仏様の居室

先だって調査した御堂は、月1回2時間だけ御開帳され住職が御経を読むとの事だった。

調査に参加したメンバーに、「この建物は、建築基準法上の居室か否か」と問いかけてみた。すると居室とするものと非居室とするものに意見が分かれた。

「居室」の定義は、法第2条第4号において「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と定義されている。

あくまでも人間様の視点で書かれてる建築基準法の場合では「継続性」が極めて少なく「非居室」と考えるのが妥当だと思うと言った。

尚、「採光のための開口部を設けることを要しない居室について」は、平成7年建設省住指発第153号というのが出され解釈の統一化が図られている。

平成7年建設省住指発第153号
採光のための開口部を設けることを要しない居室について
平成7年5月25日
建設省住宅局建築指導課長から特定行政庁建築主務部長あて通知
 近年、建築物の機能の高度化及び多様化、照明設備及び換気設備の機能の向上、国民の住生活様式の多様化等により、居室の利用形態が多様化しており、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)第28条第1項ただし書に規定する「温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室」の解釈について、地方により統一を欠く向きもあるので、その統一を図るため、今後は左記により取り扱われたい。

一 温湿度調整を必要とする作業を行う作業室
 次に掲げる居室は、法第28条第1項ただし書に規定する「温湿度調整を必要とする作業を行う作業室」に該当するものとする。
(一) 大学、病院等の実験室、研究室、調剤室等温湿度調整を必要とする実験、研究、調剤等を行う居室(小学校、中学校又は高等学校の生徒用の実験室を除く。)
(二) 手術室
(三) エックス線撮影室等精密機器による検査、治療等を行う居室
(四) 厳密な温湿度調整を要する治療室、新生児室等
二 その他用途上やむを得ない居室
 次に掲げる居室は、法第28条第1項ただし書に規定する「用途上やむを得ない居室」に該当するものとする。
(一) 開口部を設けることが用途上望ましくない居室
1) 大音量の発生その他音響上の理由から防音措置を講ずることが望ましい居室
ア 住宅の音楽練習室、リスニングルーム等(遮音板を積み重ねた浮き床を設ける等遮音構造であること並びに当該住宅の室数及び床面積を勘案し、付加的な居室であることが明らかなものに限る。)
イ 放送室(スタジオ、機械室、前室等で構成されるものをいう。)
ウ 聴覚検査室等外部からの震動・騒音が診察、検査等の障害となる居室
2) 暗室、プラネタリウム等現像、映写等を行うため自然光を防ぐ必要のある居室(小学校、中学校又は高等学校の視聴覚教室を除く。)
3) 大学、病院等の実験室、研究室、消毒室、クリーンルーム等放射性物質等の危険物を取り扱うため、又は遺伝子操作実験、病原菌の取扱い、滅菌作業、清浄な環境の下での検査、治療等を行う上で細菌若しくはほこりの侵入を防ぐため、開口部の面積を必要最小限とすることが望ましい居室
4) 自然光が診察、検査等の障害となる居室
ア 眼科の診察室、検査室等自然光が障害となる機器を使用する居室
イ 歯科又は耳鼻咽喉科の診察室、検査室等人工照明により診察、検査等を行う居室
(二) 未成年者、罹病者、妊産婦、障害者、高齢者等以外の者が専ら利用する居室で法第28条第1項の規定の適用を受けない建築物の居室に類する用途に供するもの
1) 事務室(オフィス・オートメーション室を含む。)、会議室、応接室、職員室、校長室、院長室、看護婦詰所(いわゆるナース・ステーション)等事務所における事務室その他執務を行う居室に類する用途に供する居室
2) 調理室、印刷室等飲食店等の厨房、事務所等の印刷室その他作業を行う居室に類する用途に供する居室(住宅の調理室で食事室と兼用されるものを除く。)
3) 舞台及び固定された客席を有し、かつ、不特定多数の者が利用する用途に供する講堂等劇場、演芸場、観覧場、公会堂、集会場等に類する用途に供する居室
4) 管理事務室、守衛室、受付室、宿直室、当直室等事務所等の管理室に類する用途に供する居室
5) 売店等物品販売業を営む店舗の売場に類する用途に供する居室

「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」2017年度版

全国の特定行政庁及び指定確認検査機関等で構成されいる日本建築行政会議(JCBA)が、建築確認審査・検査の適正な運用を図るため、全国的な審査・検査の統一化に向けて検討を進め、2009年(平成21年)に「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」を出版。その後2013年度版と続き、本書は3冊目となる。

この「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例 2017年度版」は、法令等の改正、利用者等からの質疑に対する回答及びその後の部会での検討結果を踏まえ、改訂がなされている。

2013年度版から加筆された項目や変更された文章をマーキングしたのだが、新旧対照表をサイトにでもアップしておいてくれると助かる。

建築物の計画変更

建築確認申請を受け工事途中の建築物が、建築主の都合で建物用途等が変更になることがある。

建築基準法では建築基準法施行規則第3条の2の各号に掲げる軽微な変更について規定し、それ以外の物は計画変更確認申請を必要とするとしている。

その計画変更が建物全体に及ぶとき、例えば物販店で確認申請を取得していた建築物が工事途中で旅館業に用途を変更する場合、階数が変更になる場合(階数が増加)、構造を変更する場合(基礎工事中に上部構造が変更になる)等は、計画変更確認申請で済むだろうか。

このあたりの事は明文化した取扱いは、あまり見られない。

長崎県建築主事会議の「建築確認を受けた建築物の計画変更等の取扱い要領」(平成27年10月30日)に建築確認を受けた建築物の計画変更の取扱いについては、軽微変更届、計画変更確認申請、確認再申請の三つに分類し取り扱うものとしている。

その中で当初の確認申請を取止め新たに確認申請を行うものとして

  1. 建築確認を受けた建築物と大きく異なる建築物を計画しようとする場合(大きく異なる建築物であるかどうかの判断は、計画に継続性があるかどうかの観点から行い、原則として確認済証の交付した者の判断による)
  2. 階数が増加する建築物を計画する場合
  3. 建築物の構造を変更する場合

以上の三つを挙げている。

リノベーションに関わる仕事をしていると色々な案件の相談が持ち込まれるが、確認再申請か否かというのは指定確認検査機関の権限を越えていて建築主事判断が必要だと思っている。

