安藤忠雄の建物のコンクリートコアを抜いてみたい。

専門業者に依頼しているコンクリートのコア採取。部位別に鉄筋探査を行い、鉄筋の無い部分からコンクリートコアを採取し、検体を指定検査機関に送付し、コンクリートの圧縮強度試験、中性化試験をしてもらうのだが、最近は専門業者さんの現場調査に付いて写真を撮影するのは、妻の任務にしている。

妻は建築の専門教育を受けてきたわけではないが、私のほとんどの既存建物の調査や視察に同行しているので、そんじょそこらの建築士よりは建築に詳しく、感覚的に感想を語る。

この日も、今日のコンクリートは「あまりよくない」と言う。確かにそうだ。

以前調査した、あそこの現場のコンクリートはきれいだったと言う。その現場のコンクリートは築28年だけど37N/mm2あった。確かに、きれいなコンクリートコアは強度がある。

以前視察した安藤忠雄の建築について語りあう。

私「安藤さんの大きな建物は、やたらと歩かされて方向感覚がなくなることがあるから、そこは僕は嫌い」と言う。

妻「でも安藤さんのコンクリート打ち放しはきれいだったね、安藤さんの建物のコンクリートコアを抜いたら、とっても美しいコアが採取できるのではないか」と言う。

妻「一度コアを抜かせてもらいたい」と。

飾っておきたいようなコンクリートコアが採取できて、もしかしたら商品化できるかも知れない。「住吉の長屋45」とか。まるでスコッチウイスキーみたいだねと笑った。

この日、コンクリートコアを抜きに来てくれた専門業者の若い職人さん達と一緒に昼食の弁当を食べる。若い職人さんたちの話が聞けて楽しかった。

若い職人さんからスマホの「電子小黒板アプリ」の存在を教えてもらった。

責任者の人が、まだ新入社員の人に鉄筋探査機の使い方やコア採取後の無収縮モルタル(今はすでに配合された商品がある)の水分量、固さの確認方法等を口伝で教えていた。まだ30代だという責任者の人は、左官屋さんを見て自分の感覚でモルタルの固さを覚えたという。穴埋めと言っても結構難しい。素人がやると水分量が多すぎたり、埋めた後に凹んだりする。技術の継承と言うのは、やっぱり口伝なんだろうなと思った。

土砂災害危険区域 -3

以前書いた土砂災害危険区域のオープンテラスの構築について、区の建築主事はテラス下部が屋内的用途ではないので、建築基準法第二条の「建築物」には該当しないという判断をしめした。

今一度、建築基準法の「建築物」の定義をおさらいしてみよう。

一  建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨こ線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。」(平成5年6月25日 – 現在有効)

上記が現在の規定。

「一  建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの、これに附属する門若しくはへい、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいい、鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びにこ線橋、プラツトホームの上家、貯蔵そうその他これらに類する施設を除くものとする。」(昭和25年11月23日 – 昭和34年12月22日)

上は建築基準法制定時から昭和34年改訂までの規定。

庭の平坦部分につくるオープンデッキなら その安全性は自己責任の範囲でどうぞということで良いと思うが、土砂災害危険区域に指定されている崖地の上に自己所有地とはいえ、敷地いっぱいにオープンテラスを作れば、地域住民がその安全性を心配するのは当然だと思う。

塀が地震等で倒壊し歩行者の安全をおびやかしたり、事故が発生しブロック塀などの建築基準が出来たように、本件の崖地のようなところに敷地一杯にオープンテラスを作る場合、崖地の崩壊やデッキの崩壊が起きた場合は、敷地外にも影響を及ばす可能性が明らかな場合には「類する構造のもの」で「建築物」とするべきで、所有者は、それ相応の安全性を担保する責務があると言うのが私の考えです。

現役の建築主事と法律論を闘わしても平行線に終わると思いますが、振り返れば建築基準法も「環境を整える」視点から「私権の拡大」へと大きく変わってきました。

この20年程の背景は、なんといっても「新自由主義」「市場万能」「規制緩和」だと思います。今は「新自由主義」と決別する分岐点に立たされている時代を迎えています。

新型コロナウイルスの真換気対策

「くらしみらい研究所が配信する建築情報チャンネル「建築ギ論」。
今回は「新型コロナウイルスの真換気対策」と題して、いま本当に必要な飲食店の換気対策について、建築エコノミストの森山高至氏と空調換気設備設計のプロフェッショナルである山田浩幸氏が議論します。

