ERIアカデミー・住宅・建築物の省エネを学ぶeラーニング講座開設

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株式会社ERIアカデミーは、株式会社建築技術とのコラボレーションにより、建築技術者を対象とした住宅・建築物の省エネを学ぶeラーニング講座“eri-college”を10月1日から開設しました。

株式会社ERIアカデミーのサイトには「開設目的」について、以下のように書いています。

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「1. 開設の目的
建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)に基づく省エネ性能表示努力義務が始まり、大規模非住宅建築物の省エネ基準適合義務化を控えるなど、住宅・建築物の設計者や技術者にとって、省エネ性能に係る知見が重要になってきています。
当該分野に関する情報提供の要請が急増していることなどから、設計者や技術者を対象にした専門家による住宅・建築物の省エネに関するeラーニング講座を開設することといたしました。」

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2020年までには、省エネ基準への適合が義務化され、また標準的な新築住宅がZEH化されるなど、建築・住宅の省エネ性能向上に向けて事業環境が急速に変化しつつあります。省エネは、これからの設計者にとって必須の知識になろうとしています。

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早速 開講されている4つの講座の内、2つの講座を聞いてみました。1講座16分ぐらいで無料で聞けます。グルーバルな視点から語られているのが特徴で、実務に漬かっていると 時々 こうしたグローバルな視点の話を聞くと新鮮です。

http://www.a-eri.co.jp/elearning/

リノベ―ションと断熱改修

雑誌等に紹介されているリノベーションの事例には、コンクリート躯体を剥き出しにしたスケルトンのものや、既存の断熱材や断熱効果のある天井を撤去してしまったものが散見される。断熱改修どころか、既存建物より断熱性能が低下しているような断熱改悪のような事例もある。

省エネ法では、用途変更(コンバージョン)でも、省エネ法の届出が必要な場合がある。第一種特定建築物(2000㎡以上)の場合で、それ以下の面積や別紙の要件に該当しているものでも意外と省エネ届出は作成提出されていない。なかには、検討して断熱性能指標(PAl*)や一次消費エネルギーが未達成で、断熱材の変更が必要だと告げると工事費が嵩むからと「省エネ届出」そのものを提出しない人もいる。

「届出対象となる特定建築物の修繕・模様替・設備改修の規模一覧表」(横浜市)

弊社が最近関わったプロジェクトで、廃校となった小学校を用途変更して展示場等にする計画の省エネ検討を紹介する。

省エネ3地域で、木造平屋の一般校舎とRC造2階建ての特別教室等部分により構成されている延床面積1800㎡、築23年の比較的新しい既存建築物である。

プロジェクトは基本計画段階の為、今後実施設計に移行した際、内部の平面計画や天井高さ等が変更になる可能性があるため、現存する既存設計図書に基づき、外皮性能指標(PAL*)を算出し、その上でH28省エネ基準に適合するよう外皮性能指標(PAL*)を算出する省エネ改修計画を立てた。

リノベーション時の断熱改修は、施工性や経済性を勘案する他、大規模模様替えに該当しないように法規上の問題も検討しておく必要がある。

既存建物は、木造平屋の一般校舎とRC造2階建ての特別教室等部分に構造的に分かれている為に、外皮性能指標(PAL*)は、別個に計算した。下記に既存建物(学校)及び断熱改修前(展示場)、断熱改修後(展示場)の外皮性能指標(PAL*)を示す。

0007以上の検証により、既存建物(学校)の木造部分は達成していたが、RC部分は未達成だった。展示場に用途を変更して検証したところ、やはり同じように結果となった。そこで断熱改修は、屋内側からの施工に限定しシュミレーションしたところ、いずれも達成した。実施設計段階では、用途・内部間仕切り・天井高が変更になる可能性が高い為、計画段階では余裕のある断熱改修計画が望ましいと考えている。また今回の検証結果により工事費が嵩む開口部(サッシ・ガラス)の変更は必要ない事が事前に把握でき、コストコントロールに寄与できたと評価された。築年数が比較的新しく旧基準とはいえ一定の断熱材が施工されていたのが幸いし、比較的軽微な断熱改修計画になった。

尚、計画段階では一次消費エネルギーの検討は行っていない。又標準入力法により計算を行っている。

省エネ適合に対応して設計は二段階ロケットに?