確認再申請となると、あまたある条令や要綱の届出も再提出となることが多い事は予想されるし、工事も一時停止しないとならないだろうから慎重な判断が必要だが、工事が実質的継続しているならまだしも建築確認を受けた後 何年も工事が停止されている場合はどうだろうか。

最近受けた相談では、構造適判制度が施行された2007年(平成19年)6月20日以前に建築確認を受け工事中だった建物がリーマンショック(2008年9月)の世界的金融危機を受け事業計画が中断し、事業主が倒産し工事が停止した案件のリノベーションについてだった。

物販店から全館ホテルに用途を変える場合の手続き上の問題や構造規定の遡及について相談を受けたが、手続き上の問題として10年も工事が放置されていた建物を工事継続中として、通常の計画変更確認申請を受付して良いものだろうか。

もうひとつの問題として建築基準法を遡及させなくて良いのかという問題もある。この10年で建築基準法の構造規定関係もかなり変更されているから現在の規定に適合させるために検討や再計算が必要ではないか。私なら「建築確認申請の取り直し」だと思うと上記の長崎県の取扱いを添付して回答した。

事業主の都合ではなく建築物の安全性が担保されているかどうかから判断するべきだと思う。尚、工事が完了していないので用途変更確認申請はできない。

この場合、大規模な構造の補強工事が予想されるし、その補強工事は現場施工なのでびっくりするぐらいの工事費が予想される。ましてや構造適判が必要ならひとつひとつ厳密な検証が要求され設計者としてはとても手間がかかり、とりわけ構造設計者から泣きが入るだろうと思った。ようするに新築設計の場合の報酬額では出来ないのだ。

フルリノベーションに関わるなら手続き上の問題や建築基準法の遡及。それらが工事費=事業費に大きく影響することは、初期の段階で綿密に予測しておいた方が良いだろう。

「自由とは、必然性の洞察である」(F.エンゲルス)

45年前に読んだ本の1節がふと脳裏に浮かんだ。

福岡市「用途変更の取扱い」(建築基準法第87条)

福岡市住宅都市局建築指導部建築審査課が平成28年8月に取りまとめた「用途変更の取扱い」(建築基準法第87条)は、下記の項目で用途変更のポイントが整理され、とてもわかりやすいものになっています。

  • ポイント1、確認申請の手続き
  • ポイント2、既存建築物の適法性
  • ポイント3、用途変更部分の適法性
  • ポイント4、既存不適格建築物への現行規定の適用

その他「用途変更の流れ」では、既存建物が検査済証を受けていない場合は、福岡市住宅都市局監察指導課で違反是正指導を受けることになっています。

それに代わって民間指定確認検査機関で国交省ガイドラインに基づき適合状況調査により確認申請を行うことができる場合があります。

先日 博多出張の際、福岡市監察指導課で計画案件の概要、適合状況調査の具体的で詳細な説明(事前電話では基本的に内諾を得ていた。)をしてきました。そして弊社の行う建築基準適合状況調査報告書に添付する図書として福岡市の様式である「建築物施工状況報告書」「委任状」「始末書」を受領してきました。

この「始末書」というのが福岡市独自で興味深かったですね。建築基準法に何らかの違反をし、それを放置してあった場合には当事者としての責任を明確にするために「始末書」を提出させるというのは必要だと思います。

だいたい検査済証のない建物は、何らかの違反箇所があるのが普通ですが、それをどの時点で是正するのが適切かというと、法12条5項報告なり国交省ガイドライン調査を提出し、是正工事を完了検査した後に建築確認申請の提出ということが通常だと思います。

指定確認検査機関に申請した場合は、違反是正後に確認申請提出となることが多いです。

ところが行政に法第12条5項報告を行い、行政に建築確認申請を提出する場合は、違反是正は、確認申請工事と一緒でも良いということになるケースが多いのです。こうすると本来のリノベーション工事と違反是正工事を連続して工事会社に発注することができタイムロスが少なくなります。

こうしたことが 弊社が指定確認検査機関を使わない理由のひとつでもあります。

福岡市・用途変更の取扱い

都市計画法と建築基準法

都市計画法と建築基準法との関係で問題になることが多いのが、都市計画法第29条(開発行為の許可)、都市計画法第37条(建築制限)、と建築基準法の建築確認申請の本受付時期、確認決済時期、工事完了済証交付時期(使用開始時期)等についてです。

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■都市計画法第37条 通称:制限解除、公告前申請

「開発許可を受けた開発区域内の土地においては、前条第3項の公告があるまでの間は、建築物を建築し、又は特定工作物を建設してはならない。ただし、次の各号の一に該当するときには、この限りでない。
(1)当該開発行為に関する工事用の仮設建築物を建築し、又は特定工作物を建設するとき、その他都道府県知事が支障ないと認めたとき。
(2)法第33条第1項第14号に規定する同意をしていない者が、その権利の行使として建築物を建築し、又は特定工作物を建設するとき。」
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上記が都計法第37条の条文ですが第一項による制限解除申請を行い承認された場合に建築等が可能となります。
「建築が可能」とは、取りも直さず「建築確認の本受付」「建築確認決済」「建築工事」は可能となります。建築工事の工事完了検査・済証交付は、都計法開発行為の工事完了検査済証交付後にすれば、建築の使用は制限されます。
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■横浜市・都市計画法(開発許可制度)に関するよくある質問
Q2-4 開発完了前に建築確認申請はできますか
A  建築確認申請は可能ですが、確認済証の交付を受けても都市計画法上は建築工事に着手できません。なお、建築工事を同時に行わなければ開発行為が適切に行えない正当な理由がある場合には、建築制限の解除願を承認しています。
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■容易ではない建築制限解除

