「はじめてのヘリテージ建築」宮沢洋著

最近は「古さ」を楽しむ人が増えたのか、自分が関心があるから目につくのか「ヘリテージ建築(歴史遺産建築)」に関わる出版が多い。この本は2023年6月初版だから、出たばかりの本。

このヘリテージ建築には、建築設計者の手で保存再生され、魅力的な場に生まれ変わったものもあります。元日経アーキテクチュア編集長の宮沢洋さんが現地を巡り、分かりやすいイラストを交えながらその面白さを「変化を楽しむ」「物語に出会う」「グルメを楽しむ」という構成で伝えています。

この本はヘリテージビジネスの分野で、組織設計事務所の中では何歩も先を行く日建設計が全面協力という。日建設計のヘリテージビジネス分野のリーダーである西澤氏が案内役をしているが、西澤氏は構造設計や耐震工学の専門家であると聞くと既存建築物を扱っている人間としては合点がいく。既存建築物の法的課題、技術的課題の7割から8割が構造的な問題だからだ。エンジニアリングでありながら文化的センスのある人がこの分野のリーダーに相応しい。

今まではヘリテージというと伝統木造や文化財といった歴史的建造物を想起しがちだが、いま鉄骨造や鉄筋コークリートなどの近現代の建造物が、解体の岐路に立たされており急速に文化財的保存、動的保存の対象となりつつある。また官民建築物の長寿命化も最近の重要課題の一つとして浮上している。

本書とは関係ないが、上記の写真は沖縄の名護市庁舎。鉄骨鉄筋コンクリート造りの3階建てで1981年4月に完成した。全国的な設計コンペで最優秀だった象設計集団の斬新なデザインで日本建築学会賞(作品)を受賞した。庁舎には56体のシーサーが設置されていたが、老朽化で2019年に全て撤去された。いま、この昭和の名建築が築42年で老朽化という理由で解体されようとしている。なんとまあ歴史を大事にしないことか。

近現代建築物には耐震改修や安全性の確保、設備の更新が強く求められるが、経済的付加価値を適切に加えていくことが大切。保存改修設計とか耐震補強とかのシングルイシューだけでなく総合的な視点とそれに対応できる技術力を早急に構築することが必要と思う。

ファクト と エビデンス

「ファクト」 は事実という意味なので、根拠というニュアンスは含んでいません。 「エビデンス」 は、証拠、根拠という意味になるので、そのエビデンスだけで主張したい方向性も含んでいることが多くなります。 しかし、ファクトは、事実なので、主張したいことがない場合や、主張したいことに反する場合でも、指し示すことがあります。

なぜこんなことを考えたかと言うと、大成建設の札幌欠陥建て替えビルについて、工事監理者の久米設計は「記録に虚偽の記載がされた場合、施工不良を発見することは極めて困難」とし、工事監理業務に問題はなかったと釈明している。工事監理契約に「建方精度については自主検査記録等をもって確認する」と記載されているのなら法的責任は免れるのかも知れない。

https://www.kumesekkei.co.jp/news/2022_50.html

でもそれで良いのか「自主検査記録等」というエビデンスだけで、現場を確認するファクトは必要ないのか。そこに技術者としての道義的責任は無いのか。

日本のゼネコンも組織設計事務所も商社化が著しい。

正社員を減らし、可能な限り外注化を図りスリムになったのは良いとして、ロストテクノロジーに陥っていないか。

積算の数量ひろいは外注、構造計算・構造図は外注、勿論意匠図の実施設計は外注。設計者が使うのはWordとExcel、たまにPowerPoint。一級建築士と言ってもCADは使えないという人もいる。

それに対して、勿論エビデンスは必要だが、可能な限りファクトを大事にしょう。ファクトを正確に分析していこうと改めて思う今日この頃。

縄文人のSDGs

東京都北区に中里貝塚という大きな貝塚がある。住所で言うと東京都北区上中里2丁目。京浜東北線中里駅近くの東北新幹線と宇都宮線・高崎線との間にある地域。

この中里貝塚の存在は、かなり以前から知っていた。マンションなどを開発をする場合、埋蔵文化財の包蔵地を避ける傾向にあり、このエリアに貝塚があるのは、建築業界では有名だった。

貝塚というと通常ゴミ捨て場のイメージだが、この中里貝塚は違うと知ったのは、随分と後の事で、北区飛鳥山博物館の貝層の展示をみてからだった。

上記の写真は発掘時の調査写真で、白く見えるのは全て貝。層厚が4.5mもあるそうだ。それもマガキとハマグリの貝だけで800年間もの間、何世代にもわたって貝殻廃棄を繰り返した跡。ここにはその他の貝殻や獣骨、土器片などは一切見つからず、生活のにおいがしない貝塚なのだという。

