2023年(令和5年)4月1日より、建物用途限定で大規模庇の建築面積が緩和される。
令和5年国土交通省告示第143号
対象は「工場又は倉庫」で「貨物の積卸し等の業務」。建物の一部に当該用途があっても適用。
柱で支える形式の軒は不可。
緩和されるのは建築面積のみ。
建築法務/ 建築ストック再生・活用 /長寿命化/ 環境建築 / 建築設計監理 / ㈱寺田建築事務所・一級建築士事務所
2023年(令和5年)4月1日より、建物用途限定で大規模庇の建築面積が緩和される。
令和5年国土交通省告示第143号
対象は「工場又は倉庫」で「貨物の積卸し等の業務」。建物の一部に当該用途があっても適用。
柱で支える形式の軒は不可。
緩和されるのは建築面積のみ。
2022年の10月に出版されて新年早々に購入したのだが、ちょつと目を通すのが遅くなった。2009年(平成21年)に出版されてから改訂を重ねている。
この本は、昨年2022年12月に発行された「近畿建築行政会議 建築基準法 共通取扱い集」2022(第2版)とは違い「改訂項目一覧表」が記載されておらず、前回の2017年度版から改訂がないもの、内容が改訂された項目、条項ずれや文書等を整理した項目、新規の項目、削除した項目等は自分で差分を確認しないとならず、読者がそれなりに勉強しなければならない本となっている。
追加項目で目立つのは「用途規制(法48条)」に関わるものだ。
例えば【学校等】では、「こども食堂」「プリスクール」「日本語学校(日本語教育機関)」。
【老人ホーム等】では「こども送迎ステーション(送迎保育ステーション)」
【老人福祉センター等】では、「高齢者向けふれあいサロン」「就労移行・継続・定着支援事業の用に供する施設」「居宅介護・重度訪問介護又はこれに相当するサービス事業の用に供する施設」。
【物販店舗等商業施設】では、「スポーツ振興くじ及び宝くじ売り場の用に供する施設」「eスポーツ施設」「レンタルスペース」
【事務所】では「インターネット通信販売を行う兼用住宅の非住宅部分」「住宅宿泊管理業者の営業所又は事務所」
【工場等】では、「義肢装具(補装具)の製作所」「細菌培養加工施設」
【ホテル又は旅館】では、「ホテル・旅館のフロント代替設備を有する建築物」「簡易宿所の共同玄関帳簿」
【動物関連施設】では、「全天候型の屋内ドッグラン」
用途規制は時代を映す鏡のようなものだけど、実態が良くわからないものもある。
新たに追加された項目については概ね確認したけれど、修正文章等の箇所の確認はこれから。法令に関して自分の頭をバージョンアップさせるのには、それ相応の時間と努力が必要。
プリスクールとは、欧米では5歳以下の子供が通う幼稚園や保育所を指すらしいが、日本では、概ね3歳から就学前の子供を対象に、主として英語を基本とした環境で保育又は教育を行う施設の総称として使われている。インターナショナルスクール(幼稚部)、キンダーガーデンなどと呼ばれている施設もある。
プリスクールの構成は「英語環境」「少人数制」「外国人講師(海外の幼稚園教諭又は保育士資格)と英語の話せる日本人スタッフが特徴となっている。
建築基準法の用途で言うとインターナショナルスクールの一種で「各種学校」や「無認可保育施設」の届出がないなものは「学習塾の類」として扱う事が多いが、これがまた実態が良くわからない。
一般的なオフイスをインターナショナルスクールとして賃借し、その後プリスクールとして事業を行い、知らぬ間に「無認可保育園」として届出していた事例がある。消防の定期点検で用途違反が判明し児童福祉法に規定される保育所への是正命令が発出された事例がある。
プリスクールが増えている要因として、東京の急速な国際化があげられるだろう。
東京都豊島区でも人口の10%は外国人で、エリア別でみると東池袋1丁目、池袋1丁目、池袋2丁目あたりでは25%程度になっているとの事だ。あと港区愛宕2丁目で約40%、港区赤坂1丁目で約32%、新宿区百人町2丁目、大久保2丁目でも約32%が外国人登録がされている。
200㎡以下だから用途変更申請は不要、用途は事務所の類ということで放置しておくわけにはいかない。施設が1階だけにあるならともかく、2階、3階、地階などにある場合には子供達の避難安全性を充分確保する必要がある。
とかく実態がわからず、用途判別があいまいになっているものは定期的な査察が必要だと思う。
2023年正月に注文し最初に読んだ本。
昨年2022年12月15日に発行された「近畿建築行政会議 建築基準法 共通取扱い集」2022(第2版)。
2014年(平成26年)5月に、この本の意匠分野が発行され、2016年(平成28年)に構造・設備分野の取扱いが発表された。そして今回、近畿建築行政会議が主体となり近畿建築確認検査協会と連携し編集委員として参画してもらい発刊に至ったと記載されている。
近畿圏内では府県市単位で発行している取扱い集等があるが、内容が重複する場合又は差がある場合等は原則としてこの本が優先する。
この取扱い集は「改訂項目一覧表」が記載されていて、第1版からの改訂がないもの、内容が改訂された項目、条項ずれや文書等を整理した項目、新規の項目、削除した項目が判るのが読者目線だと思うし第1版から第2版の差分が判るのは、とても使いやすい。
