「建築ストックの再生・活用技術セミナー」を開催します

このたび「都市×地方それぞれの建築ストック再生」を副題として「建築ストックの再生・活用技術セミナー」を開催する運びとなりました。

弊社で近年取り組んできた都市の多層階住宅のリノベーション・重量鉄骨造検査済無建物の増築改修と、野上氏・大貫氏が取り組んできた養蚕農家のホテルへのリノベーション・増築改修の二つのテーマで公開セミナーを行います。いずれも調査・申請・設計というプロセスに焦点をあてた実務者に役立つセミナーになっています。

講師陣・建築系事務所4社共同主催・共催 (一社)住宅医協会です。

是非 御参加いただけれは幸いです。

【東京会場】4月22日(月)13時~17時 連合会館401号室

詳細及び参加申込書・PDF

ストック再生セミナー・東京

【大阪会場】5月15日(水)13時~17時 (株)ニチネン本社4階会議室

詳細及び参加申込書・PDF

ストック再生セミナー・大阪

*新建ハウジング・WEBで紹介されました。新建ハウジング

*(一社)住宅医協会・WEBで紹介されました。住宅医協会


【3/26 講師陣打合せ】

4人の講師陣がセミナーで発表するパワーポイントを持ち寄り、それぞれの担当部分を説明し、みつちり4時間にわたり意見交換等を行いました。調査・申請・設計にわたるプロセスが詳細に語られ、経験やノウハウも語られるレベルの高いセミナーになりそうな予感がします。

リノベーションのセミナーそのものは最近多くなっていますが実務者(建築設計者・建築技術者)の知りたいことに寄り添った「技術セミナー」は、あまりないと思います。

野上氏・大貫氏の養蚕農家を旅館にリノベーションした事例は、木造の一体増築にチャレンジした意欲的な作品です。用途変更した事例は数多いのですが一体増築は現行法の構造規定に遡及しなければならないので技術的にハードルが高く、それをひとつひとつクリアした経験が述べられています。プレゼン資料も美しく、説明も親切で感心しました。

私、寺田と構造設計担当の伊藤氏による「多層階住宅のリノベーション」は、数件の事例を比較する事で、調査項目や行政の対応など分かってくる事が多いと思います。今のところ重量鉄骨造の多層階住宅がスケルトン・インフィルが実現できる最適な構造ではないかと考えています。

個々の説明時間を調整した結果、私の持ち時間が増えました。

また学生参加費を1,000円としてリノベーションに取り組んでいられる大学の研究室を通じて参加をお誘いすることにしました。


 

用途変更確認申請200㎡以内は不要・幾つかの危惧

2018年6月の建築基準法改正による施行日(現在未定だが2019年6月27日迄)が迫ってきた。

今まで4号建築の用途変更が少なかったのは、工事完了検査済証が無い建物が多かった事にも起因している。今でこそ全体の完了検査率は90%ぐらいになってきているが20年前の平成10年前までは、完了検査率は40%以下だった。多分4号建築物に限るともっと完了検査率は低いと思われる(国交省資料)。

工事完了検査済証が無い建物は、実態的に違反建築物が多いため違反部分の適法化工事や建築基準適合性調査に一定の費用がかかる。その為個人の費用負担が多額なる事が多く用途変更を断念する場合が多かった。

4号建築は工事完了検査済証が無くても使用開始出来た事。済証がなくても登記や融資を受けれた事。社会の遵法意識が低かった事。戦後の建築基準法等の弱点である「負の遺産」の集積を現在に引き継いでいる。そうして実態的に違反建築物を社会に広く存在させてしまつた。今回の用途変更確認申請対象面積の緩和は、これら負の遺産である「違反建築物を恩赦」しようとしているようにも思える。

何しろ既存住宅の30%は100㎡以下だが、200㎡以下だと既存住宅90%が恩赦の対象となる。そもそも、この法改正は空家住宅対策と言う事だったが、改正基準法では、法第6条第1項第一号の「100㎡」を「200㎡」に改正しただけなので4号建築だけでなく1~4号までの全ての建物に適用される。

200㎡以下は用途変更確認申請が不要になることによって建築設計事務所と指定確認検査機関の業務が一定量減じることは間違いない。

「確認申請は不要だけど遵法性は保つてね」というは、現実的には悩ましい。

最近の事例で、RC3階建てのリノベーションで用途変更変更確認申請等が不要と言う事でインテリアコーディネーターが「絵」を描いた。出来た「絵」はRCの耐力壁がきれいさっぱりなくなり、床に大きな開口があく、文字通り「自由な設計」だった。たまたま関係者が一級建築士が構造安全性を担保してくれないと工事できないと言ったので検証したら、床は補強すれば何とかなるが耐力壁の開口は駄目。

建築業界では、ともすれば「法の規制を受けない」「構造安全性からの解放」「避難安全性の制約を受けない」ことが設計の自由度が高まったと受け止められる。

「違反建築物に恩赦」を与えることで遵法性意識のある建築士、建設業登録をしているような施工者は「建築ストックの活用」に関与できる機会がかえって少なくなるのではないか。

「自己責任」「設計者責任」だけが重くのしかかりそうだ。

私が事業者なら、コンビニ、保育園、ディーサービス、共同住宅、ホテル等の特殊建築物で、その面積に近いものは全て200㎡以下で成立するように、基本設計の見直し用途変更確認申請は不要ととして諸費用の削減、工期の短縮を図るだろう。

建築ストックの活用が増えると手放しで喜んでもいられないのではないかと思った。

旅館業法の申請に伴う近隣説明会

荒川区内の4階建て住宅を用途変更してホテルにするために旅館業の営業許可を申請中。

昨晩は、その近隣説明会だった。

昨年H30年5月に荒川区は、旅館業法施行条令を改正し、計画標識の設置、近隣説明会の開催、町会長との協定書の締結、フロントへの管理者常駐というような内容を盛り込んだ。知る限りでは都内でこういう厳しい条例があるのは荒川区だけのように思う。他の区ではフロントの代替設備が可能だし、近隣説明会、協定書等を求めてはいない。

