「ひとりみの日本史」大塚ひかり著

日本では「結婚して子を持って一人前」という考えが今なお根強い。とりわけ年配者では顕著だ。そういう自分もそうした意識は持っていた。

しかし古典文学や歴史書を読んでみると「ひとりみ」」を肯定的に描くものも見られる。著者は、古代から源氏物語や竹取物語に至るまで「ひとりみ」を肯定的に記しているものをあげている。

この本を読むと結婚は特権階級のいとなみで、歴史的に多様な独身たちの生と性が脈々と受け継がれてきたことが判る。

江戸時代の末、幕末の婚姻率は、江戸の男性は5割すなわち半数。京の男性の6割が独身だったという統計資料もある。

現代ではどうだろうか。

2020年(令和2年)の国勢調査では、単独世帯は38.1%。夫婦のみ世帯は20.1%。夫婦と子供からなる世帯は25.1%なのだ。単独世帯は2015年では34.6%だったので5年間で14.8%増加している。今後も単独世帯は増加するだろう。

現代は、下流化・貧困化しているのか、それとも家族の形態や概念が変わっているのか。

歴史的に見ると江戸時代後期や現代に少子・晩婚化傾向があらわれている。

これから住まいと住まいを取り巻く環境は、どのように変わっていくのだろうか。