ハーフ&ハーフ

「ハーフ&ハーフ」 ビールのことではない。

民泊は、建築基準法上の用途は 本当は何なのかという問いかけ。

民泊は住宅宿泊事業で住宅の活用という視点なので、かりに床面積が100㎡を超えていても用途変更確認申請は不要である。

しかし実態は、ホテルと住宅という二つの用途が内在する。家主不在型だと180日の営業日数しか認められていないので180日/365日=49.3%で住宅が過半と言う事かも知れない。

しかし他の法令との関係で「住宅等」としてくくることが本当に妥当なのかという疑問が残る。

例えば都市計画法の特別用途地区に「中高層階住居専用地区」というのがある。これには第一種から第五種まであるのだが、第五種だと住宅の割合を敷地面積の80%以上としなければならない。

この中高層階住居専用地区によって設けられた共同住宅を民泊に利用して問題ないよねという問いかけを都内特別区の都市計画課に照会したら「ちょつと待て」となった。同様に地区計画で住宅の誘導をしている場合もある。

この中高層階住居専用地区で規定している「住宅等」は、「住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、老人ホーム等」としている。地区計画でも同様なのだが。後から出来た「民泊への転用」は想定外らしい。

建築指導課と都市計画課で協議してもらい「住宅等」には落ち着いたのだが、ハーフ&ハーフと言うかリバーシブル(両面利用)で両義性(アンビバレント)の建築用途はかってあっただろうか。

建築基準法等で考えても疑問の残る「民泊」。これでは運用後の実態でも様々な問題が生じるわけだと納得した。

都会の空き家・附置住宅制度

東京の都心部などのオフィス街をはじめ、定住人口の減少に頭を悩ませるエリアにおける人口の定住確保と良質な住宅環境の整備のため、新たに建設されるビルなどを対象に、集合住宅などの付置を義務付ける取り決めが1990年代初頭頃から都内都心部の特別区で要綱として定められた。

「要綱」は法令による根拠はなく、地方自治体の基本的な又は重要な内部事務の取扱いについて定めたものであり法的な拘束力はない。しかし「住宅附置制度」等は、建築確認申請の事前協議対象としていることから実質的に建築基準法の関係規定として機能している。

それら要綱が定められてから四半世紀近い年月が経過した。

現在 都内都心部は、人口減少から一転して増加傾向にある。中央区等は人口が予想以上に増えすぎてインフラ整備が間に合わなくなっている。

この附置住宅制度、立地に関係なく敷地面積500㎡以上、延べ床面積3000㎡以上の新築建物に附置を指導したものだからホテルの上階に附置住宅があったり、事務所の上階に附置住宅があったりする。

最近幾つかの附置住宅がある建物の実情を聞いたところ「空き室」が多いことを知った。

附置住宅制度による住宅は、今はやりの民泊に転用することもできない。

空き家対策といっても附置住宅制度の実態調査など行われていないだろう。実際には、空き室もさることながら「飛ばし」も多いと聞く。附置住宅制度自体が時代遅れになってきているのではないか。

法律は、時代の後から明文化される。金科玉条のごとく「遵法性」を錦の御旗に振り上げているぐらいなら制度の見直しが必要ではないか常に考えていた方が良い。

【自然災害】違反建築物による損害賠償

古来より日本は災害大国と言われ、祖先は幾多の災害を乗り超えて今にバトンを繋いできている。今回の台風21号による被害状況を見ていて「自然災害による被害や損害賠償」について色々と考えた。

とりわけ今回は建物の屋上に設置されたプレハブ製と思われる倉庫のようなもの、看板類の飛散による他者に対する損害が気になった。

一般的には、自然災害による損害は請求権がないとされている。しかし瑕疵がある場合はその限りではない。

(民法第七百十七条・土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」

上記の民法717条は、普通の不法行為(民法709条)と異なり、故意や過失の存否を問題としていない。
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じた」場合には、一次的には占有者が、補充的に所有者が賠償責任を負うという定めになっている(占有者は責任を免れることもあるが所有者は無過失責任なので、過失がなくとも損害賠償責任を負うことになる)

屋上に設置されたプレハブ倉庫。

経験上ほとんどが無届・違法建築で本体建物との緊結方法もその安全性が疑わしいものが多い。「違法建築なら損害請求をすることができるか」と先日聞かれたので、違法性を立証できれば可能ではと答え、違法性の調査は比較的容易だよと答えた。

この原稿を下書きしていたところ北海道胆振で震度7の地震があった。自然災害は色々な教訓を我々に与えてくれる。

【自然災害】風圧力・瞬間最大風速と平均風速

「建築基準法施行令第八十七条

風圧力は、速度圧に風力係数を乗じて計算しなければならない。
2  前項の速度圧は、次の式によつて計算しなければならない。
q = 0.6 E V o (2乗)

この式において、q , E 及びVo は、それぞれ次の数値を表すものとする。
q 速度圧(単位 一平方メートルにつきニュートン)
E 当該建築物の屋根の高さ及び周辺の地域に存する建築物その他の工作物、樹木その他の風速に影響を与えるものの状況に応じて国土交通大臣が定める方法により算出した数値
Vo  その地方における過去の台風の記録に基づく風害の程度その他の風の性状に応じて三十メートル毎秒から四十六メートル毎秒までの範囲内において国土交通大臣が定める風速(単位 メートル毎秒)〕
3 建築物に近接してその建築物を風の方向に対して有効にさえぎる他の建築物、防風林その他これらに類するものがある場合においては、その方向における速度圧は、前項の規定による数値の二分の一まで減らすことができる。
4 第一項の風力係数は、風洞試験によつて定める場合のほか、建築物又は工作物の断面及び平面の形状に応じて国土交通大臣が定める数値によらなければならない。」

地震力の陰に隠れて、普段はあまり気にしない風圧力だが、時々建築関係の試験問題に出てくる事があるし、建築基準法の荷重・外力でも重要なひとつ。

建築基準法には瞬間最大風速が何m/secとは記述されていないが、各地域毎の「平均風速」は決められていて平均風速は概ね32~34m/secとされている地域が多い。
この平均風速と粗度区分(街中か平原の中なのか)とか、高さの係数、ガスト影響係数(瞬間的に強くなったり弱くなったりを考慮する為の係数)などより、建物の高さ毎の風圧力を算定する。
瞬間最大風速は、平均風速にガスト影響係数をかけたものと考えてよいと思うので、ガスト影響係数は概ね2.0以上くらいになることから、瞬間最大風速としては60m/sec以上ということがいえる。尚、高さが高い建物で都市化が進んでいるところほどガスト影響係数の数値も大きくなる。例えば超高層ビル。