建築関係の事を聞かれたら応えられないのでということでクライアントの依頼で参加した。近隣住民からは、予想通り宿泊客による音、エアコン室外機の音、ゴミの収集方法、外部喫煙の有無等々が質問された。

どこでも概ね同じような不安、疑問を近隣住民は持っているが、ほとんどは旅館業法等に規定がない事柄で、事業者側としてもどこまで対応してよいか悩む。

喧々諤々 近隣説明会は2時間にわたった。次週も開催するらしい。

 

【用途」インターナショナルスクール

最近受けた相談で、インターナショナルスクールというのがある。3階建て1000㎡程度の規模である。このインターナショナルスクールの建築基準法上の用途は、「学校」か「事務所」かという問い合わせだった。

インターナショナルスクールについては、現在のところ法令上特段の規定はないが、一般的には、主に英語により授業が行われ、外国人児童生徒を対象とする教育施設であると捉えられている。

インターナショナルスクール等に通っても就学義務の履行とは認められない。二重国籍者については、「家庭事情等から客観的に将来外国の国籍を選択する可能性が強いと認められ、かつ、他に教育を受ける機会が確保されていると認められる事由があるとき」には、保護者と十分協議の上、就学義務の猶予または免除を認めることができるとされている。(昭和59年文部省通知)

インターナショナルスクール等の一部は、学校教育法第83条に基づく「各種学校」として都道府県知事の認可を受けているが、認可を受けていないインターナショナルスクールも多い。

都内の幾つかの行政にヒアリングしたところ認可を受けているものは建築基準法上の用途は「学校」で、受けていないものは「事務所」として扱っていることが多いようだ。その規模については特段の規定は現在のところないようだ。

実質的な移民政策を続けて行くと今後インターナショナルスクールは増加していくだろう。「認可」も「非認可」も中身も外形もさほど変わらない。ある程度の規模でライン引きし「学校」とした方が良いのではないかと思った。

「平成30年改正建築基準法に関する説明会(第2弾)

「平成30年改正建築基準法に関する説明会(第2弾)」に参加して来た。

昨年6月27日に公布された平成30年法律第67号の公布の日から1年以内に施行する部分の説明会。これから建築基準法施行令・施行規則・告示が改正されるのだがその改正に向けた検討案の説明。

てっきり施行令・施行規則改正案が提示されるものだと思っていたらパブリックコメントは新年度4月に入ってからだという。これだと施行は公布の日から1年以内ギリギリかなぁ~と思った。

H30年改正のキーワードは「3階かつ200㎡以内」で小規模建物に対する緩和が目立つ。その一方条例で小規模建物も定期報告の対象に加えることができるなど、まったく野放しというわけでもなさそうだ。

性能規定がいっぱい増えた。「通常火災終了時間に基づく準耐火構造(火災時耐力検証法)」「特定避難時間に基づく準耐火構造(避難時耐力検証法)」。避難安全検証法では「区画避難安全検証法(ルートB-2)」ができるらしい。

幹が法だとしたら枝の先に細かい枝が増殖しブッシュになったような気がする。

説明会が開かれた昭和女子大学人見記念講堂

武蔵野市役所・事前調整書

武蔵野市役所に行ってきた。

市役所来訪の主な目的は、建築確認申請を提出する前に市役所各課を回って協議し「事前調整書」に各課の押印を貰ってくる事。指定確認検査機関に確認申請を提出する場合でも本受付前に、この「事前調整書」を完了しておかないとならない。

事前調整の協議先の判断は、建築指導課なので、各課協議の前に建築指導課に行った。

この建築確認申請提出前に、行政各課と「事前調整」を行う仕組みを作っているのは、東京都内では武蔵野市と府中市。確か大阪府内は、以前からこのような事前調整が必要だったはず。多くの条例や要綱が行政毎にある現代では、必要不可欠のように思う。

当然、業者の立場で言うと面倒だから無い方が良いが、街づくりの広い視点に立てば、建築確認申請決済の前には「調整」は終わっているのが望ましい。

市役所内10カ所の係を回り押印を貰うのに1時間半。行政照会がいつ戻ってくるかやきもきすることに比べたら、自分で持ち回りした方がよっぽどストレスがたまらない。

指定確認検査制度は曲がり角

年の瀬も押し迫ったある日、某区役所の建築課監察係を訪問した。

監察係というと違反建築物を取り締まるところだが、弊社の建物が違反建築物というわけではない。調査を依頼された建物が数年前に建築課と消防署の立入検査を受け違反箇所を指摘され是正計画書を提出しなさいと言われていたのが、そのまま放置されていたので、今回依頼を受け是正計画を作成する為に打合せに行ったもの。

別室に通され監察係長と職員二人が現れた。

3対1だったので最初は緊張したが、外部の窓に面していたので かって警察の生活安全課で風営法の申請に行った時に本当の取調室で打合せをしたときよりは圧迫感が無い。

違反建築物をどの様に、またどこまで是正させるかこちらの案を述べ 具体的な絵を作って提出することになった。その上で監察係から建築主事の判断を仰ぐことになった。

と本来の訪問目的は意外と早く終わったのだが、それからが会話が盛り上がった。

「何故、指定確認検査機関の支店長を60歳前に辞めたのか」「何故、審査機関に再就職しなかったのか」「指定確認検査機関の現状はどうなっているのか」「審査や検査にかけられる時間は」等 係長から質問が次々と発せられた。

私の方からも「既存建物は、工事完了検査済み証があっても安心できない」「検査が形骸化している事」「既存建物の図面は疑ってかからないとならない事」「指定確認検査機関の色々な現状」等、ここでは書けないオフレコの話をついしてしまった。

