既存不適格調書

 今や、既存建築物に増改築等の確認申請を提出する場合に必須となった「既存不適格調書」。

 確認申請書の副本(構造計算書含む)が保存されており、1敷地1建物ぐらいのものは、建築基準法の各条文の履歴をチェックしていくだけなので、多少勉強すれば作成するのは容易だろう。しかし構造関係の既存不適格を判定するのは、結構難易度が高い。構造事務所に依頼しても受けてくれるところは そう多くない。

 1敷地に多数の建物がある場合、例えば工場・学校・病院などで、その中の1つの棟に増築等をする場合は、既存不適格調書を作成する前の事前の調査、書類の整理が必要になる。

 これが結構大変な事務量となるのだ。大概の設計者は、まずこの事前調査でギブアップする。教科書はなく、その人の持つ総合力が決め手となる。

 とある設計事務所で公立校のひとつの棟にEVを増築する基本設計を受注したが、担当者が2ケ月半かかっても既存不適格調書が出来上がらないと弊社にヘルプを求めてきた。増築の図面はとっくに完成しているのに、発注仕様書にある「既存不適格調書」の作成が終わらないのだ。担当者は、よく本を読んで勉強しているようだが、毎日悶々としていたようだった。相談に乗ってあげて、少しは雲が切れたようだった。上司に聞けばいいではないかと思うかも知れないが、上司の時代は、こういう書類は必要なく、既存不適格関係に詳しい設計者は稀である。

 既存建物の書類を調査する場合、既存建物の確認申請書副本が保存されていない場合、図面類がまつたく残っていないが記載台帳証明書のみがある場合、役所に建築確認台帳が残されていない時代の場合(例えば名古屋市では平成4年以降のみで、昭和の時代の台帳が残されていない)、調べてみたら検査済証がなかった場合など、様々なケースがある。

 もっとも「既存不適格調書」は、建築確認済、検査済がある場合や、それらが台帳証明で確認できる場合に作成する図書で、検査済証がない場合は「現況調査書」というのを作成する必要がある。

 

名古屋市役所

20日から中部圏に出張中

この日は名古屋市役所建築指導課、都心まちづくり部等をまわる

写真は名古屋市役所本庁舎だが、行ったのは道路反対側の西庁舎

工事監理、別件の打合せで名古屋に2泊

22日からは岐阜に移動

名古屋のTVをみていると この三連休中部圏はどこも紅葉とのこと

ホテルで深夜見ていた東海テレビ「旅するイッチー」が新鮮だった

三重・愛知・岐阜の中部圏の風景が楽しかった

行ってみたいところが増えた

「ひらやすみ」真造圭伍 

 数年前にビッグミックスピリッツで何度か読んだ記憶がある真造圭伍さんの「ひらやすみ」が、実写化されNHKドラマとして放映されると聞いて、1巻から9巻まで購入し読んだ。

 爺さんの息抜きは、若い時から1に漫画、2に映画(現在はネットフリックス)、3に寝ることで何十年経っても変わらない。

 「ひらやすみ」で描かれているのは「青春」

 若い時、といつても半世紀以上前にアパートが決まるまでの一時期、先輩(男)の高円寺のアパートに居候していた時がある。この漫画の舞台となっている阿佐ヶ谷もなじみが深くて、あの頃のことを思い出した。かろうじて職にはついていたが、彼女もおらず、自分が何をしたいのか、もがき苦しんでいた時代だ。

 酩酊し高円寺の駅前でゲロした思い出、知らない大学生達と飲み明かした時の事、その頃はまだ大学に進学していなかった。多分19歳ぐらい。

 読者のそれぞれの思い出とシンクロする。まるでバックトゥーザ フューチャー。

 タイムマシンのような本だ。

排煙告示の変更・国交省告示第995号(令和7年11月1日施行)

変更された内容は「床面から天井面までの垂直距離が2.6mを超える場合」の取り扱い。

この場合、床面から1.8m以上の部分が排煙有効高さとなる。(防煙壁の下端以上の部分に限る)