都市計画法第29条による開発行為をする必要がある場合、安易に都市計画法第37条第1項による制限解除ができるものとして工程を組んではいけません。

制限解除の詳細規定は、行政庁による「開発行為の手引き」「開発許可制度の解説」等の中に詳細に記載されています。

例えば埼玉県の「開発許可制度の解説」では「審査基準」を下記のように記載しています。

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審査基準
開発許可を受けた開発区域内の土地において、法第36条第3項に規定する工事完了の公告前に建築物の建築又は特定工作物の建設を支障ないと認めるのは、次の各号の全てに該当するときとする。
1 建築等しようとする建築物等は、当該開発許可に係る予定建築物等であること。
2 工事工程上、開発行為に関する工事の完了前に予定建築物等の建築等を行う必要があると認められること。
3 開発区域が現地において明確にされていること。
4 開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設の工事がほぼ完了していること。
5 建築等工事の完了に先行して開発行為に関する工事が完了する見込みであること。
6 造成の規模や地盤の性質に鑑み、開発行為と建築行為を同時に施工しても開発区域及びその周辺の安全性に支障をきたさないこと。
承認に付する条件〉
本条の承認は開発工事の工程上、開発行為と建築行為を同時に行うことが合理的と認められるときに、やむを得ないものとして例外的に認められるものです。完了検査を受けずに当該区域を建築物等の敷地として使用することを認めるものではあり
ませんから、原則として工事完了公告前に建築物等を使用することは認められません。このため、法第37条第1号の承認に際しては、原則として次の条件を付します。
条件 工事完了公告前に承認に係る建築物等を使用しないこと

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また、制限解除を承認すると都市計画法の工事完了検査を飛ばす業者も多い為、あまり建築制限解除を積極的に承認しない傾向の行政もあります。

一方小規模の場合は申請を不要としている場合もあります。つくば市では、開発面積が1000㎡未満の小規模開発行為で自己の用に供する開発行為は、一括で建築制限解除したものとみなし個別の申請は不要としています。

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建築基準法の接道基準は満たしているか

次に問題になることが多いのは、建築基準法第43条の「建築物の敷地が道路に2m以上接しなければならない」の規定です。特殊建築物の場合は、条例で定めれた接道長さの規定によります。

一敷地の開発区域で既存の道路に接道しているような場合には問題になりません。

開発区域を幾つかの区画に分け、開発行為による道路をこれから造成する場合は、開発行為による道路(建築基準法第42条第1項第ニ号道路)が実態としては存在していないので、建築基準法第43条は満たしていないことになります。よって建築制限解除の承認を受けていても建築確認申請を本受付することができないことになります。

いくら開発許可申請で「道路」が設計上担保されていても、設計通り工事されているか検査してみないとわかりませんから、実態として接道を満たしているかは大事だと思います。

これを解決するために建築基準法第43条第1項ただし書を活用すべきと指導するところもありますが、住宅ならば包括同意基準がありますが、一般的には建築審査会の同意が必要となりますので、時間も経費もかかり屋上屋を重ねるがごときのようにも思えます。

以上のように都市計画法では良くても建築基準法では不都合な場合もありますから、開発行為が絡むプロジェクトでは調整が必要となります。

法第77条の32第1項

建築基準法に対する解釈等に疑義が生じた場合、一部の指定確認検査機関では、特定行政庁に設計者を出向かせ、特定行政庁の運用や解釈を確認させている例が見られます。

埼玉県では、埼玉県内を業務区域とする指定確認検査機関の長あてに、埼玉県都市整備部建築安全課長名で平成27年5月25日建案第255号で「建築基準法に対する解釈等に疑義が生じた場合の対応について(通知)」を発出しています。

疑義が生じた場合は、「計画内容を十分把握し貴機関の見解を踏まえたうえで、建築基準法第77条の32第1項の規定に基づき、直接貴機関から所管する建築安全センターに問い合わせるよう、改めて通知します。」

平成23年にも同様の通知が発出されていますから、どうやら守られていなかったようです。

これらの通知に書かれている事は、正しいのですが、この法第77条の32第1項の規定による「照会」を、正式文書として送付するとなると結構手間がかかり、日数も必要とします。

まず送り手側の指定確認検査機関では、設計者から相談→検討→文書起案→機関内決済→特定行政庁送付となります。受け手の特定行政庁でも文書受理→検討→稟議起案→稟議→決済→文書送付となります。文書ではなく特定行政庁の担当者から電話がかかってきて終了ということもあります。

法に基づく正式文書となると、かなりの日数が必要となることが理解できると思います。

指定確認検査機関の側では、事前相談の段階では「照会」を文書では発出できないというところもあるし「照会」そのものを断るところもあります。

どの業界・業種でもそうですが、弾力的な対応でフットワークの軽い人は人気があります。

法第77条の32第1項では、この「照会」は「文書」でとは規定されているわけではありませんから、指定確認検査機関から特定行政庁に電話や相談・打合せに行ってもらえるフットワークの軽い人が尊ばれる傾向にあります。

大体、こうした照会をしたい事項は、各種解説書、事例、通達等には参考例がなく、特殊な事例で判断に悩むからで、指定確認検査機関だけで判断させるにはヤバ過ぎるから特定行政庁の見解も聞きたいものなのです。

そこで指定確認検査機関の中に誰かいないかと探してみます。これは会社ではなくあくまでも個人の資質なので、会社の規模とかはあまり関係がありません。でもそういう人材は減ってきていますね。

【長屋】千葉県建築基準法施行条令

【千葉県建築基準法施行条令】

第八節 長屋
(木造長屋の形態等)
第四十二条 木造建築物等である長屋(耐火建築物又は準耐火建築物であるものを除く。以下「木造長屋」という。)は、六戸建て以下としなければならない。ただし、主要構造部を準耐火構造としたものについては、十二戸建てにまですることができる。
2 木造長屋の地階を除く階数は、二以下としなければならない。ただし、政令第百三十六条の二に定める技術的基準に適合し、かつ、次の各号に定めるところによるものは、その地階を除く階数を三とすることができる。
一 延べ面積(主要構造部が一時間準耐火基準に適合する準耐火構造である部分の床面積を除く。)は、五百平方メートル以下とすること。
二 各戸が重層しないこと。
三 地階部分は、主要構造部(階段を除く。)を耐火構造とすること。
3 前項第一号及び第二号の規定は、知事が当該建築物の構造及び敷地の状況により安全上及び防火上支障がないと認める場合は、適用しない。
一部改正〔昭和五二年条例四一号・平成三年二一号・五年二八号・一二年七五号・一五年六一号・二七年五一号〕
(出入口)
第四十三条 長屋の各戸の出入口は、その一以上が道に面しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する長屋については、この限りでない。
一 六戸建て以下の長屋で、その出入口が、道に通ずる幅員二メートル以上の敷地内の通路に面するもの。ただし、六戸建て以下の木造長屋で、地階を除く階数が三のものにあつては、その出入口が、道に通ずる幅員三メートル以上の敷地内の通路に面するもの
二 耐火建築物又は準耐火建築物で、その出入口が道に通ずる避難上有効な敷地内の通路に面するもの
2 階段等のみにより直接地上に達する住戸にあつては、その階段口(当該階段等が地上に接する部分をいう。)を出入口とみなし、前項の規定を適用する。
一部改正〔昭和四六年条例一五号・五二年四一号・平成三年二一号・五年二八号・一五年六一号〕
(内装)
第四十三条の二 階数が二以上の耐火建築物又は法第二条第九号の三イに該当する準耐火建築物以外の長屋は、最上階を除く各階の天井(回り縁、竿さお縁その他これらに類する部分を除く。)の仕上げを難燃材料でしなければならない。
追加〔平成三年条例二一号〕、一部改正〔平成五年条例二八号・一二年七五号〕

