外装材の風圧力

最近 知人から、千葉鋸南町の道の駅 保田小学校の旧体育館をコンバージョンしたマルシェ(農産物販売所)が台風15号で被災して建物上部の中空ポリカポネート板がほとんど剥がれ、使用できなくなったと聞いた。何故か屋根は無事だったとの事。RC部分(旧教室校舎)は使えていて、温泉も機能して地域の復興拠点になっていると聞いた。

下2枚の写真は、私が2016年2月に撮影した写真。

【2016年2月撮影・道の駅保田小学校・マルシェ】

【2016年2月撮影・道の駅保田小学校・マルシェ】

下の写真は、台風15号で被災した直後の道の駅 保田小学校マルシェ

外装材の中空ポリカポネート板が剥がれ落下している

下の2枚は、最近のマルシェの状況・使用停止中

道路側だけは 合板で囲われている。一日も早い復旧と被災からの復興を願っています。

さて 思い出したのは、帳壁の風圧力は、平成12年建設省告示第1458号に規定されている計算式と係数から算出した風圧力を使用するが、高さ13m以下の建物や1階部分については適用除外となっている

平成12年6月2日付「建築基準法関連法令及び告示の制定・改正に関する意見募集の結果について(建設省住宅局建築指導課)」の「建築基準法関係省令及び告示の制定・改正案に寄せられたご意見の要旨と建設省の考え方」には、次の記載がある。

【寄せられたご意見の要旨】

13m以下の建築物についても帳壁の構造計算を義務付けるべきである。

【建設省の考え方】

最低限の基準と言う観点から、13m以下のものについては、仕様規定(昭和46年建設省告示第109号)により対応することとしています。

一方で、「『平成12年6月1日施行 改正建築基準法・施行令等の解説』講習会における質問と回答」には、次の記載がある。

【質問】

外装材の構造計算に関して、高さ13m以下の建築物の取り扱いとその根拠は?

【回答】

13m以下の建築物における外装材の構造計算については規定していないが、検討する場合は平12年建告第1458号に従って計算を行うのが望ましい。

道の駅 保田小学校・マルシェの中空ポリカポネート板が、どういった計算に基づく施工方法(胴縁への留め方)をしたのか不明だが、低層建物でも注意は必要だ。

タワマンのリスク

今年は、春から横浜の仕事が連続しているので池袋から横浜まで湘南新宿ラインで移動することが多い。

このところ車中から武蔵小杉のタワーマンションに灯る まばらな光を眺めていた。

たまにしか週刊誌を読まないが、「週刊現代」10月2日・9日合併号の「検証 武蔵小杉の悲劇 タワマンで何が起きたのか」の見出しにつられて読んでみた。

今は、この内容はデジタルで全文読める。

武蔵小杉高級タワマン

台風19号の被害で地下の電気室が水没し、停電、照明・ELV・水道・トイレも使えなくなったという事は 報道で知っていたが全貌が明らかになりつつある。不動産会社から「パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー」の中古売り物件が沢山でていると聞いた。

排水の合流式・分流式といった都市のインフラの課題。タワマンの設備関係のリスクマネジメント等、とにかく今年は災害が多く色々とこれからの建築を考える機会が多かった。

3.11の時もタワマンは停電でインフラが使えなくなって一時期人気がなくなったのだが、タワマンのスペックは さほど変わってなかったようだ。

広告代理店が考えるタワマン・ポエムは相変わらずだし。

個人の防災対策

誰か神様を怒らせた人がいるのだろうか。

僕は「あの人」だと思うけど・・

日本中の神様が出雲に集まって、今 色々と相談中なのかも知れない。

神様を怒らせると本当は恐ろしいことを現代の人は知らないから。

さて台風15号、台風19号による被害は、日本のインフラの脆弱さを表面に出した。リスクは、以前から国土交通白書等で指摘されていたことだが、実際たて続けに被災し大手メディアでは報道されない各地の被害状況を聞いたり、見たりすると、阿武隈川の氾濫で1階が水没して現在はホテル住まいとか、土砂崩れにあったとか、床下浸水したとか。相当広範な地域が被災していることがわかる。早期の復旧が望まれる。

武蔵小杉のタワーマンションの被災や川崎市市民ミュージアムの地階収蔵庫の水没(現在休館)、東京都市大学世田谷キャンパスは、図書館の地階図書室を始め教室などが被災した為、全ての施設の利用停止、終日休講と聞いた。10/28再開とのことだが、まだ確定ではないらしい。というように建築物の被災も沢山耳に入ってくる。

既存建築物の防災対策の見直しは急務になるだろうなと思っている。ただ そのスペックをどの程度にすれば適正なのかが悩ましいところだ。

さて個人の防災対策だが、3.11以降 どちらかというと地震対策に重きを置いていた。東京の山手線の内側に住んでいると食糧の供給がストップすると完全にお手上げなので、米・缶詰・水の備蓄は万全にしてきた。

今回も、台風が到来する前日からコンビニから食べられそうなものは一切なくなっていたし、食品が納品されて普段の状態に戻るまでに、台風が去った翌日の夕方になった。

今年の台風被害で、個人的に見直しているのは「電気」

現在、所有している蓄電池は、60000mAh 222Wh 家庭用蓄電池 QC3.0 / TypeC搭載 LED画面表示 三つの充電方法 ソーラー充電 ACコンセント(200W 瞬間最大300W) DC(180W)/USB/Type-Cなど出力 LEDライト 発電機という仕様で、安かったので試しに買っておいた商品。

