「長崎遊学11・五島列島の全教会とグルメ旅」長崎文献社編

 今度九州で仕事があった時に、脚を延ばしてみたいところに五島列島がある。

 実は、今年九州でのプロジェクトがひとつあったのだが、諸般の事象で中止となった。九州は設備投資が盛んのようだから、又機会はあるだろう。

 この「長崎遊学11」は、五島列島を訪れるときのガイドブックにしようと購入していたもの。夜な夜な、こうしたガイドブックを眺めているのが、至福のひと時。

 この本は、カトリック長崎大司教区・下口勲神父が監修して長崎文献社編集したと書かれている。 

 その内容は、世界遺産候補を含む全51教会を網羅。拝観記録スタンプ帳が付録でついてる。五島ゆかりの有名50人の履歴書付。旅ガイドは宿、温泉、グルメ、おみやげまで掲載されており、これ1冊で五島を旅できそうな本。

 その昔、江戸時代に「長崎遊学」という言葉があった。

 江戸時代、徳川幕府は鎖国政策をしたが、例外として、オランダと中国に対し、日本で貿易することを許し、貿易の窓口を長崎に限定したので、海外の文化や学問は長崎を通して日本全国へ伝えられた。

 また、キリスト教以外の書籍の輸入も認められていた。しかし、書籍の知識に満足せず、蘭学や医学、科学、美術などの技術や知識を習得するため、長崎へ游学する者は跡を絶たなかった。

 幕末期の長崎には、後に近代日本を背負って立つこととなる人たちが大勢游学している。彼らが日本の近代化を後押ししていった。長崎は、彼らにとって、新しい情報にあふれた刺激的なまちだったのだろうと想像できる。

 今の長崎が、遊学の地に相応しい所かどうかはわからないが。

「游学」という言葉には、ふるさとを離れ、他の土地や外国で勉強するという意味がある。爺になってもなお「遊学」の志は治まらない。

テナントビル・全区画契約完了

 9月末に改修工事が終わり、引渡が完了した調布のテナントビル。クライアントから残り3区画、全て年内契約予定との嬉しい連絡。

 1区画は既にKFCがオープンしているので、建物の全容が公開されてから3ヶ月で満室となる。今日日優秀な成績。

 クライアントに依ると、テナント入居希望者からの引き合いは、足場が解体され建物全容が公開された頃から増加し、テナント入居希望者の内観も多かったようだ。

 2階建て117坪、4区画という小さなテナントビルだけど、テナント契約では苦戦しているところが多いので、早期に全区画契約に辿りつけたのは、本当に良かった。

 1階は飲食店系で決まるだろうと予想していたが、2階は予想外の用途となった。設計監理契約が終了後も入居検討のテナントからの質問に答えたり、アドバイスしたりと、結構頻繁に連絡がくる。

 ここにきて、電線の高圧ケーブルに続き低圧ケーブルも新規受注が停止しており、建築工期は、充分余裕が必要となっている。

 各テナントの内装設計が進むと、まだまだ質疑がありそうだ。

『「しあわせな空間」をつくろう。-乃村工藝社の一所懸命な人たち』能勢剛著

 人々の「しあわせ」を呼び起こす空間とは、本当にできるのだろうか。

「働く、遊ぶ、食べる、買う、学ぶ、旅する、泊まる、観る、集まる。暮らしのあらゆるシーンにある「しあわせ」な空間。このうえなく、しあわせな体験ができる空間は、いかにして生まれたのか。」と本書は書く。

 この本は、乃村工藝社を取材対象に、そうした空間を訪れ、関係者へのインタビューを重ねて空間を解き明かそうとしている。

 どんな背景、どんな問題意識から発想されたのか。つくり手である乃村工藝社の担当者達は、その発想をどう受け止め、どんなアイデアと工夫とで、具体的なカタチにしていったのか。その経緯は良くわかる本。

 空間価値と、それを創造する仕事の進め方を、関係者の話を聞きながら、詳細かつ具体的なストーリーとして元日経トレンディ編集長の能勢剛さんが追いかけている。

 実際に見ていない建物も幾つかある。例えば、福井県の若狭にある福井県年縞博物館は、行ってみたいと思ったが、建築的魅力というより7万年前の時空を感じてみたいと思ったから。

 京都清水の「ザ・ホテル青龍」は、昭和8年に作られた清水小学校というヘリテージ建築をホテルにリノベーションしたもので、元の小学校は、映画のロケにも使われた有名な建物だけど、「地域の思い出をつなぐ」建築となっているのだろうか。