誰かが言ったが法律は「生もの」である。法の改正や取扱いが変われば、その時点で旧来の解説書の類は役に立たなくなる。変化に対応するスピードが必要で、近畿圏という多くの都道府県の特定行政庁と確認検査機関から意見を集め、内容を整理し発行に至るのは、相当のリーダーシップが必要ではないかと推測する。
新規の項目で目に留まったのは、「吹抜けを介した採光」の規定、「増築に該当しない項目」「屋根の修繕の取扱い」「排煙方式が異なる異種排煙の区画」「給水管等が防火区画を構成する床・壁と一体となる柱・はりを貫通する場合の取扱い」「法第86条の7第1項による増築又は改築を行う場合の既存エレベーターに遡及適用される規定」等が気になって注意深く読ませてもらった。
設計者にとって法律は「武器」である。日々鍛錬にいそしむ年にしたいと思う。
都内で建築設計をしている人に、本件の敷地形状を見せたら、ほぼ100%の設計者は東京都建築安全条例第10条に規定される「路地状敷地」の可能性があると最初に想起するのではないでしょうか。
【敷地形状】
「路地状敷地は区よって取扱いが若干異なる」が、東京都建築安全条例における路地状敷地とは「道路から見通せない死角部分がある敷地」という原則は変わりません。
本件の敷地形状を見ただけで死角部分がある路地状敷地であるというのは明白であります。
普通の設計者なら基本計画の初期の段階で行政に打合せをするような事項であると筆者は考えますが、最近の若い設計者はそうはしないようです。
ある設計監理契約を中途解約した事案で、契約解除をした設計者が東京都建築安全条例の路地状敷地認定について設計監理契約の標準外業務として追加報酬請求をしてきました。この設計者は基本設計がかなり進んだ段階で路地状敷地ではないかと建築主から指摘され、あわてて区の建築審査課に打合せに行っており、実際の業務は区の建築審査課との打合せだけで認定業務申請を行っていません。にもかかわらず路地状敷地認定業務費として60万円(税別)の請求を起こしてきました。
東京都建築士事務所協会の「建築士事務所の業務算定指針2022年版」には、標準外業務の参考例が記載されていますが、この中に路地状敷地認定の業務は記載されていません。また設計監理契約で路地状敷地認定業務を標準外業務とするという取り決めはなされておりませんので、業務の難易度や作業量から考えても基本設計に含まれるものと判断するのが妥当だと思うと意見を述べました。
実際のところプロジェクトを完遂させた別の設計監理者が路地状敷地認定業務を行い。これは通常の設計業務の中に含まれるとして別段追加請求は有りませんでした。
この追加請求をしてきた設計者曰く「路地状敷地だと建築主側から与条件として与えられなかった」。ほとんどの抗弁が「言われなかったから、やらなかった」という感じの抗弁なので、まるで現代学生気質をみているようだと感じました。
「小規模な倉庫は、建築物には該当しない。」という国交省の技術的助言が出されたのは、もう随分と前だったと思い調べてみたら平成27年(2015年)だった。
国住指発第4544号・平成27年2月27日「小規模な倉庫の建築基準法の取扱いについて(技術的助言)」
「土地に自立して設置する小規模な倉庫(物置等を含む。)のうち、外部から
荷物の出し入れを行うことができ、かつ、内部に人が立ち入らないものについ
ては、建築基準法第2条第1号に規定する貯蔵槽に類する施設として、建築物
に該当しないものとする。したがって、建築確認等の手続きについても不要で
ある。
この取扱いについては、当該倉庫が既製のものであるか否か、及びその構造
種別にかかわらず、上記に従って判断するものとする。」
以上が技術的助言の内容。
「建築確認のための基準総則集団規定の適用事例2017年度版」でも「小規模倉庫」について記載があり、
「土地に自立して設置する小規模な倉庫(物置等を含む)のうち、奥行き1m以内の物又は高さが1.4m以下のものは、建築物に該当しない」
解説として
「・小規模な倉庫は物置等を含むものとし、外部から貨物の出し入れができ、かつ、内部に人が立ち入らないものについては、法第2条第1号に規定する貯蔵槽に類する施設として、建築物に該当しないものとする。」「・したがって上記の規模は、最低限、人が内部に入ることのないものとした数値の目安を示したものである。」「・なお 倉庫の内部に収納・備蓄する内容は問わないものとする。」「・この取扱いについては、当該倉庫が既成のものであるか否か、及びその構造種別にかかわらない。」「・幅、面積及び連結型の取扱いなど具体的な適用の判断については、申請する審査機関に確認が必要である」とある。
意外と「小規模倉庫は建築物ではない」という事を知らない設計者が多い。また具体的な取扱いが行政によって異なることがある。
例えば東京都・大田区では、下記の規定が全て満たすものとしている
「1 、外部から物の出し入れを行うことができ、かつ、内部に人が立ち入らない
もの。
2 、用途は 防災用とする。
3 、1 棟のおおむねの大きさ (下記の全ての条件を満たすもの
高さ2 メートル 以下、幅 2 メートル 以下、奥行き 1 メートル 以下
4 、建築物に付属して、設置する こと 。
5 、設置できる合計床面積等
