神戸北野町の伝統的建造物保存地区を歩いた
ラインの館(旧ドレウェル邸)は大正4年(1915年)に建設された
木造2階建て、寄棟造り、桟瓦葺、外壁下見板オイルペンキ塗り
階段付き玄関ホールにも暖炉がある
階段
応接間
建築法務/ 建築ストック再生・活用 /長寿命化/ 環境建築 / 建築設計監理 / ㈱寺田建築事務所・一級建築士事務所
2013年8月に訪れた細見美術館の写真は、見栄えの良い部分のみカットして掲載した。
細見美術館を訪れた個人的感想と あまり美しくない写真を幾つか掲載しておく。
建築空間としては立体的構成でとても楽しい。この頃のプランテックの作品は好きだ。聞くとこの作品に関わったスタッフは大江匡さん以外は事務所に残っていないらしいが。
地下2階部分は黴臭い・地下水位の高い京都で適切な階層構成だったか疑問
ひとつの展示室から移動する時、一旦外部の中庭部分に出るため展示室が外部環境の影響を直接受ける。
そのために、シューケース内で管理された美術品しか展示できない。しかも展示物の出し入れの時に細心の注意が必要になる。
展示室に来館者が出入りする度に展示室内部環境はコントロール不可となる。
地下二階のアートギャラリーの前には、こんな屋根が出来ていた。いろいろな物品が階段下に置かれたり、壁に立てかけられ倉庫状態になっていて見苦しい。
私設美術館でも細部に神経が行き届いた施設管理をしてもらいたいものだ。
下がアートギャラリーの前の屋根。
非常用照明器具は、マーケット・病院・劇場・ホテルなど多数人の集まる場所で、火災その他不慮の事故で停電したとき、居合わせた人々を速やかにかつ安全に避難できるように、室内や通路を照らし出す照明器具。
既存建物を調査して思うのは、この非常用照明があまり大事にされていない事だ。
電池が無いもの、電球がないもの、非常用照明そのものがなくなってしまったりと 扱いがおざなりにされている建築設備のひとつ
テナントが入居しているビルでは、工事区分がビル所有者工事とテナント工事区分とに分けられたりするが、防災設備関係はビル所有者工事区分になることが多いせいか、店舗の照明器具は新品だけど、非常用照明だけはタバコヤニで黄ばんでいたりする。
■非常用照明器具の基本要求機能
【1 照明器具】
(1)直接照明で、床面において水平面照度で1lx(蛍光灯の場合は2lx)以上確保できること(地下街の地下道は10lx以上)
(2)常用電源が保たれた時、予備電源により即時点灯する光源を有すること。
(3)周囲温度の40℃の雰囲気の中で30分間点灯を維持できるものであること。
(4)照明カバー、その他付属するものを含み、主要な部品は不燃材料にて造り、または覆うこと。
■電源
電池内蔵型と予備電源別置型がある。どちらを選定するかは建物の規模、構造、用途、取り付け場所、配線の方式、耐熱処理の有無、電源の種類などにより異なるため、その都度検討する必要がある。
【1、電池内蔵型】
電池内蔵型は配線規制を受けない。また、予期しない事由により、器具に至る配線がしゃ断されても点灯するので、安全で非常用照明装置を設ける目的に合致。配線規制のないこと、予備電源装置が不要で施工が簡単。
【2、予備電源別置型】
予備電源を別置する場合は、配線は耐火規制を受けるが、予備電源の寿命が長く、電源確保の信頼性が高い。
また、内蔵電池がないので、器具の意匠上も有利。
一般的に電池内蔵型は設備費は割高だが、予備電源が不要で、配線規制を受けないことで増築、改築の場合や小・中規模の建物に適している。大規模の建物では、予備電源装置が必ず設けられるので、電池内蔵型より予備電源別置型の方が経済的。
■非常用照明器具の配置設計
【 照明設計上の注意事項】
(1)照明範囲〔令第126 条の5、告示1830 号、通達住指発第44 号〕
照明は直接照明として、床面において水平面照度で、1 lx 以上の照度を確保します。蛍光灯を使用する場合は、常温において、1 lx 以上というのを、2 lx 以上におきかえて設計する。
床面必要照度は、避難行動上のさまたげとならない隅角部や居室、通路、階段などで柱の突出による陰の部分や物かげなどを除いた部分で規定の照度が確保できるように計画する。
京都宇治の西方、木津川・宇治川・桂川の合流点近くの男山山上に岩清水八幡宮はある。
