用途変更の設計者資格と工事監理者

先般 用途変更の確認申請書類を役所に受理しに行った時の事。

副本に、「着工前に工事施工者届、工事監理者届を提出してください。それが提出されていないと工事完了届は受理できません」とメモしてあった。

「用途変更は工事監理者不要では?」「(法第87条の)準用規定から除外されているはずだよ」役所担当者「ちょつと調べてみます」

用途変更については、建築基準法第87条の準用規定に於いて、100㎡超の特殊建築物の用途に変更する場合に建築確認申請が必要とされています。
しかし、法第87条の用途変更の確認に対する準用規定に於いては、法第6条3項は除外されています。
即ち、用途変更については建築士法第3条の建築士の業務範囲が確認申請を受理を拒否する理由にはなりません。
つまり、用途変更確認申請・設計は、資格に関係なく誰でも行うことが出来るという事になります。ただし これは申請上のことで、業務として報酬を伴うものは建築士事務所登録が必要となります。

建築士法第3条の、資格による業務範囲についても、新築、増築、改築、大規模修繕、大規模模様替えについては、可能な設計・工事監理の範囲を定めていますが、用途変更については記載がありません。用途変更をするに当たり、増築・改築・大規模修繕・模様替えが伴わないのなら、工事監理者の資格もその存在も問われません。

しばらくして役所担当者「工事監理者届は不要です」との回答。

現在では、この用途変更に関わる部分の建築基準法・建築士法の規定は問題ありだと思います。

例えば床面積10,000㎡の用途変更や10階建てのビル全体の用途変更(フルコンバージョン)でも工事監理者が不要という事になります。設計者の資格も問われない。工事完了検査は不要で工事完了届(ただし監察対象となる場合がある)のみというのは、いかがなものでしょうか。これで遵法性を保持できるでしょうか。

用途変更の確認申請料が民間でも役所でも低価格すぎないか? 少し申し訳なささもありますので、料金についてもここに記しておきます。

又、用途変更は建築確認申請に際して「建築工事届」の提出が不要な為、国交省の統計データーから除外されてしまいます。どのぐらい用途変更の確認申請があるのか、実態は消防の統計データーで把握しなくてはならず、総務省のデーターに依存しているような状態です。ちなみに東京消防局では、この数年年間600件前後の同意数があり過去から見ると飛躍的に用途変更の件数が増加しています。

士法19条は、まもられているか

建築士法第19条「設計の変更」に関わるトラブルは昔から結構ある。

「設計監理契約が途中で解約となり、自分の設計をほとんど利用して、別の設計者が設計して建物を完成させた。」「工事監理が別の設計事務所になり、計画変更確認申請が出されたが、承諾を求められなかった」等

長く設計事務所を営んでいる人なら、こうした建築士法第19条にまつわる発注者とのトラブルは大なり小なり経験している事だろう。

建築士法第19条はこう書いてある。

(設計の変更) 
第十九条 
一級建築士、二級建築士又は木造建築士は、他の一級建築士、二級建築士又は木造建築士 の設計した設計図書の一部を変更しようとするときは、当該一級建築士、二級建築士又は木造建築士の承諾を求めなければならない。 
ただし、承諾を求めることのできない事由があるとき、又は承諾が得られなかつたときは、自己の責任において、その設計図書の一部を変更することができる。

「設計を変更しようとした場合、原設計者の承諾を得られない場合は、自己責任において変更できるとあるが、 もし杭や基礎、RC部の躯体を変更せずに、構造計算書による耐力の範囲内で屋根や間取りが変更された場合、杭、基礎、RC部の躯体の設計責任は弊社に残るのものなのか?」という質問があった。

第三者が監理を行う場合、設計者が参加しない「設計変更」とその場合の「設計責任」について私見を述べた。

「 設計変更を承諾するのは建築士法で設計者となっています。しかし建築士法第19条のただし書き「承諾の得られない事由」がありますのでその解釈によっても捉え方が変わると思います。

以前 知人の事務所が施主と意見があわず工事監理者により計画変更がなされた時にまず、文書で建築士法第19条に基づき「計画変更願い」(図面等添付)を提出させました。

設計者からの回答として「承諾できない旨」の文書を発行し「設計を含めた全責任を工事監理者が請け負うことの趣旨の念書」を書いてもらった事があります。

上記について弁護士と相談し対応しました。

設計者の承諾なしで行われた設計変更に起因する不具合や瑕疵は、設計者にとっては民法上も免責事項になります。

但し、知っていて何も行動しなかったときは、請負人が負う、
「知りて告げざりし責任(民法640条)」が類推適用され責任を問われる場合があります。

今回は設計変更を知ってしまったので逆に何らかのアクションをしないとまずいのではないかと思います。

設計者と監理者の意見が異なった場合に生じた事項に対する責任は、決定に至った状況によりますので、何ともいえません。

また建物全体は一体性がありますから部分の変更にともなう全体や他の部分への影響は、因果関係の証明に苦労します。

発注者の意志で、設計者を参加させないで変更しても良いかとなれば、設計者の承諾を得ない限り、建築士法(設計者の承諾義務)、著作権法(同一性保持権)に違反することと思います。

いずれにしても弁護士に相談しながら対応し、設計者としての保険をかけておいた方が良いと思います。」

と回答しておいた。

この件は、どうやら確認済証が出ているので、工事取止め届を出して、工事監理者が設計変更したもので確認申請を出しなおす方向で、発注者と話し合いがまとまりそうだとのことだった。

弊社の裏メニュー的な業務として「建築法務」がある。建築界も表面には出てこないがトラブルは結構ある。

一級建築士定期講習・修了書

先月講習を受けた一級建築士の定期講習の修了書が昨日 書留で送られてきた。

40問中38問の正答で95% 2問間違ったようだが どこかな~。

おりしも 一級建築士の資格詐称が 昨日国交省から5件報告されていた。これまでに摘発された詐称は20件になるという。

今まで資格証を照合するシステムがなかったのだから、突合していけば まだでてくるかも知れない。

基本は個人の倫理の問題だけど、長年照合システムをつくらないで放置してきた責任は あまり問われない。

一級建築士定期講習

11/6  終日 一級建築士定期講習だった。

今更と思うかもしれないが、この間まで指定確認検査機関に勤めていたので、定期講習を受けないでいた。

それで今頃になって講習を受けた。

日程の都合で、総合資格学院の新宿校での定期講習を受講した。

ビデオの講師が喋るものを見て聞く講習会に参加したのは始めてだったが、時間ぴったりに編集されていて、まあ これはこれで一定の水準の講義が出来るので良いのかもしれない。

内容は法令の改正要点がまめられていてわかりやすかった。建築士法の改正から各種の法令と多岐にわたっていたが全体的には定期講習は為になる。

終了考査は簡単だった・・・。