この値は、1934年9月の室戸台風での瞬間最大風速61m/secが基準になっている。

今回の台風21号による関西地域の最大瞬間風速は50m/secを超えていたようだし、関西国際空港では58.1m/secを記録したと報道されていることから、建築基準法で想定している最大値にほぼ近かったと思われる。

【国交省告示】非常用の照明装置を設置すべき居室の基準見直し

平成30年3月29日国土交通省では、非常用の照明装置を設置すべき居室の基準を合理化する告示を、本日、公布・施行した。

「ホテル、旅館等の多数の者が利用する建築物等については、原則として、すべての居室(共同住宅の住戸、寄宿舎の寝室等は対象外)とその避難経路に非常用の照明装置の設置が義務付けられています。
今般、避難行動に関する調査研究等を踏まえ、非常用の照明装置を設置すべき居室の基準を合理化することとし、以下のとおり、告示を改正いたしました。
本改正により、ホテル、旅館等の整備費用の低減に加え、既存の建築物における用途変更が円滑化されることが見込まれます。
なお、住宅宿泊事業法における非常用照明器具の設置方法に関する基準及び国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の用に供する施設の建築基準法における取扱いについては、いずれも建築基準法に基づく非常用の照明装置の基準を引用していることから、今回の見直し内容が同様に反映されます。」

<改正の概要>
「規制の適用を受けない居室」として、次の居室を加える。
・床面積が30㎡以下の居室で、地上への出口を有するもの
・床面積が30㎡以下の居室で、地上まで通ずる部分が次の(1)又は(2)に該当するもの
(1) 非常用の照明装置が設けられたもの
(2) 採光上有効に直接外気に開放されたもの

001228597

001228598

仏様の居室

先だって調査した御堂は、月1回2時間だけ御開帳され住職が御経を読むとの事だった。

調査に参加したメンバーに、「この建物は、建築基準法上の居室か否か」と問いかけてみた。すると居室とするものと非居室とするものに意見が分かれた。

「居室」の定義は、法第2条第4号において「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と定義されている。

あくまでも人間様の視点で書かれてる建築基準法の場合では「継続性」が極めて少なく「非居室」と考えるのが妥当だと思うと言った。

尚、「採光のための開口部を設けることを要しない居室について」は、平成7年建設省住指発第153号というのが出され解釈の統一化が図られている。

平成7年建設省住指発第153号
採光のための開口部を設けることを要しない居室について
平成7年5月25日
建設省住宅局建築指導課長から特定行政庁建築主務部長あて通知
 近年、建築物の機能の高度化及び多様化、照明設備及び換気設備の機能の向上、国民の住生活様式の多様化等により、居室の利用形態が多様化しており、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)第28条第1項ただし書に規定する「温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室」の解釈について、地方により統一を欠く向きもあるので、その統一を図るため、今後は左記により取り扱われたい。

一 温湿度調整を必要とする作業を行う作業室
 次に掲げる居室は、法第28条第1項ただし書に規定する「温湿度調整を必要とする作業を行う作業室」に該当するものとする。
(一) 大学、病院等の実験室、研究室、調剤室等温湿度調整を必要とする実験、研究、調剤等を行う居室(小学校、中学校又は高等学校の生徒用の実験室を除く。)
(二) 手術室
(三) エックス線撮影室等精密機器による検査、治療等を行う居室
(四) 厳密な温湿度調整を要する治療室、新生児室等
二 その他用途上やむを得ない居室
 次に掲げる居室は、法第28条第1項ただし書に規定する「用途上やむを得ない居室」に該当するものとする。
(一) 開口部を設けることが用途上望ましくない居室
1) 大音量の発生その他音響上の理由から防音措置を講ずることが望ましい居室
ア 住宅の音楽練習室、リスニングルーム等(遮音板を積み重ねた浮き床を設ける等遮音構造であること並びに当該住宅の室数及び床面積を勘案し、付加的な居室であることが明らかなものに限る。)
イ 放送室(スタジオ、機械室、前室等で構成されるものをいう。)
ウ 聴覚検査室等外部からの震動・騒音が診察、検査等の障害となる居室
2) 暗室、プラネタリウム等現像、映写等を行うため自然光を防ぐ必要のある居室(小学校、中学校又は高等学校の視聴覚教室を除く。)
3) 大学、病院等の実験室、研究室、消毒室、クリーンルーム等放射性物質等の危険物を取り扱うため、又は遺伝子操作実験、病原菌の取扱い、滅菌作業、清浄な環境の下での検査、治療等を行う上で細菌若しくはほこりの侵入を防ぐため、開口部の面積を必要最小限とすることが望ましい居室
4) 自然光が診察、検査等の障害となる居室
ア 眼科の診察室、検査室等自然光が障害となる機器を使用する居室
イ 歯科又は耳鼻咽喉科の診察室、検査室等人工照明により診察、検査等を行う居室
(二) 未成年者、罹病者、妊産婦、障害者、高齢者等以外の者が専ら利用する居室で法第28条第1項の規定の適用を受けない建築物の居室に類する用途に供するもの
1) 事務室(オフィス・オートメーション室を含む。)、会議室、応接室、職員室、校長室、院長室、看護婦詰所(いわゆるナース・ステーション)等事務所における事務室その他執務を行う居室に類する用途に供する居室
2) 調理室、印刷室等飲食店等の厨房、事務所等の印刷室その他作業を行う居室に類する用途に供する居室(住宅の調理室で食事室と兼用されるものを除く。)
3) 舞台及び固定された客席を有し、かつ、不特定多数の者が利用する用途に供する講堂等劇場、演芸場、観覧場、公会堂、集会場等に類する用途に供する居室
4) 管理事務室、守衛室、受付室、宿直室、当直室等事務所等の管理室に類する用途に供する居室
5) 売店等物品販売業を営む店舗の売場に類する用途に供する居室

「建築設備パーフェクトマニュアル2018-2019」山田浩幸著

「建築設備パーフェクトマニュアル2013」を最新情報に更新し、集合住宅・オフィスビルの解説を付け加えた増補版です。

意匠設計者が最低限押さえておくべき建築設備の基礎知識をまとめていますが、中々実務に役立つ本になっていてこれ一冊で概略は把握できます。

最新の「設備機器導入ガイド」を収録していますから現在の設備機器の傾向もわかるようになっています。結構知らなかった設備機器もあり、勉強になりました。

■目次
STEP1 設備設計を始める前に
STEP2 給排水衛生設備の設計
STEP3 空調換気設備の設計
STEP4 電気・通信設備の設計
STEP5 省エネ機器の導入計画
STEP6 設備図面の読み方・描き方
STEP7 防災・防犯設備の設計
コラム
先分岐工法とヘッダー工法/注意したいガス機器の給排気
加湿・除湿と結露/スマートハウス/オフィス配線
蓄電池の仕組み/ZEHの基礎知識/地中熱の可能性
改正省エネ法の要点
最新 建築設備導入ガイド
エコ関連の設備/設備機器全般

