「ユニコーンに乗って」

2022年に放送されたTBS火曜ドラマ。

最近ネットフリックスで一気に観てしまった。

実務に追われていると逃避的になる悪い癖

デジタルとアナログの融合のような、何だかほんわかするドラマ。

このドラマのロケ地には、幾つかの図書館が登場する

その一つが「武蔵野プレイス」(武蔵野市図書館分館)

正式名称は、

武蔵野市立「ひと・まち・情報 創造館 武蔵野プレイス」

図書館をはじめ生涯学習支援、市民活動支援、青少年活動支援の

4つの機能を備えた複合機能施設。

設計は、川原田康子と比嘉武彦によるアトリエ事務所「kwhgアーキテクツ」

雑誌で見て知っていたが、まだ実物は見に行ったことがない。

でも、可愛らしい建物だ

その他に、山梨県立図書館

主人公達の出身大学として登場してくるのが三鷹の国際基督教大学

緑豊かなキャンパスが印象的だった

そしてドリームポニーが入居しているビルとされていたのが、

H1O 神田

見慣れている建物がドラマに出てくると親しみが沸く

「LB 244+1」李鳳宇著

「LB」李鳳宇(リ・ボンウ LEE BONG WOO)さんが配給とプロデュースを手掛けた映画は「244」本あり、「+1」として、2023年「パラサイト 半地下の家族」の世界初舞台化を手掛けている。この「244+1」の全作品について自ら書きおろし振り返った、回想録のようであり、まるで日記のような本。

「シュリ」の大ヒットにより、日本映画界におけるアジア映画の市場を築いた人であり、「JSA」でパク・チャヌクを、「殺人の追憶」でポン・ジュノを日本に紹介し、いまや韓国のトップ俳優になったソン・ガンホの作品を8本も配給している。今日の韓国映画・ドラマのムーブメントの礎をつくったのが李鳳宇さんだった。私が韓国映画を沢山見るようになったのも、これらの映画がきっかけだったので、この本を一気に読んだ。

李さんは、イギリスのケン・ローチ、マイケル・ウィンターボトム、デンマークのスサンネ・ビア、アメリカのトッド・ソロンズ、ドイツのミヒャエル・ハネケと世界中の巨匠たちの初期からの作品を配給してきたことがわかる。これだけの配給を行いながら日本映画の製作も行ってきた。「月はどっちに出ている」「フラガール」「パッチギ!」などの多くの名作を生みだす。さらに是枝裕和、岩井俊二、中島哲也、西川美和らの初期作品にもかかわってきた。李さんの30年を振り返るとつくづくすごい人だと思う。

映画は圧倒的にマンパワーが必要で、意思を同じくする人が集まって、映画を成功させることが大事だと書かれていた。そういえば映画の撮影現場は、例えば「黒澤組」とか呼ばれ、監督の周りに人が集まってくる。建築も大規模のプロジェクトになるとマンパワーが必要で、制作スタイルは似ていると思った。

この本で、見ていない映画がいっぱいあることを知った。この本をガイドにしばらく映画の世界に浸れそうだ。

「シネドラ建築探訪」文・イラスト 宮沢洋

元日経アーキテクチュア編集長の宮沢洋さんが綴る映画やテレビドラマという映像の中で描かれた建築家や建築。

建築家に焦点をあてているのは興味深い。さらっと読めた。

これまで観た映画やドラマも沢山紹介されていて新鮮味は少なかったけど、この映画の主人公の建築家をこういう視点でみるのかとか、切り口が面白かった。

NHKの土曜ドラマになった横山秀夫氏の小説「ノースライト」。このドラマで「Y邸」がリアルに映し出されるのだが、こんな住宅が物語の中とは言え「平成すまいの200選」に選ばれ、作品と呼べる住宅なわけないだろうと思っていたが、宮沢氏もそのことを思っていたらしく「ノースライトでコンペをやろう!」と書いていた。

見たことが無かつた映画では「ホテルローヤル」というラブホテルの社会性を描いた作品に興味を持った。U-NEXTで見れるらしいのでカードを買ってこよう。

この本では取り上げられていないが、Netflixで観た漫画家の小山愛子さんの原作ドラマ「舞妓さんちのまかないさん」にも、師匠格の建築家と若い建築家が登場し、舞妓さんと織りなす心模様が挿入されていた。下世話だけど京都で仕事をしていると祇園で接待されることもあるのかなと・・・まあ ちょつと羨ましかった。是枝さんが総合演出したという、このドラマはちょっと消化不良かなとも思ったけど。

映画の中で描かれた建築といえば、私は第一にゴダールの「軽蔑」の舞台となった、イタリア・カプリ島に建つVilla Malaparteを思い出す。

この事は、本ブログでも取り上げた事がある。

ヴィラ・マラパルテ -1 / Adalberto Libera

最近、又 ゴダールの映画を観直している。若い時以来だから半世紀ぶりくらいにゴダールの世界に触れている。最近は古い作品なのでDVDも一本1000円ぐらいで買えるので、少しコレクションしようかなと思う。

