「朽ちるマンション老いる住民」朝日新聞取材班

ここで書かれているのは分譲マンションの「老い」の問題である。現実を突きつけられると、何だか廃墟マンションが林立する荒涼たる都市のイメージしか思い浮かばなくなる。

分譲マンションの世界から足を洗って15年以上経過するが、経済合理性だけの新築重視は相変わらず続けられている。持ち家・持ち家と幻想をふりまく市場。

住宅が余っている一方で、住宅に困っている人達がいる。高齢者、独居老人、シングルマザー、障害者等の所得が低い人や入居差別を受ける人を公的に支援する仕組みは未だない。

日本には、アメリカのアフォーダブル住宅のような家賃補助制度もない。市場任せではない住宅政策の転換点にあるのだと思った。

そういえば若い時に秀和レジデンスに住むことに憧れた時期があった。青い屋根と白いうろこの外観にホテルライクな贅沢なエントランス。今では所謂ヴィンテージマンションなのだが、たしか秀和レジデンスの初期のものは、築60年近くになっているのではないだろうか。リノベーションするにも制約が多い、お風呂は追い焚き機能付きとかユニットバスに出来ない、銀行融資が難しく投資向きではないと聞いたことがある。

鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年なのだが、デューデリのエンジニアリングレポートで使う推定耐用年数は、比較的状態が良いもので60年。実際は詳細に調査をすれば実質耐用年数を工学的に評価することはできる。最近は中古物件の売買に関係して耐用年数を聞いてくる人が増えている。多分金融機関が借入期間に見合った耐用年数のエビデンスを求めるからだろう。

器も大事なのだが設備の更新性とか管理体制、修繕記録が大事なのだが・・・

まあ日本の住宅を巡る問題は、糸がねじれて絡み合って複雑すぎて容易ではない課題を残している。