日経アーキテクチュア 専門セミナー「改修で失敗しない素材&技術講義」

今日は、昼から日経アーキテクチュア 専門セミナー「改修で失敗しない素材&技術講義」と題した青木茂建築工房の話を聞いてきました。

青木茂さんといえば建築ストックの再生・活用である「リファイン建築」の生みの親であり再生・活用分野の先駆者でもあります。

青木茂建築工房の皆さんの講義で、調査からデザイン・工事監理までされ、ファイナンスも業務提携していると聞いて セット・メーカーだと感じました。

それに比べて弊社は調査と手続きを主として行うデバイス・メーカーです。何しろ2人だけの事務所ですから・・・。

段々 青木茂建築工房の扱うリファイン建築は規模が大きくなっていますね。

業務の進め方は、弊社とさほど変わらないようで安心しました。

「調査なくして設計なし」という事で調査業務を大事にしているところは、同じベクトルなのでとても共感を持てました。

また アイソメによるわかりやすいプレゼンテーションで大変参考になりました。これからは、弊社もアイソメで説明図を作成しようと思います。

用途変更の設計者資格と工事監理者

先般 用途変更の確認申請書類を役所に受理しに行った時の事。

副本に、「着工前に工事施工者届、工事監理者届を提出してください。それが提出されていないと工事完了届は受理できません」とメモしてあった。

「用途変更は工事監理者不要では?」「(法第87条の)準用規定から除外されているはずだよ」役所担当者「ちょつと調べてみます」

用途変更については、建築基準法第87条の準用規定に於いて、100㎡超の特殊建築物の用途に変更する場合に建築確認申請が必要とされています。
しかし、法第87条の用途変更の確認に対する準用規定に於いては、法第6条3項は除外されています。
即ち、用途変更については建築士法第3条の建築士の業務範囲が確認申請を受理を拒否する理由にはなりません。
つまり、用途変更確認申請・設計は、資格に関係なく誰でも行うことが出来るという事になります。ただし これは申請上のことで、業務として報酬を伴うものは建築士事務所登録が必要となります。

建築士法第3条の、資格による業務範囲についても、新築、増築、改築、大規模修繕、大規模模様替えについては、可能な設計・工事監理の範囲を定めていますが、用途変更については記載がありません。用途変更をするに当たり、増築・改築・大規模修繕・模様替えが伴わないのなら、工事監理者の資格もその存在も問われません。

しばらくして役所担当者「工事監理者届は不要です」との回答。

現在では、この用途変更に関わる部分の建築基準法・建築士法の規定は問題ありだと思います。

例えば床面積10,000㎡の用途変更や10階建てのビル全体の用途変更(フルコンバージョン)でも工事監理者が不要という事になります。設計者の資格も問われない。工事完了検査は不要で工事完了届(ただし監察対象となる場合がある)のみというのは、いかがなものでしょうか。これで遵法性を保持できるでしょうか。

用途変更の確認申請料が民間でも役所でも低価格すぎないか? 少し申し訳なささもありますので、料金についてもここに記しておきます。

又、用途変更は建築確認申請に際して「建築工事届」の提出が不要な為、国交省の統計データーから除外されてしまいます。どのぐらい用途変更の確認申請があるのか、実態は消防の統計データーで把握しなくてはならず、総務省のデーターに依存しているような状態です。ちなみに東京消防局では、この数年年間600件前後の同意数があり過去から見ると飛躍的に用途変更の件数が増加しています。

法32条 電気設備

建築確認審査の質疑で「法第32条の電気設備について明示してください」という補正事項がきた。

「(電気設備)
第三十二条  建築物の電気設備は、法律又はこれに基く命令の規定で電気工作物に係る建築物の安全及び防火に関するものの定める工法によつて設けなければならない。」

「建築基準法施行規則第1条の3第4項」では、「法第6条第1項の規 定による確認の申請に係る建築物の計画に建築設備に 係る部分が含まれる場合においては、同項の規定によ る確認の申請書は、次の各号に掲げる図書及び書類と する」と規定されており、表1-(5)の(い)欄に掲げる法 第32条の規定が適用される電気設備がある場合にあっ ては、(ろ)欄に掲げる図書を提出することとなっている。

なお、『正本に添える図書にあっては、当該図書 の設計者の記名及び押印があるものに限る』とされ ている。これにより、常用の電源及び予備電源に関する図 書を提出することとなったので、メーカーの機器仕様書などにも設計者の記名捺印が必要と言われることが多い。

いままで建築確認審査(用途変更)の補正指摘で、法第32条について何らかの記載を求められることが無かったが、確かに法施行規則第1条の3「確認申請書の様式」に「法第6条1項(法第第87条第1項において準用する場合を含む。第4項において同じ。)」とあるから指摘されても仕方がない。

用途変更の場合、既存の施設をほとんど再利用する場合も多いし、電気設備図も書かない事があるが、これからは施行規則をよく読み 注意が必要だ。

平成29年度 国立研究開発法人 建築研究所講演会

今日は、朝から平成29年度 国立研究開発法人 建築研究所講演会に行ってきました。

と言っても、理事長挨拶と「既存住宅の躯体の生物劣化発生確率に関する分析~100棟超の既存木造住宅劣化状況データーベースの分析から」材料研究グループ 上席研究員 槌本敬大氏の研究成果報告を聞いただけで退席し、有楽町で知人と昼食をとりながら打合せをしてから帰宅しました。

万年寝不足のせいか、講演会場の居心地がよかったせいか、槌本氏の発表の途中で多少うたたねをしてしまいましたので、もう一度講習会のテキストを読み返していたところです。

この研究は、2011年~2014年にかけて全国103件の解体直前や大規模な改修を行う既存住宅の劣化状況等を調査したものですが、実は、私も数件この調査に参加させてもらいました。

1件当たり4人ぐらいが調査にあたり、木造躯体を現す前と、時期をあけて木造躯体が現れてからの二回調査をしました。木造住宅の規模(30~40坪)のフィールド調査に8人工をかける。しかも調査員は、ほとんど一級建築士という非常に綿密な学術調査でした。