新型コロナウイルス感染症が依然猛威を振るうなか、現在日本中の飲食店・店舗が営業の自粛あるいは営業時間の短縮を余儀なくされています。

しかし空調換気設計が専門の山田氏は、換気量が十分な店舗であれば少なくとも空気感染のリスクは現状でもかなり低いはずで、飲食店の営業を一律に制限する政策には大いに疑問があると指摘します。

また、現在国が換気の指針として示す「一人あたり30㎥/h」の換気量は、本来感染予防対策とはまったく関係のない数値で、この基準を遵守しても新型コロナウイルスの空気感染は予防できないのでは?と疑問を呈します。

さらに、森山氏は結核感染の研究がコロナ対策にも生かせるはずだとして、コロナの感染予防に必要な本当の換気指針の早急な策定を提言します。」

土砂災害危険区域 -2

この崖地は、大谷石の擁壁の上が斜面で、以前は高木が植わっていた。

昨年になつて崖の上の住宅・3階建ての所有者が変わり内部の改修工事と崖地にデッキテラスの設置工事が始まった。高木類は全て撤去され地肌が露出した。

2021年2月の工事写真

大谷石の擁壁・2021年2月

bella ciao

スペインのドラマ「ペーパー・ハウス」の挿入歌がとても印象的だったので、覚書として記録する。「さらば恋人よ(イタリア語:Bella ciao)」とは、イタリア内戦の時に創作され、イタリアパルチザンによって歌われた歌曲であり、作詞者・作曲者ともに不明とのこと。この曲は、自由とレジスタンスの賛美歌として、国際的に歌われるようになっている。

https://www.youtube.com/watch?v=spCdFMnQ1Fk&t=44s

【Bella ciao】
Una mattina mi son svegliato1
o bella ciao, bella ciao, bella ciao, ciao, ciao,
una mattina mi son svegliato
e ho trovato l’invasor.2

O partigiano, portami via,
o bella ciao, bella ciao, bella ciao, ciao, ciao,
o partigiano, portami via
che mi sento di morir.3

E se io muoio da partigiano4
o bella ciao, bella ciao, bella ciao, ciao, ciao,
e se io muoio da partigiano
tu mi devi seppellir.

E seppellire lassù in montagna,
o bella ciao, bella ciao, bella ciao, ciao, ciao,
e seppellire lassù in montagna
sotto l’ombra di un bel fior.

Tutte le genti che passeranno,
o bella ciao, bella ciao, bella ciao, ciao, ciao,
tutte le genti che passeranno
mi diranno: «Che bel fior!»

E questo è il fiore del partigiano
o bella ciao, bella ciao, bella ciao, ciao, ciao,
e questo è il fiore del partigiano
morto per la libertà.
E questo è il fiore del partigiano
morto per la libertà.

【さらば恋人】

ある朝目覚めて
さらば恋人よ
ある日目覚めて
侵略者をみつけた

パルチザンよ ぼくを連れて行って
さらば恋人よ
パルチザンよ ぼくを連れて行って
死ぬ場所へ

ぼくはパルチザンとして死ぬ
さらば恋人よ
ぼくはパルチザンとして死ぬ
君はぼくを埋めてくれ

山に埋めてくれ
さらば恋人よ
山に埋めてくれ
きれいな花の影に

通り過ぎる人は
さらば恋人よ
通り過ぎる人は
「なんてきれいな花だ」と言うだろう

これはパルチザンの花
さらば恋人よ
これはパルチザンの花
自由のために死んだ

土砂災害危険区域 -1

都内の土砂災害区域内・つまり崖の下に住む住民の方から相談を受けていた。

以前は樹木に覆われていた斜面の下に大谷石の擁壁がある。その崖の上の敷地の建物の新しい所有者が崖の上・敷地全域にテラスを築造する工事を開始した。当然樹木は伐採、地表面は裸になり木の板で土留めのような工事をしている。またテラスを支えている支柱の基礎は根切が浅く、中には置いてあるように見えるところもある。このテラスは大規模で斜面部分に築造し約100㎡はあるのではないだろうかと思われた。