 「しあわせな空間」とは、そもそも何か。自分への問いかけが残った。

 

「熱く生きた医人たち」鈴木昶著

 日本で医師という職業が生まれてから現代まで、医療の流れも変化しながら進化している。

 漢方学や解剖学、細菌学、産科医学、栄養学など。

 その変化と発展には、どんな時代にも、ひたむきに人々の命と健康に向きあい信念を貫いた人や、地道な基礎研究に生涯をを捧げた人。又為政者や学会の評価など関係なしに、自らの信念を貫き通した人もいる。

 著者は、そんな人を畏敬を込めて「熱血の医人」呼ぶ。

 熱く生きた50人の医者の足跡を辿りながら。その生きざまに注目し、今の医療のあり方を問いかける。

 この本で取り上げられている医者は、医療ジャーナリストの鈴木昶さんが、個性が際立ち、人間的に魅力的だと思う医者達だそうだ。医学の分野は門外漢なので、知っていた医学者は数えるほどだったが、その生きざまには魅了される人が多かったので一気に読めた。

 250頁程の本に50人の医療に尽くした人を取り上げているので、多少物足りなさもあるが、私のような門外漢の入門編だと思えば良いのかもしれない。 

 研究と臨床は両輪のごとく。

リンガーロイヤルホテル東京

早稲田にあるリンガーロイヤルホテル東京で打合せ

大隈公園側から見たホテル

大隈公園の背景に見えるのは早稲田大学大隈講堂

大隈公園・完之荘

神田川の反対側にある椿山荘は、たびたび利用しているが、リンガーロイヤルホテルに来たのは私は始めて。妻は何度か利用した事があるとか。

上質なホテル空間が漂う。

場所柄、早稲田大学とか東京女子医大関係者の御用達という感もするが、客層も年代が上のせいなのか、落ち着いた雰囲気のホテル。

早稲田通り側。こちらは新宿区。道路向いは豊島区

社会的共通資本としての集合住宅 -1

 今、日本の集合住宅には、「高経年マンションの増加や居住者の高齢化(2つの老い)」にどう取り組むかという課題があり、国土交通省でもその検討が始まっている。

 2022年なかばから2023年3月まで既存団地の調査を行ってきた。具体的には劣化と遵法性について、埼玉県内と茨城県内の43団地、124棟の現地調査を行って高経年集合住宅の実情をリアルに見て維持修繕、管理の問題を知った。その調査を経て考えたことを少しずつ書いておきたいと思う。

 今 アフォーダブルハウジングという概念や取り組みが、SDGsのゴール11「住み続けられる街づくり」の達成に向けた推進や、世界各地の都市部を中心とした住宅価格の高騰を背景に注目されている。

 アフォーダブル(affordable)とは「手ごろな価格」「手に入れやすい価格」という意味なので、アフォーダブルハウジングは「手ごろな価格で手に入る、もしくは住み続けられる住宅」ということになる。

 いわゆるセーフティーネットの意味合いが強い低所得者をはじめとした住宅確保が困難な層に向けた住宅供給だけでなく、平均的な収入の方も含めた多くの市民が安定した生活を送れるような、適正価格の住宅を供給する取り組みとなっている。

 調査した団地では、高齢者、シングルマザー、外国人(技能実習生、特定技能)等が多く住んでいた。団地に住まう人の世代構成、所得構成、人種が多様になっていた。

 一方で市街地に近いような立地にある利便性の良い団地の駐車場には外車も見られ、若い人も居住するなど、建物は古くても低家賃と利便性で選択されて入居率が高い団地もあった。一方で階段の無い集合住宅の4階や5階は、入居率が低いことも知った。

 住宅価格の高騰が顕著な世界の大都市圏では、すでにアフォーダブルハウジングに関するさまざま取り組みが進められている。世界各地の先進的な事例、日本でも始まりつつある事例とともに既存高経年集合住宅の潜在能力(ポテンシャル)と課題について考えていく。

建築確認申請の事前協議先

 東京都内の幾つかの特別区の建築確認申請を出す際の行政の事前協議先を収集し比較対象してみた。ネット上で公開している特別区もあるし窓口で配布している特別区もある。

 こうした各特別区の協議先一覧表を眺めていると、随分と条例・要綱等が増えたなという印象だ。


 設計者は、建築の規模が大きくなるとレギュレーション(法令、規則、基準)に適合させることに時間を取られる。建築基準法だけでなく種々の関係規定、多くの条例等も適用され、計画を変更するたびに膨大なチェック項目をひとつひとつ確認しなければならない。これに結構、時間と人員がとられるが、ここで間違うとクライアントからしばらくの間、又はずっと出入り禁止となる。そしてチョンボすれば損害賠償請求などの訴訟になる場合もある。

