区画避難安全検証法

 最近、既存建築物のリノベ―ション事案で、避難安全検証法を利用することが多くなっている。

 現在基本設計を手掛けているプロジェクトでも、既存の機械排煙は老朽化で実質機能していなかったので、リノベーションに伴い新規の機械排煙設備を設置するのではなく階避難安全検証で排煙設備、防煙垂れ壁を適用除外させる方向で進んでいる。

 別の相談を受けた事案では、テナントからの要望で区画を広げたところ排煙機の容量が足りなくなり、排煙機の容量を変えると、それに伴い非常用発電機も変更しなければならず、結構な金額の設備投資となるので、避難検証法でどうにかならないかというもの。

 2020年4月1日に施行された防火避難関係規定の合理化にともない示された項目に、区画安全検証法(令128条6)が追加された。

 従来は令129条の階避難安全検証法、令第129条の2で全階避難安全検証法が規定されていたが、これに区画避難検証法が加わった。適用除外される項目は「排煙設備の設置」「排煙設備の構造」「内装制限」のみと限定されているが、階の一部分の検証で適用除外ができる。

 注意点は準耐火構造の壁、防火設備(遮煙性能付)で区画するというところ。

【覚書】別棟解釈

建築基準法では、

・総則規定(確認申請・完了検査の手続き)は、敷地単位

・単体規定(防火、避難、構造等の規定)は、棟単位

・集団規定(高さ制限、用途地域等の規定)は、敷地単位

で法規制を準用することになつており、防火・避難・構造等の単体規定においては、原則として適用単位は棟単位であり、棟の部分ごとに法適用が異ならない。

【別棟解釈】

ただし、例外的な取扱いとして次の規定があり、同一棟であっても別棟として解釈することになっている。

〈構造別棟〉(法第20条第2項、令第36条の4)

建築物の2以上の部分が、エキスパンションジョイント等の相互に応力を伝えない構造方法のみで接している場合には、法第20条の構造規定の適用にあたっては、それぞれ別の建築物とみなす。(法第20条「構造規定」のみの解釈であり、他の規定では別棟にならない。)

〈避難別棟〉(政令第5章第2節、令第117条第2項)

建築物が開口部の無い耐火構造の床又は壁で区画されている場合は、それぞれ別の建築物とみなす。(政令第5章第2節「避難施設」のみの解釈であり、他の規定では別棟にならない。)

〈排煙別棟〉(政令第5章第3節、令第126条の2第2項)

建築物が準耐火構造の床若しくは壁又は防火設備(遮煙・常閉等)で区画されている等の場合は、それぞれ別の建築物とみなす。(政令第5章第3節「排煙設備」のみの解釈であり、他の規定では別棟にならない。)

〈防火別棟〉(法第21条、第26条、第27条、第61条)

「建築物省エネ法等の改正法」交付(令和4年6月17日)の法第21条、第26条、第27条、第61条の改正により、政令・告示で定める区画等をすることで、防火規定上それぞれ別の建築物とみなすことができるようななった。(政令未定)

建築基準法施行規則等改正

 2023年(令和5年)12月に公布された「建築基準法施行規則等の一部を改正する省令」の施行日は、改正法(2年以内施行)の施行期日と同じ2024年(令和6年)4月1日。

 現在進行形のプロジェクトで、本年4月1日以降に確認申請(本受付)になる案件は対応しておかなければならない。

<建築基準法施行規則 改正の概要>


1、建築確認申請時の添付書類の追加(施行規則第1条の3関係)
建築確認申請時の添付書類について、改正法等により新設された建築基準関係規定の審査に必要な書類 (防火上および避難上支障がない主要構造部を区画する床・壁の位置等を明示した各階平面図等)が追加される。
2、区画された主要構造部の部分の位置等の表示(施行規則第8条の4(新設)関係)
建築基準法第2条第9号の2イに規定する防火上および避難上支障がない主要構造部を有する建築物については、その位置等を建築物の出入口等の見やすい場所に表示することが必要になる。
3、様式の改正(施行規則第2号様式等関係)
耐火建築物に係る主要構造部規制の合理化等に伴い、確認申請書において建築基準法第2条第9号の2イに規定する防火上および避難上支障がない主要構造部を有する建築物であるか否かを明示させる等、様式の改正が行われる。

1番目の防火上および避難上支障がない主要構造部を区画する床・壁の位置等を明示した各階平面図等は、きちんとした設計者は以前から作成していた。

2番目の案内板の表示はサイン計画に盛り込まなければならない。

R6基本建築関係法令集

予約していた2024年(R6年)版の基本建築関係法令集が届いた。

頭の中を上書きする作業を始めなくちゃ

法令編と告示編の2分冊。

随分と長い間、この井上書院のブルー本にはお世話になっている

 過去の法令集は捨てるのが忍び難く溜まっていく

今年は合わせて建築設備関係法令集を購入した

自分の中では、今年は設備関係知識のバージョンアップ・イヤー

設備設計一級建築士の更新講習を受ける年でもあり、

並行して、空調や電気のセミナーへ参加する予定

技術者は 怠けていると頑張っている人に追い抜かれてしまう

「持続可能社会と地域創生のための・建築基本法制定」建築基本法制定準備会編

『なぜ二十一世紀になってから姉歯事件に象徴される社会を揺るがすような建築の諸問題が起きているのか。そこには制定後七十年経つ「建築基準法の制度疲労」という根本的な問題がある』と本書は指摘する。

