開口部の面積を必要最小限とすることが望ましい居室
4) 自然光が診察、検査等の障害となる居室
ア 眼科の診察室、検査室等自然光が障害となる機器を使用する居室
イ 歯科又は耳鼻咽喉科の診察室、検査室等人工照明により診察、検査等を行う居室
(二) 未成年者、罹病者、妊産婦、障害者、高齢者等以外の者が専ら利用する居室で法第28条第1項の規定の適用を受けない建築物の居室に類する用途に供するもの
1) 事務室(オフィス・オートメーション室を含む。)、会議室、応接室、職員室、校長室、院長室、看護婦詰所(いわゆるナース・ステーション)等事務所における事務室その他執務を行う居室に類する用途に供する居室
2) 調理室、印刷室等飲食店等の厨房、事務所等の印刷室その他作業を行う居室に類する用途に供する居室(住宅の調理室で食事室と兼用されるものを除く。)
3) 舞台及び固定された客席を有し、かつ、不特定多数の者が利用する用途に供する講堂等劇場、演芸場、観覧場、公会堂、集会場等に類する用途に供する居室
4) 管理事務室、守衛室、受付室、宿直室、当直室等事務所等の管理室に類する用途に供する居室
5) 売店等物品販売業を営む店舗の売場に類する用途に供する居室

「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」2017年度版

全国の特定行政庁及び指定確認検査機関等で構成されいる日本建築行政会議(JCBA)が、建築確認審査・検査の適正な運用を図るため、全国的な審査・検査の統一化に向けて検討を進め、2009年(平成21年)に「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」を出版。その後2013年度版と続き、本書は3冊目となる。

この「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例 2017年度版」は、法令等の改正、利用者等からの質疑に対する回答及びその後の部会での検討結果を踏まえ、改訂がなされている。

2013年度版から加筆された項目や変更された文章をマーキングしたのだが、新旧対照表をサイトにでもアップしておいてくれると助かる。

型式認定住宅のリノベーション

型式認定住宅(100㎡を超え)を用途変更して学童保育所にしたいとの相談があった。学童保育所は児童福祉法に規定されているので特殊建築物で、100㎡を超えているのなら用途変更確認申請が必要。

ところで確認申請と工事完了検査済証はあるの?と聞いたら、確認はあるが検済は調べていないとの事。まずそれを調べてからねと言っておいたら後日検済がない事が分かった。

学童保育所側は、型式認定住宅の所有者と既に賃貸借契約を締結し借りているらしい。資料を送ってもらったところ確認申請に添付されいる図面と現状は平面の外形は変わらないが、屋根と室内の間取りが変わっている。

学童保育所側は、型式認定住宅のメーカーは工事費が高いと言うイメージを持っているらしく、あくまでも知り合いの市井の工務店に依頼したいとの事。

検済の無い型式認定住宅の用途変更確認申請が出来るかと問われた。

理論的には、手続き的にも技術的にも可能だと答えた。

ただし型式認定住宅はブラックボックスで技術的内容も構造図も構造計算書も非公開。メーカーと型式認定機関しか詳細は分からない。これを一般構造として検証するには、どういう構造フレームになっているのか調査し構造図を起こす。鉄骨溶接部等の検査をして構造計算を行い必要なら補強工事が必要となる。

調査費と構造図・構造計算検証や申請手続きで相当な費用がかかるし、補強工事が発生した場合、事業者としてそれらの費用を受忍できるのかと問うた。

型式認定住宅メーカー曰く「うちの案件はうちでしか直せない」と言っているそうで「全面リフォームなら請け負う」とか。

メーカーしか直せないという事でもないが、クローズドシステムである型式認定住宅の案件は費用から考えて型式認定住宅メーカーに依頼した方が良いだろう。

学童保育所側は、賃貸契約の解除を申し立てるそうだ。

建築物の計画変更

建築確認申請を受け工事途中の建築物が、建築主の都合で建物用途等が変更になることがある。

建築基準法では建築基準法施行規則第3条の2の各号に掲げる軽微な変更について規定し、それ以外の物は計画変更確認申請を必要とするとしている。

その計画変更が建物全体に及ぶとき、例えば物販店で確認申請を取得していた建築物が工事途中で旅館業に用途を変更する場合、階数が変更になる場合(階数が増加)、構造を変更する場合(基礎工事中に上部構造が変更になる)等は、計画変更確認申請で済むだろうか。

このあたりの事は明文化した取扱いは、あまり見られない。

長崎県建築主事会議の「建築確認を受けた建築物の計画変更等の取扱い要領」(平成27年10月30日)に建築確認を受けた建築物の計画変更の取扱いについては、軽微変更届、計画変更確認申請、確認再申請の三つに分類し取り扱うものとしている。

その中で当初の確認申請を取止め新たに確認申請を行うものとして

  1. 建築確認を受けた建築物と大きく異なる建築物を計画しようとする場合(大きく異なる建築物であるかどうかの判断は、計画に継続性があるかどうかの観点から行い、原則として確認済証の交付した者の判断による)
  2. 階数が増加する建築物を計画する場合
  3. 建築物の構造を変更する場合

