特別避難階段

建築基準法施行令第122条で、「避難階段の設置」が規定されており、15階以上の階又は地下3階以下の階に通じる直通階段は、特別避難階段としなければならない。

避難階段には次の二つの形式がある。

① 屋内避難階段
② 屋外避難階段

特別避難階段の形式は
① 屋内階段+付室(又はバルコニー)
② 屋外階段は設けることは出来ない。

以下 特別避難階段をめぐる問題や質問をあれこれとまとめてみた。

  • 特別避難階段の構造・形状
  • 避難階段と特別避難階段の目的
  • 付室の大きさ
  • 特別養護老人ホームで3階以上に居室を設ける場合~特別避難階段2箇所以上設置

【特別避難階段の構造・形状】

img095

 

 【上図は付室型】

 

img096

【上図はバルコニー型】

【避難階段と特別避難階段の目的】

高層の建築物では、地上にまで避難する距離が長くなる。すなわち避難時間が長くなる。又、避難する人数なども多くなる。

地下に居室を有すると、避難する方向と火や煙が移動する方向(上昇)とが同じであったりして、避難に不利な条件となる。

そこで、火災時において、その階段に火や煙が入らないように安全なようにして、中低
層の建物より高度な水準での避難上の安全を確保する必要がある。

ある階にいる人たちが、非常時には、一時的に逃げ込む事が出来るような、火災から安全に区画された部分があることが望ましい。

そのために、15階以上の階と地下3階以下では、特別避難階段の階段室及び付室(または、バルコニー)の大きさを一定以上確保することを規定している。

従って、避難階段や特別避難階段は直通階段よりずっと安全性に優れた階段とされている。

 【付室の大きさ】

建築基準法施行令第123条第3項第11号では、付室及びバルコニーの床面積については定められていないが、「建築物の防火避難規定の解説2012」59頁では、最低でも5m2を確保することがノ望ましいとある。

この場合床面積だから床面積算定基準の区画の中心線と考える。有効面積ではない。

【特別養護老人ホーム・3階以上の居室】

特別養護老人ホームは、3階以上の階に居室を設けてはならないが、特別避難階段が2以上あれば可能。

厚生省令第四十六号 平成十一年三月三十一日の第11条4 より

 

第十一条
4 居室、静養室、食堂、浴室及び機能訓練室(以下「居室、静養室等」という。)は、三階以上の階に設けてはならない。ただし、次の各号のいずれにも該当する建物に設けられる居室、静養室等については、この限りでない。
一 居室、静養室等のある三階以上の各階に通ずる特別避難階段を二以上(防災上有効な傾斜路を有する場合又は車いす若しくはストレッチャーで通行するために必要な幅を有するバルコニー及び屋外に設ける避難階段を有する場合は、一以上)有すること。
二 三階以上の階にある居室、静養室等及びこれから地上に通ずる廊下その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でしていること。
三 居室、静養室等のある三階以上の各階が耐火構造の壁又は建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百十二条第一項に規定する特定防火設備により防災上有効に区画されていること。
5 前各項に規定するもののほか、特別養護老人ホームの設備の基準は、次に定めるところによる。
一 廊下の幅は、一・八メートル以上とすること。ただし、中廊下の幅は、二・七メートル以上とすること。
二 廊下、便所その他必要な場所に常夜灯を設けること。
三 廊下及び階段には、手すりを設けること。
四 階段の傾斜は、緩やかにすること。
五 居室、静養室等が二階以上の階にある場合は、一以上の傾斜路を設けること。ただし、エレベーターを設ける場合は、この限りでない。