 建築基準法は改正するたびに複雑怪奇で糸が絡んだ蜘蛛の巣のような法令となっていく。確かに制度疲労なのかも知れない。

 形式的で形骸化。書類上整っていれば良い。間違い探しの確認申請審査。最低基準のはずだったのに最高基準とはき違えている人。建築基準法の世界にいると何だか精神的に疲れてしまう。 

 「建築基本法は、建築の理念と関係者の責務をうたうものであり、それに対する具体的な規制や制限、罰則などは自治体が条例で具体化する必要がある」と本書は書く。

 地方自治分権が前提となつているので中々大変な作業ではある。

また『「建築基本法」が目ざすもの(案)・2012年3月 建築基本法制定準備会(会長 神田 順) <120327版>』では次のように書かれている。


『1.建築基本法の理念
「 豊かで美しい成熟社会を築くために、安全で質の高い建築と地域環境をつくる 」
-建築と地域環境を価値ある社会資産として蓄積し、世代をこえて引き継いでゆくこと-①建築と地域環境の質を高めて、安全と安心、健康と環境をまもり、豊かな成熟社会を創っていきましょう
②建築と地域環境が本来持っている価値を守り、社会的・文化的資産として次世代に継承していきましょう
③建築と地域環境作りに対する役割と責任を確認しあい、協力して美しい都市のたたずまいを作り出していきましょう
⇒「質の高い建築づくりで、豊かで美しい成熟社会をめざす」ために、建築基本法が必要なのです

 極めて正論である。であるからこそ、こうした方向に舵をとらなければならないのだと思う。

ということで、この度「建築基本法制定準備会」正会員としての入会が認められたので、今後はこれらの理念に沿って活動したい。

建築確認申請の事前協議先

 東京都内の幾つかの特別区の建築確認申請を出す際の行政の事前協議先を収集し比較対象してみた。ネット上で公開している特別区もあるし窓口で配布している特別区もある。

 こうした各特別区の協議先一覧表を眺めていると、随分と条例・要綱等が増えたなという印象だ。


 設計者は、建築の規模が大きくなるとレギュレーション(法令、規則、基準)に適合させることに時間を取られる。建築基準法だけでなく種々の関係規定、多くの条例等も適用され、計画を変更するたびに膨大なチェック項目をひとつひとつ確認しなければならない。これに結構、時間と人員がとられるが、ここで間違うとクライアントからしばらくの間、又はずっと出入り禁止となる。そしてチョンボすれば損害賠償請求などの訴訟になる場合もある。

 経験上、ボリューム検討等では クライアントがその土地を購入するかどうか判断するのに時間的制約があるので、設計者に与えられる時間は多くはない。

 ボリューム検討段階では、骨格的な法令を間違わないようにすることが重要となる。用途地域規制、建蔽率、容積率、各種高さ制限、避難経路、駐車場進入口、東京都駐車場条例の附置義務駐車台数、地区計画等が該当するだろうか。

 クライアントから提供されるのは物件概要と地籍図程度。大体のところ設計担当者は現場を見に行かない(その時間がない)。登記簿謄本を見ない(地下鉄の借地権が敷地の一部に設定されている事がある)。というように、リサーチに充分時間が与えられない事が原因の事もある。

 設計事務所等ではボリューム検討をするシニア技術者の層が薄いと言う事もある。ペアチェックが内部できちんとできない組織もある。なんと言っても、あまりに労働時間が長い上に、経験値があるシニア技術者に仕事が集中し「金属疲労」を起こしてしまう。そうして、シニア技術者は転職する。行先は、デベロッパー、ゼネコン、CM・PM会社等。

 上司が、時代と共に増え続けるレギュレーション(法令、規則、基準)に時間と人員がかかる事を理解していないと地獄が待つている。

既存不適格

 既存不適格(きぞんふてきかく)は、建築・完成時の「建築基準法や各種規定の基準に適合して建てられた建築物」であって、その後、法令の改正や都市計画変更などにより、現行法に対して不適格な部分が生じた建築物のことをいう。

 既存建築物が全て該当するわけでなく建築確認済証・完了検査済証がある建物だけが、既存不適格の恩恵に預かることができる。

 まず第一に、これを理解していない建築士は多い。また「既存不適格」を「違反状態」と考えている建築士も多い。 

 「既存不適格」建築物は法文上で定義された用語ではないが「現に存在している建築物」で、その後の法改正によって法に不適合になったものに対しては建築基準法が適用されない旨を記した法3条2項の内容を示した言葉として使われている。

 例えば建築基準法第3条第2項が「いわゆる既存不適格建築物に定めた規定である」(「詳解 建築基準法・改訂版 平成13年11月発行)と記載がある。

 何故この規定が出来たかという説明として上記の「詳解 建築基準法」では、住居地域内の建蔽率を取り上げて「現在は適法であるが、都市計画法の改正により建蔽率が少なくなり、かつ、なんらの経過処置も規定されていないとしたら。これらの建築物は改築、修繕などの工事を一切しない場合でも違反建築物となってしまう」これは「法的安定性を害する」と記載している。

 既存不適格建築物に対して大規模な修繕・模様替えあるいは増改築等を行う場合、基本的には既存不適格の部分にも新規定を適用する必要がある。しかし、全ての項目を新規定に合わせることは難しいため、法86条の7では制限の緩和を定めている。