そんな中里貝塚の全貌が判る本が2023年1月出版されたと知り読んでみた「東京に眠る巨大貝塚の謎・中里貝塚」安武由利子著

山手線や京浜東北線に乗って車窓をみればわかるように、この地域は武蔵野台地の端部であり、その下は東京低地で相当の落差がある。縄文時代では奥東京湾と呼ばれている地域。

学際的な調査研究の結果わかってきたことは、ここは縄文時代の水産加工場で、貝のむきみを取り出していた形跡(木枠付土杭や焚火跡)が見られるという。取り出された貝肉は干し貝に加工処理され武蔵野台地の集落に運ばれ消費された。

感心するべきことは、30mm以下の小型の個体は、ほとんど含まれておらず縄文人の選択的漁獲を裏付けている。800年もの長きにわたって漁場を失うことなく採貝を続けれたのは、豊かな海があっことは確かだが、採取季節を限定し若齢個体を除外したことから、限られた資源を枯渇させない資源管理の徹底を垣間見ることが出来る。

まさに「SDGs(持続可能な開発目標)」の「海の豊かさを守ろう」が実践されていた。

遺跡には感動がある。

「名建築で昼食を」オフィシャルブック

テレビドラマ「名建築で昼食を」のオフィシャルブックが本屋で目に入った

「都会に佇む、ノスタルジックでかわいらしい乙女建築」

業界ではヘリテージと言われている歴史的建築物が「乙女建築」ときたか

取り上げられている建物は、ほとんど行った事があるが、その意匠の細部まで目を凝らしてみたことが無いものもあった。

建築って難しそうだけど、ランチがある場所なら行ってみたい。そんな人達と歴史的建築物を近づけた功績がある原作とドラマ。まあ敷居を低くしてぐっと距離を縮めて売れる本、見られるドラマになってると思う。

でも建築が主なのかなぁ~。ランチはあくまでも脇役なのかなぁ~と思ったりする。

例えばお茶の水の山の上ホテルなら泊まってほしいし、天麩羅食べて、建築を含めまるごと味わってほしいものだ。その建築は、ホテルなのだから。

学生時代、研究室の周りの人達が民家だ、歴史的建築物保存だと言っているなかで、私は数寄屋建築に憧れていた。

数寄屋建築を学ぶなら料亭に行くしかないよ、個人の住宅は余程の関係が無いと見せてもらえないのだし、食うもの食わずとも懐石料理を食べて数寄屋建築やその庭園を見るしかないと言われた。

それから半世紀余り経過して、妻が和食が好きだという事もあり、時たま本格的な和食を食べに行くことがあるし、そこで建築も味わう事ができた。そうした事を整理してみたら面白いかも知れないと思う今日この頃。

とっても敷居の高い建築と日本料理の紹介本になってしまい、売れないだろうと笑ってしまう。

ジュリー健在

6月25日、日曜日 さいたま新都心に行ったところ凄い人混みだった

今日もコンサートがあるのかなとは思ったが、改札口から出てくる人は

お姉さま、おば様、おばあ様・・・

たまに男もいるがお爺様

今日は一体誰のコンサートだ?と思っていたら

ジュリーこと沢田研二のバースディコンサートだった。

75歳だという

まだまだ健在だった。

この日、さいたまスーパーアリーナには1万9千人のファンが集まったと聞く

ジュリーの歌を聞くと「キャー!」と声が出て娘時代にタイムスリップするらしい

若い時から色気のある人だったし、歌も声もフェロモン全開だった

久しぶりにYouTubeでジュリーの昔の歌を聞いたが、とても良かった。

ついに査読に突入

東京都建築士事務所協会で編纂作業が進んでいる「既存建築物活用に係る建築基準法令とその解説(仮題)」の2023年6月段階での全章を印刷したファイルが事務所協会事務局から送られてきた。

私は、東京都建築士事務所協会のワーキンググループであるリノベーション専門委員会の編集委員のひとり。

まだ補強すべき箇所や書き加える章もあるが、こうして一冊のファイルになってくると、中々読みごたえがあるし、今まで約20回(月1回)にわたる委員会の成果なので振り返ると考え深いものがある。

建築基準法の事だけ考えていると頭の中が酸性になりそうで嫌なのだが、時間を割いて私が書いた章以外も真剣に読まないとならない。多忙で書けなくなった他の編集委員の人の章もバトンタッチして書かないとならなくなったし大変。

法令解説本というのは、世に沢山出版されている。主として指定確認検査機関や元行政関係者などによる本であり、それらの本は当然設計者にとって有意義な本だ。

ただ設計者は建築基準法だけを見ているわけではなく、あまたある法令 例えば消防法、都市計画法、福祉のまちづくり条例等、建築プロジェクトに係る法令全般を俯瞰し把握しなければならない。