以上の三つを挙げている。

リノベーションに関わる仕事をしていると色々な案件の相談が持ち込まれるが、確認再申請か否かというのは指定確認検査機関の権限を越えていて建築主事判断が必要だと思っている。

確認再申請となると、あまたある条令や要綱の届出も再提出となることが多い事は予想されるし、工事も一時停止しないとならないだろうから慎重な判断が必要だが、工事が実質的継続しているならまだしも建築確認を受けた後 何年も工事が停止されている場合はどうだろうか。

最近受けた相談では、構造適判制度が施行された2007年(平成19年)6月20日以前に建築確認を受け工事中だった建物がリーマンショック(2008年9月)の世界的金融危機を受け事業計画が中断し、事業主が倒産し工事が停止した案件のリノベーションについてだった。

物販店から全館ホテルに用途を変える場合の手続き上の問題や構造規定の遡及について相談を受けたが、手続き上の問題として10年も工事が放置されていた建物を工事継続中として、通常の計画変更確認申請を受付して良いものだろうか。

もうひとつの問題として建築基準法を遡及させなくて良いのかという問題もある。この10年で建築基準法の構造規定関係もかなり変更されているから現在の規定に適合させるために検討や再計算が必要ではないか。私なら「建築確認申請の取り直し」だと思うと上記の長崎県の取扱いを添付して回答した。

事業主の都合ではなく建築物の安全性が担保されているかどうかから判断するべきだと思う。尚、工事が完了していないので用途変更確認申請はできない。

この場合、大規模な構造の補強工事が予想されるし、その補強工事は現場施工なのでびっくりするぐらいの工事費が予想される。ましてや構造適判が必要ならひとつひとつ厳密な検証が要求され設計者としてはとても手間がかかり、とりわけ構造設計者から泣きが入るだろうと思った。ようするに新築設計の場合の報酬額では出来ないのだ。

フルリノベーションに関わるなら手続き上の問題や建築基準法の遡及。それらが工事費=事業費に大きく影響することは、初期の段階で綿密に予測しておいた方が良いだろう。

「自由とは、必然性の洞察である」(F.エンゲルス)

45年前に読んだ本の1節がふと脳裏に浮かんだ。

調査なくして設計なし

昨日は、京都府京田辺市に日帰り出張

先週に引き続きの出張で腰が痛い・・・

町所管建物のコンバージョンにあたり京都府・町・設計事務所・私と打合せとなった。検査済み証の無い建物という触れ込みで彼此一か月前から相談に乗ったりあれこれと調べたりしていたが、町が建築確認の工事完了検査済証が無い建物と言っていたのですっかり信用し、それが大前提となって調査・手続き・見積りと進んでいた。

何しろ遠方なので行政から取得する「建築確認記載台帳証明」は、自分では取得に動きずらく、強く言って町に動いてもらえば良かったのだが、すっかり町の情報を信じてしまった。

この日土木事務所での打合せを終わり、町が「建築確認記載台帳」を閲覧したことがないと言うので、府に特別に閲覧させてもらうと、推定していた年のそれらしいものを発見。概要書を見せてもらうとビンゴ。おまけに工事完了検査済証も発行されていた。

多額の詳細調査が必要なくなり万々歳。

弊社の仕事は減ったが、無駄な税金が使われなくて良かった。

それにしても行政の言う事だからとすっかり信用してしまっていた。相談された時点で「建築確認記載台帳証明」を取得してもらうようにもっと強く依頼しておけばよかったと反省。

「調査なくして設計なし」

建築設計の道を歩み始めた頃 先輩に言われたこの言葉を思い返した。

福岡市「用途変更の取扱い」(建築基準法第87条)

福岡市住宅都市局建築指導部建築審査課が平成28年8月に取りまとめた「用途変更の取扱い」(建築基準法第87条)は、下記の項目で用途変更のポイントが整理され、とてもわかりやすいものになっています。

  • ポイント1、確認申請の手続き
  • ポイント2、既存建築物の適法性
  • ポイント3、用途変更部分の適法性
  • ポイント4、既存不適格建築物への現行規定の適用

その他「用途変更の流れ」では、既存建物が検査済証を受けていない場合は、福岡市住宅都市局監察指導課で違反是正指導を受けることになっています。

それに代わって民間指定確認検査機関で国交省ガイドラインに基づき適合状況調査により確認申請を行うことができる場合があります。

先日 博多出張の際、福岡市監察指導課で計画案件の概要、適合状況調査の具体的で詳細な説明(事前電話では基本的に内諾を得ていた。)をしてきました。そして弊社の行う建築基準適合状況調査報告書に添付する図書として福岡市の様式である「建築物施工状況報告書」「委任状」「始末書」を受領してきました。

この「始末書」というのが福岡市独自で興味深かったですね。建築基準法に何らかの違反をし、それを放置してあった場合には当事者としての責任を明確にするために「始末書」を提出させるというのは必要だと思います。

だいたい検査済証のない建物は、何らかの違反箇所があるのが普通ですが、それをどの時点で是正するのが適切かというと、法12条5項報告なり国交省ガイドライン調査を提出し、是正工事を完了検査した後に建築確認申請の提出ということが通常だと思います。