【長屋】京都市建築基準法施行条令

【京都市建築基準法施行条例】
(長屋)
第6条の2 都市計画区域内にある長屋は、次に定めるところによらなければならない。
(1) 法第23条に規定する木造建築物等である長屋(耐火建築物又は準耐火建築物を除く。)は、5戸建て以下で、かつ、階数を2以下とすること。ただし、令第136条の2各号に掲げる技術的基準に適合する場合には、階数を3とすることができる。
(2) 前号の長屋の側面には、隣地境界線との間に50センチメートル以上の空地を設けること。ただし、隣地境界線が、公園、広場その他これらに類する空地に接するときは、この限りでない。
(3) 各戸には、便所及び炊事場を設けること。
2 前項の長屋の各戸の主な出入口は、道路(法第43条第1項ただし書の規定による許可を受けた長屋にあっては、当該長屋が当該許可の内容に適合するためその敷地が接しなければならないとされた道又は通路を含む。第2号において同じ。)に面して設けなければならない。ただし、主な出入口が次の各号のいずれかに該当するものは、この限りでない。
(1) 2戸建てで敷地内の幅員2メートル以上の通路に面するもの
(2) 耐火建築物又は準耐火建築物で各戸の界壁が耐火建築物にあっては耐火構造、準耐火建築物にあっては準耐火構造であり、かつ、両端が道路に通じる敷地内の幅員3メートル以上の通路又は一端が道路に通じる敷地内の幅員3メートル以上、長さ35メートル以内の通路に面するもの
(3) 公園、広場その他これらに類する空地に面するもの
(昭54条例24・追加、昭63条例30・平5条例6・平7条例12・平13条例11・平27条例32・一部改正)

【長屋】大阪府建築基準法施行条令

【大阪府建築基準法施行条例】
(長屋)
第六条 都市計画区域内の長屋は、次の各号に定めるところによらなければならない。
一 各戸の主要な出入口は、道路(法第四十三条第一項ただし書の規定による許可を受けた長屋にあっては、省令第十条の二の二第一号に規定する空地、同条第二号に規定する公共の用に供する道又は同条第三号に規定する通路を含む。以下この号において同じ。)に面すること。ただし、長屋が次のイ又はロに該当し、かつ、各戸の主要な出入口が道路に通ずる幅員三メートル以上の敷地内の通路(イに掲げる長屋にあっては、道路から各戸の主要な出入口までの長さが三十五メートル以内の通路に限る。)に面する場合は、この限りでない。
イ 床面積の合計が三百平方メートル以下のもの
ロ 耐火建築物又は準耐火建築物であるもの
二 桁行は、二十五メートルを超えないこと。ただし、耐火建築物又は準耐火建築物である場合は、この限りでない。

【長屋】神奈川県建築基準条令

【神奈川県建築基準条令】
(長屋の出口)
第 19 条 長屋の各戸の主要な出口は、道に面して設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当し、かつ、安全上支障がないと認められる場合は、この限りでない。
(1) 主要な出口から道に通ずる敷地内通路の幅員が 3 メートル(2 以下の住戸の専用の通路については、2 メートル)以上である場合
(2) 周囲に公園、広場その他の空地がある場合
(長屋の構造等)
第 20 条
3 階を長屋の用途に供する建築物は耐火建築物又は政令第 115 条の 2 の 2 第 1 項の技術的基準に適合する準耐火構造とした準耐火建築物とし、4 階以上の階を長屋の用途に供する建築物は耐火建築物としなければならない。ただし、重ね建て長屋の用途に供する部分のない建築物にあっては、準耐火建築物又は政令第 136 条の 2 の技術的基準に適合する建築物とすることができる。

2 長屋の用途に供する部分の床面積の合計が 600 平方メートル以上の建築物は、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。

3 長屋の各戸の界壁の長さは、4.5 メートル以上としなければならない。ただし、当該建築物の構造若しくは形状又は周囲の状況によりやむを得ないと認められる場合は、その界壁の長さを 2.7 メートル以上とすることができる。

4 長屋の各戸は、直接外気に接する開口部を 2 面以上の外壁に設けなければならない

【長屋】東京都建築安全条例

【東京都安全条例】
(長屋の主要な出入口と道路との関係)
第五条 長屋の各戸の主要な出入口は、道路又は道路に通ずる幅員二メートル以上の敷地内の通路に面して設けなければならない。
2 木造建築物等である長屋(耐火建築物又は準耐火建築物を除く。)にあっては、主要な出入口が前項の通路のみに面する住戸の数は、三を超えてはならない。
(昭二八条例七四・昭三〇条例三一・昭三五条例四四・昭四七条例六一・平五条例八・平一二条例一七五・一部改正)

建築基準法第6条の2第6項

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東京都建築士事務所協会の「コア東京・2016・11月号」に掲載されていた「一級建築士の懲戒処分は今・平成28年度第1回一級建築士の懲戒処分の分析」加藤峯男さんの記事がとても参考になりました。

東京三会建築会議の「処分適正化」「処分問題の改善要望」への活動もあり、建築士法第10条の2の改正につながっている事を知りました。役員の方々が常日頃建築士の為に活動されている事に敬意を表したいと思います。

平成28年度第1回の建築士の懲戒処分は、今年業務停止処分を受けたA指定確認検査機関と、かってA社に所属した4人の確認検査員に関わる物件だと聞いています。いずれも指定確認検査機関から確認済証及び検査済証の交付を受けた物件であり、済証を交付した指定確認検査機関に対する国土交通省の監査で違反設計部分が発見され、それに係つた設計者=建築士の処分となっています。