・敷地面積が200 平方メートル 以下の場合は、 2 平方メートル 以下とする。
・敷地面積が200 平方メートル を超える場合は、敷地面積 の 1 パーセント 以
下かつ3 棟程度までとする。
6 、風致地区内や壁面後退制限のある地区計画内
・壁面距離を確保する。」
神奈川県・相模原市 平成29年4月14日「小規模な倉庫の建築基準法上の取扱いについて」
「「小規模な倉庫の建築基準法上の取扱いについて(技術的助言)」(平成27年2月27日国住指第4544号)における「小規模な倉庫」とは、奥行が1m以下かつ高さが2.3m以下で、床面積が2㎡以内の規模の倉庫とし、かつ、当該倉庫の設置場所が次の各号のいずれにも該当しないものとする。
(1)建築基準法第42条に規定する道路
(2)相模原市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例別表第2の規定により壁面の位置の制限が定められている地区又は街区においては、当該倉庫の外壁又は
これに代わる柱の面から道路境界線(地区計画の計画図に表示する壁面の位置の制限
を定める境界線に限るものとし、都市計画道路にあっては計画線をいう。)又は隣地境
界線までの水平距離が同表に定める計画地区の区分に応じ、同表(5)部(ア)項に
掲げる数値未満の位置。ただし、同表(5)部(イ)項の規定により適用除外の建築
物が定められている地区又は街区を除く。
(関連事項)
小規模な倉庫において消防法で規定する危険物を保管する場合は、関連法令を遵守する
こと。(予防課)」とある。
また静岡県では、
「10㎡を上限とする」とある。
また東京都練馬区では、倉庫の外形を奥行有効内寸1.0m以下、幅の有効内寸2.0m以下、高さの会゛圭2.5m以下」として「設置数は、原則として戸建て住宅1 棟に対して1 台とし、その他用途の建築物については規模や計画等に応じて3台を上限とすること。その場合、各倉庫の壁や屋根同士の固定は不可とし、隙間はふさがないこと。」
まあ 結構地域によって異なるので注意が必要だ。
「建築構造設計指針2019」(通称オレンジ本)は、2010年以来9年振りの改定本。
構造専門事務所ではないと普通はあまり購入しない本です。(高価だし・・)
この本の第11章「構造審査要領」や第12章「東京の地域特性を考慮したは建築構造における建築審査の要領」は都内行政庁や指定確認検査機関が構造審査をする上での法解釈及び運用の統一性を確保し、建築審査の業務円滑化の為に、東京都建築構造行政連絡会で執筆を担当しています。私はとりわけ第11章の「構造審査要領」は既存建築物を扱う設計者(構造設計者のみならず意匠系ゼネラリスト)は必読の部分だと思います。
一般社団法人 東京都建築士事務所協会では「既存建築物活用に係る建築基準法令とその解説(案)」の発行に向けて以前より準備を進めていましたが、2021年度法制委員会の下にワーキンググループとして「リノベーション専門委員会(法規集編纂)」を立ち上げ、私は誘われてその委員の末席に加わっており、2023年出版に向けて毎月1回2時間~2時間半の委員会で熱い議論が交わされています。
私は「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」(以下「ガイドライン調査」)の章の執筆をしています。
現在、ほぼ全部の章の初稿が出稿されており、ブラッシュアップ中です。私もこの本を参考にしているところがあるので読み直しているところです。
ガイドライン調査は一様ではなく国交省届出機関は、その方法論で幾つかに類型化することができます。又各社色々な制限事項を設定していますので調査機関を選択する時には注意が必要です。まだ詳しい執筆内容は書けませんが、色々と新しい取り組みを交えながら、設計者の視点で解説しています。
ある建物の中を上下に移動する施設を、建築基準法上は「遊戯施設」として取り扱うことになり、自分にとって未知の領域であった「遊戯施設」の技術基準を学習した。上記は2018年版で、もうひとつ十数ページの薄い冊子である「2020年追補版」もある。
指定工作物である遊戯施設は、令第138条第2項第二号で「ウォーターシュート、コースターその他これらに類する高架の遊戯施設」第三号で「メリーゴーランド、観覧車、オクトパス、飛行塔その他これらに類する回転運動をする遊戯施設で原動機を使用するもの」が指定されている。
何しろ遊戯施設には、知らなかったカタカナ名称がいっぱい出てくるので面食らった。
例えば「オクトパス」。円周運動が「ローターのものほど大きくないが、客席部分が回転運動とともに昇降運動を伴う遊戯施設。客席の傾斜角度は30度以下。
「マッドマウス」。比較的高速で軌条を走行する乗り物で、水平及び垂直方向に旋回及び昇降に変化を持たせた軌条を走行するもの。
文章を読んだだけでは何だか良くわからないが、この解説書は写真がついているので何となくわかる。
随分と前だが、ディズニーランドのジェットコースターに乗り、気持ちが悪くなったことがあるので、遊園地などに行っても施設には乗らないようにしていたので、今一つ商品知識が乏しい。
