0・0・0・0

「0・0・0・0」これは、構造計算において屋根・庇の積載荷重「床、小梁、大梁・柱、地震」について「0」にして計算しているものを示している。大規模な工場、倉庫等で屋根が折版の場合に散見することがある。

 折版屋根に人が点検等の為に乗ることがあるにしても、それは一時的なもの、短期的なものとして建築確認申請を通し、躯体費用の低減を図ったもののようだ。尚 我々のような街場の建築士が設計する中小の建物で折版屋根の場合は、将来的な建物用途の変更も多いため、人ひとり分ぐらいの積載荷重を見て構造計算をしている。

 個人的には、建築基準法は最低限の基準を定めたものだし、施工も材料の品質も仮定の積み重ねの産物なのだから、こうした最低限の設計は如何なものかなと思う。

 建物と言うのは その用途や使われ方を将来にわたって予測することは難しい。屋根に空調室外機を置きたい、送風機を置きたい、太陽光パネルを設置したいなどの相談は多い。30年前に太陽光パネルが普及するとは多くの人は考えていなかっただろう。

 何度か構造計算書で「0・0・0・0」の既存建築物に出会っている。比較的大規模なもの、ゼネコンの設計施工物件に見られるようだ。

 今回、「0・0・0・0」屋根に太陽光パネルを全面的に設置したいと建築主は考えて検討しているが、設計施工したスーパーゼネコンに「載せられない」と断れたとの事。ハザードマップ・レッド地域なので、出来るだけ高所に設置したいとのことだった。構造図と構造計算書を預かり検討を開始した。確かに「0・0・0・0」だ。スーパーゼネコンの担当者が「載せられない」というのも判る。検討は面倒だし時間がかかるからだ。

 小梁・大梁・基礎・保有水平耐力について、荷重が増加しても安全であることが確認できた。つまり太陽光パネルは補強無しに屋根に載せられる。

 ただし このスーパーゼネコンの構造計算書・構造図どおりの施工がなされている場合だが。

 結構「0・0・0・0」物件に太陽光パネルを載せられないかという相談は多い。