東京都内の土砂災害危険区域の指定は、東京都の管轄で建設局河川部が担当している。

建設局河川部に相談したところ、危険性があることは確かだが都が要請、指導する権限はないとのこと。建築物であれば建築申請等が必要になるが、区が申請不要と判断すればそれ以上の対応は難しい。
しかし都から区の建築課に電話をすることくらいなら可能とのことだった。

相談をした際の都の主な見解。
・木の土留めは評価できない。仮設とすら言い難い。
・大谷石は機能するとは見ていない。大谷石の考え方については区でも説明あり、
現在の建築基準を満たしていないものの、長い年月その状態にあることから、構造
上の計算はできないが、長年の安定性への信頼度からそのまま残しているケースは多いとのことだった。→ 実際本職が現地を見た限りでは、かなり風化が進んでいる大谷石擁壁だった。
・水害だけでなく地震による危険もある。
・自分たちであればこのような工事は行わない。
・切り株を残してもツツジを植えてもあまり意味はないと考えられる。

樹木を取り除いてしまった今の状態をより安全にするには、排水処理をしたうえで法面をコンクリで固めるか、しかるべき擁壁を建てることが望ましい。

一方 区の建築指導課監察係は、屋根のない構造物であり、テラスの下が屋内的用途でない事から建築基準法第2条に規定する「建築物」には該当しないので、指導や是正命令はできない。ただし設置者は、安全性を考慮したうえで設置すべきだと考えられるから、テラス及び崖地法面の安全性については住民に丁寧に説明するよう要請すると回答。

区から回答があってから三週間。未だ設置者から地域住民への説明はない。

「星をつける女」原宏一著

出張が多いと良い事が幾つかある。

普段読めないような本が沢山読める。日中沢山歩くので夜よく寝れる。汗を書くので必ず毎日1回ないしは2回入浴又はシャワーを浴びるので清潔。朝は7時、夜は18時と規則正しく食事がとれる事。しかし出張から帰ると報告書の整理、他の仕事の連絡等に追われまくる。

4月の関西出張で「星をつける女」原宏一著・角川文庫の二巻がとても楽しく読めた。

もう15年程前になるが、飲食店を経営するクライアントがラーメンチェーン店を展開するということで、内装設計や試作品のモニターとして商品開発に関わったことがある。若いころはラーメンを食べ歩いていた事がクライアントに伝わり試作品の感想を言う機会を与えられたにすぎないが、その時飲食業界・ラーメン業界の仕組みを教えてもらった。

開発スタッフやクライアントが、これぞと思うラーメン店を食べ歩き、麺はどこそこの、スープはどこそこのというと製麺会社が幾つかの試作麺・醤油ダレ・味噌ダレを持つてくる。それにスープを合わせて何処かの店に似通っているがオリジナルな拉麺に仕上げていく。スープのレシピも製麺会社から提供されていたように記憶している。

この本に登場する「麺屋勝秀」の麺やスープ・タレのアウトソーシングは とっくの昔から展開されているのが飲食業界の実情だ。

よく考えれば建築業界もアウトソーシングは当たり前になっている。弊社で行っているような建物の調査の類も、自前で調査チームを編成しているようなところは少数派で、調査専門会社に一括又は部分外注し、自らは現場にいかず出来上がってきた報告書類を整理して提出するところが主流になりつつあるようだ。弊社にも調査専門会社からの営業が多くなった。

飲食業界や食と言った他の業界の問題だと思ったら建築業界にも そのまま当てはまるような問題が散りばめられていて、とても楽しかった。

成田スカイパークイン芝山・オープンセレモニー

昨年 お仕事をさせていただいた千葉県山武郡芝山町の成田スカイパークイン・芝山のオープンセレモニーに行ってきました。晴天下、外部での開催でした。

関西出張から帰宅、自宅で一晩寝て翌朝車で往復5時間のドライブ。ちょつと疲れました。

テープカット

芝山町では初の宿泊施設で農泊体験型です。スポーツ合宿、インバウンド等の宿泊需要に対応できるようになったそうです。これまで小さな民宿・民泊施設しかなかったそうで規模が大きくなると芝山町では対応できなかったそうです。一昨年近接しているゴルフ場のキャディ寮を譲り受け、ホテルに用途変更。検査済み証が無かった建物だったので、成田市で設計事務所を営む知人の紹介で弊社が調査・設計・申請業務を担当しました。オープンセレモニーの参加者をみると芝山町あげてのプロジェクトの様相です。