すなわち設計者は、常に「森をみている」

指定確認検査機関は建築基準法という「木」、消防は消防法という「木」、沢山の条例という「木々」。個々の「木」を見ているだけの場合が多い。

設計者は森をみる。それに役立つ法令解説本を作りたいと個人的には考えている。


耐用年数評価の為のコンクリートコア採取

蒸し暑い一日だった

耐用年数評価用+耐震診断用のコンクリートの中性化、圧縮強度を

調べるためのコンクリートコア等を採取した。

ちょつと声をかけたら見学者が6人、皆真剣に作業を見守っていた

2階の外壁部分からコアを採取する為に足場を建てた

未確認部分だった1階屋根の部分には、

図面には設備基礎が書かれていたが無い事が判明した。

鉄筋クロス部分を露出させて発錆状態を確認

コンクリートかぶり厚は、5cm

外壁側2cmの増し打ち、打放コンクリートの上に外壁塗装という事を確認

フェノールフタレイン液を噴霧して、中性化状況を確認

これが全部で5箇所

圧縮強度+中性化試験の他に塩化物調査用、含水率調査用を別に採取

夜7時まで延長して全てのコア抜き、斫り調査は終わったが、

コア抜き箇所の無収縮モルタル詰めは翌日の午前中作業となった。

現場主義を貫きファクトに向きあうと得るものも大きいが、

身体には応える

それでも この案件の大掛かりな現場調査は無事終了

耐用年数評価・耐震診断・耐震補強計画・改修計画に進む

「斜めの家」

下記は、奇才・渡邊洋治氏の最後の作品と言われている、通称「斜めの家」

今日日の建築にはないブルータリズムの荒々しさ、力強さには惹かれる。その存在感は木造建築であっても健在。

「渡邊洋治設計『斜めの家』再生プロジェクト」

https://www.facebook.com/people/%E6%B8%A1%E9%82%8A%E6%B4%8B%E6%B2%BB%E8%A8%AD%E8%A8%88%E6%96%9C%E3%82%81%E3%81%AE%E5%AE%B6%E5%86%8D%E7%94%9F%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88/100054643380437/

建築家・渡邊洋治生誕100周年記念!「斜めの家」を泊まって学べる名住宅にしよう! – CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)

現在、クラウドファンディング実施中

渡邊洋治さんといえば学生時代、特別講義で見た新国立劇場コンペの青焼きパースが、いまでも鮮烈な記憶として蘇ってくる。マジラーといわれた渡邊洋治さんの図面に見入ったものだ。今日日のCAD図面とは違い、設計者のパトス(情熱)やソウル(魂)を図面から感じることが出来た。

作品集あったかもと思ったが無いので、建築雑誌と一緒に処分してしまったかも知れない。今中古で買おうと思うと5万円ぐらいする。このクラウドファンディングに協力して作品図面集をゲットしようか迷っている。本ばかり買っていると、オールランドオタクで収集癖のある妻に文句言えなくなるしな・・・。

しかし、やっぱり本類は売れない。けど置くところがない。どうするよ。

死んだらこの本達の生末は・・・。

伝説のコルゲートハウス ゲストハウスとして復活

愛知県東三河にある伝説のコルゲートハウス。エンジニアの川合健ニ氏の自邸が、この夏ゲストハウスとして再出発するそうです。懐かしいですねコルゲートハウス。

ゲストハウスのサイトは下記。素泊まり1泊15万円、5人までは泊まれるとの事。かって建築雑誌でしか見たことがない建物なので、実際に泊まって空間体験をしてみたいけど・・・。

https://corrugatedhouse.com/?fbclid=IwAR3KewdwpanFXa8VsJVrH4Isk9d6Lrgrj2JZJynJ3yaleLGtqfJFiiCwlhQ