その結果出来上がったデーターベースに含まれる劣化と変状に関する情報は多岐にわたります。この研究は、本邦の木造建築病理学の体系化に寄与する優れた業績だと思います。

是非、一次資料である一軒一軒の調査報告書を見たいものだと思いました。

 

「最近の裁判例で学ぶ建築物の設計・施工における瑕疵ををめぐる法的問題について」

今日は、BELCA(公的社団法人 ロングライフビル推進協会)の「最近の裁判例で学ぶ建築物の設計・施工における瑕疵ををめぐる法的問題について」という大森文彦弁護士のセミナーに行ってきた。

施工者、設計者、工事監理者に分けて法的ルールが説明されていてわかりやすかった。

大森弁護士は、設計者が設計業務を遂行する際、契約ルールとしてどの程度の注意を払うべきかと問われ「受託者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委託事務を処理する義務を負う」(民法第644条・善管注意義務)、「設計業務受託者として一般に要求されるだけの注意」が必要と言う。

また、設計者の善管注意義務違反が問われやすい場面として、「設計の契約的意味は、建築主の要求に基づいて合理的に設計条件を設定し、当該設計条件に基づいて合理的に設計解を出し、それを図書化する作業」とし、「設計受託者には、設計契約上、建築主の要求ができるだけ具体的になるよう(その程度は、内容によっても異なりますが)必要な説明をしたり、要求内容に不合理さがある場合にはそのことを指摘して、説明する義務がある」と言います。やはりインフォームドコンセントが重要なのかなと理解しました。

設計者や工事監理者が工事段階で設計変更をする権限があるのかという問いに、変更権限は原則としてなく、施工者が設計者に設計変更を指示された場合、設計者にその権限があるのかどうか確認する必要があると答えられていましたが、法的に考えるとそうなんだなと納得しました。慣例的に行われている設計行為や工事監理の内容が法的に考えるとどういう意味を持つのか、振り返って考えてみるいい機会となりました。

施工者が、設計図書の内容を審査する義務はないかとの問いに、審査義務はない。設計は建築士の独占業務であるためと答えられていました。たしかに設計は建築士に与えられた独占的業務ではありますが、昨今ではその質・図面があまりに稚拙なものが多く、法的にどうであれ現実的には施工者が内容を審査しないと危なくて工事に着手できないのではと思ったりしました。

昨今は、建築トラブルも多いと聞きます。正確な法的知識を身に着けておくことはとても大事になってきています。

「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」2017年度版

全国の特定行政庁及び指定確認検査機関等で構成されいる日本建築行政会議(JCBA)が、建築確認審査・検査の適正な運用を図るため、全国的な審査・検査の統一化に向けて検討を進め、2009年(平成21年)に「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」を出版。その後2013年度版と続き、本書は3冊目となる。

この「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例 2017年度版」は、法令等の改正、利用者等からの質疑に対する回答及びその後の部会での検討結果を踏まえ、改訂がなされている。

2013年度版から加筆された項目や変更された文章をマーキングしたのだが、新旧対照表をサイトにでもアップしておいてくれると助かる。

型式認定住宅のリノベーション

型式認定住宅(100㎡を超え)を用途変更して学童保育所にしたいとの相談があった。学童保育所は児童福祉法に規定されているので特殊建築物で、100㎡を超えているのなら用途変更確認申請が必要。

ところで確認申請と工事完了検査済証はあるの?と聞いたら、確認はあるが検済は調べていないとの事。まずそれを調べてからねと言っておいたら後日検済がない事が分かった。

学童保育所側は、型式認定住宅の所有者と既に賃貸借契約を締結し借りているらしい。資料を送ってもらったところ確認申請に添付されいる図面と現状は平面の外形は変わらないが、屋根と室内の間取りが変わっている。

学童保育所側は、型式認定住宅のメーカーは工事費が高いと言うイメージを持っているらしく、あくまでも知り合いの市井の工務店に依頼したいとの事。

検済の無い型式認定住宅の用途変更確認申請が出来るかと問われた。

理論的には、手続き的にも技術的にも可能だと答えた。

ただし型式認定住宅はブラックボックスで技術的内容も構造図も構造計算書も非公開。メーカーと型式認定機関しか詳細は分からない。これを一般構造として検証するには、どういう構造フレームになっているのか調査し構造図を起こす。鉄骨溶接部等の検査をして構造計算を行い必要なら補強工事が必要となる。

調査費と構造図・構造計算検証や申請手続きで相当な費用がかかるし、補強工事が発生した場合、事業者としてそれらの費用を受忍できるのかと問うた。

型式認定住宅メーカー曰く「うちの案件はうちでしか直せない」と言っているそうで「全面リフォームなら請け負う」とか。

メーカーしか直せないという事でもないが、クローズドシステムである型式認定住宅の案件は費用から考えて型式認定住宅メーカーに依頼した方が良いだろう。

学童保育所側は、賃貸契約の解除を申し立てるそうだ。

建築物の計画変更

建築確認申請を受け工事途中の建築物が、建築主の都合で建物用途等が変更になることがある。

建築基準法では建築基準法施行規則第3条の2の各号に掲げる軽微な変更について規定し、それ以外の物は計画変更確認申請を必要とするとしている。

その計画変更が建物全体に及ぶとき、例えば物販店で確認申請を取得していた建築物が工事途中で旅館業に用途を変更する場合、階数が変更になる場合(階数が増加)、構造を変更する場合(基礎工事中に上部構造が変更になる)等は、計画変更確認申請で済むだろうか。

このあたりの事は明文化した取扱いは、あまり見られない。

長崎県建築主事会議の「建築確認を受けた建築物の計画変更等の取扱い要領」(平成27年10月30日)に建築確認を受けた建築物の計画変更の取扱いについては、軽微変更届、計画変更確認申請、確認再申請の三つに分類し取り扱うものとしている。

その中で当初の確認申請を取止め新たに確認申請を行うものとして

  1. 建築確認を受けた建築物と大きく異なる建築物を計画しようとする場合(大きく異なる建築物であるかどうかの判断は、計画に継続性があるかどうかの観点から行い、原則として確認済証の交付した者の判断による)
  2. 階数が増加する建築物を計画する場合
  3. 建築物の構造を変更する場合

以上の三つを挙げている。

リノベーションに関わる仕事をしていると色々な案件の相談が持ち込まれるが、確認再申請か否かというのは指定確認検査機関の権限を越えていて建築主事判断が必要だと思っている。