建築物エネルギー消費基準への 適合性判定の制度が平成29年4月に迫ってきた。2000㎡以上の建築物は、建築確認申請時に構造適合と同じように省エネ適合を受けなければならなくなる。

その省エネ適合機関となる登録建築物エネルギー消費性能判定機関の登録要件として適合性判定員の選任が必要とされ、この制度の円滑な開始のために、施行前に一定数の適合性判定員の資格要件者確保する必要から、一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構で国土交通省補助事業として事前講習「省エネ適合性判定に関する講習」の開催計画が発表された。

これまでは施工着手日21日前までに省エネ設置届を特定行政庁に届出すれば良かったが、来年4月からは指定確認検査機関に確認申請を提出する場合(2000㎡以上)、事前審査段階に省エネ適合計算書を間に合わせ省エネ適合性判定を受けなければならない。

設計事務所・設計施工の建築会社にとつて建築確認済証を取得する日時は、契約上とても重要であり、工事着手日に影響することから、申請スケジュールは厳守である。

意匠・構造・省エネと同時並行的に審査が進められている中、かつ建築主側からの変更の要望を組み入れながらで、事前審査段階での省エネの修正対応が忙しくなることが予想される。

また非住宅の場合、これまで確認申請図書には不要だった一般照明図、空調図、(建具表)なども省エネ計算をするには必須となるため設計スケジュールは、これまでと大幅に変わることとなる。

それゆえにある規模以上のプロジェクトでは、確認申請段階ではとりあえずの設計図書を作成し確認済証を取得後、基礎工事段階でVE等に伴う空調機器や一般照明器具の変更等を反映して計画変更確認申請を提出するようにならざるを得ないのではないかと思われる。すなわち設計・確認二段階ロケットである。

ところで省エネ適判となった場合、確認検査員は工事完了検査において設置されている空調機の機器、照明器具の機種、個数等は確認するのであろうか。あるいは工事監理者からの報告書類のみで適合判定をすることになるのだろうか。

弊社はH25年基準以降、比較的複雑な形態(外皮計算が面倒な)の建築物の省エネ設置届の作成を業務として行ってきた。

最近はプロジェクトの基本設計段階で参画し省エネ計算でシュミレーションし必要な断熱性能・断熱材の種別などを意匠設計者側にフィードバックしている。こうした参画ができる場合は、設計者にコストコントロール意識があるときである。

リノベーション案件でも基本設計段階で既存図を基に省エネシュミレーションを行い施工性や大規模模様替えにならないよう配慮し断熱改修を提案し意匠設計者側にフィードバックしている。標準入力法で計算しているので、予算が限定されたリノベーションの場合、例えば北側だけ壁面断熱改修をするとか細かなシュミレーションが可能となる。

来年は、省エネ適判導入によつて忙しく振り回されそうな予感がする。

卯月(うづき)

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 四月 新年度になった

卯の花が 咲く月「卯の花月(うのはなづき)」

相変わらず近所しか出て歩かない生活が続いている

従前の省エネ法の基準の経過措置期間が終了し、

4月1日から、

住宅用途の平成25年省エネ法基準も完全施行された。

 共同住宅系における省エネ基準適合の評価は面倒にはなる。

計画段階からの環境設計部分でのプロジェクト関与が必要になってきている。3月末で整理してみたら、いつのまにか環境設計(省エネ・CASBEE・ビル管・避難安全検証等)の業務の割合が大きく増えていた。

既存建物も含めて多くの建物が環境配慮型の建物になっていってもらいたいものだ。

「建築物省エネ法(案)」が閣議決定された

報道によると、本日3/24大規模な建築物に省エネルギー基準への適合を義務付けることなどを盛り込んだ「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」案が閣議決定された。今国会での成立を目指すとのこと。

http://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_000584.html

大規模な非住宅建築物(特定建築物=2000㎡以上)について、新築時等における省エネ基準への適合義務及び適合性判定義務を課し、これを建築確認で担保することとなる。今国会で成立すれば2017年施行となり、その後2020年までには段階的に対象建物を増やしていく計画との事。