コルゲートハウスを商品化したところもあるのを知りました。

http://www.nakamitu.com/coruhouse.html

耐震診断の為の図面照合と重量物調査

今日は耐震診断の為の図面照合調査でRC壁の開口寸法の調査

上記の写真のようにRC壁を貫通してるダクトや配管等も調べる

併せてコンクリートブロック壁の配筋調査。

CB壁の鉄筋探査はボッシュの簡易測定器で

全ての内壁のブロック壁は有筋だった

その他設備機器類の基礎を計測、体積計算をした。

これらの調査野帳を整理しCAD図に記載して構造事務所に送らねばならない。

今日の調査の弁当は、のり弁山登りの「大漁」

鶏肉、鮭、竹輪等が容器にみっしり

クライアント、調査員らと、本日も和気あいあいと、

だが食べている時は黙々と食した

耐用年数評価の現地調査

鉄筋コンクリート造の既存建物(築43年)の実質耐用年数評価を日本建築センターに依頼した。その現場調査を行い実際にコンクリートコアを採取する箇所等を現場で決めた。

上記の写真は、鉄筋探査機(電磁波レーダー)で鉄筋のかぶり深さを計測しているところ。この箇所は5cmと計測できた。

赤い紙テープは鉄筋の位置

内部の空調機械室

この日は、日本建築センターから3人、非破壊検査会社から3人、弊社、クライアントが調査に参加。

コンクリートコアは圧縮強度試験、中性化試験をする他、塩化物調査用、含水率調査用、じゃんかがある箇所、両面打放コンクリートの箇所等、耐久性調査だけでなく建築病理学的に興味がある箇所も抜くことにしたら、凡そ30カ所になった。こうした調査の際に建築病理学的な見地からの調査を加味すると後学の為の資料が蓄積できる。

築43年の既存建築物をあと20年利用したいという場合は、この実質耐用年数評価・調査はしなかったかもしれない。43+20=63年なので建築学会でいう一般的なRC造耐用年数60年~65年に相当するから。だが30年~35年というと43+30=73年~78年なので、対外的なエビデンスとして必要だろうと判断しクライアントに説明し了解を取り付けることができた。

クライアントの担当部長説明から始まって、社長・役員・技術顧問が並ぶ中で必要性をプレゼンした。ここに至るまでには結構隠れた苦労があるのです。

斫り箇所の中性化状況の確認は5箇所だけ、非破壊検査会社の人は現場での中性化試験はやったことがないというので、アナログ経験者である私がやることにした。

フェノールフタレン液だけは、新しいものを買ってこよう

そういえば何年か前に、現場での中性化試験をやったはずと思い、自分のサイトを検索してみた。8年前にやってました。

この記事を書いたら、「大田区の町工場の親父(社長)みたいだ」という最高の誉め言葉をもらったのを思い出した。

これに追記するとコンクリート粉を飛ばすエアダスターと、濡れた場合の為にぼろ布が必要だったはず。準備せねば。

現場でのコンクリート中性化試験は科学の実験みたいで楽しいですね。

正確に記しておくと現場での中性化試験は、コンクリートを斫り鉄筋を露出させて、その腐食状況を確認するのが第一の目的。日本建築学会「建築保全標準・同解説IAMS3-RC」によれば、鉄筋の腐食グレードと腐食状態は5段階あると書かれている。

如来(にょらい)

最近、この言葉の意味を考えている。

如来 (にょらい)とは、サンスクリットのタターガタ(梵: तथागत, tathāgata)の漢訳であり、語義は諸説あるとのこと。
辞書によると次の読み方があるらしい

如とは、そのまま/…のごとく/…のようだなどの意味をもつ漢字。「如」の字には少なくとも、如(ニョ)・ 如(ジョ)・ 如く(ゆく)・ 如し(もし)・ 如く(しく)・ 如し(ごとし)の6種の読み方が存在する。

用語としては

如意【にょい】
物事が自分の思いのままになること。
如v意:意(イ)の如(ゴト)し。
百事如意、手元不如意
[仏]物事を自分の思いのままにする不思議な力。

如露【じょろ】
じょうろ(如雨露、如露)

躍如【やくじょ】
[形動]生き生きしたさま。
[形動]ありありと目の前に見えるようなさま。はっきり表れているさま。

如月【きさらぎ】[暦]陰暦二月(2月)の呼称。
「仲春(チュウシュン)」、「仲陽(チュウヨウ)」、「酣春(カンシュン)」とも呼ぶ。
[歴][軍]旧日本海軍の駆逐艦。

如来【にょらい】
[梵]tathagata(タターガタ)
[仏]真如(シンニョ)を悟(サト)った人。真如と一体であることを自覚した人。
「多陀阿伽度(タダアカド)」とも呼ぶ。

先人は漢字にしたとき、何故「女」「口」「来」という文字をあてたのか。ある人は女の人が発する言葉は尊いもので、女の人の言葉を聞けば運が開けるという。

「原始女性は太陽であった」と平塚らいていは言った。

しかし女性もいろいろいるから選ばなければならない。真如を悟った人を

何だか男達が支配する社会は破滅への道を進んでいるのではないかと感じる今日この頃。「如来」様たちに、権力を移行させても良いのかもしれない。

「学校施設の教育環境向上を図る改修等に関する課題解決事例集」文科省

文部科学省において、「学校施設の教育環境向上を図る改修等に関する課題解決事例集」がまとめられ、5月23日にホームページに公開されました。

問題点が整理されていて学校施設の改修設計等の参考になりますし、民間の建物の長寿命化計画を検討するうえでも大いに役立つ内容になっています。

 「学校施設の教育環境向上を図る改修等に関する課題解決事例集の公表について(概要)」文部科学省

https://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/seibi/1372577_00003.htm