もともと建築基準法第6条の2第6項には、下記のように記載されています。

『6   特定行政庁は、前項の規定による確認審査報告書の提出を受けた場合において、第1項の確認済証の交付を受けた建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないと認めるときは、当該建築物の建築主及び当該確認済証を交付した同項の規定による指定を受けた者にその旨を通知しなければならない。この場合において、当該確認済証は、その効力を失う。』
*
指定確認検査機関が交付した建築確認済証や工事完了検査済証は、絶対的な「正」ではなく、事後に覆ることがあるということは指定確認検査機関制度が出来たときからの問題でした。このことを話すと、未だに知らない建築士がいることに逆に驚きを感じます。
*
設計者が指定確認検査機関と付き合う時の基本的スタンスは、「全幅の信頼」を持つことではなく、基準法の取扱いが難しい場合は、あくまでも特定行政庁と指定確認検査機関の相互の見解を聴くようにして設計者自らが判断することが必要だと思います。
*
指定確認検査機関の業務は、あくまでも本来行政が行うべき「確認事務」の代行であるに過ぎません。「確認」なのですから、その設計の内容に責任をもつのは「設計者」です。仮に不適合とされた設計箇所に対する法的取扱いが指定確認検査機関の判断であったとしてもです。
*
尚、建築基準法第6条の2第7項には、下記のようにあります。
*
『7  前項の場合において、特定行政庁は、必要に応じ、第9条第1項又は第10項の命令その他の措置を講ずるものとする。』
*
第7項では、違反建築物に対する措置を定めていますが、是正命令を出せるのは特定行政庁にあり、指定確認検査機関にはありません。
*
平成28年第一回の処分には、旧知の方が2名いました。いずれも、この道数十年のベテランの方です。それ故に、指定確認検査機関が確認済証や検査済証を交付し物件の引き渡しが完了し、すでにその物件が使用されているのに違反設計とされ是正命令が出て、とてもやりきれなかったと思います。もしかしたら業務停止処分になるのではないかと、さぞかし不安な気持ちでおられたことでしょう。
*
現行の建築基準法の指定確認検査機関制度では、こうなってしまうのです。
*
設計者が判断が分かれる建築基準法の取扱いについて指定確認検査機関に相談に行くと、「指定確認検査機関では判断する裁量がないから特定行政庁に行って相談して、議事録つけてもらえば良いから」と言われ、特定行政庁に行けば、「確認を民間に出すなら指定確認検査機関に判断してもらって」と。一体「設計者はどうしたらいいのさ」というのは、今でも耳にします。
*
もう15年もダブルスタンダード(二重規範)は、続いています。

ツリーハウスって何なの?

TREE-HOUSE

ツリーハウスは建築確認申請が必要か否か聞かれた。
そもそもツリーハウスの用途は一体何なんでしょうかね? 「樹の家」という名称だけど住宅ではない。居室か非居室かと言われると「継続性」はないので非居室ということになるだろうか。
法文に沿って考えると
 1、屋根・壁があるので建築物
 「法2条第1項第一号 建築物:土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)。これに付随する門扉若しくは塀、・・・<中略>・・・観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗・・・<中略>・・・をいい、建築設備を含むものとする。」
 ということで、ツリーハウスは建築物にあたり建築基準法が適用されると考えるのが一般的。
 ちなみに「随時かつ任意に移動できない状態で設置」され「継続的に使用」する場合は、土地への定着性が確認できるものとして建築物として取り扱われる。
 2、確認申請が必要か
 法6条第1項:建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築すしようとする場合・・・<中略>・・・確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証交付を受けなければならない。」
  法6条第2項:前項の規定は、防火地域及び準防火地域において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であるときについては適用しない。」
 10㎡以内の増築の場合には確認申請なしで建築が可能だが、新築の場合は必要となる。
 ゆえに あとから増築なら確認申請は不要とも考えられるが、申請が不要なだけで遵法性は求められるのでツリーハウスで事故があった場合は、設計者の責任が問われることになる。
3、写真のようなツリーハウスで確認申請が可能か
・・・極めて困難。令第40条の木造の構造規定は、適用除外とならないのではないか。写真のように自然木に抱かせる形で、自然木を含めた総体の構造検証が困難に思える。
4、用途を物見塔と考えることもできる
・・・ただし工作物申請は必要だが、高さが8mを超えなければ工作物申請は不要。これも又申請が不要というだけで遵法性は担保しておく必要がある。
5、グランピング施設(宿泊)や喫茶・飲食として使用する場合は当然建築物
・・・どこかで見たことあるけどね
6、世の中に存在するツリーハウスは、確認申請は出していないのでは
・・・だと思うが確認申請を提出した事例があれば御教示いただきたい。

コア東京6・2016 東京都建築士事務所協会

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先頃届いた東京都建築士事務所協会の機関誌「コア東京6・2016」をながめていた。

記事の中では、「オフィスビルを保育所にコンバージョン・ビルイン型保育所の課題と設計の実際」石嶋寿和氏(株式会社石嶋設計室)が読み応えがあった。

石嶋氏が、ビルイン型保育所を設計する上で直面した用途変更に伴う諸問題が良く整理されている。

1、消防法の既存遡及

保育所がテナントとしてビルインする場合、ビル全体の消防法の用途が「複合用途防火対象物(16項イ)となり、用途変更する保育所部分の問題だけでなく建物全体に現行の消防法の基準が適用される。それらにかかる防災設備の費用をテナントが負担しなければならない場合があり資金的なハードルとなる。これはビルの一部に飲食店が入居する用途変更の場合も同様の問題が生じる。

2、建築基準法の採光

オフィスビルに入居する場合などは、敷地境界線から建物の離隔距離か少ないため有効採光が取れないことがある。弊社でも事務所から入院施設のある診療所への用途変更で病室の有効採光の確保に苦心したことがある。

3.東京都建築物バリアフリー条令

記事では「誰でもトイレ」の設置について取り上げているが、おりから東京都都市整備局市街地建築部長から「高齢者、障害者が利用しやすい建築物の整備に関する条令第14条の適用に係る基本的な考え方について」(28都市建企第252号・平成28年6月2日)という技術的助言が通知されている。これで保育所関係の都バ条令第14条の制限の緩和は、やりやすくなった。

4、東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準関する条令

記事では、二方向避難の問題を取り上げている。駅前などの中小ビル等には敷地の余裕がないため外階段等を設置できないという実情はわかるが、こと安全上の問題に関わることであり、避難に関わること、防災上の問題は慎重に考えたいところだ。それにしても建築基準法上は、「直通階段」で良いところを「屋外避難階段」とされている。より安全性を考えて「屋外避難階段」としているのかも知れないが、過剰かなと思うこともある。