天井高の1/2以上:今回の規定では天井高の1/2以上にするという規定はない。
床面:当該居室における床面の最も高い部分が基準
天井高:各部分での天井高の基準

*平成12年建設省告示第1436号第 1 項第3号の規定は令和7年11月1日時点で削除

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001967178.pdf

尚、最近の「建築基準法等に基づく告示の制定・改正について」については下記

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000096.html

成田・三里塚へ

5年ぶりに成田・三里塚に行ってきた。

 5年前、柴山で仕事があった時は成田方面には車で出かけていたので、電車で行ったのは数回しかない。今は、高速道路を使い成田・東京間を運転する体力がなくなったので、京成の特急電車で京成成田駅に降り立った。お客さんが車で迎えに来てくれた。

 まずは、昼飯をということで、川豊別館に連れて行ってくれた。成田山の門前にある川豊本店には行ったことがあるが別館は初めて。地元の人は車で移動するので駐車場がある別館を利用するとのことだった。

 京成電車の中で遅い朝食を食べてきたばかりだったので、一番小さい鰻重を選び御馳走してもらった。川豊の鰻重は旨い。

 食後、事務所に移動して3時間ばかり相談と打合せ。喋り続けて疲れた。

 京成成田駅まで送ってもらい帰路についた。

てら小屋チーム・第25回WEB打合せ

主要なプロジェクトの進捗状況を共有した。

【Aプロジェクト】
・11/中、アスベスト事前調査を実施した。担当者からの立ち会った感想。調査報告書は11月末UP予定
・11/末、既存サッシ等調査を専門会社の協力を得て実施し設計見積に反映させる。

【Bプロジェクト】
・11/始、建築主側と打合せ(意匠・設備・電気)
・12/始、所管消防予防課と事前打ち合わせ予定
・12月末までに設計図書UP、確認申請・建築基準適合調査報告書の準備
・既存コンクリート報告書(一部)を共有

【Cプロジェクト】
・工事監理中 工事監理中の質疑応答書の重要性について説明する。

【Dプロジェクト】
・報告書類まとめ中 12月末UP

【2025忘年会】
・設計チーム+ファンクラブが参加することになった。 

 今回から弊社の様々な取り組みに賛同し理解をしてくれているクライアントも参加。設計者の身近に 色々な事を聞くことができるクライアントがいることは、今後、若い人たちの業務にも役立つし心強いだろうと思い誘った。

【2026年てら小屋セミナー】
・企画担当者が決まった。東京からマイクロバスで往復することにした。

 「大中規模木造施設の劣化、修復、再生」というようなテーマに収束しそうだ。幾つか視察予定の建物が候補に上がっている。

【出版計画進行中】
・これまでの業務、セミナー等の資料をまとめ中
・編集者は 建築メディア研究所、大森氏に委託

【その他】

「フードスケープ 図解 食がつくる建築と風景」 正田智樹 著

地形と気候に応じた食がつくる建築と風景が、フィールドワークに基づく図解集として紹介されており興味深い。

 食をつくる条件が、純粋に建築となってあらわれる。

 プラックスボックス化したフードシステムに支配された現代では、ハンナ・アーレントの「機械のリズム」と「生命の自然のリズム」が想起されると藤原辰史さんと正田智樹さんが対談の中で書かれている。

 スロー・フードスケープは「顧客と売る側」「売り手と買い手」という固定化した人間関係に隙間を作っている。

カレマ村のワイン、アマルフィのレモン、小豆島の醤油、多気町の日本酒等、日本とイタリア16の食の生産現場を読み解いている。

 蓄熱する石積みの段々畑、風を呼込む櫓、光や湿気を採り入れる窓等、自然のリズムとともにある食生産と人の暮らしを取り戻す為の建築の問い。

 現実と折り合いをつけながらの建築、それが僕らの目指す唯一のシステムではないという事を教えてくれる。

炭酸水

婆ちゃんと孫娘が 

あるレストランで常飲している炭酸水「サンペレグリノ」

イタリアアルプスの微炭酸水

炭酸水は身体にいいからと勧められ

飲み始めたら飲みやすく私も嵌った

今では我が家の常備品

ミッドナイト in ジジババ

 これから改修工事をする建物の事前石綿含有調査に立ち会った。一昨日は日中に設計担当者二人と石綿含有調査者で約30検体採取した。始めにどこの部位を採取するのか方針を伝えなければならないので調査の最初に立ち会った。そのあとの検体採取は夕方まで設計担当者二人に立ち会ってもらった。