マイ・ディア ミスター

2018年に韓国で放送されたテレビドラマ「マイ・ディア ミスター~私のおじさん」。

今回は、映画の中の建築ではなく構造技術と構造技術者の事について書いてみる。主演はイ・ソンジュンと歌手のIU。イ・ソンジュンの役どころが大手建築エンジニアリング会社(建設会社と解説している人もいるが、耐震性能評価をしているので私は違うように思う)に勤める構造技術者。新築建物の設計をする構造技術者のエースだったのが、後輩が社長になり安全診断チームの部長に左遷されたという設定。この安全診断チーム3は、どうも建物の耐震診断を行う部署らしく、他の2チームに比較して大規模な物件を担当しているが技術者は4人だけ。耐震診断の現場調査にも出向き、クラックスケールをあたる場面やドローンで塔のクラックを測定するところなど現場調査の場面も随所に展開されていて、とても親近感を覚えた。またセリフに建築や構造に関する専門用語が散りばめられているので興味深く見てしまった。

さて「大韓民国(以下韓国と略す)では、過去2世紀の問、地震活動度は大変低かった。そのため、20世紀後半まで地震荷重は、建築物や橋の設計において無視されていた。1978年にSeoulの南約200kmに位置するHong-Sungで、起こった地震は韓国国民に地震被害の恐ろしさを改めて思い起こさせる契機となった。1985年にメキシコ地震が起こるに及んで、緊急に耐震設計を導入することとなった。すなわち、20階建て以上のすべてのマンションは、アメリカのUBCに規定されているZone2の耐震設計にしたがって設計されることとなった。1995年兵庫県南部地震は、その人的および物的被害の甚大さにより、韓国での建築物の耐震性を見直そうとする気運を盛り上げた。また、1999年9月に起こった台湾での地震はこの気運をさらに加速することとなった。
韓国は、地震国ではないように考えられがちであるが、実際にはそうではない。1400年から1800年の間に、改正メリカリ震度階で7よりも大きな地震の回数は、152回を数える。1801年から現在までは、その数は大きく減少しているが、計測機器の発達もあり、今世紀に入札増加する傾向を見せている。このような状況のもと、1988年には最初の耐震設計基準が施行された。その後、10年以上が過ぎ、現在基準の見直し作業が行われている」(出典:「大韓民国における建築物の地震被害低減に関する国際共同研究」京都大学2002-03)

そうした中、2016年に慶州地震(M5.8)、2017年に浦頂地震(M5.4)と立て続けに内陸部に被害を及ぼす地震が発生している。

韓国では、2005年以前に建設された3階建て以上の民間建造物のほとんどに、耐震設計がなされていないようで、このドラマの背景には韓国の既存建物の耐震化という差し迫った社会的要求があるようだ。

このドラマを見て、韓国の耐震性の問題、RC建物の構造特性やソウルの住宅事情を知ることができた。

ドラマは、会社組織の派閥争いの中での中間管理職の苦悩やシニア世代の様々な苦悩が描かれていて、余韻が残るドラマに仕上がっている。私は全体として秀作だと思つた。歌手のIUは現代子のチャラいねーちゃんかと思っていたが、セリフが少ない表情のない役柄は彼女のミステリアスな面を引き出している。

「構造技術者は利害関係に左右されず、まず第一に構造技術の観点で判断・評価すべし」パク・ドンフン部長の言葉にしびれる。

BORGEN(コペンハーゲン/首相の決断)

デンマーク初の女性首相を主人公にしたヒューマンドラマで、首相として厳しい決断を強いられながら、家庭生活との両立にも葛藤していく姿が描かれている。3シーズン全30話からなる作品をNetFlixで見終えた。最近は、欧州ドラマ、とりわけ北欧の作品に嵌まっている。

映画やドラマを見ていると 色々な建築に出会える。特定できる場合もあるし、印象には残っているが、建物を中々特定できない場合も多い。

このドラマの中で、見覚えあるなあーと思っていたのが、シーズン3の第1作目で穏健党党首選挙の会場として登場した「アーケン美術館」。私のヨーロッパ建築のバイブルである「ヨーロッパ建築案内・第3弾」の中では、「アルケン近代美術館」。

ソーレン・ロバート・ルンドが、1988年25歳の時にコンペで勝ち取った作品で当時 衝撃的だった。この建物は、相互貫入した有軸性による複雑な平面でデコン建築の代表作になった。完成したのは1994年

映画の中の建築に魅了されることが多い。

旧京都市立清水小学校 @ 映画の中の建築

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昨年2015年8月8日に公開された「日本のいちばん長い日」には、多数の戦前の建物がロケ地にされている。

日本のいちばん長い日 ロケ地

その中のひとつで記憶に残っていたのがこのシーンに使われていた建物

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映画の中では、陸軍軍事課・軍務課・情報局オフィスのシーンで使われた。

徹底抗戦を叫ぶ青年将校達が作戦を立案したり、東条英機に徹底抗戦を促されるシーンのロケ地。映画の中では、わりあい重要なシーンの背景になつている。

そのシーンのロケ地が、「旧京都市立清水(きよみず)小学校」。「きよみず」と言われるとピンとくるでしょ。そう「清水寺」の近くにあった小学校。

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この建物は、昭和8年に竣工し平成23年3月に閉校した御年83歳の老建築。

しかし、この建物なかなか風格がある建物で、メンテナンスが行き届いていたのか状態が良い。京都市から耐震診断の報告書が公表されているがIs値もそんなに悪くない。

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映画の中で一番多く登場する講堂

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階段

実は、この建物 2004年「京都市資産有効活用基本方針」に基づき、2016年にプロポーザルが行われ事業者が選定される予定だ。立地的にホテルやブライダル施設への転用が計画されている。一方、民間事業者に賃貸することに対して地元の人たちの反対意見も多いようだ。