指定確認検査機関に申請した場合は、違反是正後に確認申請提出となることが多いです。

ところが行政に法第12条5項報告を行い、行政に建築確認申請を提出する場合は、違反是正は、確認申請工事と一緒でも良いということになるケースが多いのです。こうすると本来のリノベーション工事と違反是正工事を連続して工事会社に発注することができタイムロスが少なくなります。

こうしたことが 弊社が指定確認検査機関を使わない理由のひとつでもあります。

福岡市・用途変更の取扱い

都市計画法と建築基準法

都市計画法と建築基準法との関係で問題になることが多いのが、都市計画法第29条(開発行為の許可)、都市計画法第37条(建築制限)、と建築基準法の建築確認申請の本受付時期、確認決済時期、工事完了済証交付時期(使用開始時期)等についてです。

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■都市計画法第37条 通称:制限解除、公告前申請

「開発許可を受けた開発区域内の土地においては、前条第3項の公告があるまでの間は、建築物を建築し、又は特定工作物を建設してはならない。ただし、次の各号の一に該当するときには、この限りでない。
(1)当該開発行為に関する工事用の仮設建築物を建築し、又は特定工作物を建設するとき、その他都道府県知事が支障ないと認めたとき。
(2)法第33条第1項第14号に規定する同意をしていない者が、その権利の行使として建築物を建築し、又は特定工作物を建設するとき。」
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上記が都計法第37条の条文ですが第一項による制限解除申請を行い承認された場合に建築等が可能となります。
「建築が可能」とは、取りも直さず「建築確認の本受付」「建築確認決済」「建築工事」は可能となります。建築工事の工事完了検査・済証交付は、都計法開発行為の工事完了検査済証交付後にすれば、建築の使用は制限されます。
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■横浜市・都市計画法(開発許可制度)に関するよくある質問
Q2-4 開発完了前に建築確認申請はできますか
A  建築確認申請は可能ですが、確認済証の交付を受けても都市計画法上は建築工事に着手できません。なお、建築工事を同時に行わなければ開発行為が適切に行えない正当な理由がある場合には、建築制限の解除願を承認しています。
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■容易ではない建築制限解除

都市計画法第29条による開発行為をする必要がある場合、安易に都市計画法第37条第1項による制限解除ができるものとして工程を組んではいけません。

制限解除の詳細規定は、行政庁による「開発行為の手引き」「開発許可制度の解説」等の中に詳細に記載されています。

例えば埼玉県の「開発許可制度の解説」では「審査基準」を下記のように記載しています。

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審査基準
開発許可を受けた開発区域内の土地において、法第36条第3項に規定する工事完了の公告前に建築物の建築又は特定工作物の建設を支障ないと認めるのは、次の各号の全てに該当するときとする。
1 建築等しようとする建築物等は、当該開発許可に係る予定建築物等であること。
2 工事工程上、開発行為に関する工事の完了前に予定建築物等の建築等を行う必要があると認められること。
3 開発区域が現地において明確にされていること。
4 開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設の工事がほぼ完了していること。
5 建築等工事の完了に先行して開発行為に関する工事が完了する見込みであること。
6 造成の規模や地盤の性質に鑑み、開発行為と建築行為を同時に施工しても開発区域及びその周辺の安全性に支障をきたさないこと。
承認に付する条件〉
本条の承認は開発工事の工程上、開発行為と建築行為を同時に行うことが合理的と認められるときに、やむを得ないものとして例外的に認められるものです。完了検査を受けずに当該区域を建築物等の敷地として使用することを認めるものではあり
ませんから、原則として工事完了公告前に建築物等を使用することは認められません。このため、法第37条第1号の承認に際しては、原則として次の条件を付します。
条件 工事完了公告前に承認に係る建築物等を使用しないこと

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また、制限解除を承認すると都市計画法の工事完了検査を飛ばす業者も多い為、あまり建築制限解除を積極的に承認しない傾向の行政もあります。

一方小規模の場合は申請を不要としている場合もあります。つくば市では、開発面積が1000㎡未満の小規模開発行為で自己の用に供する開発行為は、一括で建築制限解除したものとみなし個別の申請は不要としています。

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建築基準法の接道基準は満たしているか

次に問題になることが多いのは、建築基準法第43条の「建築物の敷地が道路に2m以上接しなければならない」の規定です。特殊建築物の場合は、条例で定めれた接道長さの規定によります。

一敷地の開発区域で既存の道路に接道しているような場合には問題になりません。

開発区域を幾つかの区画に分け、開発行為による道路をこれから造成する場合は、開発行為による道路(建築基準法第42条第1項第ニ号道路)が実態としては存在していないので、建築基準法第43条は満たしていないことになります。よって建築制限解除の承認を受けていても建築確認申請を本受付することができないことになります。

いくら開発許可申請で「道路」が設計上担保されていても、設計通り工事されているか検査してみないとわかりませんから、実態として接道を満たしているかは大事だと思います。