確認再申請となると、あまたある条令や要綱の届出も再提出となることが多い事は予想されるし、工事も一時停止しないとならないだろうから慎重な判断が必要だが、工事が実質的継続しているならまだしも建築確認を受けた後 何年も工事が停止されている場合はどうだろうか。

最近受けた相談では、構造適判制度が施行された2007年(平成19年)6月20日以前に建築確認を受け工事中だった建物がリーマンショック(2008年9月)の世界的金融危機を受け事業計画が中断し、事業主が倒産し工事が停止した案件のリノベーションについてだった。

物販店から全館ホテルに用途を変える場合の手続き上の問題や構造規定の遡及について相談を受けたが、手続き上の問題として10年も工事が放置されていた建物を工事継続中として、通常の計画変更確認申請を受付して良いものだろうか。

もうひとつの問題として建築基準法を遡及させなくて良いのかという問題もある。この10年で建築基準法の構造規定関係もかなり変更されているから現在の規定に適合させるために検討や再計算が必要ではないか。私なら「建築確認申請の取り直し」だと思うと上記の長崎県の取扱いを添付して回答した。

事業主の都合ではなく建築物の安全性が担保されているかどうかから判断するべきだと思う。尚、工事が完了していないので用途変更確認申請はできない。

この場合、大規模な構造の補強工事が予想されるし、その補強工事は現場施工なのでびっくりするぐらいの工事費が予想される。ましてや構造適判が必要ならひとつひとつ厳密な検証が要求され設計者としてはとても手間がかかり、とりわけ構造設計者から泣きが入るだろうと思った。ようするに新築設計の場合の報酬額では出来ないのだ。

フルリノベーションに関わるなら手続き上の問題や建築基準法の遡及。それらが工事費=事業費に大きく影響することは、初期の段階で綿密に予測しておいた方が良いだろう。

「自由とは、必然性の洞察である」(F.エンゲルス)

45年前に読んだ本の1節がふと脳裏に浮かんだ。

川口市・納戸の取扱い

埼玉県川口市が この9月1日から運用を開始すると言う「納戸の取扱い」が話題を呼んでいる。

川口市建築基準法関係の解説及び運用基準

戸建て住宅で採光が取れない場合、確認申請の図書上だけ「納戸」と記載し、実態は照明、コンセント等の設備や、畳敷き・床の間があるようなものは「居室」であるという至極まっとうな取扱いである。

「時代に逆行してる」と息巻いている人や「現代住宅に採光は不要だ」等と言う人もいるそうだが、他の特定行政庁や指定確認検査機関は見てみぬふりをしているだけである。実は黙認は罪なのだ。川口市のように「取扱い」を明文化して堂々と議論するべきだろう。私は「偉いぞ川口市」と言ってやりたい。

こんな取扱いを明文化しなければならないほど川口市の戸建て住宅は極小敷地に目いっぱいに建っている住宅が多いのだろう。他の地域でも確認申請上では納戸と書きながら戸建て分譲チラシでは寝室になっているのが多くみられる。

明治の中旬頃に全国各地で制定された「長屋建築規則」でさえ、前面路地は2.7m(9尺)、後ろと脇は0.9m(3尺)という離隔距離を定めている。当時は長屋のほとんどが平屋建てだったのにこれだけの採光・通風に配慮した数値を定めていた。

今や隣の家との距離が、1メートルというのは遠い昔の話であり都会の一般庶民の居住環境は悪化するばかりである。

建築基準法の採光規定については議論する余地がある。

例えば

  1. 坪庭・ライトコート等に接する場合の居室の採光緩和
  2. 吹抜けを介して連続する居室(1・2階)の採光緩和
  3. 太陽光採光システム(レンズ集光+光ファイバー伝送方式)による採光の緩和

技術的に検討すべきことは沢山ある。

川口市が投じた「納戸の取扱い」が建築基準法の採光規定の見直しに一石を投じることになれば良いなと思っている。

「歴史的建築物活用ネットワーク」第4回会議

横浜で開かれた「歴史的建築物活用ネットワーク」第4回会議~歴史的建築物活用の新しいルールづくり~に参加してきました。

全国各地で建築基準法第3条第1項第3号に基づく条例制定化の動きが拡がってきていることが感じられる集まりでした。今回の集まりは、主催者によると全国各地の行政職員が参加している他、設計者等の参加も多くなった集まりだったようです。

「歴史的建築物の保存活用に関する最新動向」について報告する工学院大学の後藤治教授。

京都市、神戸市、横浜市、福岡市に次ぎ、歴史的建築物を次世代へ継承するための条例づくりが各地で拡がり、2016年度は川越市、鎌倉市が新たに条例を制定しました。各自治体ごとに歴史的建築物活用の課題を解決するための目的や運用の仕組みが異なり、多様な事例が生まれ始めてきていると感じました。

「歴史まちづくりに関する最新動向」について報告する東京大学の西村幸夫教授。

各地の事例報告は、京都市、横浜市、川越市、鎌倉市から報告がありました。とりわけ先駆的な取り組みを進めている京都市の「京町屋を建築基準法適用除外する際の包括同意基準の制定について」の報告は興味深かったです。建築審査会の包括同意基準は安全基準が3つのステージで構成されていて、ステージ1は「法及び条例への適合を求めるもの」、ステージ2は「既存不適格の継承を認めるもの」、ステージ3は「法又は代替基準への適合を求めるもの」で技術的基準はよく整理されており とても参考になります。

弊社は、歴史的建築物のうちの近代建築(比較的規模の大きい戦前のRCの特殊建築物)の保存・再生・活用に関わってますので、全国各地の動向は気になるところでした。

会場からの質問も多く、とても内容が充実した集まりでした。

コア東京3・2017 東京都建築士事務所協会

毎月、東京都建築士事務所協会「コア東京」と「日事連」が郵送されてきます。

定期機関誌を毎月発行するのは大変な労力がかかっているのだろうなと予想できます。関係者の皆様に感謝しながら、このカラー印刷の機関誌印刷代・郵送代に随分と経費がかかっているのだろうなWEBサイトを充実させれば事足りるのではないかと思いつつ「コア東京」をパラパラとめくりました。

今号の気になった記事は「VOICE from editor」の記事でした。ようするに巻末の編集後記ですね。加藤峯男さんの建築法規の変遷、ストック活用に即した法体系の見直しの思いが記載されていました。

そこには加藤峯男さんが一級建築士を受験した1970年の建築基準法法令集・赤本と現在2016年度版の赤本の厚さが比較された写真が掲載されていました。頁数で言うと5倍になっていると指摘されていました。