詳細な技術については、勿論遊戯メーカーさんにお出ましいただくようになるのだが、今回は新しいタイプの「遊戯施設」。法律上は「これらに類する」ものなので、安全性等色々と知識を得ておく必要がある。
まだまだ未知の領域は多いなぁ~。
たまたま全国各地の建築法規の取り扱い基準について別な項目で調べていたら、先に記載した崖地のオープンテラスに類似したケースとして「架台等の取扱い」というのを見つけた。
■横浜市建築基準法取扱基準集(令和2年4月版)
1-3 架台等について(参考)
架台その他これに類するもの(柱又は壁及び床版により構成される工作物でその床版の上部を駐車や建築物へのアプローチ等の利用に供するもの)又は機械式駐車装置の地下ピット部分については、確認申請等が必要ではない工作物ですが、日常的に人の通行、駐車等に供し構造上の安全性に配慮する必要があることから、法第 19 条、法第 20 条
など建築物に対する規制に準じた設計を行ってください。
(まち建企第 2287 号 平成 20 年3月4日)
(建建企第 811 号 平成 22 年8月9日改正)
斜面地の多い横浜市ならではの取扱い基準だと思う。この架台等の取扱い基準は、現行はシンプルな表現だが、以前は法12条5項に基づく築造計画書の提出を求めていた。以下 昔の横浜市の架台指導基準。
■架台等の指導について(指導基準)
架台等の築造における指導については、次により行うものとします。
1、架台等の意義
架台その他これらに類するもの(以下「架台等」といいます。)とは、柱又は壁及び床板により構成される工作物で、その床版の上部を駐車その他の利用に供するものをいいます。
2、適用範囲
この取扱いは、高さが2m超える架台等に適用します。
3、築造計画書の提出
築造主は、架台を築造しようとする場合において、工事着手前に法12条5項に基づく架台等築造計画書(以下「築造計画書」といいます。提出するものとします。
4、築造計画書の審査
築造計画書が提出された場合においては、構造の安全その他の事項について審査を行うものとします。
5、技術基準
技術基準については、法19条、法20条及び法44条を準用するほか、建築物に準じた指導を行うものとします。
6、施工状況報告
築造主は、架台等の工事が完了した場合においては、施工状況について報告するものとします。
7、8略
(横浜市建企指第1007号 建築局長 平成5年4月1日)
以前書いた土砂災害危険区域のオープンテラスの構築について、区の建築主事はテラス下部が屋内的用途ではないので、建築基準法第二条の「建築物」には該当しないという判断をしめした。
今一度、建築基準法の「建築物」の定義をおさらいしてみよう。
「一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨こ線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。」(平成5年6月25日 – 現在有効)
上記が現在の規定。
「一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの、これに附属する門若しくはへい、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいい、鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びにこ線橋、プラツトホームの上家、貯蔵そうその他これらに類する施設を除くものとする。」(昭和25年11月23日 – 昭和34年12月22日)
上は建築基準法制定時から昭和34年改訂までの規定。
庭の平坦部分につくるオープンデッキなら その安全性は自己責任の範囲でどうぞということで良いと思うが、土砂災害危険区域に指定されている崖地の上に自己所有地とはいえ、敷地いっぱいにオープンテラスを作れば、地域住民がその安全性を心配するのは当然だと思う。
塀が地震等で倒壊し歩行者の安全をおびやかしたり、事故が発生しブロック塀などの建築基準が出来たように、本件の崖地のようなところに敷地一杯にオープンテラスを作る場合、崖地の崩壊やデッキの崩壊が起きた場合は、敷地外にも影響を及ばす可能性が明らかな場合には「類する構造のもの」で「建築物」とするべきで、所有者は、それ相応の安全性を担保する責務があると言うのが私の考えです。
現役の建築主事と法律論を闘わしても平行線に終わると思いますが、振り返れば建築基準法も「環境を整える」視点から「私権の拡大」へと大きく変わってきました。
この20年程の背景は、なんといっても「新自由主義」「市場万能」「規制緩和」だと思います。今は「新自由主義」と決別する分岐点に立たされている時代を迎えています。
この崖地は、大谷石の擁壁の上が斜面で、以前は高木が植わっていた。
昨年になつて崖の上の住宅・3階建ての所有者が変わり内部の改修工事と崖地にデッキテラスの設置工事が始まった。高木類は全て撤去され地肌が露出した。
2021年2月の工事写真
大谷石の擁壁・2021年2月
都内の土砂災害区域内・つまり崖の下に住む住民の方から相談を受けていた。