閉会挨拶をする実川理事

高松

香川県の高松に来ています。

学生時代以来ですから実に40数年振りの訪問です。

JR高松駅の海側の風景ですが、随分高層ビルが立ち並んでいます

学生時代に高松に来たときは 四国村や瀬戸内海歴史民俗資料館、直島の石井和宏さんの幼稚園・小学校・役場を見に来た記憶があります。

今回は ほとんど業務対象の建物しか見ることができませんが、それらの建物はどうなっているか確認してみたい気持ちもあります。

高松→岡山→京都→東京→帰宅一晩寝るだけ→千葉と一週間連続で出張です。

ウッドショック

今朝 住宅系建築会社から速報。

北米産米松・集成材が入荷しない。木材を仕入れている静岡県のプレカット会社から連絡が入り、集成材(横架材)の材質の見直しが必要との連絡。

少し前から、アメリカでコロナ感染による郊外移住で住宅ブームが起り 材木需要が逼迫。木材価格が高騰。中国市場も木材輸入が急増。アメリカと中国という二大需要国に世界の木材が吸い寄せられていると聞いたのは 一ヶ月程前。

2×4材が全く入荷しないらしく、パワービルダー系が使うSPFホワイトウッドの価格が高騰。今後木材供給がどうなるか先行きが不透明。

木造系住宅の新規受注、新築及びリフォームにストップがかかるかもしれない。

それにしても一昨年のハイテンションボルト不足。鉄骨不足。昨年のマスク無し。半導体不足。そして今年のウッドショック。輸入依存の経済構造からの転換が必要だと思う。

現在の木造系建物の設計にも、材料変更に対する柔軟な対応が必要となりそうだ。それと出来るだけ木材使用量を少なくする無駄を減らす設計が必要かも知れない。

「国の機関の建築物の点検・確認ガイドライン」

国の機関の建築物については、官公法第11条に基づき、その所管する建築物等を適正に保全することが求められていて、同法第12条には、政令で定める敷地、構造及び昇降機以外の建築設備について劣化の状況を点検させる必要がある。

又、建築物の所有者、管理者または占有者は、建築基準法第8条によりその建築物の敷地、構造及び建築設備について常時適法な状態に維持することが努力義務となっている。そして建築基準法第12条第2項及び第4項による定期報告が必要となる。

官公法の「点検」と建築基準法の「点検」という二つの「点検」に加えて、官公法第13条第1項に基づく「保全の基準」(安全性・耐久性・機能性)に基づく「確認」がある。

つまり建築物の定期報告よりももう少し広い範囲の調査による点検・確認が必要となる。その為の「ガイドライン」だが、地方公共団体の施設もこの国のガイドラインに従った調査が必要となる。

この調査は「劣化調査」+「法的調査」というようなものだが、法的確認も、建築基準法はもとより、消防法、バリアフリー法、省エネ法、労働安全衛生法、電気事業法、水道法、その他と幅広い分野の調査が必要となる。

例えば省エネ法の現行法への適合状態となると、厳密に考えると既存建築物の省エネ計算をして現行基準との比較をしないとならないことになる。まあ計算までしなくていい場合もあるだろうが。

こうした国のガイドラインを見ていると既存建築物はシングルイシューで解決できるものは少なく問題解決には総合的なアプローチが必要となってきている。

PCR検査受検-陰性

先日 PCR検査を受けました。その結果が届きました。

以下、結果メール

*************

新型コロナ(SARS-Cov2)
PCR検査結果

寺田 様

結果 検出せず(陰性)
検体採取(2021/4/8)

※陰性の結果は、新型コロナウイルス
感染を完全に否定するものでは
ありません。

上記結果であることを報告します。

(報告日2021/4/9)