これを解決するために建築基準法第43条第1項ただし書を活用すべきと指導するところもありますが、住宅ならば包括同意基準がありますが、一般的には建築審査会の同意が必要となりますので、時間も経費もかかり屋上屋を重ねるがごときのようにも思えます。

以上のように都市計画法では良くても建築基準法では不都合な場合もありますから、開発行為が絡むプロジェクトでは調整が必要となります。

法第77条の32第1項

建築基準法に対する解釈等に疑義が生じた場合、一部の指定確認検査機関では、特定行政庁に設計者を出向かせ、特定行政庁の運用や解釈を確認させている例が見られます。

埼玉県では、埼玉県内を業務区域とする指定確認検査機関の長あてに、埼玉県都市整備部建築安全課長名で平成27年5月25日建案第255号で「建築基準法に対する解釈等に疑義が生じた場合の対応について(通知)」を発出しています。

疑義が生じた場合は、「計画内容を十分把握し貴機関の見解を踏まえたうえで、建築基準法第77条の32第1項の規定に基づき、直接貴機関から所管する建築安全センターに問い合わせるよう、改めて通知します。」

平成23年にも同様の通知が発出されていますから、どうやら守られていなかったようです。

これらの通知に書かれている事は、正しいのですが、この法第77条の32第1項の規定による「照会」を、正式文書として送付するとなると結構手間がかかり、日数も必要とします。

まず送り手側の指定確認検査機関では、設計者から相談→検討→文書起案→機関内決済→特定行政庁送付となります。受け手の特定行政庁でも文書受理→検討→稟議起案→稟議→決済→文書送付となります。文書ではなく特定行政庁の担当者から電話がかかってきて終了ということもあります。

法に基づく正式文書となると、かなりの日数が必要となることが理解できると思います。

指定確認検査機関の側では、事前相談の段階では「照会」を文書では発出できないというところもあるし「照会」そのものを断るところもあります。

どの業界・業種でもそうですが、弾力的な対応でフットワークの軽い人は人気があります。

法第77条の32第1項では、この「照会」は「文書」でとは規定されているわけではありませんから、指定確認検査機関から特定行政庁に電話や相談・打合せに行ってもらえるフットワークの軽い人が尊ばれる傾向にあります。

大体、こうした照会をしたい事項は、各種解説書、事例、通達等には参考例がなく、特殊な事例で判断に悩むからで、指定確認検査機関だけで判断させるにはヤバ過ぎるから特定行政庁の見解も聞きたいものなのです。

そこで指定確認検査機関の中に誰かいないかと探してみます。これは会社ではなくあくまでも個人の資質なので、会社の規模とかはあまり関係がありません。でもそういう人材は減ってきていますね。

【長屋】千葉県建築基準法施行条令

【千葉県建築基準法施行条令】

第八節 長屋
(木造長屋の形態等)
第四十二条 木造建築物等である長屋(耐火建築物又は準耐火建築物であるものを除く。以下「木造長屋」という。)は、六戸建て以下としなければならない。ただし、主要構造部を準耐火構造としたものについては、十二戸建てにまですることができる。
2 木造長屋の地階を除く階数は、二以下としなければならない。ただし、政令第百三十六条の二に定める技術的基準に適合し、かつ、次の各号に定めるところによるものは、その地階を除く階数を三とすることができる。
一 延べ面積(主要構造部が一時間準耐火基準に適合する準耐火構造である部分の床面積を除く。)は、五百平方メートル以下とすること。
二 各戸が重層しないこと。
三 地階部分は、主要構造部(階段を除く。)を耐火構造とすること。
3 前項第一号及び第二号の規定は、知事が当該建築物の構造及び敷地の状況により安全上及び防火上支障がないと認める場合は、適用しない。
一部改正〔昭和五二年条例四一号・平成三年二一号・五年二八号・一二年七五号・一五年六一号・二七年五一号〕
(出入口)
第四十三条 長屋の各戸の出入口は、その一以上が道に面しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する長屋については、この限りでない。
一 六戸建て以下の長屋で、その出入口が、道に通ずる幅員二メートル以上の敷地内の通路に面するもの。ただし、六戸建て以下の木造長屋で、地階を除く階数が三のものにあつては、その出入口が、道に通ずる幅員三メートル以上の敷地内の通路に面するもの
二 耐火建築物又は準耐火建築物で、その出入口が道に通ずる避難上有効な敷地内の通路に面するもの
2 階段等のみにより直接地上に達する住戸にあつては、その階段口(当該階段等が地上に接する部分をいう。)を出入口とみなし、前項の規定を適用する。
一部改正〔昭和四六年条例一五号・五二年四一号・平成三年二一号・五年二八号・一五年六一号〕
(内装)
第四十三条の二 階数が二以上の耐火建築物又は法第二条第九号の三イに該当する準耐火建築物以外の長屋は、最上階を除く各階の天井(回り縁、竿さお縁その他これらに類する部分を除く。)の仕上げを難燃材料でしなければならない。
追加〔平成三年条例二一号〕、一部改正〔平成五年条例二八号・一二年七五号〕