「建築基準法の基礎的規定や意味合い」を若い人が理解していないと加藤峯男さんが嘆くのはわかりますが、その一因は大学や専門学校での建築法規の履修が戦後一貫して軽視されてきたからだと思います。1970年頃も大学では建築法規は2単位で現在もほとんど2単位だと思います。社会が複雑化しそれに対応し法令もこれだけ増えてきたのに、資格受験のための建築法規の学習では試験が終われば忘れてしまいます。しかも試験技術が最重要な要素である現代の資格試験では建築法規の基本を学ぶことには無理があると思います。

やはり設計実務を通じて徐々に全体像が掴めてくるのだと思います。

指定確認検査機関に勤めて審査をしていれば建築基準法と関係規定には詳しくなりますが、建築プロジェクトの遂行においては消防法や都市計画法などのあまたある法令・条例を読み理解しなければなりません。

建築法規を学ぶとしたら、やはり大学教育の中で学ぶ時間を増やさないといけないのではないかと思います。そしてどういうカリキャラムが必要か、よく考えないといけないと思います。

加藤峯男さんは「既存ストックを円滑に活用できるように法体系を見直す」必要性を訴えていますが、建築関係者は大概思っているのではないでしょうか。

どう改善するべきか建築関係団体から具体的な提起が必要になっていると思います。

内閣府・規制改革会議での業界関係者の意見等を読んでますと「床面積1000㎡以下は用途変更確認申請は不要として欲しい」等の意見もみられますが、業界関係者の利便や都合ではなく建物を使用する人の安全性に配慮した建築法規の改正が必要だと思います。

私見としてはストック活用に伴う建築基準法改正案はありますので、いずれ発表する機会があるかもしれません。

省エネ適合も かれこれ10年前に話題になりました。施行は本年4月1日から随時実施され やがて300㎡以上の建物は省エネ適合が必要となるでしょう。

ストック活用の法令も見直されることは歴史的必然だと思います。

「耐震改修事例に学ぶ実務者講習会」東京都建築士事務所協会主催

東京都建築士事務所協会主催の「耐震改修事例に学ぶ実務者講習会」に参加してきました。上の写真は本年度版のテキストです。

耐震改修事例の紹介は下記です。

  1. 都営住宅・青木あすなろ建設特許・摩擦ダンパーを用いた制震ブレース工法
  2. 集合住宅・矢作建設工業特許。ピタコラム工法フレームタイプ
  3. 事務所ビル・オイルダンパーブレースによる制震補強・耐震スリット
  4. 集合住宅・下階壁抜け柱のSRFシートによる耐震補強
  5. 市庁舎コンバージョン
  6. 集合住宅・PC外付けフレーム

事例1、2、3はガチガチの構造的説明で専門用語が多くてわからないところが多かったのですが、他の事例は、コンバージョンの一部としての耐震補強や耐震補強工事の施工上の問題点・苦労話でよく理解できました。

事務局によると参加者の4割が意匠関係者ということでしたので、内容も構造技術者しか分かり合えない内容だけでなくしたのかもしれません。耐震改修というと建築主や管理組合の人達に、専門的な判断をどう伝え、理解してもらえるか苦労しますね。

大規模な事例が多く、しかも一般的な工法が少なかったので もう少し中高層の建物の補強方法を知りたい思っていたら、過年度のテキストにそれが掲載されているということで事務局の方に頂戴しました。

これは過年度のテキストで「耐震診断と補強設計の要点」「補強設計マニュアル」という、知りたかった事が満載されていました。

これは平成27年のテキストで(実物は青い表紙)「耐震診断と補強設計における課題」は役立つ内容でした。

弊社は、ストック活用の一部として耐震診断・耐震補強に関わりますので、調査方法や耐震補強工法の選択に関心があります。こうした実務者向けの無料講習会に参加することができただけで事務所協会に加入してよかったなと思えました。

それにしても連日講習会にに参加していると毎回設計事務所時代の同僚や指定確認検査機関時代の同僚と顔を合わせます。中には、しばらく連絡が途絶えていた人もあり近況を伝え合えることができました。やっぱり、引きこもりは良くないなと思ったところです。

設備設計一級建築士定期講習

今日は終日、設備設計一級建築士の定期講習でした。かれこれ一年前に更新講習の案内が来ていたのに忘れていて、3月31日までに定期講習を受講しなければならないのに 気がついたら東京で開催される最後の講習、3/9確認サービス主催しかありませんでした。

三年毎とはいえ、最近の法令改正の要点を全体的に再確認しておくのは必要なことだと思いました。又「確認審査で指摘されることの多い不備事項」や「既存不適格について」は、とても役に立つ内容でした。

ただ、設備設計に関する科目は、あまりにも建物が大規模で 採用されている設備技術も最先端すぎて、たぶん遭遇することはないと思いましたので一般知識として聞きました。内容は、カタカナ語と略アルファベットが多すぎて、なんだかチンプンカンプンでした。日本語で表現できるものは日本語で表記して良いのではないかと思いました。

  • アンビエント (室全体)
  • タスク(人の居るところ)
  • VAV(変風量制御)
  • VWV(変水量制御)
  • VRV(変冷媒量制御)
  • BCP(事業継続性)
  • デマンドレスポンス(エネルギーインフラの供給状況に応じて、ビル側の需要量を調整制御する)
  • GSHP(基礎杭利用型地中熱ヒートポンプシステム)
  • PMSM(二巻線式永久磁石同期電動機)

以上が今日初めて聞いたカタカナと略アルファベットでした。

知識だけでは仕事を遂行できないのですから、もっと規模の小さいもので実践的な知恵が身につくような講習が必要なのではないかと思いました。

終了考査もテキストのポイントから40問出題されるだけの形式的なものですから20分で終わってしまいました。

 

福岡市「用途変更の取扱い」(建築基準法第87条)

福岡市住宅都市局建築指導部建築審査課が平成28年8月に取りまとめた「用途変更の取扱い」(建築基準法第87条)は、下記の項目で用途変更のポイントが整理され、とてもわかりやすいものになっています。

  • ポイント1、確認申請の手続き
  • ポイント2、既存建築物の適法性
  • ポイント3、用途変更部分の適法性
  • ポイント4、既存不適格建築物への現行規定の適用

その他「用途変更の流れ」では、既存建物が検査済証を受けていない場合は、福岡市住宅都市局監察指導課で違反是正指導を受けることになっています。

それに代わって民間指定確認検査機関で国交省ガイドラインに基づき適合状況調査により確認申請を行うことができる場合があります。

先日 博多出張の際、福岡市監察指導課で計画案件の概要、適合状況調査の具体的で詳細な説明(事前電話では基本的に内諾を得ていた。)をしてきました。そして弊社の行う建築基準適合状況調査報告書に添付する図書として福岡市の様式である「建築物施工状況報告書」「委任状」「始末書」を受領してきました。