結論は「指定確認検査制度は曲がり角に来ている」という認識を共有することになった。

こんなに現職の行政の人と会話したのは、数年前に都内の別な区の建築主事と雑談して以来だが、こうして現職の行政職の人達と時々オフレコ会議をした方が、建築界に関して共通の現状認識が出来るのではないかと思った。

ハーフ&ハーフ

「ハーフ&ハーフ」 ビールのことではない。

民泊は、建築基準法上の用途は 本当は何なのかという問いかけ。

民泊は住宅宿泊事業で住宅の活用という視点なので、かりに床面積が100㎡を超えていても用途変更確認申請は不要である。

しかし実態は、ホテルと住宅という二つの用途が内在する。家主不在型だと180日の営業日数しか認められていないので180日/365日=49.3%で住宅が過半と言う事かも知れない。

しかし他の法令との関係で「住宅等」としてくくることが本当に妥当なのかという疑問が残る。

例えば都市計画法の特別用途地区に「中高層階住居専用地区」というのがある。これには第一種から第五種まであるのだが、第五種だと住宅の割合を敷地面積の80%以上としなければならない。

この中高層階住居専用地区によって設けられた共同住宅を民泊に利用して問題ないよねという問いかけを都内特別区の都市計画課に照会したら「ちょつと待て」となった。同様に地区計画で住宅の誘導をしている場合もある。

この中高層階住居専用地区で規定している「住宅等」は、「住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、老人ホーム等」としている。地区計画でも同様なのだが。後から出来た「民泊への転用」は想定外らしい。

建築指導課と都市計画課で協議してもらい「住宅等」には落ち着いたのだが、ハーフ&ハーフと言うかリバーシブル(両面利用)で両義性(アンビバレント)の建築用途はかってあっただろうか。

建築基準法等で考えても疑問の残る「民泊」。これでは運用後の実態でも様々な問題が生じるわけだと納得した。

都会の空き家・附置住宅制度

東京の都心部などのオフィス街をはじめ、定住人口の減少に頭を悩ませるエリアにおける人口の定住確保と良質な住宅環境の整備のため、新たに建設されるビルなどを対象に、集合住宅などの付置を義務付ける取り決めが1990年代初頭頃から都内都心部の特別区で要綱として定められた。

「要綱」は法令による根拠はなく、地方自治体の基本的な又は重要な内部事務の取扱いについて定めたものであり法的な拘束力はない。しかし「住宅附置制度」等は、建築確認申請の事前協議対象としていることから実質的に建築基準法の関係規定として機能している。

それら要綱が定められてから四半世紀近い年月が経過した。

現在 都内都心部は、人口減少から一転して増加傾向にある。中央区等は人口が予想以上に増えすぎてインフラ整備が間に合わなくなっている。

この附置住宅制度、立地に関係なく敷地面積500㎡以上、延べ床面積3000㎡以上の新築建物に附置を指導したものだからホテルの上階に附置住宅があったり、事務所の上階に附置住宅があったりする。

最近幾つかの附置住宅がある建物の実情を聞いたところ「空き室」が多いことを知った。

附置住宅制度による住宅は、今はやりの民泊に転用することもできない。

空き家対策といっても附置住宅制度の実態調査など行われていないだろう。実際には、空き室もさることながら「飛ばし」も多いと聞く。附置住宅制度自体が時代遅れになってきているのではないか。

法律は、時代の後から明文化される。金科玉条のごとく「遵法性」を錦の御旗に振り上げているぐらいなら制度の見直しが必要ではないか常に考えていた方が良い。

【自然災害】違反建築物による損害賠償

古来より日本は災害大国と言われ、祖先は幾多の災害を乗り超えて今にバトンを繋いできている。今回の台風21号による被害状況を見ていて「自然災害による被害や損害賠償」について色々と考えた。

とりわけ今回は建物の屋上に設置されたプレハブ製と思われる倉庫のようなもの、看板類の飛散による他者に対する損害が気になった。

一般的には、自然災害による損害は請求権がないとされている。しかし瑕疵がある場合はその限りではない。

(民法第七百十七条・土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」

上記の民法717条は、普通の不法行為(民法709条)と異なり、故意や過失の存否を問題としていない。
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じた」場合には、一次的には占有者が、補充的に所有者が賠償責任を負うという定めになっている(占有者は責任を免れることもあるが所有者は無過失責任なので、過失がなくとも損害賠償責任を負うことになる)

屋上に設置されたプレハブ倉庫。

経験上ほとんどが無届・違法建築で本体建物との緊結方法もその安全性が疑わしいものが多い。「違法建築なら損害請求をすることができるか」と先日聞かれたので、違法性を立証できれば可能ではと答え、違法性の調査は比較的容易だよと答えた。

この原稿を下書きしていたところ北海道胆振で震度7の地震があった。自然災害は色々な教訓を我々に与えてくれる。

【自然災害】風圧力・瞬間最大風速と平均風速

「建築基準法施行令第八十七条

風圧力は、速度圧に風力係数を乗じて計算しなければならない。
2  前項の速度圧は、次の式によつて計算しなければならない。
q = 0.6 E V o (2乗)

この式において、q , E 及びVo は、それぞれ次の数値を表すものとする。
q 速度圧(単位 一平方メートルにつきニュートン)
E 当該建築物の屋根の高さ及び周辺の地域に存する建築物その他の工作物、樹木その他の風速に影響を与えるものの状況に応じて国土交通大臣が定める方法により算出した数値
Vo  その地方における過去の台風の記録に基づく風害の程度その他の風の性状に応じて三十メートル毎秒から四十六メートル毎秒までの範囲内において国土交通大臣が定める風速(単位 メートル毎秒)〕
3 建築物に近接してその建築物を風の方向に対して有効にさえぎる他の建築物、防風林その他これらに類するものがある場合においては、その方向における速度圧は、前項の規定による数値の二分の一まで減らすことができる。
4 第一項の風力係数は、風洞試験によつて定める場合のほか、建築物又は工作物の断面及び平面の形状に応じて国土交通大臣が定める数値によらなければならない。」