 法文上定義されていない用語の為か、「既存不適格」という概念が建築基準法に限られた定義なのかわからないが、建築関係の訴訟に関わると、この「既存不適格」という言葉や意味を弁護士や裁判官がわかっているのかどうなのか疑問になることがある。

 法文上定義されていない用語は多い。「竪穴区画」もこの間まで法文上は出てこなかったし、「スバンドレル」という用語も最近では死語のようだ。若い建築士に言っても法文に記載がないから知らないと言われた。

「スパンドレル」とは防火区画に接する外壁で、区画の内側から外側へ、外気を介した炎の回り込みを防ぐ部位のことで、外部延焼防止帯ともいう。

 

 

飲食店の屋外テラス -3

飲食店の屋外テラスで排煙設備が必要だと指摘され機械排煙設備を設置したと言う案件の断面図。

屋外テラスの奥行は2m。外部に面した手摺は開放された縦格子の手摺であり、天井高もあり、バルコニーや廊下等の「吹きさらし」基準である手摺の上から1.1m以上かつ天井高の1/2以上の条件は満足している。

1、「客席が常時設置され屋内的用途が発生するので床面積に算入する」という判断は、とりあえず良しとする。

2、「屋外テラスに排煙設備の設置が必要か否か」について考えてみる。建物全体としては施行令第126条の2により、排煙設備の設置が必要な建物である。

3、「屋外テラスが火気発生室か否か」は実際の使用状況によるので、安全をみて火気使用室として考える(屋外テラスでBBQ、鍋、焼肉などいう事もある)

4、「火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類を考慮して国土交通大臣が定めるもの」(施行令第126条の2第1項第五号、平成12年建告第1436号)に該当するか否か。「排煙設備は一の防煙区画部分のみに設置」(平成12年建告第1436号)とあるが、そもそも屋外テラス部分は、外気に開放され垂れ壁等も無く防煙壁によつて区画されていない。仮に屋外テラス部分が防煙区画部分として「床面積の1/50以上の開口面積を有し、かつ、直接外気に面する」(施行令第126条の3第1項八号)は満足している。

・よって屋内的用途が発生するこによる床面積算入の問題と排煙設備の設置は別の次元の問題と考えられる。

・屋外テラスを機械排煙設備として、どれほどの排煙機を設置したのかと思いきや、屋外テラス部分の容積で計算したそうだ。地球の面積は5.10×108km2だから、排煙機は1㎡につき1㎥の空気の排出能力を持つ莫大な容量の排煙機を設置しないと矛盾する。

・以上により屋外テラス部分は外部とし、飲食店内部の排煙設備設置のみで良かったのではなかったかと思う。


「屋外テラスに機械排煙設備は必要なのか」という、当該建物の建築主からの問いかけに対する私なりの回答でした。

飲食店の屋外テラス -2

【海外の参考画像】

ある複合ビルの2階、3階の飲食店区画の前にテラス席があり、椅子テーブルもきっちり記載し、指定確認検査機関に事前相談に行ったところ「テラス軒下の部分は屋内的用途が発生するので床面積に算入する」と言われたそうです。まあそういう判断もあるかも知れません。設計者も、容積率に余裕があるので床面積算入については特に反論はしなかったようです。

設計者と指定確認検査機関との間に下記のやりとりがあったそうです。(概要)

審査機関「床面積が発生する以上 建物室内ですね」
設計者「外気に有効に開放されていますよ」

審査機関「屋内的用途がある以上 室内だから排煙設備が必要だ」

設計者「テラス部分は自然排煙ということで良いですか」

審査機関「自然排煙でいいけど、飲食店の本当の屋内側(テラスサッシ内側)の排煙設備はどうなっているの?」

設計者「機械排煙です」

審査機関「じゃあ異種排煙区画となるね。このテラスと店舗の間のサッシは、開放したりするの」

設計者「サツシを開放して屋外テラスと室内側は一体で営業することはあると思います」

審査機関「異種排煙区画は、不燃材で常時閉鎖が必要です」

設計者「屋外テラスも機械排煙とします」

こうして屋外テラス席の部分も機械排煙とすることで、確認申請は決裁されたそうです。

皆さんは どう思いますか?

 ・・・続く

飲食店の屋外テラス -1

【東京中央区内のカフェ、1階屋外テラス・可動テーブルと椅子】

常設テラス席の場合、軒下に屋内的用途があるために床面積算入する場合もあります。しかし確認申請図書に記載されていれば指摘を受ける可能性がありますが、固定テーブル、固定椅子の場合はともかく、可動の場合はどうでしょう。営業時間内だけ配置し、それ以外は収納するような場合など判断が分かれます。

屋内的用途とは、居住や収納などを目的とする部分を指すもので、家屋内や駐車場内などが対象となります。

下記、国土交通省が定める屋内用途の対象部分です。(建設省住指発第115号
昭和61年4月30日特定行政庁建築主務部長あて住宅局建築指導課長通知)

・居住
・執務
・作業
・集会
・娯楽
・物品の陳列
・保管
・格納
・その他の屋内的用途を目的としない部分

こちらの対象とならない、屋外部分とみなされる箇所は、壁のように雨風を防ぐことができる設備がない場所を指します。外気に解放されていても車や物を置いている場合は屋内的用途に含まれます。ポーチのように雨風を防いでいても屋内的用途に含まれないケースもあります。

