ACクラフト

 岐阜県美濃市にある木の家具工房「ACクラフト」さんを訪問した。戦後に植林された木材を活かし、「森も暮らしも心地よく」をテーマに活動しているそうです。工房では家具の製作を行い、お店では作家の作品や暮らしの雑貨を展示・販売しています。

写真は10月7日

2階のショールーム

第51回加子母歌舞伎公演

10月26日、岐阜県中津川市加子母に入り、第51回加子母歌舞伎公演を見てきました。

開場の10時半を前に並ぶ観客。座席指定なし、入場料無料。天気は雨でした。

2階の来賓席に座らせてもらいました。

午前は「世迷仇横櫛」(よにまどうあだなよこぐし)

子を思う母の心、母を慕う子の心

小中学生の熱演に、思わず涙腺が緩くなった

昼を挟んで午後からは

「白浪5人男」

日本駄右衛門(泥棒の統領)を演じるのは、現役の中学校の校長さん

「校長!」という掛け声がかかる

最後の演目は「近江源氏先陣館、盛綱陣屋」(おうみげんじせんじんやかた、もりつなやかた)は、1時間半の本格的な歌舞伎。

「おひねり」が舞台に向かって飛び交う。

加子母歌舞伎保存会の皆さんの御挨拶

地歌舞伎を始めて見たけれど、すごくハイレベルだと感じた

それと歌舞伎を通じて地域で子供たちを育てているという印象を持った

地域の人達の手作り。これが本当の文化ではないかと

細部の技量はわからないけれど、なによりも観客の「心を打つ」

来年もおひねりを沢山作って、重箱弁当を持って出かけよう

建設業の高齢化、人手不足

 今や建設現場は、爺と外人が目立ち、飛び交ってるのは外国語。設計業界も高齢技術者ばかり、そういう自分もそうだけど。大規模プロジェクトの図面は、多くが東南アジアでCAD図を作っている。パース(CG)も同様。私のような小規模零細事務所にも海外から営業のダイレクトメールが送られてくる。

 かって日本の建設業も輝かしい時代があった。もう半世紀ぐらい前だが。

 時代を振り返ると 現在の人手不足の要因はどこにあったのか。やはり最大の要因は日本特有の「重層下請け構造」ではないかと思う。

 建設企業は、発注者から直接工事を受注し施工を総合的に管理・監督する「元請け企業」と、労働者を使用し施工に直接携わる「下請け企業」に機能的に分離されることが多い。それに加えて最近では、ある程度の規模になると、様々なコンサルタント、エージェント、CM会社などが介在することが多い。

 1980年前後、多くのゼネコン(総合建設企業)が、統括管理機能に特化し、自社による施工部隊を切り離した。1次下請けに現場施工の管理機能などを、2次下請けに建設機械と労務による施工機能の多くを移行して、現在の建設生産システムとなった。これに倣ったのか、大手設計事務所もシステムを変更していったところが多い。

 自分は、その背景に、消費税と派遣法があると思っている。

 その結果、ゼネコンは最高益を更新し、中抜きピンハネが何段階にも発生し、建設工事費を上昇させている。その一方中小零細建設業者は倒産の危機に見舞われている。

 かつて職人は、サラリーマンより何倍も報酬があった時代もあった。

 報酬を多くし、労働環境を整えれば人は集まる。人材不足は業界の自業自得、オウンゴールのようにも見える。

 先日、設備設計者と話していたら、とある建築設計事務所から、今までの設備設計事務所が高齢化等の理由で閉鎖したので、専属的に設備設計をしてほしいと依頼があったという。その彼も後期高齢者なのに・・・。設備・電気設計者を紹介してほしいという依頼は多いが基本的に断っている。末端の技術者は不足していて、仕事の依頼が多いので大忙し。しかし後5年もしたら「そして誰もいなくなった」(アガサ・クリスティ)となるだろう。誰もがわかっているのだろうが。

 さて愚痴を言っていてもしょうがない。

 どういう手を打っていくか。

 建築士としての職能を充分発揮できるように、試行錯誤だけど進まなければならない。

【覚書】準委任契約

 準委任契約とは、特定の業務を遂行することを定めた契約のことで、業務が法律行為であれば「委任契約」、法律行為以外の業務であれば「準委任契約」となる。
 委任・準委任契約では、業務を依頼する側を「委任者(いにんしゃ)」、業務を受ける側を「受任者(じゅにんしゃ)」と呼ぶ。

 準委任契約は、特定の業務の遂行が目的であり、仕事の結果や成果物に対して完成の義務を負わない。業務の結果に対して不備があったとしても、委任者は受任者に対して修正や保証を求めることができない。