5、排水

記事では既存の給排水の位置を現地調査し計画図を作成しているとある。リノベーションでは「調査なくして設計無し」であり、新築とは異なる設計手法が必要となる。

用途変更に伴うオール電化厨房設置による幹線の変更、キュービクルの変更あるいは新設、飲食店等が入居する場合はグリストラップの設置などの問題もある。

これらのように、用途変更には幾つものハードルがある。入居ビルの選定の段階から、構造・設備・法令等の総合的な知識と経験が要求される。

「貸会議室」@「集会場」

オフィスビルの余剰床のコンバージョンの一つの案として提案されたり、採用されるのが「貸会議室」。

注意しなければならないのが、東京都安全条例ではその用途が200㎡を超えると「不特定多数の者が集会等に利用する建築物又はその部分」として集会場として取り扱われること(都安全条例第9条第7号)。集会場となると既存の建物の避難経路では、ほとんど対応できない。(都安全条例第40条から第52条)

ゆえに私のようなコンバーターは、基本的に集会場扱いを避ける。

建築物としては、文化会館・市民ホール・多目的ホール・結婚式場・葬祭場・セレモニーホール。建築物の部分としては、大会議室・ホテルの大宴会場。

日本建築行政会議の「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例(2013年版)」では、200㎡以上で、全国的には概ね200㎡以上なのだが、横浜市では「すべての集会室が200㎡以下で、かつ、その床面積の合計が1000㎡以下」だと集会場に該当しない。

ただし熊本県は300㎡以上。

いくつかある貸会議室の最大の一室の床面積が200㎡未満であれば、集会場に該当しないが、例えば199㎡の貸会議室が10室あり合計で1990㎡あっても集会場には該当しないというのも変なもんだ。

固定席でない貸会議室の定員は、床面積を1㎡で除するのが一般的だから200㎡なら定員は200人となり、前例の1990㎡の貸会議室がすべて利用されていると1990人が定員となる。実質はテーブルなどがあるから0.5人/㎡程度になるからその半分ぐらいとなる。それでも定員は995人=約1000人となり、建物全体では地方都市の大ホール以上の定員でも集会場とならないというのは避難上どうなんでしょうかね。

やっぱり横浜市のように、全体の面積の上限を定めておくのが妥当なのではないだろうか。

【覚書】難燃材料

難燃材料とは、

「建築材料のうち、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後5分間第108条の2各号(建築物の外部の仕上げに用いるものにあつては、同条第一号及び第二号)に掲げる要件を満たしているものとして、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。」(建築基準法施行令第1条の六)

建築基準法施行令第1条第六号(難燃材料)
平成12年建設省告示第1402号(難燃材料を定める件)

一般には難燃合板、難燃繊維板、難燃プラスチック板などの材料が難燃材料に含まれる。

その物が薄く下地の不燃性能に影響されるクロスや塗料・吹付材等については、下地面材(基材)との「併せ技」で認定を取得している。

このような材料は、下地の種類に応じてその仕上がった状態での不燃性能が異なってしまう。

塗料などで国土交通省防火材料/不燃材料認定とあり認定番号NM-■■■■とあっても、決められた基材での認定なので、かりに木材等の可燃物に塗装しても難燃材料とはならない。

木部系塗料で樹脂限定(松系等)で認定を取得しているものがある。

時代にそぐわなくなってきた用途変更の規定

「用途変更」(コンバージョン)についての規定は、戦前の法律である市街地建築物法にも規定されていた。

大正八年法律第三十七號 「市街地建築物法」(昭和二十二年十二月二十二日改正)

【六條】

「前四條ノ規定ノ適用ニ付テハ新ニ建築物ノ用途ヲ定メ又ハ建築物ヲ他ノ用途ニ供スルトキハ 其ノ用途ニ供スル建築物ヲ建築スルモノト看做ス 」

前4条の規定の適用について新たに建築物の用途を定めるとき、または建築物を他の用途で使用するときは その用途に使用される建築物を(新たに)建築するものとみなす。 

ところが、昭和25年に建築基準法が制定された時点では「用途変更」に係わる規定はなかった。

「建築」の定義は新築、増築、改築、移転に限られていた。このほか修繕、模様替えといった概念もあるものの「用途変更」が法文に現れるまで、それから約10年を要することになる。

現在の用途変更については建築基準法第87条(用途の変更に対するこの法律の準用)において4つの項目から構成されている。
第1項は用途変更の対象建築物、第2項は実体規定と言われる準用規定、
第3項は既存不適格建築物に対する準用規定、第4項は部分規定に関するもので、法第86条の7(既存の建築物に対する制限の緩和)第2項,第3項(部分規定)の準用規定だけである。

最近は、用途変更と言っても建物の一部を用途変更するものだけでなく、建物全体を用途変更(コンバージョン)するものも多く見られるようになったのに、工事完了検査は必要ない、工事監理も不必要、設計者の資格も問われない。「用途変更」は「建築行為ではない」なんて、なんだか時代にそぐわない。

戦前の建物の再生@北九州市

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先月、戦前の建物を再生する業務の為、北九州市と打合せをしてきた。戦前の「市街地建築物法」に基づいて設計され建設された建物だから、当然建築基準法に基づく建築確認申請も工事完了検査済証もない。

電話で概ね北九州市建築都市局指導部建築審査課と打合せしてあったのだが、「戦前の建物」を「建築基準法に基づく工事完了検査済み証が無い建物」と同様に扱うことになった。

工事完了検査済み証の無い建物についての取扱いは、北九州市に内規(試用版)があるらしく、「既存建築物状況報告書」(別添:施工状況報告書、現況調査チェックリスト、現況図、現況写真、構造チェックリスト、その他)の提出が必要との事だった。

内容的には大阪府内行政連絡協議会の基準とさほど変わらない。施工状況報告書は法第12条第5項報告の規定によると記載されているから実質、法第12条第5項報告書を提出するのと同等のようだ。

ただし、これは北九州市に用途変更確認申請なりを提出する場合で、民間指定確認検査機関に用途変更確認申請を提出する場合の手続きは聞いていない。

手続きのメニューは単純なのだが、調査の内容とその評価・判断は、そう単純ではない。

包括同意基準・歴史的建築物

昨年出された国交省の技術的基準、国住指第1号平成26年4月1日「建築基準法第3条第1項第3号の規定の運用等について(技術的助言)」でも歴史的建物の活用で「包括的同意基準」を行政が策定することを推し進めるものだ。