【長屋】京都市建築基準法施行条令

【京都市建築基準法施行条例】
(長屋)
第6条の2 都市計画区域内にある長屋は、次に定めるところによらなければならない。
(1) 法第23条に規定する木造建築物等である長屋(耐火建築物又は準耐火建築物を除く。)は、5戸建て以下で、かつ、階数を2以下とすること。ただし、令第136条の2各号に掲げる技術的基準に適合する場合には、階数を3とすることができる。
(2) 前号の長屋の側面には、隣地境界線との間に50センチメートル以上の空地を設けること。ただし、隣地境界線が、公園、広場その他これらに類する空地に接するときは、この限りでない。
(3) 各戸には、便所及び炊事場を設けること。
2 前項の長屋の各戸の主な出入口は、道路(法第43条第1項ただし書の規定による許可を受けた長屋にあっては、当該長屋が当該許可の内容に適合するためその敷地が接しなければならないとされた道又は通路を含む。第2号において同じ。)に面して設けなければならない。ただし、主な出入口が次の各号のいずれかに該当するものは、この限りでない。
(1) 2戸建てで敷地内の幅員2メートル以上の通路に面するもの
(2) 耐火建築物又は準耐火建築物で各戸の界壁が耐火建築物にあっては耐火構造、準耐火建築物にあっては準耐火構造であり、かつ、両端が道路に通じる敷地内の幅員3メートル以上の通路又は一端が道路に通じる敷地内の幅員3メートル以上、長さ35メートル以内の通路に面するもの
(3) 公園、広場その他これらに類する空地に面するもの
(昭54条例24・追加、昭63条例30・平5条例6・平7条例12・平13条例11・平27条例32・一部改正)

【長屋】大阪府建築基準法施行条令

【大阪府建築基準法施行条例】
(長屋)
第六条 都市計画区域内の長屋は、次の各号に定めるところによらなければならない。
一 各戸の主要な出入口は、道路(法第四十三条第一項ただし書の規定による許可を受けた長屋にあっては、省令第十条の二の二第一号に規定する空地、同条第二号に規定する公共の用に供する道又は同条第三号に規定する通路を含む。以下この号において同じ。)に面すること。ただし、長屋が次のイ又はロに該当し、かつ、各戸の主要な出入口が道路に通ずる幅員三メートル以上の敷地内の通路(イに掲げる長屋にあっては、道路から各戸の主要な出入口までの長さが三十五メートル以内の通路に限る。)に面する場合は、この限りでない。
イ 床面積の合計が三百平方メートル以下のもの
ロ 耐火建築物又は準耐火建築物であるもの
二 桁行は、二十五メートルを超えないこと。ただし、耐火建築物又は準耐火建築物である場合は、この限りでない。

【長屋】神奈川県建築基準条令

【神奈川県建築基準条令】
(長屋の出口)
第 19 条 長屋の各戸の主要な出口は、道に面して設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当し、かつ、安全上支障がないと認められる場合は、この限りでない。
(1) 主要な出口から道に通ずる敷地内通路の幅員が 3 メートル(2 以下の住戸の専用の通路については、2 メートル)以上である場合
(2) 周囲に公園、広場その他の空地がある場合
(長屋の構造等)
第 20 条
3 階を長屋の用途に供する建築物は耐火建築物又は政令第 115 条の 2 の 2 第 1 項の技術的基準に適合する準耐火構造とした準耐火建築物とし、4 階以上の階を長屋の用途に供する建築物は耐火建築物としなければならない。ただし、重ね建て長屋の用途に供する部分のない建築物にあっては、準耐火建築物又は政令第 136 条の 2 の技術的基準に適合する建築物とすることができる。

2 長屋の用途に供する部分の床面積の合計が 600 平方メートル以上の建築物は、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。

3 長屋の各戸の界壁の長さは、4.5 メートル以上としなければならない。ただし、当該建築物の構造若しくは形状又は周囲の状況によりやむを得ないと認められる場合は、その界壁の長さを 2.7 メートル以上とすることができる。

4 長屋の各戸は、直接外気に接する開口部を 2 面以上の外壁に設けなければならない

【長屋】東京都建築安全条例

【東京都安全条例】
(長屋の主要な出入口と道路との関係)
第五条 長屋の各戸の主要な出入口は、道路又は道路に通ずる幅員二メートル以上の敷地内の通路に面して設けなければならない。
2 木造建築物等である長屋(耐火建築物又は準耐火建築物を除く。)にあっては、主要な出入口が前項の通路のみに面する住戸の数は、三を超えてはならない。
(昭二八条例七四・昭三〇条例三一・昭三五条例四四・昭四七条例六一・平五条例八・平一二条例一七五・一部改正)

建築基準法第6条の2第6項

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東京都建築士事務所協会の「コア東京・2016・11月号」に掲載されていた「一級建築士の懲戒処分は今・平成28年度第1回一級建築士の懲戒処分の分析」加藤峯男さんの記事がとても参考になりました。

東京三会建築会議の「処分適正化」「処分問題の改善要望」への活動もあり、建築士法第10条の2の改正につながっている事を知りました。役員の方々が常日頃建築士の為に活動されている事に敬意を表したいと思います。