地震力の陰に隠れて、普段はあまり気にしない風圧力だが、時々建築関係の試験問題に出てくる事があるし、建築基準法の荷重・外力でも重要なひとつ。

建築基準法には瞬間最大風速が何m/secとは記述されていないが、各地域毎の「平均風速」は決められていて平均風速は概ね32~34m/secとされている地域が多い。
この平均風速と粗度区分(街中か平原の中なのか)とか、高さの係数、ガスト影響係数(瞬間的に強くなったり弱くなったりを考慮する為の係数)などより、建物の高さ毎の風圧力を算定する。
瞬間最大風速は、平均風速にガスト影響係数をかけたものと考えてよいと思うので、ガスト影響係数は概ね2.0以上くらいになることから、瞬間最大風速としては60m/sec以上ということがいえる。尚、高さが高い建物で都市化が進んでいるところほどガスト影響係数の数値も大きくなる。例えば超高層ビル。

この値は、1934年9月の室戸台風での瞬間最大風速61m/secが基準になっている。

今回の台風21号による関西地域の最大瞬間風速は50m/secを超えていたようだし、関西国際空港では58.1m/secを記録したと報道されていることから、建築基準法で想定している最大値にほぼ近かったと思われる。

【国交省告示】非常用の照明装置を設置すべき居室の基準見直し

平成30年3月29日国土交通省では、非常用の照明装置を設置すべき居室の基準を合理化する告示を、本日、公布・施行した。

「ホテル、旅館等の多数の者が利用する建築物等については、原則として、すべての居室(共同住宅の住戸、寄宿舎の寝室等は対象外)とその避難経路に非常用の照明装置の設置が義務付けられています。
今般、避難行動に関する調査研究等を踏まえ、非常用の照明装置を設置すべき居室の基準を合理化することとし、以下のとおり、告示を改正いたしました。
本改正により、ホテル、旅館等の整備費用の低減に加え、既存の建築物における用途変更が円滑化されることが見込まれます。
なお、住宅宿泊事業法における非常用照明器具の設置方法に関する基準及び国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の用に供する施設の建築基準法における取扱いについては、いずれも建築基準法に基づく非常用の照明装置の基準を引用していることから、今回の見直し内容が同様に反映されます。」

<改正の概要>
「規制の適用を受けない居室」として、次の居室を加える。
・床面積が30㎡以下の居室で、地上への出口を有するもの
・床面積が30㎡以下の居室で、地上まで通ずる部分が次の(1)又は(2)に該当するもの
(1) 非常用の照明装置が設けられたもの
(2) 採光上有効に直接外気に開放されたもの

001228597

001228598

仏様の居室

先だって調査した御堂は、月1回2時間だけ御開帳され住職が御経を読むとの事だった。

調査に参加したメンバーに、「この建物は、建築基準法上の居室か否か」と問いかけてみた。すると居室とするものと非居室とするものに意見が分かれた。

「居室」の定義は、法第2条第4号において「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と定義されている。

あくまでも人間様の視点で書かれてる建築基準法の場合では「継続性」が極めて少なく「非居室」と考えるのが妥当だと思うと言った。

尚、「採光のための開口部を設けることを要しない居室について」は、平成7年建設省住指発第153号というのが出され解釈の統一化が図られている。

平成7年建設省住指発第153号
採光のための開口部を設けることを要しない居室について
平成7年5月25日
建設省住宅局建築指導課長から特定行政庁建築主務部長あて通知
 近年、建築物の機能の高度化及び多様化、照明設備及び換気設備の機能の向上、国民の住生活様式の多様化等により、居室の利用形態が多様化しており、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)第28条第1項ただし書に規定する「温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室」の解釈について、地方により統一を欠く向きもあるので、その統一を図るため、今後は左記により取り扱われたい。

一 温湿度調整を必要とする作業を行う作業室
 次に掲げる居室は、法第28条第1項ただし書に規定する「温湿度調整を必要とする作業を行う作業室」に該当するものとする。
(一) 大学、病院等の実験室、研究室、調剤室等温湿度調整を必要とする実験、研究、調剤等を行う居室(小学校、中学校又は高等学校の生徒用の実験室を除く。)
(二) 手術室
(三) エックス線撮影室等精密機器による検査、治療等を行う居室
(四) 厳密な温湿度調整を要する治療室、新生児室等
二 その他用途上やむを得ない居室
 次に掲げる居室は、法第28条第1項ただし書に規定する「用途上やむを得ない居室」に該当するものとする。
(一) 開口部を設けることが用途上望ましくない居室
1) 大音量の発生その他音響上の理由から防音措置を講ずることが望ましい居室
ア 住宅の音楽練習室、リスニングルーム等(遮音板を積み重ねた浮き床を設ける等遮音構造であること並びに当該住宅の室数及び床面積を勘案し、付加的な居室であることが明らかなものに限る。)
イ 放送室(スタジオ、機械室、前室等で構成されるものをいう。)
ウ 聴覚検査室等外部からの震動・騒音が診察、検査等の障害となる居室
2) 暗室、プラネタリウム等現像、映写等を行うため自然光を防ぐ必要のある居室(小学校、中学校又は高等学校の視聴覚教室を除く。)
3) 大学、病院等の実験室、研究室、消毒室、クリーンルーム等放射性物質等の危険物を取り扱うため、又は遺伝子操作実験、病原菌の取扱い、滅菌作業、清浄な環境の下での検査、治療等を行う上で細菌若しくはほこりの侵入を防ぐため、開口部の面積を必要最小限とすることが望ましい居室
4) 自然光が診察、検査等の障害となる居室
ア 眼科の診察室、検査室等自然光が障害となる機器を使用する居室
イ 歯科又は耳鼻咽喉科の診察室、検査室等人工照明により診察、検査等を行う居室
(二) 未成年者、罹病者、妊産婦、障害者、高齢者等以外の者が専ら利用する居室で法第28条第1項の規定の適用を受けない建築物の居室に類する用途に供するもの
1) 事務室(オフィス・オートメーション室を含む。)、会議室、応接室、職員室、校長室、院長室、看護婦詰所(いわゆるナース・ステーション)等事務所における事務室その他執務を行う居室に類する用途に供する居室
2) 調理室、印刷室等飲食店等の厨房、事務所等の印刷室その他作業を行う居室に類する用途に供する居室(住宅の調理室で食事室と兼用されるものを除く。)
3) 舞台及び固定された客席を有し、かつ、不特定多数の者が利用する用途に供する講堂等劇場、演芸場、観覧場、公会堂、集会場等に類する用途に供する居室
4) 管理事務室、守衛室、受付室、宿直室、当直室等事務所等の管理室に類する用途に供する居室
5) 売店等物品販売業を営む店舗の売場に類する用途に供する居室