照明とか電気ポット、ホットプレート等を使うには支障がないらしいが、インバーターが修正正弦波なので一般の家庭用家電を長時間使うのは支障があるらしい。ノートパソコンの接続もしない方が良いと言われた。

長期間の対応を考えると現在はソーラーパネルを持つていないのでソーラーパネルと正弦波インバーター付きか別の蓄電池が必要になるかもしれない。

ソーラーパネル+ソーラーチャージャーコントローラ(インバーター)+蓄電池という構成だが、ソーラーパネルの設置場所には限界があるし、屋根設置はメンテナンス上避けた方が良いと言われた。そうなると蓄電池の容量・能力に期待したいところだが。今話題のリチウムイオン電池は、少しお高い。

テスラも家庭用蓄電池を日本市場に投入するといういうが、次世代蓄電池も含めて蓄電池には関心を持つている。敷地に余裕があるところでは地べたにソーラーパネルの設置をすることは可能だろうが、高密度の都市住宅では設置面積に限界があるので色々と考える余地はありそうだ。

家庭用では、投資対効果を含めて考え、どの程度の仕様にするか検討中。試験的に3階バルコニーにソーラーパネルを設置して3階照明だけは、オフグリッド的にして試験運用してみようかと色々と思案中。たかだか個人の小さな発電装置ですら悩むのだから建築物の防災対策のスペックは悩ましい限りだ。

モバイルバッテリーは、この24000mAh モバイルバッテリー ソーラーチャージャー ソーラー充電器 の他、2台所有しているし、乾電池はストックがあるので充分だと思う。ガスボンベの備蓄もあるし、アウトドア用品は基本的に揃っているので建物が全壊しない限り避難しなくても大丈夫かも知れない。

日常的にリスクマネジメントは大事だと考える今日この頃。

罹災証明の為の建物被害認定調査(水害編)

水害で家屋が被災したときの,り災証明書取得のためのポイントをまとめています。かたづける前の記録の残し方について。建物被害認定調査のトリセツ「水害編」

罹災証明の為の建物被害認定調査は自治体職員が行っています。今後は建築関係の諸団体に依頼が来るかもしれません。建築専門技術者でなくても一般的な木造住宅は調査できるようなシステムになっています。スマホ用アプリ等のツールも整備されています。水害編の他に風害編、地震編もあります。

建物被害認定調査(水害編)

 

災害対策・防疫対策

日本経済新聞を眺めていたら、「防災科学技術研究所と一条工務店(東京・江東)は2日、茨城県つくば市にある世界最大級の大型降雨実験施設で、ゲリラ豪雨や洪水の対策をした「耐水害住宅」の公開実験をした。一般的な住宅が床下・床上浸水するのに対し、排水管の逆流を防ぐ弁の設置などによって浸水を防止できた。」と書かれていた。

日経「耐水害住宅実験」

過去の想定値を超える風水害がこれだけ増えてきているので、それらの対策を施した戸建て住宅の仕様を作成する必要があるだろうなと思っていたところ、ちゃんと研究開発しているところはあるんだなと感心した。

地震も含めた災害対策住宅は関心を集めているし対策も色々と考えられてきているが、「防疫」の観点はどうだろうか。

最近の旅館ホテル業の現場での悩みを聞くと、外国宿泊客によるトコジラミ(南京虫)被害が増加しているらしい。訪日外国人観光客の増加、とりわけ低予算で長期間にわたり旅行するバックパッカーの増加が要因としてあげられていた。トコジラミは安価な宿での被害報告が多い上、彼らが全国各地の観光地に広げていると言われている。

「トコジラミの恐ろしさは、爆発的な繁殖力と飢餓への強さにあります。1人の旅行者に付着した、たった1~2匹のトコジラミが3カ月後には数十匹にも増殖してしまうのですから、その繁殖力たるや恐ろしいものです。トコジラミの成虫は毎日5~6個の卵を3か月にわたって産み続けます。この計算では、1匹の親から約500匹ものトコジラミが生まれる計算になるのです。また、寿命は半年~1年以上ですが、大変飢餓に強く、2カ月以上吸血しなくても生き続けることができます。そのため、「しばらくその部屋を使わないようにすれば、いなくなるだろう」といった甘い考えは通用しません。

駆除に一定期間が必要(2~3週間、刺されると激しい痒みが1週間以上続く、毎日産卵する(3ヵ月間)、市販薬が効かない、血を吸わなくなっても2ヵ月以上生き続ける、1mmの隙間があれば生息可能、風評被害による営業不振、クレームにより訴訟沙汰になることもあります。また住宅地内にある民泊から周囲の住宅に広がる可能性もあります。」トコジラミ駆除ザウルス

また様様な感染症の媒体となることもあります。

私の地元で、民泊出店が計画された時に 防疫のことも心配事として指摘したのですが、民泊事業者の問題ではなく、行政の問題だったので要望事項には入れませんでした。

政府は、訪日外国観光客や外国人労働者(移民)を増やすことばかりに目がいっていますが、それに伴う現場でのトラブルは現地・地域住民任せです。

パンデミックスは 身近に潜んでいるのです。

人類の歴史は疫病との闘いでもあり、日本でも明治時代に全国各地につくられた長屋建築規制条例は、コレラ対策として住宅の衛生状態確保のために作られました。

疫病と建築との関係は、また別の機会に書くことにします。