この「始末書」というのが福岡市独自で興味深かったですね。建築基準法に何らかの違反をし、それを放置してあった場合には当事者としての責任を明確にするために「始末書」を提出させるというのは必要だと思います。

だいたい検査済証のない建物は、何らかの違反箇所があるのが普通ですが、それをどの時点で是正するのが適切かというと、法12条5項報告なり国交省ガイドライン調査を提出し、是正工事を完了検査した後に建築確認申請の提出ということが通常だと思います。

指定確認検査機関に申請した場合は、違反是正後に確認申請提出となることが多いです。

ところが行政に法第12条5項報告を行い、行政に建築確認申請を提出する場合は、違反是正は、確認申請工事と一緒でも良いということになるケースが多いのです。こうすると本来のリノベーション工事と違反是正工事を連続して工事会社に発注することができタイムロスが少なくなります。

こうしたことが 弊社が指定確認検査機関を使わない理由のひとつでもあります。

福岡市・用途変更の取扱い

都市計画法と建築基準法

都市計画法と建築基準法との関係で問題になることが多いのが、都市計画法第29条(開発行為の許可)、都市計画法第37条(建築制限)、と建築基準法の建築確認申請の本受付時期、確認決済時期、工事完了済証交付時期(使用開始時期)等についてです。

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■都市計画法第37条 通称:制限解除、公告前申請

「開発許可を受けた開発区域内の土地においては、前条第3項の公告があるまでの間は、建築物を建築し、又は特定工作物を建設してはならない。ただし、次の各号の一に該当するときには、この限りでない。
(1)当該開発行為に関する工事用の仮設建築物を建築し、又は特定工作物を建設するとき、その他都道府県知事が支障ないと認めたとき。
(2)法第33条第1項第14号に規定する同意をしていない者が、その権利の行使として建築物を建築し、又は特定工作物を建設するとき。」
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上記が都計法第37条の条文ですが第一項による制限解除申請を行い承認された場合に建築等が可能となります。
「建築が可能」とは、取りも直さず「建築確認の本受付」「建築確認決済」「建築工事」は可能となります。建築工事の工事完了検査・済証交付は、都計法開発行為の工事完了検査済証交付後にすれば、建築の使用は制限されます。
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■横浜市・都市計画法(開発許可制度)に関するよくある質問
Q2-4 開発完了前に建築確認申請はできますか
A  建築確認申請は可能ですが、確認済証の交付を受けても都市計画法上は建築工事に着手できません。なお、建築工事を同時に行わなければ開発行為が適切に行えない正当な理由がある場合には、建築制限の解除願を承認しています。
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■容易ではない建築制限解除

都市計画法第29条による開発行為をする必要がある場合、安易に都市計画法第37条第1項による制限解除ができるものとして工程を組んではいけません。

制限解除の詳細規定は、行政庁による「開発行為の手引き」「開発許可制度の解説」等の中に詳細に記載されています。

例えば埼玉県の「開発許可制度の解説」では「審査基準」を下記のように記載しています。

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審査基準
開発許可を受けた開発区域内の土地において、法第36条第3項に規定する工事完了の公告前に建築物の建築又は特定工作物の建設を支障ないと認めるのは、次の各号の全てに該当するときとする。
1 建築等しようとする建築物等は、当該開発許可に係る予定建築物等であること。
2 工事工程上、開発行為に関する工事の完了前に予定建築物等の建築等を行う必要があると認められること。
3 開発区域が現地において明確にされていること。
4 開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設の工事がほぼ完了していること。
5 建築等工事の完了に先行して開発行為に関する工事が完了する見込みであること。
6 造成の規模や地盤の性質に鑑み、開発行為と建築行為を同時に施工しても開発区域及びその周辺の安全性に支障をきたさないこと。
承認に付する条件〉
本条の承認は開発工事の工程上、開発行為と建築行為を同時に行うことが合理的と認められるときに、やむを得ないものとして例外的に認められるものです。完了検査を受けずに当該区域を建築物等の敷地として使用することを認めるものではあり
ませんから、原則として工事完了公告前に建築物等を使用することは認められません。このため、法第37条第1号の承認に際しては、原則として次の条件を付します。
条件 工事完了公告前に承認に係る建築物等を使用しないこと

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また、制限解除を承認すると都市計画法の工事完了検査を飛ばす業者も多い為、あまり建築制限解除を積極的に承認しない傾向の行政もあります。

一方小規模の場合は申請を不要としている場合もあります。つくば市では、開発面積が1000㎡未満の小規模開発行為で自己の用に供する開発行為は、一括で建築制限解除したものとみなし個別の申請は不要としています。

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建築基準法の接道基準は満たしているか

次に問題になることが多いのは、建築基準法第43条の「建築物の敷地が道路に2m以上接しなければならない」の規定です。特殊建築物の場合は、条例で定めれた接道長さの規定によります。

一敷地の開発区域で既存の道路に接道しているような場合には問題になりません。

開発区域を幾つかの区画に分け、開発行為による道路をこれから造成する場合は、開発行為による道路(建築基準法第42条第1項第ニ号道路)が実態としては存在していないので、建築基準法第43条は満たしていないことになります。よって建築制限解除の承認を受けていても建築確認申請を本受付することができないことになります。

いくら開発許可申請で「道路」が設計上担保されていても、設計通り工事されているか検査してみないとわかりませんから、実態として接道を満たしているかは大事だと思います。

これを解決するために建築基準法第43条第1項ただし書を活用すべきと指導するところもありますが、住宅ならば包括同意基準がありますが、一般的には建築審査会の同意が必要となりますので、時間も経費もかかり屋上屋を重ねるがごときのようにも思えます。

以上のように都市計画法では良くても建築基準法では不都合な場合もありますから、開発行為が絡むプロジェクトでは調整が必要となります。

自由学園明日館公開講座「文化財建造物の修理について-明日館講堂」-2

自由学園明日館公開講座「文化財建造物の修理について-明日館講堂」に参加してきました。

現在、耐震対策工事が進められている重要文化財・自由学園明日館・講堂の修理現場の見学ということで以前から楽しみにしていました。

「講堂」は、1927年(昭和2年)に建てられ、昭和25年頃屋根葺替、昭和37年に部分修理、平成元年に屋根葺替・部分修理、平成13年に設備改修が行われ、平成26年11月から平成29年7月にかけて屋根葺替、耐震補強工事等が行われています。