 「学校施設の教育環境向上を図る改修等に関する課題解決事例集(全体版)」
https://www.mext.go.jp/content/20230524-mxt_sisetuki-000029813_02.pdf

この中に「2改修・活用の促進」として「(1)メリットの見極め・課題解決の見通し」について記載されている部分を紹介します。

「学校施設において、長寿命化改修を進めていくことにより、改築に比べ工事費の縮減を見込むことができ、廃棄物や二酸化炭素の排出量が少ないなど、コストや環境面にメリットがあることに加え、限られた予算の中で域内の多くの学校施設の安全性を確保し機能向上を図ることができる。
公立小中学校施設については、構造体の耐震化率が99.7%、体育館等の吊り天井等の落下防止対策実施率が99.5%と概ね完了しており、一定の耐震性が確保されている。また、個別施設計画の策定時に個々の施設の実態を調査しているところが多いことから、当時の調査結果や経年の近い類似施設の比較などにより 、QCD(品質・コスト・工期)のバランスを確認しながら、改修のメリットを大まかに整理することが可能である。
また、各施設の長寿命化改修を行う際には、当該施設の資料や現地調査により、既存建物の施工当時の状況や現在の劣化状況の把握に合わせて、構造・法令上の観点から改修範囲の見極めや課題解決の見通しを立てておくことで、新しい時代の学びを実現する計画・設計の可能性を広げ、教育環境向上による品質向上につなげていくことができる。工事段階では、内外装を撤去した際に、事前の調査等では分からなかった追加工事が必要となる場合もあるため、調整できる工程をあらかじめ見込んでおくとともに、それらに対応するための費用についても考慮しておくことが有効である」

整理すると

・教育環境向上の手法(民間の施設だと、より収益を生む為の活用計画、省エネを含めた総合的な検討)

・構造体の改修範囲の見極め(民間の施設だと、耐用年数評価や耐震診断・耐震補強が必要なる場合がある)

・法的制約や法解釈(民間の施設だと建築確認等が必要な場合の既存遡及の適用に係るコストの把握、居ながら改修における安全計画・仮設計画とそのコスト)

・施設の有効利用(民間の施設だと、クライアントの理解は勿論、銀行融資先の理解を得る必要がある)

オタクの世界

ある出版社の編集者が会いたいというので街に出て行った。夕暮れどき、本当に東京は人が多い。

このブログを探しあて関心を持ったとのことで新しい本の企画をしているので話をしたいとの事だった。

私のところは「隠れ家レストラン」だから、見つけた編集者のあなたが偉いと言った。

このブログのどの記事が琴線にふれたかというと、岐阜県中津川市のランプの宿「渡合温泉」に最近泊まりに行ったらしく秘湯めぐりが趣味だという。私は趣味でなく視察に行った工務店の社長が手配してくれたから行ったまでで。ランプが臭かった。渡合温泉のおやじは元気でしたなど、はなしが弾んだ。

もうひとつユーミンのアルバムを収集しているらしく、もう38枚持つているそうだ。私がユーミンのコンサートに行ったことをこのブログで知り、同じオタクかも知れないと思ったらしい。いやいや私はそんなにユーミンのアルバムは持っておらず、ユーミンももう歳だし、50周年を迎えて、これで生のコンサートも見納めかもしれないと思い行ったまでで、曲を聴いていると青春時代の思い出が走馬灯のように浮かぶから普段はあまり聞かないようにしている。

さらに伊藤ていじの門下生が何故こんなに法令に詳しいのかがよくわからない。というもの感心事であったらしい。

確かに学生時代や若い時は、歴史的建造物保存群とか古民家に関心があり、あちこち見に行ったし調査にも参加した。今でもヘリテージには関心はあるが、この分野はもっとすごいオタク達がいて敵わないので、自分は現代の既存建築物活用に道を見出したこと等等、あっというまに2時間のおしゃべりで楽しかった。

げにネットでつながる人の縁は面白い。これだからブログ記事を書くのは止められない。

耐震診断のための現場確認

鉄筋コンクリート造の既存建物の耐震診断をするにあたって、構造事務所と一緒に現場確認をした。

外部・内部の劣化調査は既に済ませてあるが、これから耐震診断のための「図面照合調査」(既存図面と現況の主として壁種別の確認、壁開口の大きさ確認、実測)をする為の下見。

耐震診断業務も調査から計算まで一貫して依頼出来る会社もあるが、現在弊社で検討している耐震補強設計の技術的難易度が高そうなので、対応できる構造事務所と弊社で手配する調査チームの共同業務にした。

RC壁でも写真のように上部にダクトが貫通していると右側部分は耐震壁として評価できず、左側のみの評価となる。現地調査をして図面に壁種別と開口寸法を記載していく調査。