数年前から噂されていたように、いよいよ省エネ(特定建築物のみ)も建築基準法の関係規定となるわけで、指定確認検査機関の多くが建築物エネルギー消費性能適合性判定機関として登録することになろう。書類上の審査は、数値の適合さえチェックしていくだけでよいのだから容易だが、性能基準で計算するのは中々大変。

長年の建築設計業務から指定確認検査機関に行き、又建築設計の立場に戻った身になった経験から審査と設計とは、まったく異なるもの。

性能基準での省エネ計算には、建築の知識、環境設計の知識、設備の知識が必要で、ちまたでは省エネ技術者が不足していると聞く。

H25年基準が施行された昨年度から省エネコンサルタントの業務がパンク気味で、納期がかかっているようだ。人材不足もあるけど、従来の仕様(例えばH11基準)で設計したものを設計図書が完成してから、あるいは工事契約が終わってから省エネ届を提出してくれといわれても外皮性能も一次消費エネルギーも適合しないことがほとんどだ。

検討→不適合→断熱仕様の見直し・予算の検討等→断熱仕様の仮決定→再検討→適合・省エネ届という繰り返しが時間を費やしている。これからは基本設計段階で省エネの検討を並行して進めなければならないという頭に切り替わっていない。

弊社も昨年来 これまでお付き合いのある会社の省エネ計算・届出の業務が増えていたが、年度末になってH11基準の駆け込みや、基本設計段階のH25基準での省エネ検討が重なり、頭がゴチャゴチャになっている。

H11年基準とH25年基準 外皮性能は従来の設計仕様では、ほとんど不適合だということを認識してもらいたい。

環境家計簿

住宅医スクール2014で岐阜県立森林文化アカデミーの辻先生から出されていた宿題「自宅の環境家計簿」の為に、過去の電気、上下水道、都市ガスのそれぞれの使用量と代金を調べていた。

領収書から概略把握できたのだが、東京電力と東京都水道局は、過去二年分の使用量と使用代金を知ることができるというので申込みをしていた。

今日、東京電力の「でんき家計簿」の登録が完了したということで早速過去二年分の使用量と代金を見てみたら、やはり8月と12月、1月、2月は群を抜いて高かった。

1階と2階半分が事務所、2階半分と3階を住まいとして使っているので統計上の標準家庭とは比較にはならないが、エネルギー消費は多い。

辻先生の宿題を提出するとそれぞれのエネルギーを用途分解するソフトを無料でいただけるとのこと。

そのソフトは、電気代なら照明と冷暖房、都市ガスなら給湯と調理というように分解して算出するものだそうだ。

住宅だけでなく改修設計をする場合「環境家計簿」を作成しておくと その建物のエネルギー上の問題点を把握できそうだ。

「環境家計簿」は、血液検査のようなものかな。

「環境時代のビルディングエンベロープを考えるシンポジウム」IN 東大

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環境時代のビルディングエンベロープを考えるシンポジウム~省エネ・健康リフォームをいかにして普及させるか~in  東大に11月20日参加して来た。

ビルディングエンベロープすなわち外皮を多面的・複眼的に捉え環境時代の外皮に相応しいものを見つけ出すヒントを得るというのがシンポジウム開催の趣旨とのこと(坂本雄三・建築研究所理事長)

第三回目となる今回のシンポジウムでは「住宅の省エネリフォーム」について集中的に議論しようとした企画となっていた。

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【会場の伊藤謝恩ホール】

三人の講演と五人の異なる分野からのパネラーの参加によるパネルディスカッションでみっちり4時間

この分野で、現在どういう取り組みがなされているのか解った。

ヒートショックは、交通事故の3倍の危険度

住宅医スクール2014・第5回講義での岐阜県立森林文化アカデミーの辻準教授が話された「ヒートショックは、交通事故の3倍の危険度」には、ちと驚いた。

「建物性能と死亡者数」を比べた時

  1. 交通事故(H24)       4,411人
  2. 阪神大震災(耐震性能)  6,434人
  3. 熱中症(温熱性能)  727人
  4. 家庭内転倒(バリアフリー) 5,000人程度
  5. 火災(H24・防耐火性能)  1,015人程度
  6. ヒートショック(温熱性能) 17,000人程度