インターパーク倉持呼吸器内科
〒321-0114
宇都宮市中島町765-1
電話028-653-5969

**********

弊社は定期的にPCR検査を行い陰性であることを確認し、かつコロナ感染対策を万全に行い業務を行っていきます。

換気・換気・換気

北里大学 感染制御研究センター長・花木秀明先生のところで知った情報。

飲食店でのエアコンによる気流の流れを分析したデーター。

真ん中の10人掛けのテーブルの奥の方が陽性者。下流にあたる4人掛けのテーブルの4人中3人が感染し、壁に当たった気流が逆流することで7人掛けのテーブルの7人中2人が感染しています。

感染対策はすぐに落ちる飛沫と空気感染を考慮した換気・気流対策が重要だと言う事が理解できる。

元論文はこれ↓

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0360132321001955?via%3Dihub#appsec4

花木秀明・北里大学 感染制御研究センター長、感染創薬学教授、 感染症専門の基礎科学者

https://kitasato-infection-control.info/

飲食店に時短要請で補助金を出すよりも、強力な換気扇の設置費用を補助するコロナ感染リフォームの方が効果的。空気感染対策には換気が最も重要だと思う。

混構造-1

1階が鉄筋コンクリート造、2階・3階が木造の建築物は、平成19年5月18日に国交省告示第593号第4号(最終改正・令和元年6月25日告示第203号)により、RC部分も木造部分も許容応力度計算が必要となった。

【H19国交省告示第593号第4号の概要】

・地階を除く階数が2又は3であり、かつ、1階部分を鉄筋コンクリート造とし、2階以上の部分を木造としたもの

・高さが13メートル以下で、かつ、軒の高さが9メートル以下であるもの

・延べ面積が500平方メートル以内であるもの

【構造計算の概要】

・RC部分は壁量の確認が必要となり木造部分、RC(WRC)造部分ともにルート2-1相当の構造計算が必要となる

・木造部分の軸組計算

・木造部分の許容応力度計算(2階以上の剛性率6/10以上、2・3階の偏心率15/100以下の確認)

・RC部分の許容応力度計算(1階の偏心率15/100以下の確認)

以上をすべて満たさない場合は、構造適判対象となる。

まあ、新築ならばこの基準で構わない。これから建築するのだから。

H19年の告示以前は、このような混構造の建物はどう扱ってきたかというと、RC部分は許容応力度計算だが、2階・3階は、法6条第4号建物とし軸組計算による筋違を配置して来た。

こうした都心ではどこにもあるような建物が、増築をしたいと思った時、混構造は法第6条第3項建物となり、一体増築の場合は、上記のように全体を許容応力度計算を行い安全性を確認しなければならい。

RC部分が地階だからと安心する事なかれ、建築基準法施行令第1条ニ号の「地階」と構造上の地階は異なるのだ。構造上の地階・地上階の判定は、地盤面かの外周囲が地階全周囲の75%以上かどうかを計算し確認しなければならず、結構地上階扱いとなることが多い。

こうした混構造の建物を増築する場合、大概は内部スケルトンリフォームとなる場合が多い。耐力壁が不足していることが多いので筋違や構造用面材で耐力壁を増やす。2階床の剛性を高めるために床を張りかえる必要がある ということは壁も天井も壊さざるをえなくなり、結果として内部スケルトンリフォーム。場合によっては外壁もということになり既存部分に改修工事が波及するので 改修工事費が嵩んでくる。

もともと長い事 混構造の取扱いはRCと木造は別物としてきたのだし、構造性状は異なるのだから、せめて既存建築物は告示第593号の適用は再検討して欲しい。既存ストックの活用というのなら、こうした細部の規定も見直し緩和をして欲しいと思う。

押印廃止

2020年12月23日に公布された「押印を求める手続の見直しのための国土交通省関係省令の一部を改正する省令」により建築基準法施行規則が改正されたことを受け、2021年1月1日以降申請・届出が行われる確認・検査申請等に関する書類については、押印不要で手続きができることになった。