 昨晩は、深夜にエレベーターシャフト内の石綿含有調査を行った。ほぼ最終電車に揺られジジババは日が変わった頃に現場に向かう。11月の半ばになると流石に深夜は寒い。我々と石綿含有調査者とエレベーター管理会社の4人。エレベーター管理会社も社長さんが来ていた。「社員は休ませなくちゃ」と言う。まあどこも同じ。

 娘が心配して言う「もうみんな終活をし始めている歳なのに、うちの両親は拡大化している」と。特別拡大しているわけではなく、既存建物の業務ではフィールドワークを重視しているからで、それは手離すことはできない事。各地に仕事があって呼ばれたり、行かなくてならなくなっているだけなのだ。

 

街で出会ったゴールデン

街で出会ったゴールデンレトリーバー

可愛かった

オスで2歳とのこと

我が家のゴールデンレトリーバーが亡くなったのが2016年2月9日、

13歳9カ月で死去した。

あれから8年以上経ったんだな。

又、ゴールデン飼いたいな

「世界史は化学でできている」左巻健男 著

 なんだか最近、自分自身の各分野における中学生から高校生レベルのリテラシーを回復するために本を読んでいるような気がしてきた。

 中学校1年の時の担任が理科の先生で、最初のクラブは科学部だった。生物班と化学班に分かれていて生物班は女の子ばかりで嫌だったので化学班に行った。信じられないだろうが、その頃は女の子が嫌いだったのだ。妙に女の子が大人びいている感じが嫌で距離を置いていた。中一の時の担任が生物専攻だったので、生物班に来てもらいたかったと大分経ってから聞いた。2年生から生徒会活動の比重が多くなったが、それでも科学部に所属していたので、3年時は人がいなくて部長になっていた。振り返ると何をしていたか思い出せない。色々な化学薬品を混ぜて遊んでいたような気がする。

 さて、こういう本に若い時に出会いたかった。化学の基本と歴史が、とても読み易く、分かり易く、面白く語られている。

「化学」は、地球や宇宙に存在する物質の性質を知るための学問であり、物質同士の反応を研究する学問である。火、金属、アルコール、薬、麻薬、石油、そして核物質・・・。化学はありとあらゆるものを私たちに与えた。本書は、化学が人類の歴史にどのように影響を与えてきたかを紹介するサイエンスエンターテインメント!」と書かれていることに実感する。

 こういう本に若い時に出会えれば、進む道も変わっただろうにと思うが、化学には縁がなかったんだろうな。

 建築の世界は、当然ながらセラミックス、ガラス、金属、染料、コンクリート等の数多くの化学製品に溢れかえっている。メーカーはどこも我が社が一番と宣伝してくるが、それらを選別する基礎的知識が、私も含め建築士には欠けている面がある。何しろ高校で「化学」を履修してきた人も限られるから。

 基礎的な教養・知識は、自分で努力して学ぶしかないのかもしれない。

建築確認申請書の作成支援

 一般財団法人日本建築防災協会がAIを活用した建築確認申請書の作成支援を開始した。

「建築確認審査の円滑化を図るため、建築確認申請図書の作成時の不備を減らすことを目的として、AIを活用した建築確認申請図書の事前チェックサービスの提供を開始します。令和7年4月の改正建築基準法の施行により、2階建て木造一戸建て住宅などの建築確認手続き等が見直されたことに伴い、設計者等による確認申請図書の作成実務も大きく変わりました。