夏の夜のライトアップがあることを知り、車で出かけてみた。(8月末に終了した)
京都市街からは、高速道路で30~40分程度だろうか。
夜の7時からのライトアップ開始なのだが、ケーブルカーを降りてから山道は暗かったのだが本堂周辺の空は、まだ陽が沈みかけというところだった。
豪壮な楼門。
本殿は、この後ろにあるのだが、ともに重要文化財。
朱色の丹塗りと極彩色の彫刻で飾られた絢爛豪華な造り。
建築的には「八幡造り」(前後に社殿が連なる)の形態を今に残す貴重な建物。
前後二棟(内殿・外殿)からなる八幡造りの社殿建築様式は稀少で、桧皮葺屋根の軒が接するところに織田信長公寄進の「黄金の樋」(金箔貼り)が架けられている。
この軒が連なる構造がゆえに、大きな樋が必要なので雨の少ない関西より西しか「八幡造り」は作られなかった。
前が神様のパブリックなスペースで後ろがプライベートなスペースと考えても良さそうだ。
岩清水八幡宮は京の裏鬼門(西南)にあたる。
王城鎮護のため、貞観元年(859年)に豊前国(現在の大分県)の宇佐八幡を勧請して創建されたと書いてある。
「貞観」と聞き 、 かの3.11東日本大震災を想起した。
貞観地震(じょうがんじしん)は、平安時代前期の貞観11年5月26日(ユリウス暦869年7月9日[2]、 グレゴリオ暦7月13日)に、日本の陸奥国東方沖(日本海溝付近)の海底を震源域として発生したと推定されている巨大地震である。
岩清水八幡宮があの時代1000年以上前に創建されたのだと知り、歴史の長さを感じた。
本殿への入口
解説付きの本殿の回覧を終えると、たっぷりと陽は落ちていた。
土塀のライトアップ
岩清水八幡宮は、源氏の氏神、現在の社殿は徳川家光の寄進とある。
時の権力者に庇護されて今ある神社だ。
最近はビジネスホテルの競争が激しいからだろうか、平日の宿泊料金が安い。
聞くと土曜日だけは、倍ぐらいの価格になるらしい。
ネットで予約すると更に割引があるし、繁華街から少し離れたところが狙い目だ。
写真は、京都で宿泊したビジネスホテルの朝食(500円)
建物調査等の仕事で出かけると、ホテルに着くなりカメラバッテリーの充電、画像の整理、調査事項を書きとめた野帳の整理とあわただしい。
シャワーを浴び、ベッドに横たわると もう外出などしたくなる
その土地の美味しいものを食べたいとは思うが、地元の人に紹介された店以外では、自分で探して、巡りあうのは難しいし、一度ホテルに入ると億劫になる。
夜は、その都市の特定行政庁の建築条例や取り扱い基準を再確認したりと その日のうちに問題点を整理したりすると、あっという間に時間は過ぎる。
各都道府県では、屋外広告物法という良好な景観を形成し、若しくは風致を維持し、又は公衆に対する危害を防止するために、屋外広告物の表示及び屋外広告物を掲出する物件の改定並びに、これらの維持並びに屋外広告について、必要な規制の基準を定めることを目的とした法律と条例がある。
看板の大きさや高さ、道路や歩道への越境、指定地域での配色の規制など、政令や地域の条例に適合する必要がある。
これらの屋外広告物・工作物・道路占有許可を出すのは通常では看板屋さんなので、建築士の方はあまり知らない人が多い。
規制がある看板の名称と分類
A)屋上広告塔看板・・・・・・・・・大きさの制限・高さの制限
B)袖看板・・・・・・・・・・・・・・・・・道路・歩道への越境は道路占用申請必要
C)壁面看板(内照式看板) ランマ看板とも呼ぶ・・・・道路・歩道への越境
D)ポール看板・・・・・・・・・・・・・ 高さの制限によって工作物申請が必要
E)スタンド看板 ・・・・・・・・・・・・地域によって設置不可の場所
F)窓面サイン・シート文字 ・・・・表示総面積によって申請必要
詳しい規制内容は各都道府県で異なる。
街を歩いていると実に多くの看板類が目に付く。
何故にこんなにもサインや看板を建物に身にまとうことが必要なのだろうかと思うのだが、それは別として、注意深く観るとかなりの数の看板が道路境界を越境していると気がついた。
それらは本当に、道路占有許可を取得しているのだろうか。
例えば東京都の道路占用許可基準
道路上またはその上空に施設や工作物を設置する場合、歩行者や車両が安全かつ円滑に通行できるという道路本来の機能を阻害しないよう、設置について許可を得なければなりません。