以前は樹木に覆われていた斜面の下に大谷石の擁壁がある。その崖の上の敷地の建物の新しい所有者が崖の上・敷地全域にテラスを築造する工事を開始した。当然樹木は伐採、地表面は裸になり木の板で土留めのような工事をしている。またテラスを支えている支柱の基礎は根切が浅く、中には置いてあるように見えるところもある。このテラスは大規模で斜面部分に築造し約100㎡はあるのではないだろうかと思われた。
東京都内の土砂災害危険区域の指定は、東京都の管轄で建設局河川部が担当している。
建設局河川部に相談したところ、危険性があることは確かだが都が要請、指導する権限はないとのこと。建築物であれば建築申請等が必要になるが、区が申請不要と判断すればそれ以上の対応は難しい。
しかし都から区の建築課に電話をすることくらいなら可能とのことだった。
相談をした際の都の主な見解。
・木の土留めは評価できない。仮設とすら言い難い。
・大谷石は機能するとは見ていない。大谷石の考え方については区でも説明あり、
現在の建築基準を満たしていないものの、長い年月その状態にあることから、構造
上の計算はできないが、長年の安定性への信頼度からそのまま残しているケースは多いとのことだった。→ 実際本職が現地を見た限りでは、かなり風化が進んでいる大谷石擁壁だった。
・水害だけでなく地震による危険もある。
・自分たちであればこのような工事は行わない。
・切り株を残してもツツジを植えてもあまり意味はないと考えられる。
樹木を取り除いてしまった今の状態をより安全にするには、排水処理をしたうえで法面をコンクリで固めるか、しかるべき擁壁を建てることが望ましい。
一方 区の建築指導課監察係は、屋根のない構造物であり、テラスの下が屋内的用途でない事から建築基準法第2条に規定する「建築物」には該当しないので、指導や是正命令はできない。ただし設置者は、安全性を考慮したうえで設置すべきだと考えられるから、テラス及び崖地法面の安全性については住民に丁寧に説明するよう要請すると回答。
区から回答があってから三週間。未だ設置者から地域住民への説明はない。
国の機関の建築物については、官公法第11条に基づき、その所管する建築物等を適正に保全することが求められていて、同法第12条には、政令で定める敷地、構造及び昇降機以外の建築設備について劣化の状況を点検させる必要がある。
又、建築物の所有者、管理者または占有者は、建築基準法第8条によりその建築物の敷地、構造及び建築設備について常時適法な状態に維持することが努力義務となっている。そして建築基準法第12条第2項及び第4項による定期報告が必要となる。
官公法の「点検」と建築基準法の「点検」という二つの「点検」に加えて、官公法第13条第1項に基づく「保全の基準」(安全性・耐久性・機能性)に基づく「確認」がある。
つまり建築物の定期報告よりももう少し広い範囲の調査による点検・確認が必要となる。その為の「ガイドライン」だが、地方公共団体の施設もこの国のガイドラインに従った調査が必要となる。
この調査は「劣化調査」+「法的調査」というようなものだが、法的確認も、建築基準法はもとより、消防法、バリアフリー法、省エネ法、労働安全衛生法、電気事業法、水道法、その他と幅広い分野の調査が必要となる。
例えば省エネ法の現行法への適合状態となると、厳密に考えると既存建築物の省エネ計算をして現行基準との比較をしないとならないことになる。まあ計算までしなくていい場合もあるだろうが。
こうした国のガイドラインを見ていると既存建築物はシングルイシューで解決できるものは少なく問題解決には総合的なアプローチが必要となってきている。
1階が鉄筋コンクリート造、2階・3階が木造の建築物は、平成19年5月18日に国交省告示第593号第4号(最終改正・令和元年6月25日告示第203号)により、RC部分も木造部分も許容応力度計算が必要となった。
【H19国交省告示第593号第4号の概要】
・地階を除く階数が2又は3であり、かつ、1階部分を鉄筋コンクリート造とし、2階以上の部分を木造としたもの
・高さが13メートル以下で、かつ、軒の高さが9メートル以下であるもの
・延べ面積が500平方メートル以内であるもの
【構造計算の概要】
・RC部分は壁量の確認が必要となり木造部分、RC(WRC)造部分ともにルート2-1相当の構造計算が必要となる
・木造部分の軸組計算
・木造部分の許容応力度計算(2階以上の剛性率6/10以上、2・3階の偏心率15/100以下の確認)
・RC部分の許容応力度計算(1階の偏心率15/100以下の確認)
以上をすべて満たさない場合は、構造適判対象となる。
まあ、新築ならばこの基準で構わない。これから建築するのだから。
H19年の告示以前は、このような混構造の建物はどう扱ってきたかというと、RC部分は許容応力度計算だが、2階・3階は、法6条第4号建物とし軸組計算による筋違を配置して来た。
こうした都心ではどこにもあるような建物が、増築をしたいと思った時、混構造は法第6条第3項建物となり、一体増築の場合は、上記のように全体を許容応力度計算を行い安全性を確認しなければならい。
RC部分が地階だからと安心する事なかれ、建築基準法施行令第1条ニ号の「地階」と構造上の地階は異なるのだ。構造上の地階・地上階の判定は、地盤面かの外周囲が地階全周囲の75%以上かどうかを計算し確認しなければならず、結構地上階扱いとなることが多い。