「建築設備パーフェクトマニュアル2018-2019」山田浩幸著

「建築設備パーフェクトマニュアル2013」を最新情報に更新し、集合住宅・オフィスビルの解説を付け加えた増補版です。

意匠設計者が最低限押さえておくべき建築設備の基礎知識をまとめていますが、中々実務に役立つ本になっていてこれ一冊で概略は把握できます。

最新の「設備機器導入ガイド」を収録していますから現在の設備機器の傾向もわかるようになっています。結構知らなかった設備機器もあり、勉強になりました。

■目次
STEP1 設備設計を始める前に
STEP2 給排水衛生設備の設計
STEP3 空調換気設備の設計
STEP4 電気・通信設備の設計
STEP5 省エネ機器の導入計画
STEP6 設備図面の読み方・描き方
STEP7 防災・防犯設備の設計
コラム
先分岐工法とヘッダー工法/注意したいガス機器の給排気
加湿・除湿と結露/スマートハウス/オフィス配線
蓄電池の仕組み/ZEHの基礎知識/地中熱の可能性
改正省エネ法の要点
最新 建築設備導入ガイド
エコ関連の設備/設備機器全般

日経アーキテクチュア 専門セミナー「改修で失敗しない素材&技術講義」

今日は、昼から日経アーキテクチュア 専門セミナー「改修で失敗しない素材&技術講義」と題した青木茂建築工房の話を聞いてきました。

青木茂さんといえば建築ストックの再生・活用である「リファイン建築」の生みの親であり再生・活用分野の先駆者でもあります。

青木茂建築工房の皆さんの講義で、調査からデザイン・工事監理までされ、ファイナンスも業務提携していると聞いて セット・メーカーだと感じました。

それに比べて弊社は調査と手続きを主として行うデバイス・メーカーです。何しろ2人だけの事務所ですから・・・。

段々 青木茂建築工房の扱うリファイン建築は規模が大きくなっていますね。

業務の進め方は、弊社とさほど変わらないようで安心しました。

「調査なくして設計なし」という事で調査業務を大事にしているところは、同じベクトルなのでとても共感を持てました。

また アイソメによるわかりやすいプレゼンテーションで大変参考になりました。これからは、弊社もアイソメで説明図を作成しようと思います。

用途変更の設計者資格と工事監理者

先般 用途変更の確認申請書類を役所に受理しに行った時の事。

副本に、「着工前に工事施工者届、工事監理者届を提出してください。それが提出されていないと工事完了届は受理できません」とメモしてあった。

「用途変更は工事監理者不要では?」「(法第87条の)準用規定から除外されているはずだよ」役所担当者「ちょつと調べてみます」

用途変更については、建築基準法第87条の準用規定に於いて、100㎡超の特殊建築物の用途に変更する場合に建築確認申請が必要とされています。
しかし、法第87条の用途変更の確認に対する準用規定に於いては、法第6条3項は除外されています。
即ち、用途変更については建築士法第3条の建築士の業務範囲が確認申請を受理を拒否する理由にはなりません。
つまり、用途変更確認申請・設計は、資格に関係なく誰でも行うことが出来るという事になります。ただし これは申請上のことで、業務として報酬を伴うものは建築士事務所登録が必要となります。

建築士法第3条の、資格による業務範囲についても、新築、増築、改築、大規模修繕、大規模模様替えについては、可能な設計・工事監理の範囲を定めていますが、用途変更については記載がありません。用途変更をするに当たり、増築・改築・大規模修繕・模様替えが伴わないのなら、工事監理者の資格もその存在も問われません。

しばらくして役所担当者「工事監理者届は不要です」との回答。

現在では、この用途変更に関わる部分の建築基準法・建築士法の規定は問題ありだと思います。

例えば床面積10,000㎡の用途変更や10階建てのビル全体の用途変更(フルコンバージョン)でも工事監理者が不要という事になります。設計者の資格も問われない。工事完了検査は不要で工事完了届(ただし監察対象となる場合がある)のみというのは、いかがなものでしょうか。これで遵法性を保持できるでしょうか。

用途変更の確認申請料が民間でも役所でも低価格すぎないか? 少し申し訳なささもありますので、料金についてもここに記しておきます。

又、用途変更は建築確認申請に際して「建築工事届」の提出が不要な為、国交省の統計データーから除外されてしまいます。どのぐらい用途変更の確認申請があるのか、実態は消防の統計データーで把握しなくてはならず、総務省のデーターに依存しているような状態です。ちなみに東京消防局では、この数年年間600件前後の同意数があり過去から見ると飛躍的に用途変更の件数が増加しています。