ようやく歴史的建築物の活用にひとつの風穴があいたように思う。

以下、国住指第1号平成26年4月1日「建築基準法第3条第1項第3号の規定の運用等について(技術的助言)」の抜粋

************

 1.法第3条第1項第3号の規定の適用に当たっては、歴史的建築物の保存活用が円滑に進むよう、地方公共団体が建築審査会の同意のための基準(以下「同意基準」という。)を定め、当該同意基準についてあらかじめ建築審査会の包括的な了承を得ることにより、別途、地方公共団体に設ける歴史的建築物の保存活用や構造安全性に詳しい者等により構成される委員会等において個別の歴史的建築物について同意基準に適合することが認められた場合にあっては、建築審査会の個別の審査を経ずに、建築審査会の同意があったものとみなすことができること。
2.建築審査会における同意基準の策定に当たっては、地域における歴史的建築物の実情や要望、歴史的建築物の保存活用や構造安全性に詳しい者等の意見を十分踏まえて対応すること。

また、同意基準の内容としては、次のような事項を定めることが考えられること。

ⅰ)条例で定められた現状変更の規制及び保存のための措置が講じられていること。
ⅱ)建築物の構法、利用形態、維持管理条件、周辺環境等に応じ、地震時等の構造安全性の確保に配慮されていること。

ⅲ)防火上支障がないよう、出火防止、火災拡大防止、近隣への延焼防止及び消防活動の円滑性の確保に配慮されていること。

ⅳ)在館者の避難安全性の確保に配慮されていること。

3.条例を定める地方公共団体が特定行政庁でない場合、特定行政庁である都道府県知事は、当該地方公共団体の意向を十分踏まえ対応すること。

************

包括同意基準・法第43条第1項ただし書

建築基準法では、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する基準を定めているが、その中には、特定行政庁が建築計画や周辺状況等を勘案して、やむを得ないと認めたうえ建築審査会の同意を得る等の所要手続きを経た場合に、特例的に制限を解除することができる許可制度がある。

その中で許可事務の迅速化を図るため、基準に適合する場合は、あらかじめ建築審査会の同意を得たものとして取扱う「包括同意基準」を定めている。

この包括同意基準に適合しない場合は、特定行政庁が審査のうえ、許可相当と判断された場合に限り、個別に建築審査会に諮り、同意を求めることとなる。(とは言え実際は難しい)

最近、九州で法第43条第1項ただし書道路のケースに遭遇した。法第43条第1項ただし書道路の運用基準が定められていて、それに沿っている場合は、建築審査会の同意が不要との事だった。ちょつと調べてみると横浜市とかさいたま市とか「包括同意基準」「運用基準」を定めているところは多かった。

地域によっては、法第43条第1項ただし書道路の許可申請が、年間を通し大量に出される場合がある。

それらに対応するため、平成11年5月の法改正まで建築主事による運用が図られてきたことを受け、一般的な事例については運用基準をつくり、この基準に対して事前に建築審査会の同意を得ることにより、円滑な許可業務の執行を図ることが目的となっているようだ。

増築の定義

建築基準法には「増築」の定義はない。

一般的には

「増築とは、既存の建築物の床面積を増加させる。もしくは敷地に対して床面積(建築物)を増加させる場合」をいう。ネットサーフィンをしてみたら、多くのサイトや専門家であるべき、とある若い建築基準適合判定資格者のサイトもこのように書いてあった。

また、一般的(素人用)な定義のはずなのに、プロ用の建築法規の解説書でも「既存の建築物の床面積を増加させる」とだけ書いてあるものが多く見られる。例えば

「すでに建っている建築物の床面積を増やすことをいう」(「史上最強・よくわかる建築基準法」(ナツメ社刊・2013年第1版第8刷))

また、関連業務の書籍だが、

「増築とは、既存建築物の床面積を増加させることをいい。同一棟、別棟を問わない」(「エンジニアリング・レポート作成に係るガイドライン」(2011年版)・公益社団法人ロングライフビル推進協会)

上記のような本を見ると、それだけで私の中での信頼度が低下してしまう。

こうした解説書が多いせいか「床面積が増えないんだから増築ではない」と言ってくる 若い設計者は多い。

「建築面積ゼロ、床面積ゼロ」(ゼロゼロ増築)や「建築面積あり、床面積ゼロ」という「増築」もあるよと答えている。「建築面積ゼロ、床面積ゼロ」は例えばバルコニー等を建築する場合。「建築面積あり、床面積ゼロ」は例えば渡り廊下・キャノピー等の場合がある。塀・門扉などを建築する場合もゼロゼロ増築に該当するだろう。

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最近購入した「建築法規PRO」(第一法規刊)では、

「増築とは、既存建築物に付けて建築物を建てること、既存建築物の敷地内に別棟で建築物を建てること」

この「建築物」と書いてあるところが重要で、建築基準法で「建築物」は法第2条第一号に規定されている。

さすがに東京都建築士会・法規委員長、東京都事務所協会理事の小田さんが監修しただけのことはある。

0.75kW

建築基準法でよく拝見する「原動機の出力0.75kW」。法令関係の試験でも出てきますが、なにげなく使っている0.75kWを超えるか超えないかという規定。物理で習った1馬力ともちと違う。??と思っていた。

戦前の建物の構造強度の規定について調べていて、市街地建築物法関係を読んでいたら原動機の出力について触れている箇所がいくつもあった。

例えば

大正九年勅令第四百三十八號
市街地建築物法施行令【昭和十四年一月九日改正(勅令第十一號)】

第一條 建築物左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ住居地域内ニ之ヲ建築スルコトヲ得ズ 但シ第一號乃至第四號ニ該當スル建築物ニシテ行政官廳住居ノ安寧ヲ害スル虞ナシト認ムルモノ又ハ公益上已ムヲ得ズト認ムルモノハ此ノ限ニ在ラズ 
左の各号の一に該当する建築物は、住居地域内に建築することはできない。 ただし、第一号から第四号に該当する建築物で行政官庁が住居の安寧を害するおそれはないと認めたもの、または公益上やむをえないと認めたものはこの限りではない。 
一 常時使用スル原動機馬力數ノ合計三ヲ超過スル工場 
常時使用する原動機の馬力数の合計が3を超える工場。 