 2020年4月1日に施行された改正民法では、委任契約(準委任契約)は2種類に分けて定義されている。それが「履行割合型」と「成果完成型」

1.履行割合型
 履行割合型とは、事務処理の「労務」に対して報酬を支払う形式です。入力業務や会計業務などの事務処理業務において、業務時間や工数などの業務量に応じて報酬が支払われる契約形式です。基本的な準委任契約を締結して、個別の業務に応じて報酬を決める個別契約を締結するようにする。

 改正民法によって、仕事を受けた側である受任者は、業務の履行が不能となった場合や、何かしらの理由で契約が途中で終了した場合であっても、責任の有無にかかわらず履行の割合に応じた報酬を請求できるようになりました。(改正民法第648条第3条)

2.成果完成型
 成果完成型とは、事務処理の「成果」に対して報酬を支払う形式です。例えば、弁護士が勝訴した際に、委任者から報酬を受け取るような形式の契約です。

 改正民法によって、仕事を受けた側である受任者は、成果の完成が不能となった場合や、何かしらの理由で契約解除になった場合であっても、委任者が受ける利益の割当に応じた報酬を請求できるようになった。(改正民法第648条の2第2項、第63

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 準委任契約とは、特定の事務処理や業務の遂行を依頼し、その業務の履行を請け負う契約の一種である。通常の委任契約と異なり、法的な効果を生じさせる行為を必ずしも目的としない点が特徴である。例えば、技術的なアドバイスの提供や、事務手続きの代行など、特定の事実行為を行うことが準委任契約の対象となることが多い。この契約は、専門的な知識やスキルを持つ者に対して業務の遂行を依頼する場合に有効であり、その内容は双方の合意によって決定される。ただし受任者が必ずしも専門的スキルを持つているとは限らない。かなり怪しい「コンサルタント」(昔の言葉でいえばブローカーのような)も散見される。

 例えば、企業がコンサルタントに業務改善のための助言を依頼する場合、それは準委任契約に該当する。準委任契約では、依頼者が指示した業務を忠実に履行する義務があり、結果そのものに対する保証は求められないことが一般的である。このため、結果責任よりも過程や手続きの適正さが重視される。

 ここでいう「コンサルタント」には特別の資格は必要なく、誰でも「コンサルタント」と名乗ることができる。同様に「エージェント」「コンストラクション・マネジメント(CM)」等も同様である。民間団体の認定資格もあるが、必ずしも民間の認定資格を取得しなくても良い。

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「ずっと工事中! 沢田マンション」

 街の本屋さん探索家の婆ちゃんが「おもしろい本みつけたよと」私の仕事部屋の暖簾をくぐってきた。「この建物、絵本にしてよいかのかな?」といいながら。

「高知の沢田マンションは有名だよ」と言いながら絵本を手に取り、巻末をみる私。2025年10月1日出版だから本屋に並んだばかりのホヤホヤ。

 私の業務、立場から言うと真逆の建物。コンプライアンスを重視して、ほとんど違反建築物が多い既存建築物の「黒」または「灰色」の建物を「白」にしていく私の仕事からすれば、沢田マンションは、建築基準法による確認申請無届、完了検査未了のまぎれもない建築基準法違反建築物。

 でも好き。

 無鉄砲で無計画でセルフビルドで、トランスフォーメーションしていく沢田マンションは痛快でさえある。

 でも少し心配なのは絵本を出して大丈夫かなと思う。正義論を振りかざし、役所に電話するなどする輩は多くいる。それらが行政を刺激しないかと。高知というおおらかな街だからこそ、強権的な指導はこれまでしなかったのであろうと推測するが、大きな事故がないかぎり見守ってやりたい。 ただ老朽化が進んでいるようなので心配ではある。

 この絵本が違反建築物を薦めたり、助長する契機を作ってしまうのではないかという一抹の懸念もある。今でも「建築法令なんか守る必要あるんですか?」と言う若い設計者に出会うことがある。特に内装関係のデザイン事務所には、そういう傾向が強い。そういう人達の書く「絵」を後始末する依頼も多いから。

「過疎ビジネス」-2

これは週刊東洋経済の「喰われる自治体」第2弾。今年2025年6月21日号。

「地方創生を掲げながらコンサルティング会社が自治体を“喰っている”実態を追った特集「喰われる自治体」から1年が経ちました。この特集は大きな反響を呼び、発売後には多数の内部告発が寄せられました。本特集では、そうした告発に基づき第2弾を展開しました。固定電話契約や医療ツーリズム受託など、全国各地の自治体から上がるさまざまな“悲鳴”を詳報。一方、地方創生コンサルに頼らずに人口増に成功した自治体の秘訣もお伝えします」

