1-3 ガイドライン策定にあたっての基本的な考え方
●本ガイドラインに基づく法適合状況調査の報告書は、検査済証とみなされるものではないが、増改築時の既存不適格調書の添付資料として活用することが可能。
本ガイドラインに基づく法適合状況調査(調査内容等)やその結果をとりまとめた報告書は、当事者間の契約で、使用目的に応じて必要な調査内容を決めた上で調査を実施し、報告書としてとりまとめることを想定している。
本ガイドラインに示す法適合状況調査を実施した場合であっても、その報告書は検査済証とみなされるものではないことに留意する必要がある。
ただし、報告書は、例えば、既存建築物の増築等について法第86 条の7の規定の適用を受ける場合に準備する既存不適格調書に添付する資料の一部※4として活用することも可能である。
なお、本ガイドラインは、検査済証がないという理由をもって、その後の増築等の手続きに進めないようなケースにおいて、効率的かつ実効性ある形で当該建築物の法適合状況を調査するための一つの方法としてとりまとめたものである。このため、これまでと同様に検査済証のない建築物であっても、建築主(所有者)が建築士に依頼して、既存建築物の状況を調査した上で必要な図書を用意した上で特定行政庁(建築主事を含む。)や指定確認検査機関に相談すること、あるいは確認申請を行うことを否定するものではない。
※4「既存不適格建築物の増築等に係る建築確認の申請手続きの円滑化について(技術的助言)」(平成21 年9月1日付け国住指第2153 号)において、既存不適格調書として(1)現況の調査書、(2)
既存不適格建築物の平面図及び配置図、(3)新築又は増築等の時期を示す書類、(4)基準時以前の建築基準関係規定への適合を確かめるための図書等を定めている。
【基本的な考え方】
ガイドライン調査策定の主目的は「検査済証がないという理由をもって、その後の増築等の手続きに進めないようなケースにおいて、効率的かつ実効性ある形で当該建築物の法適合状況を調査するための一つの方法としてとりまとめたものである」又「検査済証としてみなされるものではない」と記載されている。
ガイドライン調査報告書は完了検査済証に代わるものではない。仮に是正工事の必要があり、それらを行った場合でも是正工事に過ぎず、新規の建築確認申請ではないので検査済証は交付されることはない。
建築基準法上の遵法性を完全に確保するためには、何らかの確認申請をして工事を行い完了検査後に工事完了検査済証の交付を受ける必要がある。そうすることによって既存部分を含めた全体を法適合化できる。