 今般、当協会が国の支援を受けて「建築確認申請図書作成支援サービス」を構築し、サービスの提供を開始することとなりました。

 本サービスは、建築確認申請図書において記載が必要な事項のうち主要な事項について、申請予定図書等における記載の有無をAIが評価するものです。本サービスの利用を通じ、申請予定者が確認申請の前に申請予定図書が適切に作成されているかの自己チェックを可能とすることで、申請図書の不備を削減し、建築確認審査の円滑化を図ります。」と記載されている。

https://www.kenchiku-bosai.or.jp/kenchikukakunin/

 昨今、確認申請の事前申請から本受付、確認済書交付まで、従来よりかなり時間がかかっている聞く。

指定確認検査機関の人手不足か、設計者側の書類不備が原因なのかわからないけれど、こうしたAIを活用した作成支援が問題を解決してくれるのだろうか。

よくわからん。

「ザ・ロイヤルファミリー」早見和真 著

 今、TBS系日曜劇場でTVドラマになっている「ザ・ロイヤルファミリー」をネットフリックスで観た。原作を読みたくなってアマゾンをポチった。

 9、10月の疲れが中々取れない。つまり歳をとった証明でもあるのだけど、そういう時は外出せず、ただただベッドで読んでみたかった本を読めるのは自営業者の特権のようなもの。あとで集中して仕事をしなければならなくなるのだが。

 ドラマは、北海道日高地方の牧場の映像が、とてもきれいだった。

 馬主と秘書の20年の歳月を描いているのだけど、今野敏さんが「途中からずっと泣きっぱなしだった」と帯に書いているように、私もなぜか涙が止まらなくなった。淡々とした文章なのだけど「継承」をテーマにした物語に感動するのは、自分も歳をとったからなのだと思った。

 最近よく泣く。このあいだも加子母の地歌舞伎を観て泣いていたと婆ちゃんに指摘された。涙腺が非常に緩くなっている。身体は水分が抜けてきているのに何故だろう。

 第33回山本周五郎賞受賞。TVも良いけど原作も良い。

「田舎の思考を知らずして地方を語ることなかれ」花房尚作 著

 仕事の関係があり、2025年の夏から月の1/4程度は中部圏に滞在するようになった。名古屋という都会のときもあり、岐阜県内の各地ということもある。地方都市も過疎地も含まれているが、東京にいるだけではわからない事、知らないことが多すぎた。新しい発見があり、出会いがある。

 著者は「日本の国土に占める過疎地域の割合は約60%。「田舎は危機的状況にある」「過疎地域は悲惨」――。「田舎=過疎地域」にはネガティブな言説が付いてまわる。しかし、こうした言説の多くは「都心の思考」で発信され、「都市部の都合」を田舎に押しつけている。だが、田舎は本当に悲惨なのか? 都会の思考とは異なる合理性に裏打ちされた「田舎の思考」を明らかにし、過疎地域で暮らす人びとの日常を通して日本の未来を考える」と書く。

 この本が書いているように「都心の思考」で田舎を決めつけている人達もいるかもしれないけれど、どっこい田舎の人はマイペースのようにも思える。

 生活していくうえで都会も色々な問題あるように、過疎地も様々な問題を抱えていることは間違いない。でも、それは実体験を通じてみると「豊かさ」の次元が異なるだけではないかと思うようになった。

 私なんかは、「現代の漂泊の民」と定義できるかもしれないと最近は考えている。それは物流(アマゾン含む)とインターネット(WEB会議含む)と交通手段(私は利用しないが格安航空機)のおかげだ。それは技術の進歩でさらに改善されていくようにも思う。

 田舎は大切。守り応援し続けたい。

「ラブ・アクチュアリー」

3日間休みを取ったので、久しぶりに買ってあったDVDを観た

 この映画は、私の尊敬する先輩経営者の一人である株式会社エンドウ・アソシエイツ会長の加藤峯男さんから頂戴した著書「思い出のスケッチ」(非売品)の最後頁に紹介されていた「バー『コラージュ』の男」で紹介されていて知った。

 クリスマス間近のロンドンを舞台に、男女19人の九つのラブストーリーがまったく別々に異なる様相で展開します。無関係のように思われる別々のラブストーリーが少しずつ絡み合い、クリスマスイブにひとつにまとまるという物語です。コラージュ仕立ての脚本がとても秀でていると思いました。