屋上には、何のための基礎だったか良くわからない基礎が残っていたりする。こういう設備基礎の類も実測しなければならない。これを「屋上重量物調査」という。

建築・設備を含めた竣工図が残っていない既存建物、長い期間の間で更新されて変わってきた設備類の記録が整理・保管されていない既存建物は、まことに手間がかかる。

既存建築物の活用では、こうしたアナログ調査が不可欠で、身体を使い汗をかく。こういうところが敬遠される所以なのかもしれないと思うこの頃。まあ爺さんは楽しみながらやっているが。

Keeps

同業者とかタクシー運転手とか、あちらこちらに腰が痛いという人が多い。

かくいう私も最近椅子に座ることが多くなったせいか立ち上る時に腰が痛い

妻が西川の布団売場で見つけたという「Keeps」を購入してみた

私のクッションは「黒」

仙骨・坐骨・大腿部の骨ポジションを安定させ理想の姿勢を自然にキープするとか、使ってみると以前より腰の痛みが軽減され、なかなか良いクッション。

腰痛に悩む同業者にお薦めの商品。

https://www.nishikawa1566.com/contents/keeps/

配筋検査

工事監理中の現場で配筋検査兼諸打合せ

確認申請図書で柱脚埋込式になっていたのに内部を解体したところ柱脚露出形式になっていたので構造解析し柱脚根巻形式に改修中。

以前調査の為に掘削した土間スラブも配筋し、コンクリート打設は柱脚と同時期に施工

工事看板類がA3版程度の大きさで掲示されていた。

この日は気温29度になったとかで、外にいると溶けそうだった。

「建築基準法 (特別法コンメンタール)」

この本は、ずっと買おうか買うまいか迷っている本。

「建築基準法 (特別法コンメンタール) 単行本 – 1990 平成2年改訂版
荒 秀 (著), 矢吹 茂郎 (著), 関 哲夫 (著)」と「建築基準法 (特別法コンメンタール) 単行本 – 1984 昭和59年初版」の二冊、初版本と改訂版本が古本市場には出回っている。

どちらも一冊約6万円ぐらいが市場価格。

何故こんな古い本が約6万円もするのか、単なる法令解説本ではないかと思われるかもしれないが、この本は「詳解 建築基準法」(既に中古購入済み)と並ぶ、隠れた法令解説本のバイブルのような存在。単なる逐条解説ではなく法の理念にまで掘り下げられており、取扱いに迷った時に この本等に立ち戻ると正しい方向に導いてくれる。

出版当時は、会社に一冊あれば事足りた本だったので個人所有はしなかった。

今日、出版社の編集の人と電話で話をしていて、また欲しくなった。

妻が推しのコンサートチケットが転売屋で3万とか5万円とかするけど、行きたい、もったいないと躊躇しているような気持ちに似ているかもしれない。

「シネドラ建築探訪」文・イラスト 宮沢洋

元日経アーキテクチュア編集長の宮沢洋さんが綴る映画やテレビドラマという映像の中で描かれた建築家や建築。

建築家に焦点をあてているのは興味深い。さらっと読めた。

これまで観た映画やドラマも沢山紹介されていて新鮮味は少なかったけど、この映画の主人公の建築家をこういう視点でみるのかとか、切り口が面白かった。

NHKの土曜ドラマになった横山秀夫氏の小説「ノースライト」。このドラマで「Y邸」がリアルに映し出されるのだが、こんな住宅が物語の中とは言え「平成すまいの200選」に選ばれ、作品と呼べる住宅なわけないだろうと思っていたが、宮沢氏もそのことを思っていたらしく「ノースライトでコンペをやろう!」と書いていた。

見たことが無かつた映画では「ホテルローヤル」というラブホテルの社会性を描いた作品に興味を持った。U-NEXTで見れるらしいのでカードを買ってこよう。

この本では取り上げられていないが、Netflixで観た漫画家の小山愛子さんの原作ドラマ「舞妓さんちのまかないさん」にも、師匠格の建築家と若い建築家が登場し、舞妓さんと織りなす心模様が挿入されていた。下世話だけど京都で仕事をしていると祇園で接待されることもあるのかなと・・・まあ ちょつと羨ましかった。是枝さんが総合演出したという、このドラマはちょっと消化不良かなとも思ったけど。

映画の中で描かれた建築といえば、私は第一にゴダールの「軽蔑」の舞台となった、イタリア・カプリ島に建つVilla Malaparteを思い出す。

この事は、本ブログでも取り上げた事がある。

ヴィラ・マラパルテ -1 / Adalberto Libera

最近、又 ゴダールの映画を観直している。若い時以来だから半世紀ぶりくらいにゴダールの世界に触れている。最近は古い作品なのでDVDも一本1000円ぐらいで買えるので、少しコレクションしようかなと思う。

