新型コロナウイルス感染拡大の抑制等の最新学術動向(東京理科大学・倉渕隆教授)

一般社団法人建築環境設計支援協会・代表理事の倉渕隆先生による、新型コロナウイルス感染拡大の抑制等の最新学術動向や当団体の活動内容の紹介。

代表理事・倉渕 隆(東京理科大学工学部建築学科 教授、空気調和・衛生工学会換気設備委員会委員)

「新型コロナウイルス感染拡大の抑制について、感染経路はインフルエンザと同様、飛沫感染と接触感染が重要ですが、空気感染に近い微細なエアロゾルによる感染も疑われています。
インフルエンザに比べて、致死性が高いので、とにかく感染しないことが重要です。
厚生労働省が推奨している必要換気量30m3/hは、カナダの医療施設における結核の院内感染に関する調査結果に基づく2回/hを目安にしています。これは一般病棟に感染者がいるかもしれない想定に基づくもので、患者一人当たりの気積は2×4×3=24m3ですから2回/hだと48m3/hなのですが、これが概ね30m3/hと同じオーダーとして、空気感染する伝染病における換気対策を想定しています。
至近距離の飛沫感染は、換気では防げないので、まず一定の距離(できれば2m以上)を保つことが重要です。また動画中にもあるように、中距離の飛沫による感染には換気が効くと考えられ、できるだけ換気量を増やすのがよさそうですが、特に置換換気などで実現できるピストンフロー(一方向に流れ、後戻りのない気流)にするのが望ましいと思います。」