 2003年制作のアメリカ映画ですが、イギリス映画のスター達の競演で今でもクリスマス映画の定番と評価されているそうです。

 ひとりひとりが別個に存在しながら、実は複雑にコラージュされた壮大で彩り豊かな「ラブ・コラージュ」の組織・チームを作りたいと思いました。

 「love actually is all around(愛は実はいたるところにある)」

「大人のための地学の教室」鎌田浩毅 著

 9月10月と出張が続き、現地調査と打合せ、人に会う機会が多く身体が少し疲れたので1、2、3日の三連休は休むことにした。だらだらと過ごし、寝て、DVDを観て、専門書以外の本を読んで過ごした。

 私の地学の知識は中学生レベルで、ほとんど素人。高校でも大学でも地学は履修しなかったのだから当然といえば当然。長年、京都大学で教えていた鎌田先生によると激烈な受験戦争を勝ち抜いてきた京大の新入生も受験科目以外のことは、ほとんど知らないらしい。

 そんな地学のリテラシイー(読み書き能力)は中学レベルでも、読みこなせる専門書である。

 さて日本は、2011年の東日本大震災(M9.0)以降、平安時代から1,000年ぶりの「大地変動の時代」を迎えている。南海トラフ巨大地震、首都直下地震、富士山噴火などがスタンバイ状態と指摘されている。

 3.11以来、避難用品・備蓄は怠りなく準備してきたつもりだけど、この本を読んで富士山噴火による火山灰の影響が、首都のインフラに広範囲で長期間なものになるという事を再認識した。火山灰は始末が悪い。

 この本を読んで、地学のリテラシイーは高校生レベルに近づけたかもしれない。

仙台

仙台市役所との打合せのために仙台日帰り出張

仙台駅に降り立ったのは、かれこれ20年ぶりかもしれない

非常にイレギュラーな案件なので、役所との協議が必要だった。

それにしても仙台は新幹線で1時間あまりで寝てる時間がなく

かえって疲れる

今回は私だけの単独出張だったので、

婆ちゃんに笹かまをお土産に買った

ACクラフト

 岐阜県美濃市にある木の家具工房「ACクラフト」さんを訪問した。戦後に植林された木材を活かし、「森も暮らしも心地よく」をテーマに活動しているそうです。工房では家具の製作を行い、お店では作家の作品や暮らしの雑貨を展示・販売しています。

写真は10月7日

2階のショールーム

第51回加子母歌舞伎公演

10月26日、岐阜県中津川市加子母に入り、第51回加子母歌舞伎公演を見てきました。

開場の10時半を前に並ぶ観客。座席指定なし、入場料無料。天気は雨でした。

2階の来賓席に座らせてもらいました。

午前は「世迷仇横櫛」(よにまどうあだなよこぐし)

子を思う母の心、母を慕う子の心

小中学生の熱演に、思わず涙腺が緩くなった

昼を挟んで午後からは

「白浪5人男」

日本駄右衛門(泥棒の統領)を演じるのは、現役の中学校の校長さん

「校長!」という掛け声がかかる

最後の演目は「近江源氏先陣館、盛綱陣屋」(おうみげんじせんじんやかた、もりつなやかた)は、1時間半の本格的な歌舞伎。

「おひねり」が舞台に向かって飛び交う。

加子母歌舞伎保存会の皆さんの御挨拶

地歌舞伎を始めて見たけれど、すごくハイレベルだと感じた

それと歌舞伎を通じて地域で子供たちを育てているという印象を持った

地域の人達の手作り。これが本当の文化ではないかと

細部の技量はわからないけれど、なによりも観客の「心を打つ」

来年もおひねりを沢山作って、重箱弁当を持って出かけよう

建設業の高齢化、人手不足

 今や建設現場は、爺と外人が目立ち、飛び交ってるのは外国語。設計業界も高齢技術者ばかり、そういう自分もそうだけど。大規模プロジェクトの図面は、多くが東南アジアでCAD図を作っている。パース(CG)も同様。私のような小規模零細事務所にも海外から営業のダイレクトメールが送られてくる。