【日本ERIのサイトから】

押印が必要なのは、構造計算安全証明書の構造設計者印ぐらいなもので、随分と思い切って押印廃止にしたものだ。2021年になつて確認申請を何度か出してみて思った。

「押印廃止ってヤバクねぇ」

容易に私文書偽造同行使が可能なのだ。有資格者は、知らないうちに名前・登録番号・免許番号を使われる可能性がある。知らないうちに責任を負わされないか・・・

建築関係者の中には、「押印廃止」について手放しで「楽になった」と評価する向きもある。、申請関係書類の押印そのものもシャチハタ以外はOKで、多分に形骸化していた面もあるが、書類の押印について厳格な人や法人も存在する。

私の自身の経験から言うと。図面や図書への押印は特別な「職責印」を使っていた。

以前、指定確認検査機関に勤め始めた頃、先輩に言われた。「職責印は認印でない事、フルネームの職責印を作り、会社の机の中に入れておかず、必ず持ち歩く事」「それが自分の身を守る」 担当者ならともかく、決裁者は常に責任を負わなければならない。押印は責任の所在を明確にする。

「大滝詠一に恋をして。」PEN 2021.4/1

カラフルな色彩、おしゃれで洗練された都市の情景を描きながらも、叙情的な愁いを含む歌。田舎者にはあこがれだったな。

PEN 2021.4/1号「完全保存版 大滝詠一に恋をして。」本屋で思いがけない出会い。

大滝詠一のこだわりと素顔と才能を追う。
「永い休暇を経て再び光を放つ、語り継ぐべき僕らの文化遺産。
鳴り止まない〝永遠の夏〞を、いまこそ聴き尽くそう!」

今時の薄ぺらな雑誌ではない気迫の特集。

私にとって「はっぴいえんど」は永遠の存在

数値流体力学(CFD)

最近、お勉強している数値流体力学。

数値流体力学(すうちりゅうたいりきがく、英: computational fluid dynamics、略称:CFD)とは、偏微分方程式の数値解法等を駆使して流体の運動に関する方程式(オイラー方程式、ナビエ-ストークス方程式、またはその派生式)をコンピュータで解くことによって流れを観察する数値解析・シミュレーション手法の事ですが、昨年から換気について再勉強している中で、CFDに辿りつきました。

最近は、もっぱら東京理科大学の倉淵隆先生や東京大学大学院の前真之先生のオンライン講座で勉強する「隠れ学生」です。

いやぁ便利な世の中になったものです。色々な先生方の講義を聞けるし、新しい発見があります。爺の知的好奇心も満たしてくれます。

パソコンレベルで熱流体解析ができるなんて科学技術の進歩は素晴らしい。

FlowDesignerという熱流体シミュレーションソフトを使用されているようです。

新型コロナウイルス感染拡大の抑制等の最新学術動向(東京理科大学・倉渕隆教授)

一般社団法人建築環境設計支援協会・代表理事の倉渕隆先生による、新型コロナウイルス感染拡大の抑制等の最新学術動向や当団体の活動内容の紹介。

代表理事・倉渕 隆(東京理科大学工学部建築学科 教授、空気調和・衛生工学会換気設備委員会委員)

「新型コロナウイルス感染拡大の抑制について、感染経路はインフルエンザと同様、飛沫感染と接触感染が重要ですが、空気感染に近い微細なエアロゾルによる感染も疑われています。
インフルエンザに比べて、致死性が高いので、とにかく感染しないことが重要です。
厚生労働省が推奨している必要換気量30m3/hは、カナダの医療施設における結核の院内感染に関する調査結果に基づく2回/hを目安にしています。これは一般病棟に感染者がいるかもしれない想定に基づくもので、患者一人当たりの気積は2×4×3=24m3ですから2回/hだと48m3/hなのですが、これが概ね30m3/hと同じオーダーとして、空気感染する伝染病における換気対策を想定しています。
至近距離の飛沫感染は、換気では防げないので、まず一定の距離(できれば2m以上)を保つことが重要です。また動画中にもあるように、中距離の飛沫による感染には換気が効くと考えられ、できるだけ換気量を増やすのがよさそうですが、特に置換換気などで実現できるピストンフロー(一方向に流れ、後戻りのない気流)にするのが望ましいと思います。」