それぞれの原因が単体ではなく複合的な要因という事もあるかもしれないが、室内温度差によるヒートショックの死亡者が多いという事実には驚いた。

ヒートショック対策としては、生活空間全体を暖かくするための断熱性能の向上、トイレ・洗面・浴室に暖房設備を設置する等の対策が必要で、辻先生は「現代は、住まいは冬を旨とすべし!!」と強調されていた。

新築であれ、リノベであれ、建物の温熱環境・省エネについて説明責任が必要となっている時代。

見てくれだけでなく、性能をきちんと評価する眼を消費者は持ってほしいものだ。

「温熱環境の基礎~断熱と日射熱取得~」自立循環型住宅関東ゼミ2014

自立循環型住宅研究会・関東ゼミ2014の「温熱環境の基礎~断熱と日射熱取得~」に参加してきた。

講師は、岐阜県立森林文化アカデミーの辻充孝準教授。

H25年改正省エネ基準の断熱性能と日射熱取得の計算について具体的な計算方法を学び、結果分析から実務に活かす力を身に着けるのが目的というので、3時間勉強してきた。

講習会や本ではよくわからなかった事が、辻先生の実務者サイドに立った話を聞くことで整理することができ、一層理解が深まった。

とりわけ、H25年省エネ改正の躯体性能基準である外皮平均熱還流率の詳細計算法と簡略計算法による結果の比較は、とても参考になった。

エクセルやプログラムを導入すると早急に結果は導き出されるが、理解を深めるには手計算をしてみるのが一番早い。

申請は簡略計算法(従前の仕様規定にかわるもの)で行っても、設計実務は詳細計算法(性能規定)を行い検討した方が良い。簡略計算法では1割程度安全側になる。

審査側と設計実務者と両方の立場を経験してみると、それぞれの法に対する理解の深さが異なることがよくわかる。

与条件と結果だけでプロセスはブラックボックスとなっている天空率、日影、避難検証法等と同様に省エネ法も性能規定に振れてきた。審査機関側の審査体制づくりも中々大変だろう。

モデルの外壁断熱材を変更したときの外皮平均熱還流率(UA値)、熱損失係数(Q値)、外皮平均日射熱取得率(ηA値)、夏季日射取得係数(μ値)を計算して提出(MAIL)すると、辻先生の作成したサポートツールがもらえるという、異例の宿題があるゼミなのだが、そこがかえって良いことだと思った。

「自立循環型住宅への設計ガイドライン・入門編」講習会に参加してきた

自立循環型住宅ガイドライン

4/24 「自立循環型住宅へのガイドライン・入門編」国土技術政策総合研究所・建築研究所監修の講習会に参加して来た。 「エネルギー消費50%削減を目指す住宅設計」として2005年(H17年)に発表されたガイドラインで、掲載されている情報は若干古かったが、講師の野地政宏さんの話は、実務者の側に寄り添った講義でとても有意義だった。

このガイドラインの技術的内容は、住宅金融支援機構のフラット35やエコポイント等で すでになじみのあるものが多かったが、住宅のパッシブデザインを検討する上では、とても参考になった。 建築の設計を進めていくうえで、エネルギーに関するシュミレーションツールを使いながらスタディするのは、あたりまえの時代になってきている。 野地さんは、スケッチアップを使った日照の内外部の3Dシュミ―レーションを見せてくれたが、日影図等の二次元的なものだけではなく、建築主にもわかりやすい3Dを使いこなすことが必要となるだろう。

住宅のパッシブデザインは、自然エネルギーを上手に利用していくということになる。 学生時代の民家の調査・研究から始まって、卒業時は「エネルギーと建築形態」というテーマを持っていたのだが、日常業務に追われ、いつかしか忘れていた。

3.11以降、「エネルギー」と「本当の豊かさ」について考えることが多い。

「死」を意識し始めた年齢になってきて、残された時間に何をテーマにしていくか模索中でもある。

もう、設計そのものの実務からは10年以上離れてしまったが、小さなパッシブデザインの住宅を設計し、できるだけ自分の手で施工してみたいという願いは捨てきれないでいる。

それにしても、たまの講習会に出席すると疲れる。

次回のゼミは「温熱環境の基礎~断熱と日射熱取得~」の計算方法を学ぶ。楽しみだ。