 かって日本の建設業も輝かしい時代があった。もう半世紀ぐらい前だが。

 時代を振り返ると 現在の人手不足の要因はどこにあったのか。やはり最大の要因は日本特有の「重層下請け構造」ではないかと思う。

 建設企業は、発注者から直接工事を受注し施工を総合的に管理・監督する「元請け企業」と、労働者を使用し施工に直接携わる「下請け企業」に機能的に分離されることが多い。それに加えて最近では、ある程度の規模になると、様々なコンサルタント、エージェント、CM会社などが介在することが多い。

 1980年前後、多くのゼネコン(総合建設企業)が、統括管理機能に特化し、自社による施工部隊を切り離した。1次下請けに現場施工の管理機能などを、2次下請けに建設機械と労務による施工機能の多くを移行して、現在の建設生産システムとなった。これに倣ったのか、大手設計事務所もシステムを変更していったところが多い。

 自分は、その背景に、消費税と派遣法があると思っている。

 その結果、ゼネコンは最高益を更新し、中抜きピンハネが何段階にも発生し、建設工事費を上昇させている。その一方中小零細建設業者は倒産の危機に見舞われている。

 かつて職人は、サラリーマンより何倍も報酬があった時代もあった。

 報酬を多くし、労働環境を整えれば人は集まる。人材不足は業界の自業自得、オウンゴールのようにも見える。

 先日、設備設計者と話していたら、とある建築設計事務所から、今までの設備設計事務所が高齢化等の理由で閉鎖したので、専属的に設備設計をしてほしいと依頼があったという。その彼も後期高齢者なのに・・・。設備・電気設計者を紹介してほしいという依頼は多いが基本的に断っている。末端の技術者は不足していて、仕事の依頼が多いので大忙し。しかし後5年もしたら「そして誰もいなくなった」(アガサ・クリスティ)となるだろう。誰もがわかっているのだろうが。

 さて愚痴を言っていてもしょうがない。

 どういう手を打っていくか。

 建築士としての職能を充分発揮できるように、試行錯誤だけど進まなければならない。

【覚書】準委任契約

 準委任契約とは、特定の業務を遂行することを定めた契約のことで、業務が法律行為であれば「委任契約」、法律行為以外の業務であれば「準委任契約」となる。
 委任・準委任契約では、業務を依頼する側を「委任者(いにんしゃ)」、業務を受ける側を「受任者(じゅにんしゃ)」と呼ぶ。

 準委任契約は、特定の業務の遂行が目的であり、仕事の結果や成果物に対して完成の義務を負わない。業務の結果に対して不備があったとしても、委任者は受任者に対して修正や保証を求めることができない。

 2020年4月1日に施行された改正民法では、委任契約(準委任契約)は2種類に分けて定義されている。それが「履行割合型」と「成果完成型」

1.履行割合型
 履行割合型とは、事務処理の「労務」に対して報酬を支払う形式です。入力業務や会計業務などの事務処理業務において、業務時間や工数などの業務量に応じて報酬が支払われる契約形式です。基本的な準委任契約を締結して、個別の業務に応じて報酬を決める個別契約を締結するようにする。

 改正民法によって、仕事を受けた側である受任者は、業務の履行が不能となった場合や、何かしらの理由で契約が途中で終了した場合であっても、責任の有無にかかわらず履行の割合に応じた報酬を請求できるようになりました。(改正民法第648条第3条)

2.成果完成型
 成果完成型とは、事務処理の「成果」に対して報酬を支払う形式です。例えば、弁護士が勝訴した際に、委任者から報酬を受け取るような形式の契約です。

 改正民法によって、仕事を受けた側である受任者は、成果の完成が不能となった場合や、何かしらの理由で契約解除になった場合であっても、委任者が受ける利益の割当に応じた報酬を請求できるようになった。(改正民法第648条の2第2項、第63