こうした混構造の建物を増築する場合、大概は内部スケルトンリフォームとなる場合が多い。耐力壁が不足していることが多いので筋違や構造用面材で耐力壁を増やす。2階床の剛性を高めるために床を張りかえる必要がある ということは壁も天井も壊さざるをえなくなり、結果として内部スケルトンリフォーム。場合によっては外壁もということになり既存部分に改修工事が波及するので 改修工事費が嵩んでくる。
もともと長い事 混構造の取扱いはRCと木造は別物としてきたのだし、構造性状は異なるのだから、せめて既存建築物は告示第593号の適用は再検討して欲しい。既存ストックの活用というのなら、こうした細部の規定も見直し緩和をして欲しいと思う。
2020年12月23日に公布された「押印を求める手続の見直しのための国土交通省関係省令の一部を改正する省令」により建築基準法施行規則が改正されたことを受け、2021年1月1日以降申請・届出が行われる確認・検査申請等に関する書類については、押印不要で手続きができることになった。
【日本ERIのサイトから】
押印が必要なのは、構造計算安全証明書の構造設計者印ぐらいなもので、随分と思い切って押印廃止にしたものだ。2021年になつて確認申請を何度か出してみて思った。
「押印廃止ってヤバクねぇ」
容易に私文書偽造同行使が可能なのだ。有資格者は、知らないうちに名前・登録番号・免許番号を使われる可能性がある。知らないうちに責任を負わされないか・・・
建築関係者の中には、「押印廃止」について手放しで「楽になった」と評価する向きもある。、申請関係書類の押印そのものもシャチハタ以外はOKで、多分に形骸化していた面もあるが、書類の押印について厳格な人や法人も存在する。
私の自身の経験から言うと。図面や図書への押印は特別な「職責印」を使っていた。
以前、指定確認検査機関に勤め始めた頃、先輩に言われた。「職責印は認印でない事、フルネームの職責印を作り、会社の机の中に入れておかず、必ず持ち歩く事」「それが自分の身を守る」 担当者ならともかく、決裁者は常に責任を負わなければならない。押印は責任の所在を明確にする。
令和3年度版の基本建築関係法令集・法令編、告示編・井上書院が届いた。手にしたとたん何だか厚くなったなと感じた。
法令編で前年度1700頁から1743頁に、43頁の増加。
告示編で前年度1462頁から1540頁に、78頁の増加。
毎年なんだか増えていきますね。法律さえ作れば安心なんでしようかね。段々法令が、わかりずらくなってきたようにも感じます。バッサリ削ってしまったら良いのではと時々思います。
今年一年御世話になる法令集です。節分の日に届いた「福」だと感謝して つべこべ言うのは止めましょう。
一般社団法人・住宅医協会の住宅医リレーコラムに私の書いた「接道について」の原稿が掲載されました。
https://sapj.or.jp/column201210/
しばらく声を聞いていなかった住宅医協会の理事の方に、安否確認のショートメールを出したら電話がかかってきて、今原稿の締め切りが迫っていて、まとまらなくて困っている。接道に関する最近の法改正の事を少し書いて欲しいと言われました。
「いいよ」と気やすく請け負ったのですが、色々と話していると接道の事から、再建築不可、改修や改築、最近ちまたで流行っているスケルトンリフォームの事等に話が広がり、それらの会話をまとめていたら長文の原稿になってしまいました。
元々、その理事の書く原稿の一部のつもりでだったのですが、全文私の名前で掲載することになったと言う経過です。
今、ちまたで広がっている「スケルトンリフォーム」に対する対応は、建築基準法遵守の立場で考えると、色々と議論が噴出し意見が分かれるところかもしれません。
御一読いただければ幸いです。
*2022年3月31日改正されました
令和4年国交省告示第413号「特殊な許容応力度及び材料強度を定める件の一部を改正する件が2022年3月31日付で公布・施行された。あわせて、あと施工アンカーに係る運用について国住指発第1597号技術的助言が通知された。
これにより「増改築や新築において補強以外の用途にあと施工アンカーを使用することが可能となった」
あと施工アンカーは、平成18年2月28日の「告示改正」までは建築基準法上で許容応力度が設定されていませんでした。このH13国交告第1024号の改正後も、条文が「既存の鉄筋コンクリート造等の部材とこれを補強するための部材との接合に用いるもの」となっているため、改正後も耐震改修に用いる時しか許容応力度が設定されていません。(国住指発3021号「あと施工アンカー、炭素繊維、アラミド繊維等に関する許容応力度及び材料強度の指定について(技術的助言))
したがって、今でも新築・増築工事の構造設計にあたって構造要素として使うことができません。
しかし、現在土木・建築分野では広く「あと施工アンカー」は使用され、臨床的には充分強度があると実証されていますし、様様な研究論文も発表されていますが、残念ながら現在のところ建築基準法上は不可となっています。
現在「あと施工アンカー」の問題は、法律が現実に追いついていっていない典型的な事例となっています。