 経験上、ボリューム検討等では クライアントがその土地を購入するかどうか判断するのに時間的制約があるので、設計者に与えられる時間は多くはない。

 ボリューム検討段階では、骨格的な法令を間違わないようにすることが重要となる。用途地域規制、建蔽率、容積率、各種高さ制限、避難経路、駐車場進入口、東京都駐車場条例の附置義務駐車台数、地区計画等が該当するだろうか。

 クライアントから提供されるのは物件概要と地籍図程度。大体のところ設計担当者は現場を見に行かない(その時間がない)。登記簿謄本を見ない(地下鉄の借地権が敷地の一部に設定されている事がある)。というように、リサーチに充分時間が与えられない事が原因の事もある。

 設計事務所等ではボリューム検討をするシニア技術者の層が薄いと言う事もある。ペアチェックが内部できちんとできない組織もある。なんと言っても、あまりに労働時間が長い上に、経験値があるシニア技術者に仕事が集中し「金属疲労」を起こしてしまう。そうして、シニア技術者は転職する。行先は、デベロッパー、ゼネコン、CM・PM会社等。

 上司が、時代と共に増え続けるレギュレーション(法令、規則、基準)に時間と人員がかかる事を理解していないと地獄が待つている。

データーベース障害発生中

サイトの共有SSL化にともない現在 データーベースに障害が発生しています。

「データーベース確立エラー」は、通常Wordpress側とデーターベースのパスワードの齟齬より発生することが多いのですが、wp-confing.phpを確認しデーターベースのパスワードを変更し、一時的には回復しますが、しばらくすると接続エラーが発生します。

サーバー会社に照会して、ウェブコンテンツからデータベースへの接続が上限に達しており、phpMyAdminの管理画面へもアクセスが行えない状況でした。

サーバー会社にてApacheの再起動を実施し、ウェブコンテンツからのクエリが滞留している状況が確認されました。

現在WordPressのプラグインを一時的に無効化し原因の特定を行っている最中です。(原因の特定ができ、SSL化に伴ってデーターベースへの負荷が増大したことが主要因のようです。)

同時にデーターベースのバージョンアップを行い、総使用量を増やす準備をしています。(完了。3GBに増えました)

時々、接続エラーがでるかも知れません。ご不便をおかけしますが、今しばらくお待ちください。

「70歳が老化の分かれ道」和田秀樹著

 周囲を見渡すと最前線で仕事をしている高齢者も散見するし、片方で仕事をしなくなって一気に衰えた高齢者もいる。

 著者は「現在の70代の日本人は、かつての70代とはまったく違う。各段に若々しく、健康になった70代の10年間は、人生における「最後の活動期」となった。」と書き、「この時期の過ごし方が、その後、その人がいかに老いていくかを決めるようになった。」と。つまり70代はターニングポイントと言えるだろう。

  • 気持ちが若く、いろいろなことを続けている人は、長い間若くいられる。
  • 栄養状態のよしあしが、健康長寿でいられるかどうかを決める。
  • 人々を長生きさせる医療と、健康でいさせてくれる医療は違う。

 一気に老け込まないために、一番必要なものは「意欲の低下」だと記する。それを防ぐには、日々の生活のなかで、「前頭葉の機能と、男性ホルモンを活性化させること」がとても重要だと。

 意欲レベルが低下してくる理由の一つとして、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの減少があり、セロトニンの材料となるのがトリプトファンというアミノ酸。それが多く含まれているのが「肉」で、高齢者に「肉」の摂取を推奨している。

 よく普通の内科医からは、コレステロールは動脈硬化を促進し心筋梗塞のリスクを高めると聞くが、コレストロールは男性ホルモンの材料にもなる。男性ホルモンの中でテストステロンは「意欲」と関係しているから、「肉」を食べることは、セロトニンと男性ホルモンの生成を促進し、人の「意欲」を高め、活動レベルを維持することに効果的だと書く。 

 聖路加国際病院名誉院長であった日野原重明先生は 満105歳で亡くなられたが、以前その食事風景の動画を見たことがあった。その食事は、夕食をメインにしたものであった。朝食はジュースにオリーブオイルをかけて飲み、昼食は牛乳、胚芽クッキー、林檎だけで済ませた。夕食は週2回は肉、他は魚と少し多めに食べていた。その日の体調に合わせて食べ物を変えていたようだった。