又飲食店にテラス席を設置する場合は、保健所に「屋外客席設置届」を提出しなければなりません。

設置にはいくつかの条件があります。

屋内の客席と隣接した場所に設置すること、テラスの範囲をしっかりと区別すること、屋内の客席よりも客席数が少ないことなどのルールがあります。

「旧三井銀行小樽支店建造物調査報告書」

先人達が遺した手書きの図面の美しさには、いつも惚れ惚れしている

この表紙に使われている断面詳細とファサードの青図もそうだけど、報告書に掲載されている幾つもの元設計図には目を奪われる。

いま100年後の人達が目を留める図面を書いているのか。と自問自答

この建物は、鉄骨鉄筋コンクリート造で営業室吹抜けの天井(下弦材)と屋根(上弦材)の二重スラブは、コンクリートスラブと一体となったラチス梁(梁成6尺6寸)となっている事を知った。この構造はメラン式橋梁と同じ構造方法とある。復元図によると約14.544mのスパンであり、石膏繰型の大きな面積で重量のある天井を実現する為に採用されたものと思われる。このメラン式構造はあまり見たことが無かった。

全体として良くまとまっている報告書だとは思うが、やっぱり建築史家の視点のまとめ方だと思った。昔の自分ならこれで充分満足していただろうと思う。

この報告書には記載されない調査はあるようにも思うが、コンクリートの圧縮強度、中性化、塩化物イオン量、躯体の劣化状況等の建築病理学的視点の報告も盛り込んで欲しいと思った。

検査済証の無い既存建物には昇降機は設置できない。

昇降機(エレベーター)は建築設備として、建築基準法第87条の4及び同施行令第146条1項1号の適用を受けます。

既存建築物の屋外にエレベーターを設置する場合は、通常床面積が増加するので「増築」となりますので、エレベーターを設置する既存建築物の検査済証が無い場合には、建築基準法適合状況調査(ガイドライン調査等)が必要となり建設時の法適合性が確認されないと昇降機の申請を出すことが出来ません。
 
 ただし既存建築物の屋内に設けるエレベーターで床面積が増加しない場合、つまり既存の床スラブ等を解体し、そこに昇降機路を設置する場合には、建築基準法上の「増築」には該当しませんので、建築基準法第87条の4及び同施行令第146条1項1号により、確認を要する建築設備としてエレベーター単独での確認申請が必要となります。

この場合でも既存建築物の検査済証が無い場合には、建築基準法適合状況調査(ガイドライン調査等)が必要となり建設時の法適合性を確認する必要があります。

 既存建物の昇降機を交換する場合も同様です。

 既存建築物が建築基準法第6条1項4号に該当する場合には、昇降機(エレベーター等)の確認申請については規定がありません。この場合特定行政庁は、建築基準法第12条5項に基づく報告を求めます。

 昨今、リノベーションやリフォーム案件が増え、昇降機新設に伴って、こうした相談がガイドライン調査機関に多く持ち込まれているそうです。

 又、最近はエレベーターメーカーの法令遵守の意識は高く、昇降機設置の相談をすると最初に確認済証ありますか、検査済証ありますかと聞いてきます。検査済証が無ければ昇降機の出荷はできないようです。

 弊社では、既存建物に設置する場合の相談等をする時は、最初に建築確認記載台帳証明や検査済証を昇降機メーカーに見せるようにしています。

押印廃止から2年半

2021年1月に建築確認申請、検査申請に押印が廃止され、それまで あれほど押印押印と言っていたのが、一転して図面や申請書類、委任状まで押印が必要なくなった。

あれから2年半、最近 押印廃止に伴うトラブルを耳にする。

ひとつは、設計と確認申請は受注したが、工事監理は契約しなかった物件で、勝手に名前を使われて計画変更申請が出されていた。これは昔からあり、計画変更申請に認印で押印されて承諾していないのに名前を使われたという相談を受けた事があった。

弁護士から聞いた話では、設計の打合せ中で、まだ工事を発注することも決めてなかったのに、施主の承諾なし知らないうちに確認申請図書が作られ、確認通知書が交付されていた。工事契約に至らなかったのに確認通知まであるのだからと高額の金額を請求されたという事件があったと聞いた。確認申請詐欺まがいの行為だが、これも押印廃止に基づいて容易になった。

そもそも法的行為である「委任状」に押印がいらないというのが、今でも解せない。

とある機関に提出した依頼書も押印不要だが、施主の担当者のメールアドレスを記載しろとあったので、なんでかと聞くと、本当にその依頼をしたかどうか確認するためだという。だったら施主の代表者(社長)の社判を貰ってくると言ったら、結局押印してもらっても良いということになった。

そういえば押印廃止について以前書いていたものがあったが、その時も危惧していたことが現場では起きている。

今揉めているマイナンバーカードの担当は、河野太郎デジタル相。この押印廃止も河野太郎さんが総務大臣だったときだった。「根回しは好きではないが力業をする」という河野さん。結構なトラブルメーカーかも。

ついに査読に突入

東京都建築士事務所協会で編纂作業が進んでいる「既存建築物活用に係る建築基準法令とその解説(仮題)」の2023年6月段階での全章を印刷したファイルが事務所協会事務局から送られてきた。

私は、東京都建築士事務所協会のワーキンググループであるリノベーション専門委員会の編集委員のひとり。

まだ補強すべき箇所や書き加える章もあるが、こうして一冊のファイルになってくると、中々読みごたえがあるし、今まで約20回(月1回)にわたる委員会の成果なので振り返ると考え深いものがある。

