建築基準法に対する解釈等に疑義が生じた場合、一部の指定確認検査機関では、特定行政庁に設計者を出向かせ、特定行政庁の運用や解釈を確認させている例が見られます。
埼玉県では、埼玉県内を業務区域とする指定確認検査機関の長あてに、埼玉県都市整備部建築安全課長名で平成27年5月25日建案第255号で「建築基準法に対する解釈等に疑義が生じた場合の対応について(通知)」を発出しています。
疑義が生じた場合は、「計画内容を十分把握し貴機関の見解を踏まえたうえで、建築基準法第77条の32第1項の規定に基づき、直接貴機関から所管する建築安全センターに問い合わせるよう、改めて通知します。」
平成23年にも同様の通知が発出されていますから、どうやら守られていなかったようです。
これらの通知に書かれている事は、正しいのですが、この法第77条の32第1項の規定による「照会」を、正式文書として送付するとなると結構手間がかかり、日数も必要とします。
まず送り手側の指定確認検査機関では、設計者から相談→検討→文書起案→機関内決済→特定行政庁送付となります。受け手の特定行政庁でも文書受理→検討→稟議起案→稟議→決済→文書送付となります。文書ではなく特定行政庁の担当者から電話がかかってきて終了ということもあります。
法に基づく正式文書となると、かなりの日数が必要となることが理解できると思います。
指定確認検査機関の側では、事前相談の段階では「照会」を文書では発出できないというところもあるし「照会」そのものを断るところもあります。
どの業界・業種でもそうですが、弾力的な対応でフットワークの軽い人は人気があります。
法第77条の32第1項では、この「照会」は「文書」でとは規定されているわけではありませんから、指定確認検査機関から特定行政庁に電話や相談・打合せに行ってもらえるフットワークの軽い人が尊ばれる傾向にあります。
大体、こうした照会をしたい事項は、各種解説書、事例、通達等には参考例がなく、特殊な事例で判断に悩むからで、指定確認検査機関だけで判断させるにはヤバ過ぎるから特定行政庁の見解も聞きたいものなのです。
そこで指定確認検査機関の中に誰かいないかと探してみます。これは会社ではなくあくまでも個人の資質なので、会社の規模とかはあまり関係がありません。でもそういう人材は減ってきていますね。