 食・食品衛生は妻の分野であり、任せておいて心配ない。朝から出かける予定がない日は1時間ぐらいかけて朝食を作ってくれる。朝昼食兼用ということもあるが、夕食はどちらかと言うと少な目にしているようだ。

 人の意欲と密接な関係のある脳内物質・セロトニンは、光を浴びると沢山作られる。うつ病の人はセロトニンが不足しているとされ、その治療法に光療法というのがあり、人工的な光を一定時間浴びせせると改善効果があるそうだ。だから光を浴びる習慣が人々を若々しくする。

 さらに陽を浴びて作られるセロトニンによって、夜には脳にはメラトニンというホルモンがつくられる。このメラトニンは、睡眠ホルモンともよばれ、人の睡眠に深くかかわっている。

 指定確認検査機関に勤務していた頃、建築基準法の採光規定を巡って議論をした事があったことを思いだした。「照明器具が設置されていれば自然光の窓は不要ではないか」という意見だっと思う。「人工照明と自然光は全く別次元の問題で、代替えすることは出来ない」と言ったような記憶がある。その後の建築基準法の改訂を振り返ると人工照明派が多数派となっているようだ。

 しかし自然光によるセロトニンの生成を聞くと、建物の自然光を取り入れる建築基準法の採光規定は、今でも重要だと感じる。

 和田秀樹先生は、日本の医師は、自分が担当する臓器のスペシャリストにしか過ぎず、長生きの専門家ではないと指摘する。色々な医者とこれまで接してきたが、本当にそう思う。

 自分も「建物を長生きさせる専門家」になろうと思った。

テナントビルの看板

 借主(テナント)にとって看板は、店の集客と売り上げを左右するものなので、「できる限り通行人の目をひきたい」と考え、看板の設置が必要不可欠なものと位置付けられている。
 一方、貸主(オーナー)にとって看板は、所有物である建物のイメージを左右するものなので、「建物のイメージとかけ離れた看板を設置してほしくない」と考える。

 テナントビルの場合、設計者は通常、完了検査が終わり済証をもらい、工事の完了検査、引き渡しが終了すれば契約が完了し、その建物とは関わりが少なくなる。

 しばらくしてからテナントビルを訪れると、随分と建物のイメージと違ったり、他のテナントとは異質な看板を見る事もあり驚いたりする。テナントビルは需要と供給の力関係が反映する事もあり、一概にこれが正しいとは言い切れないが、やっぱり設計者としては、ビルのイメージを損なうテナントの看板は控えめでお願いしたいところ。

 あとあとトラブルがないように賃貸契約書上で看板のデザイン・種類・設置場所についての記載をすることが大事だと思う。

 契約書などで設置する看板のデザインや場所について明記されている場合は、予め契約書を交わしていることを理由に、後に無断で借主が設置した場合でも看板の撤去を警告することが可能となる。
 テナントから看板類のイメージパースを提出してもらい、話し合いによって契約書上で取り決めた看板のデザインと違う旨を説明し、看板デザインの修正について交渉を行う必要がある。

 ここはやはり、オーナーの姿勢次第。

定期通院

3ヶ月に一度、病院に通院している。血液と尿の検体検査をして診察を受ける。今回も特に異常はなかった。

それらが終わると昼を過ぎる。

病院近くの食堂で昼ご飯を食べる。検体検査がある時は、朝食を抜いてくるのでお腹が空く。

好物の冷奴

決まってハムエッグ定食を食べる。実はメニューには無い。以前、「ハムエッグできますか?」と聞いたら、嫌な顔せず作ってくれた。それ以来、頼んでいるが単品でアジフライを一匹つける事もある。