建築基準法の事だけ考えていると頭の中が酸性になりそうで嫌なのだが、時間を割いて私が書いた章以外も真剣に読まないとならない。多忙で書けなくなった他の編集委員の人の章もバトンタッチして書かないとならなくなったし大変。

法令解説本というのは、世に沢山出版されている。主として指定確認検査機関や元行政関係者などによる本であり、それらの本は当然設計者にとって有意義な本だ。

ただ設計者は建築基準法だけを見ているわけではなく、あまたある法令 例えば消防法、都市計画法、福祉のまちづくり条例等、建築プロジェクトに係る法令全般を俯瞰し把握しなければならない。

すなわち設計者は、常に「森をみている」

指定確認検査機関は建築基準法という「木」、消防は消防法という「木」、沢山の条例という「木々」。個々の「木」を見ているだけの場合が多い。

設計者は森をみる。それに役立つ法令解説本を作りたいと個人的には考えている。


耐震診断のための現場確認

鉄筋コンクリート造の既存建物の耐震診断をするにあたって、構造事務所と一緒に現場確認をした。

外部・内部の劣化調査は既に済ませてあるが、これから耐震診断のための「図面照合調査」(既存図面と現況の主として壁種別の確認、壁開口の大きさ確認、実測)をする為の下見。

耐震診断業務も調査から計算まで一貫して依頼出来る会社もあるが、現在弊社で検討している耐震補強設計の技術的難易度が高そうなので、対応できる構造事務所と弊社で手配する調査チームの共同業務にした。

RC壁でも写真のように上部にダクトが貫通していると右側部分は耐震壁として評価できず、左側のみの評価となる。現地調査をして図面に壁種別と開口寸法を記載していく調査。

屋上には、何のための基礎だったか良くわからない基礎が残っていたりする。こういう設備基礎の類も実測しなければならない。これを「屋上重量物調査」という。

建築・設備を含めた竣工図が残っていない既存建物、長い期間の間で更新されて変わってきた設備類の記録が整理・保管されていない既存建物は、まことに手間がかかる。

既存建築物の活用では、こうしたアナログ調査が不可欠で、身体を使い汗をかく。こういうところが敬遠される所以なのかもしれないと思うこの頃。まあ爺さんは楽しみながらやっているが。

小屋裏物置の法改正履歴

元々

国土交通省(旧建設省)の通達(昭和32住指発第461号)による「普通の構造の小屋裏の一部を利用し、季節的に不要な物等を置く設備を設けたものと認められる程度のもの等は、通常階数に算入されない。」というのが基本的な考え方のベースにあります。

住宅の小屋裏物置に関する規定条文は、建築基準法施行令第2条第1項第八号です。

この規定は、昭和50年に改正されて現在も有効です。

「八  階数 昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の8分の1以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。また、建築物の一部が吹抜きとなつている場合、建築物の敷地が斜面又は段地である場合その他建築物の部分によつて階数を異にする場合においては、これらの階数のうち最大なものによる。(昭和50年4月1日 – 現在有効)」

昭和55年に「小屋裏利用の物置の取扱いについて(昭和55年2月7日住指発第24号)」が発出されて 以下のことが記載されています。


昭和55年2月7日


建設省住宅局建築指導課長・建設省住宅局市街地建築課長から特定行政庁あて通知
 標記については、すでに「昭和32年6月1日付け住指受第461号徳島県土木部建築課長あて」例規が示されているが、最近この種の形態を有する住宅の建築が増加しつつあることにかんがみ、その取り扱いの統一を図るため、今後は左記により取り扱われたい。

          記

 住宅の小屋裏部分を利用して設ける物置(以下「小屋裏物置」という。)で、次の各号に該当するものについては、建築基準法の規定の適用に当たつては、階とみなさないこととする。
一 小屋裏物置の部分の水平投影面積は、直下の階の床面積の1/8以下であること。
二 小屋裏物置の天井の最高の高さは、1.4m以下であること。
三 物の出し入れのために利用するはしご等は、固定式のものとしないこと。

(昭和55年2月7日)


さらに平成12年に「建築基準法の一部を改正する法律の施行について(平成12年6月1日住指発第682号)」が発出されており、この中の第5項(2)に下記の事が記載されており、この時に1/8から現在の1/2に取扱いが変わりました。

「(2) 木造建築物の耐震壁の配置規定の整備(令第46条並びに告示第1351号及び第1352号関係)
 木造の建築物については、基準の明確化を図る観点から、木造建築物の耐震壁の配置の方法に関して建設大臣が定める基準によらなければならないこととした。建設大臣が定める基準においては、建築物の部分ごとの耐震壁量の割合等を定めた。
 また、小屋裏、天井裏その他これらに類する部分に物置等がある場合において、当該物置等の最高の内法高さが1.4メートル以下で、かつ、その水平投影面積がその存する部分の床面積の2分の1未満であれば、当該部分については階として取り扱う必要はないものであるが、近年このような物置等を設置する事例が増加してきていることを踏まえ、軸組等の規定を整備した。なお、構造計算が必要となる場合においては、令第85条の規定に基づき当該部分の積載の実況を反映させて積載荷重を計算することが必要である。」