ということで「原動機の出力0.75kW」ではなく「原動機の馬力数」というような規定だったようだ。

 馬力(ばりき)とは仕事率、工率の単位である。元々は馬一頭の持つ力を1馬力と定めたもので、ヤード・ポンド法に基づく英馬力、メートル法に基づく仏馬力などがある。

1英馬力は約745.700ワット。イギリスの法令上の正確な換算値は、1英馬力 = (正確に)745.699 871 582 270 22 ワットである。

1仏馬力は 735.498 75 ワット。ただし、日本の計量法では、1仏馬力= (正確に)735.5 ワットである(計量単位令第11条第2項)。

日本の旧計量法では、1馬力は英馬力とも仏馬力とも違う750ワットとしていたのが、現在の建築基準法の「0.75kW」の源泉のようだ。

「分棟性」

建築基準法には「分棟性」と言う言葉はない。私が「一棟性」に対してつけた名称である。

建築基準法第21条第2項の大規模木造建築の面積制限により。延床面積3,000㎡を超える建築物は、耐火建築物にしなければならない。(平成26年改正・平成27年6月1日施行で建築基準法第21条第2項、令第109条の5が改正され、延べ面積が3,000㎡を超える大規模な木造建築物については通常の火災による延焼を防止する性能を満たす壁等で3,000㎡以内ごとに区画することにより耐火構造等でなくても建築できることになる。)

しかし古くに出された通達、昭和26年3月6日住防発第14号「部分により構造を異にする建築物の棟の解釈について」及び国住指第2391号(平成20年9月30日)国土交通省住宅局建築指導課長技術的助言「部分により構造を異にする建築物の棟の解釈について」により、外観的・機能的に一体の木造建築物の建物間に一定規模の耐火構造の建物(RCが多い)を設けることにより、防火規制上、それぞれの建物が「別棟」と解釈される。

建築基準法の集団規定上は「一棟」だが、単体規定の内、防火規制部分のみを「別棟」とした取扱い。

事例としては宮代町役場(埼玉県)がある。

宮代町役場内部

2005年(平成17年1月)に竣工した宮代町役場。地上2階建て延床面積4,242.59㎡。柱材は埼玉県産杉材450mm角。

image-0001建物は準耐火建築物(イなのかロなのか・・)で上図黄色部分を鉄筋コンクリートとし、紹介した通達を適用して木造建築を可能にしている。

この通達について取扱いを定めている特定行政庁もあるが、それについては後日紹介するが、法第21条第2項が改正されるのでこの通達の利用は、今後少なくなると思う。

「一の建築物(一棟性)」

建築基準法では「一の建築物(一棟性)」についての明確な規定がないが以下の判例がある。

「東京地方裁判所 判決 平成11年行ウ第156号」

「『一の建築物』とは、外観上分離されておらず、また、構造上も外壁、床、天井、屋根といった建築物の主な構造部分が一体として連結し、あるいは密接な関係を持って接続しているものを指すと解すべき」

「東京地方裁判所 判決 平成18年行ウ第482号」

「社会通念に照らし、構造上、外観上及び機能上の各面を総合的に判断して、一体性があると認められる建築物は『一の建築物』に当たると解するのが相当」

日本建築行政会議では、平成14年に全国の行政・指定確認検査機関にアンケート調査を実施して以来検討を重ねて、平成21年(2009年)の日本建築行政会議全国会議の「部会検討結果報告」に整理された。

「基準総則部会報告」の最初に、「一の建築物(一棟性)に係る検討」が記載されている。

その中の「取り扱い案」の一部を紹介すると

【一の建築物とする判断要件】

複数の建築物が用途、床面積の発生する部分で接続し、外観(形態)上、構造上、機能上接続している場合、一の建築物と判断する。

外観(形態)上、構造上、機能上については、以下の要件が考えられる。
1.外観(形態)上一体であるとは、どの方向(目視の可否にかかわらず)から見ても物理的に一体をなし、一棟と判断できる十分な接続をもつもの。
2.構造上(構造耐力に関わらず)一体であるとは、床又は壁を共有(EXP.Jの有無に関わらず)し、一棟と判断できる十分な接続をもつもの。(当要件にかかわらず、主要構造部を共有し構造計算上一体のものは一棟)
3.機能上一体であるとは、接続していなければいずれの建築物に必要な機能(避難上、運営上など)を満足しない部分が生じるもの。

とし、具体的な判断事例として四つのタイプをあげている。

外観上、機能上一体ではあるが別の棟として判断できる場合として、「部分として構造を異にする建築物の棟の解釈について」(昭和26年建設省住防発第14号)がある。

 

多世帯住宅について考えた

このところ多世帯住宅について考える機会があった。

ひとつは知人からの質問で、都内に計画中の三階建ての建物で親夫婦、子供夫婦、子供奥様の親という血縁関係が住む住宅が共同住宅だと言われたとのこと。外部階段を共有していて、家族構成が変化すれば第三者に賃貸することも容易な形態。

私も以前 横浜市でそういう多世帯住宅の設計に携わった経験があり、その時は、共用の外部階段を内部階段にして多世帯住宅で申請した経験があり、そういうことを話しておいた。

ところで横浜市は昨年、平成26年9月に「横浜市建築基準法取扱基準法」を一部改正し「多世帯住宅の取扱い」を加えた。image-0002

 

日本建築行政会議編の「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」(2013年版)を受けて、「世帯ごとに分離した台所、食堂等の部分が2までのものとし、3以上の住宅については、原則として共同住宅として扱う」というもの。

まあ「形態」で考える建築基準法の取扱いとしては妥当なんだろうなぁと思うけど、いまひとつ すっきりしない。

二世帯住宅を計画する場合、例えば親夫婦のいずれか、若しくは両方が無くなったり、片親の介護が必要になったときでスペースの転用を考える場合、子供が独立して生計を営むようになり、不要な部屋の転用を考えた場合とか、将来の家族構成の変化なども見込んで計画のバリエーションも考えておかないとならない。

三階建ての1階部分を他人に貸したら住宅から(特殊建築物)共同住宅で違反になるというのも建築ストックの活用上は、制限つけすぎかと思う。200㎡以下の住宅は「特定住宅」として緩和するとか必要。

「家族」といっても血縁関係でつながっているのが「家族」というわけでもなく、現代では多様化してきている。難しいね~。