平成28年度第1回の建築士の懲戒処分は、今年業務停止処分を受けたA指定確認検査機関と、かってA社に所属した4人の確認検査員に関わる物件だと聞いています。いずれも指定確認検査機関から確認済証及び検査済証の交付を受けた物件であり、済証を交付した指定確認検査機関に対する国土交通省の監査で違反設計部分が発見され、それに係つた設計者=建築士の処分となっています。

もともと建築基準法第6条の2第6項には、下記のように記載されています。

『6   特定行政庁は、前項の規定による確認審査報告書の提出を受けた場合において、第1項の確認済証の交付を受けた建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないと認めるときは、当該建築物の建築主及び当該確認済証を交付した同項の規定による指定を受けた者にその旨を通知しなければならない。この場合において、当該確認済証は、その効力を失う。』
*
指定確認検査機関が交付した建築確認済証や工事完了検査済証は、絶対的な「正」ではなく、事後に覆ることがあるということは指定確認検査機関制度が出来たときからの問題でした。このことを話すと、未だに知らない建築士がいることに逆に驚きを感じます。
*
設計者が指定確認検査機関と付き合う時の基本的スタンスは、「全幅の信頼」を持つことではなく、基準法の取扱いが難しい場合は、あくまでも特定行政庁と指定確認検査機関の相互の見解を聴くようにして設計者自らが判断することが必要だと思います。
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指定確認検査機関の業務は、あくまでも本来行政が行うべき「確認事務」の代行であるに過ぎません。「確認」なのですから、その設計の内容に責任をもつのは「設計者」です。仮に不適合とされた設計箇所に対する法的取扱いが指定確認検査機関の判断であったとしてもです。
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尚、建築基準法第6条の2第7項には、下記のようにあります。
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『7  前項の場合において、特定行政庁は、必要に応じ、第9条第1項又は第10項の命令その他の措置を講ずるものとする。』
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第7項では、違反建築物に対する措置を定めていますが、是正命令を出せるのは特定行政庁にあり、指定確認検査機関にはありません。
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平成28年第一回の処分には、旧知の方が2名いました。いずれも、この道数十年のベテランの方です。それ故に、指定確認検査機関が確認済証や検査済証を交付し物件の引き渡しが完了し、すでにその物件が使用されているのに違反設計とされ是正命令が出て、とてもやりきれなかったと思います。もしかしたら業務停止処分になるのではないかと、さぞかし不安な気持ちでおられたことでしょう。
*
現行の建築基準法の指定確認検査機関制度では、こうなってしまうのです。
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設計者が判断が分かれる建築基準法の取扱いについて指定確認検査機関に相談に行くと、「指定確認検査機関では判断する裁量がないから特定行政庁に行って相談して、議事録つけてもらえば良いから」と言われ、特定行政庁に行けば、「確認を民間に出すなら指定確認検査機関に判断してもらって」と。一体「設計者はどうしたらいいのさ」というのは、今でも耳にします。
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もう15年もダブルスタンダード(二重規範)は、続いています。

ツリーハウスって何なの?

TREE-HOUSE

ツリーハウスは建築確認申請が必要か否か聞かれた。
そもそもツリーハウスの用途は一体何なんでしょうかね? 「樹の家」という名称だけど住宅ではない。居室か非居室かと言われると「継続性」はないので非居室ということになるだろうか。
法文に沿って考えると
 1、屋根・壁があるので建築物
 「法2条第1項第一号 建築物:土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)。これに付随する門扉若しくは塀、・・・<中略>・・・観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗・・・<中略>・・・をいい、建築設備を含むものとする。」
 ということで、ツリーハウスは建築物にあたり建築基準法が適用されると考えるのが一般的。
 ちなみに「随時かつ任意に移動できない状態で設置」され「継続的に使用」する場合は、土地への定着性が確認できるものとして建築物として取り扱われる。
 2、確認申請が必要か
 法6条第1項:建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築すしようとする場合・・・<中略>・・・確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証交付を受けなければならない。」
  法6条第2項:前項の規定は、防火地域及び準防火地域において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であるときについては適用しない。」
 10㎡以内の増築の場合には確認申請なしで建築が可能だが、新築の場合は必要となる。
 ゆえに あとから増築なら確認申請は不要とも考えられるが、申請が不要なだけで遵法性は求められるのでツリーハウスで事故があった場合は、設計者の責任が問われることになる。
3、写真のようなツリーハウスで確認申請が可能か
・・・極めて困難。令第40条の木造の構造規定は、適用除外とならないのではないか。写真のように自然木に抱かせる形で、自然木を含めた総体の構造検証が困難に思える。
4、用途を物見塔と考えることもできる
・・・ただし工作物申請は必要だが、高さが8mを超えなければ工作物申請は不要。これも又申請が不要というだけで遵法性は担保しておく必要がある。
5、グランピング施設(宿泊)や喫茶・飲食として使用する場合は当然建築物
・・・どこかで見たことあるけどね
6、世の中に存在するツリーハウスは、確認申請は出していないのでは
・・・だと思うが確認申請を提出した事例があれば御教示いただきたい。