注意しなければならないのは、小屋裏収納の面積が、その存する階の床面積の1/8を超えた場合は、軸組計算に面積を加算しなければいけないという事です。

 固定式階段の有無については、昭和55年当時は、固定梯子も不可とする取扱いでしたが、現在は「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例(2022年度版)」に小規模な階段に関する記述があり、「小屋裏物置等への専用の階段は、法第2条第5号に規定する「局部的な小階段」に該当する」とあり、一般的に固定階段を認める取扱いとなっています。しかし階段設置を不可としている特定行政庁もあります。

法令の規定を変更しないで通達類で取扱いを変更してきているので、法令集も法文・施行令の規定・告示を拾い読みしただけでは解りづらいです。

大規模庇の建築面積緩和

2023年(令和5年)4月1日より、建物用途限定で大規模庇の建築面積が緩和される。

令和5年国土交通省告示第143号

対象は「工場又は倉庫」で「貨物の積卸し等の業務」。建物の一部に当該用途があっても適用。

柱で支える形式の軒は不可。

緩和されるのは建築面積のみ。

「建築確認のための・基準総則集団規定の適用事例2022年度版」日本建築行政会議編

2022年の10月に出版されて新年早々に購入したのだが、ちょつと目を通すのが遅くなった。2009年(平成21年)に出版されてから改訂を重ねている。

この本は、昨年2022年12月に発行された「近畿建築行政会議 建築基準法 共通取扱い集」2022(第2版)とは違い「改訂項目一覧表」が記載されておらず、前回の2017年度版から改訂がないもの、内容が改訂された項目、条項ずれや文書等を整理した項目、新規の項目、削除した項目等は自分で差分を確認しないとならず、読者がそれなりに勉強しなければならない本となっている。

追加項目で目立つのは「用途規制(法48条)」に関わるものだ。

例えば【学校等】では、「こども食堂」「プリスクール」「日本語学校(日本語教育機関)」。

【老人ホーム等】では「こども送迎ステーション(送迎保育ステーション)」

【老人福祉センター等】では、「高齢者向けふれあいサロン」「就労移行・継続・定着支援事業の用に供する施設」「居宅介護・重度訪問介護又はこれに相当するサービス事業の用に供する施設」。

【物販店舗等商業施設】では、「スポーツ振興くじ及び宝くじ売り場の用に供する施設」「eスポーツ施設」「レンタルスペース」

【事務所】では「インターネット通信販売を行う兼用住宅の非住宅部分」「住宅宿泊管理業者の営業所又は事務所」

【工場等】では、「義肢装具(補装具)の製作所」「細菌培養加工施設」

【ホテル又は旅館】では、「ホテル・旅館のフロント代替設備を有する建築物」「簡易宿所の共同玄関帳簿」

【動物関連施設】では、「全天候型の屋内ドッグラン」

用途規制は時代を映す鏡のようなものだけど、実態が良くわからないものもある。

新たに追加された項目については概ね確認したけれど、修正文章等の箇所の確認はこれから。法令に関して自分の頭をバージョンアップさせるのには、それ相応の時間と努力が必要。

プリスクール

プリスクールとは、欧米では5歳以下の子供が通う幼稚園や保育所を指すらしいが、日本では、概ね3歳から就学前の子供を対象に、主として英語を基本とした環境で保育又は教育を行う施設の総称として使われている。インターナショナルスクール(幼稚部)、キンダーガーデンなどと呼ばれている施設もある。

プリスクールの構成は「英語環境」「少人数制」「外国人講師(海外の幼稚園教諭又は保育士資格)と英語の話せる日本人スタッフが特徴となっている。

建築基準法の用途で言うとインターナショナルスクールの一種で「各種学校」や「無認可保育施設」の届出がないなものは「学習塾の類」として扱う事が多いが、これがまた実態が良くわからない。

一般的なオフイスをインターナショナルスクールとして賃借し、その後プリスクールとして事業を行い、知らぬ間に「無認可保育園」として届出していた事例がある。消防の定期点検で用途違反が判明し児童福祉法に規定される保育所への是正命令が発出された事例がある。

プリスクールが増えている要因として、東京の急速な国際化があげられるだろう。

東京都豊島区でも人口の10%は外国人で、エリア別でみると東池袋1丁目、池袋1丁目、池袋2丁目あたりでは25%程度になっているとの事だ。あと港区愛宕2丁目で約40%、港区赤坂1丁目で約32%、新宿区百人町2丁目、大久保2丁目でも約32%が外国人登録がされている。

200㎡以下だから用途変更申請は不要、用途は事務所の類ということで放置しておくわけにはいかない。施設が1階だけにあるならともかく、2階、3階、地階などにある場合には子供達の避難安全性を充分確保する必要がある。

とかく実態がわからず、用途判別があいまいになっているものは定期的な査察が必要だと思う。

「近畿建築行政会議 建築基準法 共通取扱い集2022(第2版)」近畿建築行政会議

2023年正月に注文し最初に読んだ本。

昨年2022年12月15日に発行された「近畿建築行政会議 建築基準法 共通取扱い集」2022(第2版)。

2014年(平成26年)5月に、この本の意匠分野が発行され、2016年(平成28年)に構造・設備分野の取扱いが発表された。そして今回、近畿建築行政会議が主体となり近畿建築確認検査協会と連携し編集委員として参画してもらい発刊に至ったと記載されている。

近畿圏内では府県市単位で発行している取扱い集等があるが、内容が重複する場合又は差がある場合等は原則としてこの本が優先する。

この取扱い集は「改訂項目一覧表」が記載されていて、第1版からの改訂がないもの、内容が改訂された項目、条項ずれや文書等を整理した項目、新規の項目、削除した項目が判るのが読者目線だと思うし第1版から第2版の差分が判るのは、とても使いやすい。