指定確認検査機関や構造計算判定機関でも、増築部分の既存との取り合いについては、あと施工アンカー云々と記載させず、建築主や施工者判断に任せているところも増えています。
既存の基礎と増築部分の取り合いについて、同じ案件で構造計算適合判定機関と指定確認検査機関の構造審査者の間で対応が異なり苦慮することもありました。又既存のRCの建物にエレベーターを敷設する工事で、鉄骨小梁のRC部分に取り合い部分についてもめたこともあります。
準耐火建築物とは、耐火建築物以外の建築物で、主要構造部が準耐火構造(法2 条9 号の3 イ)又はそれと同等の準耐火性能を有するもので、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸等を有する建築物のことをいいます。
このイ-2準耐は、一般的な木造準耐火建築物の仕様です。
H30年の建築基準法の改正で令第107条の2の準耐火性能に関する技術的基準は、ほとんど変わっていません。
平成30年改正法第53条第3項第一号で準防火地域内の耐火建築物等、準耐火建築物等の建蔽率が1/10緩和されていますので、準防火地域内の木造2階建戸建て住宅は、従来は防火構造で建築可能でしたが、より防耐火性能の高い準耐火建築物等にする傾向は高まると思います。
■準防火地域内の制限(H30改正前法第62条第1項→法第61条)
法第61条・令第136条の2により、準防火地域内の3階建て以下、500㎡を超え1500㎡以下の建築物は、準耐火建築物にしなければなりません。
下記の表は、戸建て住宅の場合です。
H30年の建築基準法の改正で法第62条第1項は、法第61条となり「防火地域及び準防火地域の別並びに建築物の規模に応じて政令で定める技術的基準」である令第136条の2の内容は、改正前とは全く異なるものになっています。
延焼防止性能の基準は二通り用意されていて、「イ」は旧法の技術的基準。「ロ」は延焼防止時間を規定しています。
■準耐火建築物には、以下の4つの種別があります。
・準耐火建築物(イ-1): 木造3階建て共同住宅(木三共)、主要構造部は60分準耐火構造
・準耐火建築物(イ-2): 主要構造部45分準耐火構造
・準耐火建築物(ロ-1): 外壁耐火(自立できる構造等)
・準耐火建築物(ロ-2): 主要構造部不燃、主として鉄骨造
4種別に共通してるのは、延焼の恐れのある部分の開口部は防火設備の設置が必要だという事です。
この中で都市の多層階住宅で一般的なのは、イー2準耐とロ-2準耐です。
注文していた2020年(令和2年)版の建築関係法令集「法令編」と「告示編」が届いた。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い全国の小中高の臨時休校を政府が唐突によびかけたのが口火になったようで、今日3月の資格更新講習会や出席しようと思っていた展示会、講習会。講師をする予定だったセミナー等と、ほとんど延期・中止になったことを知らせる連絡が飛び込んできた。
何だか 夜の時間があきそうだ。まず昨年改正になった差分を確認し、昨年公布された告示を読みこなし、法・施行令、規則、告示と一通り読み替えそうか。
日本の社会は、この先どうなることか・・・。
こんな時は、家に引きこもり本でも読んでいるしかない。ということで商売道具の法令集をパラパラとめくるのでした。
既に報道されているが、国土交通省は2020年2月14日、建築基準法に基づいて建築確認や検査を実施する国土交通大臣指定の確認検査機関9社に対し行政処分を行った。
【今回行政処分された指定確認検査機関】
これだけ多くの行政処分が一度に行われたのは、かって無い事。
指定確認検査機関が増え、競争激化により「早い、安い、ゆるい」が横行していた確認審査制度。株式会社としての利益を確保する為に、人件費削減で必要な人員が充足していない。雇用条件の見直し。外注化。過重労働が横行している。そういう労働環境が業界内に明らかなってきたのか人気がなくなってきてスタッフの補充が難しくなってきている。
指定確認検査機関制度を創設するときから指摘されていた危惧が全て的中している現状。行政指導の強化ではなく抜本的な見直しが必要な時期を迎えているのではないか。
建築基準法における「学校の定義」は、文部省又は都道府県の設置認可を受けたものをいう。
予備校のうち、各種学校又は専修学校として学校教育法に基づき認可されたものは建築基準法上も各種学校又は専修学校として取り扱われる。そうでないものは令第130条の5の2第5号に規定する「学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設」として扱うのが一般的であると思う。「学習塾」の場合、用途の大分類上は「事務所」であり特殊建築物でないということになる。ゆえに用途変更確認申請は不要となる。
学校法人か株式会社かという違いで、実態はさほど変わらないにもかかわらず建築基準法上は「学校」か「事務所」に取扱いが分かれる。これは最近増えてきたインターナショナルスクールでも同じことが言える。インターナショナルスクールの場合は、まだ学校法人の認可を受けたものは少ないと思う。
学校法人だと法人税が非課税となるなど税制面で優遇を受け、専門学校・各種学校等の認可を受ければ補助金も受けることができるそうだが、新興の予備校は株式会社のところが多い。