「用途変更の円滑化について(技術的助言)」国住指第4718号

「用途変更の円滑化について(技術的助言)」国住指第4718号・平成28年3月31日が出されていた。行政庁ごとに運用のばらつきがあるので整理したとある。

「1、用途変更の手続き」で下記のように記載されている

「区分所有建築物等で 、異なる区分所有者等 が 100 ㎡以下の 特殊 建築物の用途 への 用途変更を別々に 行う 場合に、用途変更する部分の合計が 100 ㎡を超えた時点での用途変更手続 きは、特定行政庁が地域の実情に応じ必要と判断した場合に限 り、その手続きを要する 。なお、 用途変更の手続きを要しない場合であっても、建築基準関係規定が適用されることはいうまでもないが、 同一の者が 100 ㎡以下 の用途変更を 繰り返し行う場合については、意図的に意図的用途変更の手続きを回避しようとすることがありえるので、 特に留意すること。」

共同住宅等で区分所有部分が100㎡以下で、区分所有者が異なれば手続きは不要とある。建物総体で100㎡を超えても「特定行政庁が必要と判断」した場合のみであるとある。これでは意図的な用途変更の回避は制御できないだろうと感じた。

いつのまにやらマンションから飲食店ビルになっているかも知れない。

「2、用途変更時に適用される規定等について」

この部分は、指定確認検査機関の人達は、よく読んで理解してほしいと思う。用途変更の確認申請で、指定確認検査機関の審査担当者から、しばしば指摘されるのが法第28条の2(シックハウス)である。法第87条の既存遡及からは除外されている。

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法第28条の2が何故法第87条から除外されたのはわからないが、建物の一部を用途変更する場合しか想定していなかつたからではないかと思ったりする。建物全体を用途変更するフルリノベーションも増えてきた今日では、確かに法的には遡及しないがシックハウス・24時間換気を除外するのはいかがなものかなと考える。

同じように、用途変更では建築士の設計・工事監理は不要である。建築士法第3条、第3条の2、第3条の3には用途変更は除外されているから。これも法的には必要ないのだが、事務所ビルの1階をコンビニにするような用途変更ならいざ知らず、フルリノベーションでは、有資格者が介在しなくても良いのかどうか検討する必要があると考えている。

建築主からこの条文を逆手に取られて、用途変更は工事監理は不要なのだからと言われ工事監理料を大幅に削られたが、リノベーションの方が現場に行ったり打合せ回数が増え赤字になった。というような声も聞く。

用途変更・大規模改修・大規模模様替えに伴う法的な取扱いは、交通整理ができてないと思う。

例えば、

  1. 耐震補強をアウトフレームで行う場合は、増築や大規模模様替えにならないか
  2. 屋根防水を取り換え別の防水にする場合、大規模模様替えとするか否か
  3. 外断熱で改修する場合、大規模模様替えとなるか否か、床面積が増加し増築となるか否か

法的に考えていくとグレーな問題が沢山出てくる。

是非 国交省にあられては、ストック活用を巡る法的な問題において引き続き指導力を発揮し、運用の整理を行ってもらいたい。

 

コア東京6・2016 東京都建築士事務所協会

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先頃届いた東京都建築士事務所協会の機関誌「コア東京6・2016」をながめていた。

記事の中では、「オフィスビルを保育所にコンバージョン・ビルイン型保育所の課題と設計の実際」石嶋寿和氏(株式会社石嶋設計室)が読み応えがあった。

石嶋氏が、ビルイン型保育所を設計する上で直面した用途変更に伴う諸問題が良く整理されている。

1、消防法の既存遡及

保育所がテナントとしてビルインする場合、ビル全体の消防法の用途が「複合用途防火対象物(16項イ)となり、用途変更する保育所部分の問題だけでなく建物全体に現行の消防法の基準が適用される。それらにかかる防災設備の費用をテナントが負担しなければならない場合があり資金的なハードルとなる。これはビルの一部に飲食店が入居する用途変更の場合も同様の問題が生じる。

2、建築基準法の採光

オフィスビルに入居する場合などは、敷地境界線から建物の離隔距離か少ないため有効採光が取れないことがある。弊社でも事務所から入院施設のある診療所への用途変更で病室の有効採光の確保に苦心したことがある。

3.東京都建築物バリアフリー条令

記事では「誰でもトイレ」の設置について取り上げているが、おりから東京都都市整備局市街地建築部長から「高齢者、障害者が利用しやすい建築物の整備に関する条令第14条の適用に係る基本的な考え方について」(28都市建企第252号・平成28年6月2日)という技術的助言が通知されている。これで保育所関係の都バ条令第14条の制限の緩和は、やりやすくなった。

4、東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準関する条令

記事では、二方向避難の問題を取り上げている。駅前などの中小ビル等には敷地の余裕がないため外階段等を設置できないという実情はわかるが、こと安全上の問題に関わることであり、避難に関わること、防災上の問題は慎重に考えたいところだ。それにしても建築基準法上は、「直通階段」で良いところを「屋外避難階段」とされている。より安全性を考えて「屋外避難階段」としているのかも知れないが、過剰かなと思うこともある。