誰かが言ったが法律は「生もの」である。法の改正や取扱いが変われば、その時点で旧来の解説書の類は役に立たなくなる。変化に対応するスピードが必要で、近畿圏という多くの都道府県の特定行政庁と確認検査機関から意見を集め、内容を整理し発行に至るのは、相当のリーダーシップが必要ではないかと推測する。

新規の項目で目に留まったのは、「吹抜けを介した採光」の規定、「増築に該当しない項目」「屋根の修繕の取扱い」「排煙方式が異なる異種排煙の区画」「給水管等が防火区画を構成する床・壁と一体となる柱・はりを貫通する場合の取扱い」「法第86条の7第1項による増築又は改築を行う場合の既存エレベーターに遡及適用される規定」等が気になって注意深く読ませてもらった。

設計者にとって法律は「武器」である。日々鍛錬にいそしむ年にしたいと思う。

路地状敷地認定は標準外業務か?

都内で建築設計をしている人に、本件の敷地形状を見せたら、ほぼ100%の設計者は東京都建築安全条例第10条に規定される「路地状敷地」の可能性があると最初に想起するのではないでしょうか。

【敷地形状】

「路地状敷地は区よって取扱いが若干異なる」が、東京都建築安全条例における路地状敷地とは「道路から見通せない死角部分がある敷地」という原則は変わりません。

本件の敷地形状を見ただけで死角部分がある路地状敷地であるというのは明白であります。

普通の設計者なら基本計画の初期の段階で行政に打合せをするような事項であると筆者は考えますが、最近の若い設計者はそうはしないようです。

ある設計監理契約を中途解約した事案で、契約解除をした設計者が東京都建築安全条例の路地状敷地認定について設計監理契約の標準外業務として追加報酬請求をしてきました。この設計者は基本設計がかなり進んだ段階で路地状敷地ではないかと建築主から指摘され、あわてて区の建築審査課に打合せに行っており、実際の業務は区の建築審査課との打合せだけで認定業務申請を行っていません。にもかかわらず路地状敷地認定業務費として60万円(税別)の請求を起こしてきました。

東京都建築士事務所協会の「建築士事務所の業務算定指針2022年版」には、標準外業務の参考例が記載されていますが、この中に路地状敷地認定の業務は記載されていません。また設計監理契約で路地状敷地認定業務を標準外業務とするという取り決めはなされておりませんので、業務の難易度や作業量から考えても基本設計に含まれるものと判断するのが妥当だと思うと意見を述べました。

実際のところプロジェクトを完遂させた別の設計監理者が路地状敷地認定業務を行い。これは通常の設計業務の中に含まれるとして別段追加請求は有りませんでした。

この追加請求をしてきた設計者曰く「路地状敷地だと建築主側から与条件として与えられなかった」。ほとんどの抗弁が「言われなかったから、やらなかった」という感じの抗弁なので、まるで現代学生気質をみているようだと感じました。

小規模な倉庫の建築基準法の取扱い

「小規模な倉庫は、建築物には該当しない。」という国交省の技術的助言が出されたのは、もう随分と前だったと思い調べてみたら平成27年(2015年)だった。

国住指発第4544号・平成27年2月27日「小規模な倉庫の建築基準法の取扱いについて(技術的助言)」

「土地に自立して設置する小規模な倉庫(物置等を含む。)のうち、外部から
荷物の出し入れを行うことができ、かつ、内部に人が立ち入らないものについ
ては、建築基準法第2条第1号に規定する貯蔵槽に類する施設として、建築物
に該当しないものとする。したがって、建築確認等の手続きについても不要で
ある。

この取扱いについては、当該倉庫が既製のものであるか否か、及びその構造
種別にかかわらず、上記に従って判断するものとする。」

以上が技術的助言の内容。

「建築確認のための基準総則集団規定の適用事例2017年度版」でも「小規模倉庫」について記載があり、

「土地に自立して設置する小規模な倉庫(物置等を含む)のうち、奥行き1m以内の物又は高さが1.4m以下のものは、建築物に該当しない」

解説として

「・小規模な倉庫は物置等を含むものとし、外部から貨物の出し入れができ、かつ、内部に人が立ち入らないものについては、法第2条第1号に規定する貯蔵槽に類する施設として、建築物に該当しないものとする。」「・したがって上記の規模は、最低限、人が内部に入ることのないものとした数値の目安を示したものである。」「・なお 倉庫の内部に収納・備蓄する内容は問わないものとする。」「・この取扱いについては、当該倉庫が既成のものであるか否か、及びその構造種別にかかわらない。」「・幅、面積及び連結型の取扱いなど具体的な適用の判断については、申請する審査機関に確認が必要である」とある。

意外と「小規模倉庫は建築物ではない」という事を知らない設計者が多い。また具体的な取扱いが行政によって異なることがある。

例えば東京都・大田区では、下記の規定が全て満たすものとしている

「1 、外部から物の出し入れを行うことができ、かつ、内部に人が立ち入らない
もの。
2 、用途は 防災用とする。
3 、1 棟のおおむねの大きさ (下記の全ての条件を満たすもの
高さ2 メートル 以下、幅 2 メートル 以下、奥行き 1 メートル 以下
4 、建築物に付属して、設置する こと 。
5 、設置できる合計床面積等
・敷地面積が200 平方メートル 以下の場合は、 2 平方メートル 以下とする。
・敷地面積が200 平方メートル を超える場合は、敷地面積 の 1 パーセント 以
下かつ3 棟程度までとする。
6 、風致地区内や壁面後退制限のある地区計画内
・壁面距離を確保する。」