法32条 電気設備

建築確認審査の質疑で「法第32条の電気設備について明示してください」という補正事項がきた。

「(電気設備)
第三十二条  建築物の電気設備は、法律又はこれに基く命令の規定で電気工作物に係る建築物の安全及び防火に関するものの定める工法によつて設けなければならない。」

「建築基準法施行規則第1条の3第4項」では、「法第6条第1項の規 定による確認の申請に係る建築物の計画に建築設備に 係る部分が含まれる場合においては、同項の規定によ る確認の申請書は、次の各号に掲げる図書及び書類と する」と規定されており、表1-(5)の(い)欄に掲げる法 第32条の規定が適用される電気設備がある場合にあっ ては、(ろ)欄に掲げる図書を提出することとなっている。

なお、『正本に添える図書にあっては、当該図書 の設計者の記名及び押印があるものに限る』とされ ている。これにより、常用の電源及び予備電源に関する図 書を提出することとなったので、メーカーの機器仕様書などにも設計者の記名捺印が必要と言われることが多い。

いままで建築確認審査(用途変更)の補正指摘で、法第32条について何らかの記載を求められることが無かったが、確かに法施行規則第1条の3「確認申請書の様式」に「法第6条1項(法第第87条第1項において準用する場合を含む。第4項において同じ。)」とあるから指摘されても仕方がない。

用途変更の場合、既存の施設をほとんど再利用する場合も多いし、電気設備図も書かない事があるが、これからは施行規則をよく読み 注意が必要だ。

平成29年度 国立研究開発法人 建築研究所講演会

今日は、朝から平成29年度 国立研究開発法人 建築研究所講演会に行ってきました。

と言っても、理事長挨拶と「既存住宅の躯体の生物劣化発生確率に関する分析~100棟超の既存木造住宅劣化状況データーベースの分析から」材料研究グループ 上席研究員 槌本敬大氏の研究成果報告を聞いただけで退席し、有楽町で知人と昼食をとりながら打合せをしてから帰宅しました。

万年寝不足のせいか、講演会場の居心地がよかったせいか、槌本氏の発表の途中で多少うたたねをしてしまいましたので、もう一度講習会のテキストを読み返していたところです。

この研究は、2011年~2014年にかけて全国103件の解体直前や大規模な改修を行う既存住宅の劣化状況等を調査したものですが、実は、私も数件この調査に参加させてもらいました。

1件当たり4人ぐらいが調査にあたり、木造躯体を現す前と、時期をあけて木造躯体が現れてからの二回調査をしました。木造住宅の規模(30~40坪)のフィールド調査に8人工をかける。しかも調査員は、ほとんど一級建築士という非常に綿密な学術調査でした。

その結果出来上がったデーターベースに含まれる劣化と変状に関する情報は多岐にわたります。この研究は、本邦の木造建築病理学の体系化に寄与する優れた業績だと思います。

是非、一次資料である一軒一軒の調査報告書を見たいものだと思いました。

 

「最近の裁判例で学ぶ建築物の設計・施工における瑕疵ををめぐる法的問題について」

今日は、BELCA(公的社団法人 ロングライフビル推進協会)の「最近の裁判例で学ぶ建築物の設計・施工における瑕疵ををめぐる法的問題について」という大森文彦弁護士のセミナーに行ってきた。

施工者、設計者、工事監理者に分けて法的ルールが説明されていてわかりやすかった。

大森弁護士は、設計者が設計業務を遂行する際、契約ルールとしてどの程度の注意を払うべきかと問われ「受託者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委託事務を処理する義務を負う」(民法第644条・善管注意義務)、「設計業務受託者として一般に要求されるだけの注意」が必要と言う。

また、設計者の善管注意義務違反が問われやすい場面として、「設計の契約的意味は、建築主の要求に基づいて合理的に設計条件を設定し、当該設計条件に基づいて合理的に設計解を出し、それを図書化する作業」とし、「設計受託者には、設計契約上、建築主の要求ができるだけ具体的になるよう(その程度は、内容によっても異なりますが)必要な説明をしたり、要求内容に不合理さがある場合にはそのことを指摘して、説明する義務がある」と言います。やはりインフォームドコンセントが重要なのかなと理解しました。

設計者や工事監理者が工事段階で設計変更をする権限があるのかという問いに、変更権限は原則としてなく、施工者が設計者に設計変更を指示された場合、設計者にその権限があるのかどうか確認する必要があると答えられていましたが、法的に考えるとそうなんだなと納得しました。慣例的に行われている設計行為や工事監理の内容が法的に考えるとどういう意味を持つのか、振り返って考えてみるいい機会となりました。

施工者が、設計図書の内容を審査する義務はないかとの問いに、審査義務はない。設計は建築士の独占業務であるためと答えられていました。たしかに設計は建築士に与えられた独占的業務ではありますが、昨今ではその質・図面があまりに稚拙なものが多く、法的にどうであれ現実的には施工者が内容を審査しないと危なくて工事に着手できないのではと思ったりしました。

昨今は、建築トラブルも多いと聞きます。正確な法的知識を身に着けておくことはとても大事になってきています。

「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」2017年度版

全国の特定行政庁及び指定確認検査機関等で構成されいる日本建築行政会議(JCBA)が、建築確認審査・検査の適正な運用を図るため、全国的な審査・検査の統一化に向けて検討を進め、2009年(平成21年)に「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」を出版。その後2013年度版と続き、本書は3冊目となる。

この「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例 2017年度版」は、法令等の改正、利用者等からの質疑に対する回答及びその後の部会での検討結果を踏まえ、改訂がなされている。

2013年度版から加筆された項目や変更された文章をマーキングしたのだが、新旧対照表をサイトにでもアップしておいてくれると助かる。

型式認定住宅のリノベーション

型式認定住宅(100㎡を超え)を用途変更して学童保育所にしたいとの相談があった。学童保育所は児童福祉法に規定されているので特殊建築物で、100㎡を超えているのなら用途変更確認申請が必要。