5、排水

記事では既存の給排水の位置を現地調査し計画図を作成しているとある。リノベーションでは「調査なくして設計無し」であり、新築とは異なる設計手法が必要となる。

用途変更に伴うオール電化厨房設置による幹線の変更、キュービクルの変更あるいは新設、飲食店等が入居する場合はグリストラップの設置などの問題もある。

これらのように、用途変更には幾つものハードルがある。入居ビルの選定の段階から、構造・設備・法令等の総合的な知識と経験が要求される。

「貸会議室」@「集会場」

オフィスビルの余剰床のコンバージョンの一つの案として提案されたり、採用されるのが「貸会議室」。

注意しなければならないのが、東京都安全条例ではその用途が200㎡を超えると「不特定多数の者が集会等に利用する建築物又はその部分」として集会場として取り扱われること(都安全条例第9条第7号)。集会場となると既存の建物の避難経路では、ほとんど対応できない。(都安全条例第40条から第52条)

ゆえに私のようなコンバーターは、基本的に集会場扱いを避ける。

建築物としては、文化会館・市民ホール・多目的ホール・結婚式場・葬祭場・セレモニーホール。建築物の部分としては、大会議室・ホテルの大宴会場。

日本建築行政会議の「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例(2013年版)」では、200㎡以上で、全国的には概ね200㎡以上なのだが、横浜市では「すべての集会室が200㎡以下で、かつ、その床面積の合計が1000㎡以下」だと集会場に該当しない。

ただし熊本県は300㎡以上。

いくつかある貸会議室の最大の一室の床面積が200㎡未満であれば、集会場に該当しないが、例えば199㎡の貸会議室が10室あり合計で1990㎡あっても集会場には該当しないというのも変なもんだ。

固定席でない貸会議室の定員は、床面積を1㎡で除するのが一般的だから200㎡なら定員は200人となり、前例の1990㎡の貸会議室がすべて利用されていると1990人が定員となる。実質はテーブルなどがあるから0.5人/㎡程度になるからその半分ぐらいとなる。それでも定員は995人=約1000人となり、建物全体では地方都市の大ホール以上の定員でも集会場とならないというのは避難上どうなんでしょうかね。

やっぱり横浜市のように、全体の面積の上限を定めておくのが妥当なのではないだろうか。

【覚書】難燃材料

難燃材料とは、

「建築材料のうち、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後5分間第108条の2各号(建築物の外部の仕上げに用いるものにあつては、同条第一号及び第二号)に掲げる要件を満たしているものとして、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。」(建築基準法施行令第1条の六)

建築基準法施行令第1条第六号(難燃材料)
平成12年建設省告示第1402号(難燃材料を定める件)

一般には難燃合板、難燃繊維板、難燃プラスチック板などの材料が難燃材料に含まれる。

その物が薄く下地の不燃性能に影響されるクロスや塗料・吹付材等については、下地面材(基材)との「併せ技」で認定を取得している。

このような材料は、下地の種類に応じてその仕上がった状態での不燃性能が異なってしまう。

塗料などで国土交通省防火材料/不燃材料認定とあり認定番号NM-■■■■とあっても、決められた基材での認定なので、かりに木材等の可燃物に塗装しても難燃材料とはならない。

木部系塗料で樹脂限定(松系等)で認定を取得しているものがある。

時代にそぐわなくなってきた用途変更の規定

「用途変更」(コンバージョン)についての規定は、戦前の法律である市街地建築物法にも規定されていた。

大正八年法律第三十七號 「市街地建築物法」(昭和二十二年十二月二十二日改正)

【六條】

「前四條ノ規定ノ適用ニ付テハ新ニ建築物ノ用途ヲ定メ又ハ建築物ヲ他ノ用途ニ供スルトキハ 其ノ用途ニ供スル建築物ヲ建築スルモノト看做ス 」

前4条の規定の適用について新たに建築物の用途を定めるとき、または建築物を他の用途で使用するときは その用途に使用される建築物を(新たに)建築するものとみなす。 

ところが、昭和25年に建築基準法が制定された時点では「用途変更」に係わる規定はなかった。

「建築」の定義は新築、増築、改築、移転に限られていた。このほか修繕、模様替えといった概念もあるものの「用途変更」が法文に現れるまで、それから約10年を要することになる。

現在の用途変更については建築基準法第87条(用途の変更に対するこの法律の準用)において4つの項目から構成されている。
第1項は用途変更の対象建築物、第2項は実体規定と言われる準用規定、
第3項は既存不適格建築物に対する準用規定、第4項は部分規定に関するもので、法第86条の7(既存の建築物に対する制限の緩和)第2項,第3項(部分規定)の準用規定だけである。

最近は、用途変更と言っても建物の一部を用途変更するものだけでなく、建物全体を用途変更(コンバージョン)するものも多く見られるようになったのに、工事完了検査は必要ない、工事監理も不必要、設計者の資格も問われない。「用途変更」は「建築行為ではない」なんて、なんだか時代にそぐわない。