設置できる場所、物件、規格などには基準があり、この基準に合わない場合は許可できません。
日よけが越境する場合の許可基準を下記に記載するが、この「日よけ」がテント生地で出来ているものは建築物か否か。
テント製小庇については、「建築物の防火避難規定の解説2012」(質問と回答№14)や「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」13頁に記載されているが、どの程度の大きさのものまでを建築物として取り扱わないで良いと考えるか。
とっても悩ましい部分があるのだが、それは建築基準法の世界の話で道路法の世界では許可を取れば越境していても良いらしい。
建物に設置する日よけは、その規格が東京都の定める許可基準内であれば、設置が許可できます。
ただし、特定の場所であったり、周囲の状況によっては基準内であっても許可できないことがあります。
歩道上空と歩道のない道路上空では路面からの高さの基準が異なります。
日よけ下端の梁より下に布やその他のものをつり下げることはできません。
【歩道上の日よけ 解説図 (歩道上の日よけ)】
歩道の上空に日よけを設置する場合、道路境界からの出幅が1m以下で、路面から日よけの下端までの高さが2.5m以上であれば許可できます。出幅が1mを超えるもの、路面から日よけ下端までの高さが2.5m未満のものは基準外となり許可できません。
【歩道の無い道路上の日よけ】
歩道のない道路の上空に日よけを設置する場合、道路境界からの出幅が1m以下で、路面から日よけ下端までの高さが4.5m以上であれば許可できます。
出幅が1mを超えるもの、路面から日よけ下端までの高さが4.5m未満のものは基準外となり許可できません。
また、車道幅員8m未満の場合、出幅は0.5m以下となります。
一条戻橋(いちじょうもどりばし)は、京都市上京区の、堀川に架けられている一条通の橋である。
単に戻橋ともいうそうだ。
オカルト愛好者の聖地だそうだ。
戻り橋から南をみる
遊歩道から見た戻り橋
794年の平安京造営のときに架橋され、橋そのものは何度も作り直されているが、現在でも同じ場所にある。一条通は平安京の一番北の通り「一条大路」であり、洛中と洛外を分ける橋でもあったそうだ。
現在の橋は1995年(平成7年)に架け直されたもので一条戻橋の近くにある晴明神社には、それ以前の一条戻橋を実際の部材を使って再現したミニチュアがある(上の写真)
安倍晴明は十二神将を式神として使役し家の中に置いていたが、彼の妻がその顔を怖がったので、晴明は十二神将を戻橋の下に置き、必要なときに召喚していたという。
仕事で吉祥寺に行ったおり、楳図かずお邸の場所を教えてもらい見に行ってきた。
道路から駐車スペース分奥まり、大きな木立がさえぎり 紅白の縞模様は目立たない。
わずかに屋根の上に突き出たトップライトがかわいらしい。
2009年に景観論争で有名になった家だが、この当時も「周囲の目を引くが、景観の調和を乱すとまでは認められない」という東京地裁判決だったが、新築当時より一層目立たなくなった。
今でも 見に訪れる人が絶えず吉祥寺の名所になりつつある。
◆楳図さん宅景観乱さずと東京地裁 赤白ボーダー壁撤去不要(共同通信)
漫画家楳図かずおさんが東京都武蔵野市に新築した自宅をめぐり、周辺住民2人が「景観破壊だ」として、楳図さんのトレードマークの赤と白の横じま(ボーダー)模様になった外壁の撤去などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(畠山稔裁判長)は28日、「周囲の目を引くが、景観の調和を乱すとまでは認められない」とし、請求を棄却した。
赤白横じまのネクタイ姿で入廷した楳図さんは判決後、「少し早く春を感じさせてもらった。(今後の近所付き合いは)素直にやっていきたい。多少間を置くのも仲良くする方法で、気を配りながら生活をしていきたい」と笑顔で話した。
外壁の横じまは約50センチ幅。屋根に設置された赤い煙突状の塔にある2つの丸い窓は、作品の人気キャラクター「マッチョメマン」の目をイメージしたという。
住民側は2007年、建築工事の差し止めを求め東京地裁に仮処分を申し立てたが、却下されたため提訴。自宅は昨年3月に完成した。(2009-01-28 16:47:48)
下の写真は 新築当時の楳図かずお邸