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 準委任契約とは、特定の事務処理や業務の遂行を依頼し、その業務の履行を請け負う契約の一種である。通常の委任契約と異なり、法的な効果を生じさせる行為を必ずしも目的としない点が特徴である。例えば、技術的なアドバイスの提供や、事務手続きの代行など、特定の事実行為を行うことが準委任契約の対象となることが多い。この契約は、専門的な知識やスキルを持つ者に対して業務の遂行を依頼する場合に有効であり、その内容は双方の合意によって決定される。ただし受任者が必ずしも専門的スキルを持つているとは限らない。かなり怪しい「コンサルタント」(昔の言葉でいえばブローカーのような)も散見される。

 例えば、企業がコンサルタントに業務改善のための助言を依頼する場合、それは準委任契約に該当する。準委任契約では、依頼者が指示した業務を忠実に履行する義務があり、結果そのものに対する保証は求められないことが一般的である。このため、結果責任よりも過程や手続きの適正さが重視される。

 ここでいう「コンサルタント」には特別の資格は必要なく、誰でも「コンサルタント」と名乗ることができる。同様に「エージェント」「コンストラクション・マネジメント(CM)」等も同様である。民間団体の認定資格もあるが、必ずしも民間の認定資格を取得しなくても良い。

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「ずっと工事中! 沢田マンション」

 街の本屋さん探索家の婆ちゃんが「おもしろい本みつけたよと」私の仕事部屋の暖簾をくぐってきた。「この建物、絵本にしてよいかのかな?」といいながら。

「高知の沢田マンションは有名だよ」と言いながら絵本を手に取り、巻末をみる私。2025年10月1日出版だから本屋に並んだばかりのホヤホヤ。

 私の業務、立場から言うと真逆の建物。コンプライアンスを重視して、ほとんど違反建築物が多い既存建築物の「黒」または「灰色」の建物を「白」にしていく私の仕事からすれば、沢田マンションは、建築基準法による確認申請無届、完了検査未了のまぎれもない建築基準法違反建築物。

 でも好き。

 無鉄砲で無計画でセルフビルドで、トランスフォーメーションしていく沢田マンションは痛快でさえある。

 でも少し心配なのは絵本を出して大丈夫かなと思う。正義論を振りかざし、役所に電話するなどする輩は多くいる。それらが行政を刺激しないかと。高知というおおらかな街だからこそ、強権的な指導はこれまでしなかったのであろうと推測するが、大きな事故がないかぎり見守ってやりたい。 ただ老朽化が進んでいるようなので心配ではある。

 この絵本が違反建築物を薦めたり、助長する契機を作ってしまうのではないかという一抹の懸念もある。今でも「建築法令なんか守る必要あるんですか?」と言う若い設計者に出会うことがある。特に内装関係のデザイン事務所には、そういう傾向が強い。そういう人達の書く「絵」を後始末する依頼も多いから。

「過疎ビジネス」-2

これは週刊東洋経済の「喰われる自治体」第2弾。今年2025年6月21日号。

「地方創生を掲げながらコンサルティング会社が自治体を“喰っている”実態を追った特集「喰われる自治体」から1年が経ちました。この特集は大きな反響を呼び、発売後には多数の内部告発が寄せられました。本特集では、そうした告発に基づき第2弾を展開しました。固定電話契約や医療ツーリズム受託など、全国各地の自治体から上がるさまざまな“悲鳴”を詳報。一方、地方創生コンサルに頼らずに人口増に成功した自治体の秘訣もお伝えします」

この本の中で木下斉氏は「地方再生は、・・・地元の人々がその都地特有の課題を見つけ、再生に向けたエッセンス、つまり『自分達の原液』を作り出すことだ」と書く。

そのうえで地方創生で結果をだす地域には幾つかの共通項があるという。

1、自前主義に徹する

 外部に任せず、自分たちで現場を回し、考え、動く。失敗しても学習機会とし、軌道修正をしながら進む。

2、補助金に頼らない

 行政による補助金にも頼らない。重要なことは、民間が喜んで投資する環境形成だ。

3、とがつた人材に任せる

 行政の看板に頼らず、自ら責任を負って挑戦するプレーヤーが地方創生には不可欠だ。百人の合意を取り付けることより、覚悟を持ったプレーヤーに委ねることが政治や行政に求められる。