神奈川県・相模原市 平成29年4月14日「小規模な倉庫の建築基準法上の取扱いについて」

「「小規模な倉庫の建築基準法上の取扱いについて(技術的助言)」(平成27年2月27日国住指第4544号)における「小規模な倉庫」とは、奥行が1m以下かつ高さが2.3m以下で、床面積が2㎡以内の規模の倉庫とし、かつ、当該倉庫の設置場所が次の各号のいずれにも該当しないものとする。
(1)建築基準法第42条に規定する道路
(2)相模原市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例別表第2の規定により壁面の位置の制限が定められている地区又は街区においては、当該倉庫の外壁又は
これに代わる柱の面から道路境界線(地区計画の計画図に表示する壁面の位置の制限
を定める境界線に限るものとし、都市計画道路にあっては計画線をいう。)又は隣地境
界線までの水平距離が同表に定める計画地区の区分に応じ、同表(5)部(ア)項に
掲げる数値未満の位置。ただし、同表(5)部(イ)項の規定により適用除外の建築
物が定められている地区又は街区を除く。
(関連事項)
小規模な倉庫において消防法で規定する危険物を保管する場合は、関連法令を遵守する
こと。(予防課)」とある。

また静岡県では、

「10㎡を上限とする」とある。

また東京都練馬区では、倉庫の外形を奥行有効内寸1.0m以下、幅の有効内寸2.0m以下、高さの会゛圭2.5m以下」として「設置数は、原則として戸建て住宅1 棟に対して1 台とし、その他用途の建築物については規模や計画等に応じて3台を上限とすること。その場合、各倉庫の壁や屋根同士の固定は不可とし、隙間はふさがないこと。」

まあ 結構地域によって異なるので注意が必要だ。

「建築構造設計指針2019」東京都建築構造行政連絡会監修

「建築構造設計指針2019」(通称オレンジ本)は、2010年以来9年振りの改定本。

 構造専門事務所ではないと普通はあまり購入しない本です。(高価だし・・)

 この本の第11章「構造審査要領」や第12章「東京の地域特性を考慮したは建築構造における建築審査の要領」は都内行政庁や指定確認検査機関が構造審査をする上での法解釈及び運用の統一性を確保し、建築審査の業務円滑化の為に、東京都建築構造行政連絡会で執筆を担当しています。私はとりわけ第11章の「構造審査要領」は既存建築物を扱う設計者(構造設計者のみならず意匠系ゼネラリスト)は必読の部分だと思います。

 一般社団法人 東京都建築士事務所協会では「既存建築物活用に係る建築基準法令とその解説(案)」の発行に向けて以前より準備を進めていましたが、2021年度法制委員会の下にワーキンググループとして「リノベーション専門委員会(法規集編纂)」を立ち上げ、私は誘われてその委員の末席に加わっており、2023年出版に向けて毎月1回2時間~2時間半の委員会で熱い議論が交わされています。

 私は「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」(以下「ガイドライン調査」)の章の執筆をしています。

 現在、ほぼ全部の章の初稿が出稿されており、ブラッシュアップ中です。私もこの本を参考にしているところがあるので読み直しているところです。

 ガイドライン調査は一様ではなく国交省届出機関は、その方法論で幾つかに類型化することができます。又各社色々な制限事項を設定していますので調査機関を選択する時には注意が必要です。まだ詳しい執筆内容は書けませんが、色々と新しい取り組みを交えながら、設計者の視点で解説しています。

 

「遊戯施設技術基準の解説」

ある建物の中を上下に移動する施設を、建築基準法上は「遊戯施設」として取り扱うことになり、自分にとって未知の領域であった「遊戯施設」の技術基準を学習した。上記は2018年版で、もうひとつ十数ページの薄い冊子である「2020年追補版」もある。

指定工作物である遊戯施設は、令第138条第2項第二号で「ウォーターシュート、コースターその他これらに類する高架の遊戯施設」第三号で「メリーゴーランド、観覧車、オクトパス、飛行塔その他これらに類する回転運動をする遊戯施設で原動機を使用するもの」が指定されている。

何しろ遊戯施設には、知らなかったカタカナ名称がいっぱい出てくるので面食らった。

例えば「オクトパス」。円周運動が「ローターのものほど大きくないが、客席部分が回転運動とともに昇降運動を伴う遊戯施設。客席の傾斜角度は30度以下。

「マッドマウス」。比較的高速で軌条を走行する乗り物で、水平及び垂直方向に旋回及び昇降に変化を持たせた軌条を走行するもの。

文章を読んだだけでは何だか良くわからないが、この解説書は写真がついているので何となくわかる。

随分と前だが、ディズニーランドのジェットコースターに乗り、気持ちが悪くなったことがあるので、遊園地などに行っても施設には乗らないようにしていたので、今一つ商品知識が乏しい。

詳細な技術については、勿論遊戯メーカーさんにお出ましいただくようになるのだが、今回は新しいタイプの「遊戯施設」。法律上は「これらに類する」ものなので、安全性等色々と知識を得ておく必要がある。

まだまだ未知の領域は多いなぁ~。