従来からある学習塾や予備校が大規模化してきている。しかも多くは駅周辺のビルに入居している。
ある事務所ビルの6階以上の階に予備校がテナントとして入居することになった。このビルは、階の居室面積が200㎡以下で屋外避難階段+避難上有効なバルコニーの設置により(令第121条第1項第六号(イ))より、ひとつの屋外避難階段と9人乗りのエレベーターが設置されている。
上記の計画は、駅周辺の高層テナントビルとして、かなり一般的である。
居室の面積が200㎡以下で教室のレイアウトをしてみると150人以上は収容できる。仮に3フロアー使用すると教職員を含めて500人が収容される。これだけ収容人員が増えても「事務所」で取り扱って本当に良いのだろうか。
9人乗りのエレベーターで迅速に縦移動ができるとも思えないから、屋外避難階段を使って縦移動をすることになる。使用上支障が生じそうなものだ。
遵法性遵守といいいながら、本当にそれだけで良いのかという疑問が生じることが多い今日この頃。
従来の「法43条但書」は無くなり、現在は、法43条2項1号(認可)2号(許可・建築審査会)になっています。
43条但し書きの改正法が平成30年6月27日に公布されています。(43条但し書きと説明した方が、「すぐわかる」という建築関係者の方が多いので ついつい言ってしまいます)
第2項第1号認定及び第2項第2号許可の適用にあたっては、事前に行政の担当課との相談が必要です。
接道義務に対する例外的な認定・許可になるため、法の主旨に基づく適切な判断が求められているので、比較的長い打合せ期間と(許可の場合は)建築審査会の同意が必要となりますので、認定・許可を受けるまでにかなりの期間を要します。
内容によっては適用できない場合もあり、認定・許可になったとしても、将来建替える際には、改めて適用の可否の判断が必要となります。
建築基準法第43条(改正後、平成30年9月25日施行)
第1項 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。
第2項 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
一 その敷地が幅員四メートル以上の道(道路に該当するものを除き、避難及び通行の安全上必要な国土交通省で定める基準に適合するものに限る。)に二メートル以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの
二 その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの
【関連】
建築基準法施行規則第10条の3
第1項 法第四十三条第二項第一号の国土交通省令で定める基準は、次の各号のいずれかに掲げるものとする。
一 農道その他これに類する公共の用に供する道であること。
二 令第百四十四条の四第一項各号に掲げる基準に適合する道であること。
第2項 令第144条の4第2項及び第3項の規定は、前項第二号に掲げる基準について準用する。
第3項 法第四十三条第二項第一号の国土交通省令で定める建築物の用途及び規模に関する基準は、延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合にあっては、その延べ面積の合計)が二百平方メートル以内の一戸建ての住宅であることとする。
第4項 法第四十三条第二項第二号の国土交通省令で定める基準は、次の各号のいずれかに掲げるものとする。
一 その敷地の周囲に公園、緑地、広場等広い空地を有する建築物であること
二 その敷地が農道その他これに類する公共の用に供する道(幅員四メートル以上のものに限る。)に二メートル以上接する建築物であること。
三 その敷地が、その建築物の用途、規模、位置及び構造に応じ、避難及び通行の安全等の目的を達するために十分な幅員を有する道路であって、道路に通ずるものに有効に接する建築物であること。
建物の新築、改築、増築を行う場合には建築確認を受ける必要がありますが、建築基準法第42条で定められた道路に対し、当該敷地の接道間口が2m未満の場合は、これら既存建物の新築、改築、増築ができませんので、既存建物の再建築不可ということになります。
昨年末から、たて続けに再建築不可物件の相談がきています。
今までは、関わりが少なかった小規模木造住宅ですが、再建築不可物件の活用需要が高まっているのでしようか。
1、隣地の再建築不可物件の土地建物(B)を購入したが、その建物を取り壊し、現在住んでいる住宅(A)と繋げて増築したい。住宅(A)は検査済証が無いので諸手続きをお願いしたい。
2、再建築不可物件を相続したが建て直したい(改築)、ただし従来の法第43条但し書きの適用が受けられそうなので諸手続きをお願いしたい。
3、再建築不可物件を購入して大規模なリフォームを行い貸家にしたい。その場合設計から工事会社の紹介までお願いできるか。
再建築不可物件は、資産としての活用価値を正しく評価されず解体されることや、不動産価格が安く売却されることがありますので、是非弊社に相談をしていただければと思います。