この本の中で木下斉氏は「地方再生は、・・・地元の人々がその都地特有の課題を見つけ、再生に向けたエッセンス、つまり『自分達の原液』を作り出すことだ」と書く。

そのうえで地方創生で結果をだす地域には幾つかの共通項があるという。

1、自前主義に徹する

 外部に任せず、自分たちで現場を回し、考え、動く。失敗しても学習機会とし、軌道修正をしながら進む。

2、補助金に頼らない

 行政による補助金にも頼らない。重要なことは、民間が喜んで投資する環境形成だ。

3、とがつた人材に任せる

 行政の看板に頼らず、自ら責任を負って挑戦するプレーヤーが地方創生には不可欠だ。百人の合意を取り付けることより、覚悟を持ったプレーヤーに委ねることが政治や行政に求められる。

てら小屋チーム・第24回WEB打合せ

先週チームで見学に行った都内の二つの建物について、それぞれ意見を交換した。とりわけ設備、電気設計者の視点から意見を聞けたのは貴重だった。

【Aプロジェクト】

 11月の調査実施計画について周知

【Bプロジェクト】

 先週実施した詳細調査について担当者から説明、修正した平面図、法チェックリスト(単体規定)を共有した。指定確認検査機関に告示関係の取り扱いについて確認する予定だという事と、11月以降の計画を説明した。調査内容について質問が寄せられた。

 コンクリートのコア採取場所は、調査の目的によって異なる。Bプロジェクトは基本的にコンクリートの現在の圧縮強度がどの程度あるかというのが主眼で、同一時期にコンクリートを打設したところから採取する。今回は各フロアー3箇所。外部からの採取は3か所だけとした。

 これが耐用年数評価が調査目的の主眼だと、東西南北外壁の外側から採取する。何故ならコンクリートの中性化度合を調査するのが目的だから。そのためには地上階以外は調査のための足場が必要となる。もっともバルコニー等があれば、それらから採取する場合もある。

 いずれにしても、これらの結果には調査者の責任が発生するから、数量や位置は調査者自身が納得し説明できるものでなければならない。

【Cプロジェクト】

 分担した業務の進捗状況を確認。進捗具合の説明を聞いていると、仕事に対する姿勢やそれぞれの性格を知ることができる。

【2025忘年会】 

 12月初旬都内で実施することを決めた。人数が多いので1月半ぐらい前に予約をしておきたい。

【2026てら小屋フィールドツアー】

 来年のフィールドツアーの行き先を決めた。次回は東京からマイクロバスで移動することにした。これから企画の詳細を検討していく。まだ半年以上先だが宿泊先の予約とかマイクロバスの手配とか、見学先の同意を取るなど準備することはたくさんある。

「過疎ビジネス」-1

コンサルタント全盛の時代だ。今や東大生の希望就職先№1は、コンサルタントだと聞く。こうした中で地方自治体を食い物にする「過疎ビジネス」という言葉が目に入ってきた。

この2024年5月11日付け「週刊東洋経済」では、地方創生マネーが都会のコンサルタントに吸い上げられていく実態を浮かび上がらせている。

「地方創生が叫ばれ始めてから10年が経ちましたが、地域活性化に成功したという自治体はそう多くないのが実情です。それでは地方創生をめぐる「カネ」はどこへ溶けていったのでしょうか。本特集では地方創生マネーが都会のコンサルに吸い上げられていく実態や、弱った自治体の機能をぶんどる「過疎ビジネス」など、地方創生の虚構を描き出しています。一方でコンサル主導の計画に住民が待ったをかけたケースや地場の中小企業が創生を実現した実例など、喰われないまちづくりに取り組んだ好事例も多数紹介しています。」

ガーデンテラス駒沢

世田谷区駒沢の高級賃貸住宅「ガーデンテラス駒沢」

この建物のオーナーの御好意で、オーナー自身の案内で見せてもらった

 通常、入居者以外は門扉の内側には入れない

ガーデンテラス駒沢は、まるで外国で暮らしているようなイメージを抱かせる。大地に根差した緑あふれる中庭を囲み、今ではとても贅沢な空間に包まれている。1000坪の豊かなスペースをカントリー調の落ち着いた雰囲気を創り上げる木造2階建て19棟のテラスハウス(3LDK~5LDK)が建ちならぶ。

竣工は、 1997年2月だそうだが、空き室が出るたびにリノベーションをされているそうで、これからリノベーションをする予定の1室を見せてもらった。

築28年だが、内装材は古くはなっているが、まだまだ大丈夫そうな状態にも思う。これからリノベーションをする内装デザインを見せてもらった。

家主は、東京・駒沢で400年以上続く地主の19代目で、現在約250戸を保有されているそうで、理系のインテリで、とてもジェントルマンな方だった。

酒・酒・酒

妻が青森市に出張したので、田酒とシードルを買ってきてとお願いしていた。

今日 青森市から送ったという宅急便が届いた。

田酒 純米大吟醸と田酒・紅葉ラベル(季節限定品)