ところで確認申請と工事完了検査済証はあるの?と聞いたら、確認はあるが検済は調べていないとの事。まずそれを調べてからねと言っておいたら後日検済がない事が分かった。

学童保育所側は、型式認定住宅の所有者と既に賃貸借契約を締結し借りているらしい。資料を送ってもらったところ確認申請に添付されいる図面と現状は平面の外形は変わらないが、屋根と室内の間取りが変わっている。

学童保育所側は、型式認定住宅のメーカーは工事費が高いと言うイメージを持っているらしく、あくまでも知り合いの市井の工務店に依頼したいとの事。

検済の無い型式認定住宅の用途変更確認申請が出来るかと問われた。

理論的には、手続き的にも技術的にも可能だと答えた。

ただし型式認定住宅はブラックボックスで技術的内容も構造図も構造計算書も非公開。メーカーと型式認定機関しか詳細は分からない。これを一般構造として検証するには、どういう構造フレームになっているのか調査し構造図を起こす。鉄骨溶接部等の検査をして構造計算を行い必要なら補強工事が必要となる。

調査費と構造図・構造計算検証や申請手続きで相当な費用がかかるし、補強工事が発生した場合、事業者としてそれらの費用を受忍できるのかと問うた。

型式認定住宅メーカー曰く「うちの案件はうちでしか直せない」と言っているそうで「全面リフォームなら請け負う」とか。

メーカーしか直せないという事でもないが、クローズドシステムである型式認定住宅の案件は費用から考えて型式認定住宅メーカーに依頼した方が良いだろう。

学童保育所側は、賃貸契約の解除を申し立てるそうだ。

建築物の計画変更

建築確認申請を受け工事途中の建築物が、建築主の都合で建物用途等が変更になることがある。

建築基準法では建築基準法施行規則第3条の2の各号に掲げる軽微な変更について規定し、それ以外の物は計画変更確認申請を必要とするとしている。

その計画変更が建物全体に及ぶとき、例えば物販店で確認申請を取得していた建築物が工事途中で旅館業に用途を変更する場合、階数が変更になる場合(階数が増加)、構造を変更する場合(基礎工事中に上部構造が変更になる)等は、計画変更確認申請で済むだろうか。

このあたりの事は明文化した取扱いは、あまり見られない。

長崎県建築主事会議の「建築確認を受けた建築物の計画変更等の取扱い要領」(平成27年10月30日)に建築確認を受けた建築物の計画変更の取扱いについては、軽微変更届、計画変更確認申請、確認再申請の三つに分類し取り扱うものとしている。

その中で当初の確認申請を取止め新たに確認申請を行うものとして

  1. 建築確認を受けた建築物と大きく異なる建築物を計画しようとする場合(大きく異なる建築物であるかどうかの判断は、計画に継続性があるかどうかの観点から行い、原則として確認済証の交付した者の判断による)
  2. 階数が増加する建築物を計画する場合
  3. 建築物の構造を変更する場合

以上の三つを挙げている。

リノベーションに関わる仕事をしていると色々な案件の相談が持ち込まれるが、確認再申請か否かというのは指定確認検査機関の権限を越えていて建築主事判断が必要だと思っている。

確認再申請となると、あまたある条令や要綱の届出も再提出となることが多い事は予想されるし、工事も一時停止しないとならないだろうから慎重な判断が必要だが、工事が実質的継続しているならまだしも建築確認を受けた後 何年も工事が停止されている場合はどうだろうか。

最近受けた相談では、構造適判制度が施行された2007年(平成19年)6月20日以前に建築確認を受け工事中だった建物がリーマンショック(2008年9月)の世界的金融危機を受け事業計画が中断し、事業主が倒産し工事が停止した案件のリノベーションについてだった。

物販店から全館ホテルに用途を変える場合の手続き上の問題や構造規定の遡及について相談を受けたが、手続き上の問題として10年も工事が放置されていた建物を工事継続中として、通常の計画変更確認申請を受付して良いものだろうか。

もうひとつの問題として建築基準法を遡及させなくて良いのかという問題もある。この10年で建築基準法の構造規定関係もかなり変更されているから現在の規定に適合させるために検討や再計算が必要ではないか。私なら「建築確認申請の取り直し」だと思うと上記の長崎県の取扱いを添付して回答した。

事業主の都合ではなく建築物の安全性が担保されているかどうかから判断するべきだと思う。尚、工事が完了していないので用途変更確認申請はできない。

この場合、大規模な構造の補強工事が予想されるし、その補強工事は現場施工なのでびっくりするぐらいの工事費が予想される。ましてや構造適判が必要ならひとつひとつ厳密な検証が要求され設計者としてはとても手間がかかり、とりわけ構造設計者から泣きが入るだろうと思った。ようするに新築設計の場合の報酬額では出来ないのだ。

フルリノベーションに関わるなら手続き上の問題や建築基準法の遡及。それらが工事費=事業費に大きく影響することは、初期の段階で綿密に予測しておいた方が良いだろう。

「自由とは、必然性の洞察である」(F.エンゲルス)

45年前に読んだ本の1節がふと脳裏に浮かんだ。

川口市・納戸の取扱い

埼玉県川口市が この9月1日から運用を開始すると言う「納戸の取扱い」が話題を呼んでいる。

川口市建築基準法関係の解説及び運用基準

戸建て住宅で採光が取れない場合、確認申請の図書上だけ「納戸」と記載し、実態は照明、コンセント等の設備や、畳敷き・床の間があるようなものは「居室」であるという至極まっとうな取扱いである。

「時代に逆行してる」と息巻いている人や「現代住宅に採光は不要だ」等と言う人もいるそうだが、他の特定行政庁や指定確認検査機関は見てみぬふりをしているだけである。実は黙認は罪なのだ。川口市のように「取扱い」を明文化して堂々と議論するべきだろう。私は「偉いぞ川口市」と言ってやりたい。