築90年の建物が今まで比較的良好な状態で利用されてきたのは、この屋根の葺替を始めとした幾たびかの修繕工事がなされてきたからだと思います。

修理工事中の写真は撮影させていただきましたが、インターネットでは公表しないという約束になっていますので、工事看板だけ掲載しておきます。

設計監理は文建協、施工は大成建設東京支店で、見学では文建協の田村さん、大成建設の方から詳細な説明を受けました。

設計者の遠藤新は、自分が設計する講堂の構造の特徴・空間デザインの特徴を「三枚おろし」に例えて論じています。従来の講堂建築は、構造を梁行(輪切り)で設計されていたが、風や地震で倒壊することが多く椀木や控柱で補強するよう法規で決められていたそうです。

この明日館講堂は、市街地建築物法第14条による「特殊建築物」だった思われますが、その第14条は、「主務大臣ハ學校、集會場、劇場、旅館、工場、倉庫、病院、市場、屠場、火葬場 其ノ他命令ヲ以テ指定スル特殊建築物ノ位置、構造、設備又ハ敷地に關シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得 」とあり「必要な規定を設けることができる」とありますが、勉強不足で まだその規定は探し出せていません。

明日館講堂は、平面を桁行方向に三分割し、さらに前後に空間を設けて合わせて九つのゾーンを連続的でありながら、それぞれのゾーンにふさわしい機能を持たせています。遠藤新の空間デザイン論は、中々優れてると思いました。

この講堂は、耐震診断の結果「大規模な地震の際には倒壊の危険がある建物」であること、解体調査の結果、講堂の外壁が外側に倒れ、屋根の棟は中央を最大に垂れ下がっている状態だったそうです。その事は、既存の構造体が屋根の重量を完全には支え切っていなかった事を表しています。

補強工事に際しては、遠藤新の思想を残しつつ「基礎と軸組の健全化」「内在骨格の強化」「壁面・床面・屋根面の補強」の三点を軸に行われたと説明を受けました。

すでに屋根の葺き替えは完了し、新しい銅板屋根が黄金色に輝いていました。

エキスパンションジョイントのクリアランス

既存建物にエキスパンションジョイントを設置して増築する建物で、エキスパンションジョイントのクリアランス(有効な隙間)が問題になりました。

隙間(クリアランス)は設計者が変位量の大きさにより決定します。

参考文献としては、ちょっと古いですが日本建築センター発行の「構造計算指針・同解説1991年版」(現在は、「2015年建築物の構造関係技術基準解説書」に統合)に「相互の建築物の一次設計用地震力(建築基準法施行令第88条第1項に規定する地震力)による変形量の和の2倍程度以上を推奨」と記載されています。

また1995年10月「阪神・淡路大震災における建築物の被害状況を踏まえた建築物耐震基準・設計の解説」では、エキスパンションジョイントのクリアランスは、大地震時にも建物相互が衝突しないように、構造計算により算出し設定することが望ましい」と記載されています。

施行令第82条の2【層間変形角】には、「建築物の地上部分については、第88条第1項に規定する地震力によって各階の高さに対する割合が1/200(地震力による構造耐力上主要な部分の変形によって特定建築物の部分に著しい損傷が生ずるおそれのない場合にあっては、1/120)以内であることを確かめなければならない」とあります。

なので上記による略算式としては、クリアランス=エキスパンションジョイントの地上高さ×1/200×2(双方の建物が地震で変形する為)×2倍となります。

10mだと 10000/100×2=200mm

20mだと 20000/100×2=400mm

30mだと 30000/100×2=600mm

という結果になります。略算式だと3階建て程度で200mmのクリアランスが必要ということになります。

問題になった案件は構造計算ルート1-1で、軒高9m以下鉄骨造3階の増築です。

層間変形角の計算は不要なのですが、X・Y方向の層間変形角を算出したところX方向で1/500、Y方向で1/1400でした。パラペット高さを9600mmとしてX方向の変位量は19.2mm、Y方向の変位量は6.9mmとなります。以上により一般的なクリアランスである50mmに設定しました。

既存建物に増築する場合のエキスパンションジョイントのクリアランスは、低層の建物は略算式によらず 実際の変位量、層間変形角から判断して決定した方が良いと思います。

法第77条の32第1項

建築基準法に対する解釈等に疑義が生じた場合、一部の指定確認検査機関では、特定行政庁に設計者を出向かせ、特定行政庁の運用や解釈を確認させている例が見られます。

埼玉県では、埼玉県内を業務区域とする指定確認検査機関の長あてに、埼玉県都市整備部建築安全課長名で平成27年5月25日建案第255号で「建築基準法に対する解釈等に疑義が生じた場合の対応について(通知)」を発出しています。

疑義が生じた場合は、「計画内容を十分把握し貴機関の見解を踏まえたうえで、建築基準法第77条の32第1項の規定に基づき、直接貴機関から所管する建築安全センターに問い合わせるよう、改めて通知します。」

平成23年にも同様の通知が発出されていますから、どうやら守られていなかったようです。

これらの通知に書かれている事は、正しいのですが、この法第77条の32第1項の規定による「照会」を、正式文書として送付するとなると結構手間がかかり、日数も必要とします。

まず送り手側の指定確認検査機関では、設計者から相談→検討→文書起案→機関内決済→特定行政庁送付となります。受け手の特定行政庁でも文書受理→検討→稟議起案→稟議→決済→文書送付となります。文書ではなく特定行政庁の担当者から電話がかかってきて終了ということもあります。

法に基づく正式文書となると、かなりの日数が必要となることが理解できると思います。

指定確認検査機関の側では、事前相談の段階では「照会」を文書では発出できないというところもあるし「照会」そのものを断るところもあります。

どの業界・業種でもそうですが、弾力的な対応でフットワークの軽い人は人気があります。

法第77条の32第1項では、この「照会」は「文書」でとは規定されているわけではありませんから、指定確認検査機関から特定行政庁に電話や相談・打合せに行ってもらえるフットワークの軽い人が尊ばれる傾向にあります。

大体、こうした照会をしたい事項は、各種解説書、事例、通達等には参考例がなく、特殊な事例で判断に悩むからで、指定確認検査機関だけで判断させるにはヤバ過ぎるから特定行政庁の見解も聞きたいものなのです。

そこで指定確認検査機関の中に誰かいないかと探してみます。これは会社ではなくあくまでも個人の資質なので、会社の規模とかはあまり関係がありません。でもそういう人材は減ってきていますね。