小屋裏物置の法改正履歴

元々

国土交通省(旧建設省)の通達(昭和32住指発第461号)による「普通の構造の小屋裏の一部を利用し、季節的に不要な物等を置く設備を設けたものと認められる程度のもの等は、通常階数に算入されない。」というのが基本的な考え方のベースにあります。

住宅の小屋裏物置に関する規定条文は、建築基準法施行令第2条第1項第八号です。

この規定は、昭和50年に改正されて現在も有効です。

「八  階数 昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の8分の1以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。また、建築物の一部が吹抜きとなつている場合、建築物の敷地が斜面又は段地である場合その他建築物の部分によつて階数を異にする場合においては、これらの階数のうち最大なものによる。(昭和50年4月1日 – 現在有効)」

昭和55年に「小屋裏利用の物置の取扱いについて(昭和55年2月7日住指発第24号)」が発出されて 以下のことが記載されています。


昭和55年2月7日


建設省住宅局建築指導課長・建設省住宅局市街地建築課長から特定行政庁あて通知
 標記については、すでに「昭和32年6月1日付け住指受第461号徳島県土木部建築課長あて」例規が示されているが、最近この種の形態を有する住宅の建築が増加しつつあることにかんがみ、その取り扱いの統一を図るため、今後は左記により取り扱われたい。

          記

 住宅の小屋裏部分を利用して設ける物置(以下「小屋裏物置」という。)で、次の各号に該当するものについては、建築基準法の規定の適用に当たつては、階とみなさないこととする。
一 小屋裏物置の部分の水平投影面積は、直下の階の床面積の1/8以下であること。
二 小屋裏物置の天井の最高の高さは、1.4m以下であること。
三 物の出し入れのために利用するはしご等は、固定式のものとしないこと。

(昭和55年2月7日)


さらに平成12年に「建築基準法の一部を改正する法律の施行について(平成12年6月1日住指発第682号)」が発出されており、この中の第5項(2)に下記の事が記載されており、この時に1/8から現在の1/2に取扱いが変わりました。

「(2) 木造建築物の耐震壁の配置規定の整備(令第46条並びに告示第1351号及び第1352号関係)
 木造の建築物については、基準の明確化を図る観点から、木造建築物の耐震壁の配置の方法に関して建設大臣が定める基準によらなければならないこととした。建設大臣が定める基準においては、建築物の部分ごとの耐震壁量の割合等を定めた。
 また、小屋裏、天井裏その他これらに類する部分に物置等がある場合において、当該物置等の最高の内法高さが1.4メートル以下で、かつ、その水平投影面積がその存する部分の床面積の2分の1未満であれば、当該部分については階として取り扱う必要はないものであるが、近年このような物置等を設置する事例が増加してきていることを踏まえ、軸組等の規定を整備した。なお、構造計算が必要となる場合においては、令第85条の規定に基づき当該部分の積載の実況を反映させて積載荷重を計算することが必要である。」

注意しなければならないのは、小屋裏収納の面積が、その存する階の床面積の1/8を超えた場合は、軸組計算に面積を加算しなければいけないという事です。

 固定式階段の有無については、昭和55年当時は、固定梯子も不可とする取扱いでしたが、現在は「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例(2022年度版)」に小規模な階段に関する記述があり、「小屋裏物置等への専用の階段は、法第2条第5号に規定する「局部的な小階段」に該当する」とあり、一般的に固定階段を認める取扱いとなっています。しかし階段設置を不可としている特定行政庁もあります。

法令の規定を変更しないで通達類で取扱いを変更してきているので、法令集も法文・施行令の規定・告示を拾い読みしただけでは解りづらいです。

総合診療医育成プログラム

知り合いの医者から聞いた話。

へき地医療は「医師免許があるだけでなんとかなる」という世界ではなく、志すドクターたちもそれを知っているので、以下の総合診療医育成プログラムなどで研鑽を積んでから着任する場合が多いとのこと。

https://www.sougouiikusei.primary-care.or.jp/

たぶん様々な知見を持つていないとならないのだろう。

そういえば私の通院している総合病院の内科では初診の人は総合診療医が診察し、糖尿、腎臓、消化器などの専門医に振り分けているが、その総合診療医は内科部長だ。

ようするにドクター・ゼネラルはベテランが適任なのだ。

建築設計業界では、このドクター・ゼネラルが極端に少ないように思う。

DX化

DXは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略です。「DT」ではなく「DX」と表記されるのは、英語圏では交差するという意味を持つ「trans」を「X」と略すことがあるためといわれています。

 経済産業省は、2018年12月に発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver. 1.0」において、DXを下記のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