こんな取扱いを明文化しなければならないほど川口市の戸建て住宅は極小敷地に目いっぱいに建っている住宅が多いのだろう。他の地域でも確認申請上では納戸と書きながら戸建て分譲チラシでは寝室になっているのが多くみられる。

明治の中旬頃に全国各地で制定された「長屋建築規則」でさえ、前面路地は2.7m(9尺)、後ろと脇は0.9m(3尺)という離隔距離を定めている。当時は長屋のほとんどが平屋建てだったのにこれだけの採光・通風に配慮した数値を定めていた。

今や隣の家との距離が、1メートルというのは遠い昔の話であり都会の一般庶民の居住環境は悪化するばかりである。

建築基準法の採光規定については議論する余地がある。

例えば

  1. 坪庭・ライトコート等に接する場合の居室の採光緩和
  2. 吹抜けを介して連続する居室(1・2階)の採光緩和
  3. 太陽光採光システム(レンズ集光+光ファイバー伝送方式)による採光の緩和

技術的に検討すべきことは沢山ある。

川口市が投じた「納戸の取扱い」が建築基準法の採光規定の見直しに一石を投じることになれば良いなと思っている。

「歴史的建築物活用ネットワーク」第4回会議

横浜で開かれた「歴史的建築物活用ネットワーク」第4回会議~歴史的建築物活用の新しいルールづくり~に参加してきました。

全国各地で建築基準法第3条第1項第3号に基づく条例制定化の動きが拡がってきていることが感じられる集まりでした。今回の集まりは、主催者によると全国各地の行政職員が参加している他、設計者等の参加も多くなった集まりだったようです。

「歴史的建築物の保存活用に関する最新動向」について報告する工学院大学の後藤治教授。

京都市、神戸市、横浜市、福岡市に次ぎ、歴史的建築物を次世代へ継承するための条例づくりが各地で拡がり、2016年度は川越市、鎌倉市が新たに条例を制定しました。各自治体ごとに歴史的建築物活用の課題を解決するための目的や運用の仕組みが異なり、多様な事例が生まれ始めてきていると感じました。

「歴史まちづくりに関する最新動向」について報告する東京大学の西村幸夫教授。

各地の事例報告は、京都市、横浜市、川越市、鎌倉市から報告がありました。とりわけ先駆的な取り組みを進めている京都市の「京町屋を建築基準法適用除外する際の包括同意基準の制定について」の報告は興味深かったです。建築審査会の包括同意基準は安全基準が3つのステージで構成されていて、ステージ1は「法及び条例への適合を求めるもの」、ステージ2は「既存不適格の継承を認めるもの」、ステージ3は「法又は代替基準への適合を求めるもの」で技術的基準はよく整理されており とても参考になります。

弊社は、歴史的建築物のうちの近代建築(比較的規模の大きい戦前のRCの特殊建築物)の保存・再生・活用に関わってますので、全国各地の動向は気になるところでした。

会場からの質問も多く、とても内容が充実した集まりでした。

コア東京3・2017 東京都建築士事務所協会

毎月、東京都建築士事務所協会「コア東京」と「日事連」が郵送されてきます。

定期機関誌を毎月発行するのは大変な労力がかかっているのだろうなと予想できます。関係者の皆様に感謝しながら、このカラー印刷の機関誌印刷代・郵送代に随分と経費がかかっているのだろうなWEBサイトを充実させれば事足りるのではないかと思いつつ「コア東京」をパラパラとめくりました。

今号の気になった記事は「VOICE from editor」の記事でした。ようするに巻末の編集後記ですね。加藤峯男さんの建築法規の変遷、ストック活用に即した法体系の見直しの思いが記載されていました。

そこには加藤峯男さんが一級建築士を受験した1970年の建築基準法法令集・赤本と現在2016年度版の赤本の厚さが比較された写真が掲載されていました。頁数で言うと5倍になっていると指摘されていました。

「建築基準法の基礎的規定や意味合い」を若い人が理解していないと加藤峯男さんが嘆くのはわかりますが、その一因は大学や専門学校での建築法規の履修が戦後一貫して軽視されてきたからだと思います。1970年頃も大学では建築法規は2単位で現在もほとんど2単位だと思います。社会が複雑化しそれに対応し法令もこれだけ増えてきたのに、資格受験のための建築法規の学習では試験が終われば忘れてしまいます。しかも試験技術が最重要な要素である現代の資格試験では建築法規の基本を学ぶことには無理があると思います。

やはり設計実務を通じて徐々に全体像が掴めてくるのだと思います。

指定確認検査機関に勤めて審査をしていれば建築基準法と関係規定には詳しくなりますが、建築プロジェクトの遂行においては消防法や都市計画法などのあまたある法令・条例を読み理解しなければなりません。

建築法規を学ぶとしたら、やはり大学教育の中で学ぶ時間を増やさないといけないのではないかと思います。そしてどういうカリキャラムが必要か、よく考えないといけないと思います。

加藤峯男さんは「既存ストックを円滑に活用できるように法体系を見直す」必要性を訴えていますが、建築関係者は大概思っているのではないでしょうか。

どう改善するべきか建築関係団体から具体的な提起が必要になっていると思います。

内閣府・規制改革会議での業界関係者の意見等を読んでますと「床面積1000㎡以下は用途変更確認申請は不要として欲しい」等の意見もみられますが、業界関係者の利便や都合ではなく建物を使用する人の安全性に配慮した建築法規の改正が必要だと思います。

私見としてはストック活用に伴う建築基準法改正案はありますので、いずれ発表する機会があるかもしれません。

省エネ適合も かれこれ10年前に話題になりました。施行は本年4月1日から随時実施され やがて300㎡以上の建物は省エネ適合が必要となるでしょう。

ストック活用の法令も見直されることは歴史的必然だと思います。