これは青森のシードル

こちらは弘前のシードルで、上の青森シードルよりアルコール度数が高いようだ。

たくさんの酒が食卓に並んだが

私は ほとんど飲めないのだ。ちょつこ味見して ほとんどは料理酒になってしまう。

でも 色々な日本酒を味見するのが好き

現場調査・設備電気現況調査

PH階外壁配筋探査

1階外壁CONコア採取前の配筋探査

コンクリートコア採取

今日は朝から鉄筋コンクリート造既存建物の建築基準法適合状況調査

 コンクリートコア採取場所、鉄筋かぶり厚さ測定箇所の指定を朝一番に行う。図面上で想定していても現場で位置を変えたほうが良い場合があり、職人さんと相談し適時変更していく。

 開口部の寸法採取、窓ガラスの種類の確認、階段の各部寸法測定などをする。

 午後からは、設備・電気設計者に現場に来てもらい現況確認と設計の方向性について打合せをした。

 調査は夕方に終了。

岐阜県立森林文化アカデミー -1

岐阜県美濃市の岐阜県立森林文化アカデミーに行ってきた

現在 東京芸大教授の谷川原温氏の設計

もう25年以上前の建物で、以前から一度は見ておきたいと思っていた

ウッドデッキの部分補修中だった。

辻先生が案内してくれた

木工専攻の部屋をのぞいてみた

学生が作成する小規模な建物・部分があちこちにある

この庇、渡り廊下も学生の作品

「森と木。地域と人。文化と技術。すべてをつなぎ、新しい社会をつくる。はじめの一歩は、ここから」学校案内に書かれた言葉が印象的だった。

「凡人のための地域再生入門」木下斉著

 木下斉さんの本をまとめて読んだので幾つか紹介する。物語風なんだけど「地方のリアル」と「成功のコツ」が122のキーワードで展開されていて とても読みやすかった。

 多くの「まちづくり」の研究書や役所が出している事例集がある。それらは成功した事業を一覧にし類型化している。本来成功した事業を深く知るには、長いプロセスを多角的に知らなければならない。しかし事例集は結果を整理しただけで、わかった気になってても実際には あまり役に立たないものだ。こうした一つの事例を深く知れるように物語風に展開するのは共感できる。

 私自身は地域再生の鍵は、ひとつは「食や飲食店」が持っているのではないかと最近思っている。かつて都市のビル内で、「Farm to table」(農場から食卓へ)というテーマで企画提案したことがあった。「Farm to table」は、2010年代のアメリカ西海岸から広まった食に対する考え方のひとつ。生産者と消費者が物理的に、また概念として近い距離にあり、環境にも配慮したサステナブルな食材を地産地消するような食に関しての潮流を指す。

 その時、本当の「Farm to table」が実現できるとしたら、それは地方なのではないか思った。普通のスーパーの野菜売り場に並んでいるものは、流通のために日持ちが良くて、傷つきにくい品種だったりする。地方で野菜を買うと、妻はこんな品種があったのかといつも驚き、新しい発見があるという。地元のものを地元でちゃんと出す店は意外と少ない。

 それと飲食店は、美味しい店なら商圏が広い。地方で車移動だと1時間前後ぐらい、30kmから40kmぐらい離れた客が訪れるといわれている。地域外の外貨を得れるし、雇用も生まれる。農家との連携も生まれれば地域経済に寄与する。店は新築や古民家だけでもない。空き家活用でリノベーションする「逆算開発」で展開するならば資金的にも無理のない計画になるのではないか。今日日、工場を誘致して雇用が生まれても非正規雇用で、そほど地域経済には寄与しないだろう。

 こうした美味しいレストラン(付加価値の高い店)が、そのエリアに10件もあってごらん。夢が広がるではないか。

 木下斉さんは書く「必要なのは才能じゃない。『始める勇気』だ」と

「稼ぐまちが地方を変える・誰も言わなかった10の鉄則」木下斉著

著者の木下斉氏は1982年生まれと書かれているから、私の子供世代

 高校1年生からまちづくりに関わり、17年間で経験した実体験に基づく「稼ぐための教訓」をまとめたという一冊。

「まちづくり」という言葉のホァーとしたイメージをひっくり返す「まちを一つの会社に見立てて経営する」「稼ぐまちが地方を変える」というのは鋭いし、その通りだと思った。

 いろいろな地方を訪れてみて思うのは、地方はまだまだビジネスチャンスにあふれていると感じることだ。

 地方衰退の構図は、日本社会の縮図。人口縮小時代を迎えた現代では、補助金頼みではまちづくりは成功することはないだろう。

 「リーン・スタートアップ」(小さく始める)。最初は小さくてもひとまずやってみる。これはとても大事だ。大概の人は実践に踏み出す勇気がたりない。

 とても為になる本です。