 DXとは、データとデジタル技術によって商品やビジネス、業務、企業文化等の変革を成し遂げるものであり、その目的は競争力の維持・獲得・強化を果たすことにあります。

 弊社でも 会社の規模は小さいけれど、建築ストックの再生・活用に向けた業務の効率化を図るため、順次有料プログラムソフトを採用・活用している。

50th Anniversary松任谷由実コンサートツアーThe Journey in さいたまスーパーアリーナ

5月20日、ユーミンのデビュー50周年を記念した全国アリーナツアー in さいまたスーパーアリーナに行ってきた。

入場待ちの人達

ユーミンも50年頑張って来たから・・・

自分も一緒だけど、ファンも共に生きてきた

考え深いコンサートだった

腕に装着したフラッシュライト(無線制御式LEDライト)「フリクラ」

光の演出用だけど、効果的

ユーミンの比較的新しい曲は知らないのが多かったけど、古い曲には乗れた

荒井由美の時代の曲が中心のコンサートだったら又行きたい。

妻は結構コンサートに行っているが、私は久しぶりで疲れた

「よくわかる!公共建築の長寿命化vol.1,vol.2,vol.3」企画・執筆 天神良久

東洋大学客員教授の天神良久先生の三部作

天神先生は、工学部とか建築学部で教えているのではなく東洋大学大学院経済学研究科公民連携専攻とのこと。

2013年に国が「インフラ長寿命化基本計画」を策定し、総務省が自治体に「公共施設等総額管理計画」の策定を発令した。各自治体での対策の主要な柱は、「延床面積の総量圧縮」「長寿命化」「財源確保」「広域連携」を揚げている。

本書では建物の「長寿命化」とは、60年の建て替え周期を80年~100年間利用する施策だと記載してある。それには個別具体的に耐用年数を評価することが必要で、それともうひとつは遵法性調査であり、計画のファーストステップは、この二つを同時並行的に進めるべきだと私は思っている。

最近都内の地方自治体が策定した学校施設の「長寿命化計画」を見ていたところ、老朽化対策の検討に当たって「日本建築学会が示す鉄筋コンクリート造の物理的耐用年数60年を参考とし、おおむね築60年から築65年を目安に学校施設の老朽化対策を実施する」と記載してあり、結局のところ60年から65年程度で改築するという方向性に持っていっている。なんとも教科書的な方針だと思った。こりゃ施設参謀が頭でっかちではないかと・・・

さて この三冊の本には、主として公共施設の長寿命化例が豊富に紹介されている。既に旧知の事例も多いのだが、VFM分析の視点からのアプローチなので参考になる。

なんといっても建物の長寿命化の利点は経済合理性だ。

既存建物を解体し新築する(改築)するときの再建築価格(設計監理費、工事費、解体処分費等)と長寿命計画による大規模改修コストを比較して何割程度で出来るのかどうかが問題で、その割合が小さいほどVFMが高いと判断できる。

リノベーションとかリフォームとか部分的なものではない総合的視点に立つ「長寿命化計画」が、これからは求められているのだろう。

「鉄筋コンクリート造建物の耐久設計と診断・改修」依田彰彦著

2008年に出版された足利工業大学名誉教授の依田彰彦先生の本。

A5・100頁程の薄い本だが、実験に基づく研究に裏打ちされた中身の濃い本。

RC造の耐久性について調べていて古本屋ネットで400円で購入したが「儲かった」という感じがした。状態はほとんど新品だった。

 この本の中に「既存RC造躯体コンクリートの残存耐用年数等の予測」という章があり、別章に記載のある「中性化速度式」を用いた残存耐用年数の計算式が記載されている。「躯体コンクリートの屋外側、および屋内側水廻り部分(浴室、厨房、洗面所等)の半数が、鉄筋表面の位置までコンクリートが中性化した時点を耐用年数とする。」「また、屋内水廻り部分以外は半数が鉄筋裏面の位置までコンクリートが中性化した時点とする」と記載されている。耐用年数を把握した上で的確な補修・改修の必要性を強調し、その方法が例示されている。

 こうした先人達の地道な基礎研究が時代を超えて役立つのだと、改めて思った。

 最近知ったRC造の中性化を改善する方法として、1970年代にノルウェーで開発され、主として北米や欧州で使われ始め、日本では1992年に導入された、アルカリ性を再付与する電気化学的補修工法があると知った。

 コンクリート表面に陽極となるアルカリ性電解質を含む外部電極を仮設し、コンクリート中の鉄筋を陰極として直流電流を一定期間流すことで再生する方法。

 日本でも土木を始めたとした社会的インフラで実績があり効果は抜群だと聞いたが、工事費はとても高いらしい。

 人間の病気の治療と同じで、設計者は臨床医だから診断と治療はセットで考えないといけない。保険適用外の高額な医薬品や治療法を使えるかどうかは、クライアントの懐しだい。