ハムエッグ定食が運ばれてくると、周りの客が「こんなメニューあるの?」という感じで壁にあるメニュー表を見まわしている。ささやかな優越感に浸りながら食す。

通院すると半日はかかるが、3ヶ月に一回の行楽という感じになっている。

バーチャル空間で遊ぶ

以前見たドラマ「ユニコーンに乗って」の中でも開発されていた仮想空間・メタバースの世界を体験してみたくて、凸版印刷のバーチャルショッピングモールアプリ「メタパ」に入ってみた。

https://metapa.app/

 古い方のPC(win10)だと少し動作が遅くなるので新しいPC(win11)で動かしてみると大丈夫だった。

 まだ出店数も少ないし、こちらも操作方法はまだ不慣れ。アバターも顔の色と服装を少し変えれるだけ。

 NTTドコモ発のメタバース「XR World」なんかも興味津々だが、あんまり遊んでいると飯が食えなくなるので少し自重中。

でもバーチャル空間にすごく将来性を感じている。

 たぶん 将来は店舗毎のオンラインショップなんかもメタバースに変わっていくのではないか。例えばだが、仮想店舗に行くと美人の店員さんが出てきて商品の説明をしてくれたり、仮想店舗のデザインとかアプローチとかも魅力あふれる楽しげなものになるのかなとか、色々夢想するとワクワクしてくる。

 建築では、CGに変わってバーチャル空間になるように思う。又マンションとか戸建て住宅の展示場等もバーチャル空間になるのかも知れない。まあ当分は現実の空間と仮想空間は並行していくようにも思うが。

 

子育てエコホーム支援事業


令和5年11月10日、令和5年度補正予算案が閣議決定され、新たに「子育てエコホーム支援事業」が創設された。

①「子育てエコホーム支援事業」(国土交通省)
②「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」(経済産業省)
③「先進的窓リノベ事業」(経済産業省および環境省)
④ 「既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業」(経済産業省)

※令和4年度補正予算案に盛り込まれた事業①~④をまとめて、以下、子育てエコホーム支援事業等といいます。詳しくは国土交通省「子育てエコホーム支援事業」を見て゜ください。

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000243.html

補助対象は、以下の条件を満たす方が対象】

①子育て世帯または若者夫婦世帯のいずれかである
※子育て世帯とは、申請時点において、2005年4月2日以降に出生した子を有する世帯です。

※若者夫婦世帯とは、申請時点において夫婦であり、いずれかが1983年4月2日以降に生まれた世帯です。ただし、令和6年3月末までに工事着手する場合においては、令和4年4月1日時点でいずれかが39歳以下(すなわち、昭和57(1982)年4月2日以降出生)の世帯となります。

②-1注文住宅を新築される場合
事業者と工事請負契約を締結して住宅を新築する方

※事業者は消費者に代わり交付申請手続きを代行し、交付を受けた補助金を消費者に還元する者として、予め本事業に登録をした住宅事業者です。

または、

②-2分譲住宅を購入される場合
こどもエコすまい事業者と不動産売買契約を締結し、新築分譲住宅を購入(所有)する方

※事業者は消費者に代わり交付申請等の手続きを代行し、交付を受けた補助金を消費者に還元する者として、予め本事業に登録をした住宅事業者です。

※宅地建物取引業の免許を有する事業者からの購入に限ります。

または、

②-3リフォームを実施する場合
令和4年11月8日以降に工事請負契約を締結したもの
別途定める事業者登録を行った後に建築工事に着工するもの
令和5年12月31日までにすべての工事が完了した上で交付申請が可能なもの

【補助対象となる新築住宅】
以下の①ないし②および③④⑤のすべてを満たす住宅が対象になります。

①長期優良住宅
長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅で、所管行政庁(都道府県、市区町村等)にて認定を受けたもの

②ZEH住宅
強化外皮基準に適合し、再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から 20%以上の一次エネルギー消費量が削減される性能を有するもの(ZEH、Nearly ZEH、ZEH Ready、ZEH Oriented※1)

※1 BELS 評価書に記載される「ゼロエネ相当」(強化外皮基準に適合しないもの)は対象となりません。

③ 住戸の延べ面積が 50 ㎡以上 240 ㎡以下
(床面積は、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積(吹き抜け、バルコニーおよびメーターボックスの部分を除く。)により算定します。なお、住戸内に階段が存在する場合、階段下のトイレおよび収納等の面積を含める。以下同じ。)のもの

④ 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成 12 年法律第 57 号)に基づく土砂災害特別警戒区域または災害危険区域(急傾斜地崩壊危険区域または地すべり防止区域と重複する区域に限る)に原則立地しないもの
⑤ 都市再生特別措置法(平成 14 年法律第 22 号)第 88 条第5項の規定※2により、当該住宅に係る届出をした者が同条第 3 項の規定による勧告に従わなかった旨の公表がされていないもの
※2 「立地適正化計画区域内の居住誘導区域外の区域」かつ「災害レッドゾーン(災害危険区域、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域、浸水被害防止区域)内」で建設されたもののうち、一定の規模以上(3戸以上または1戸若しくは2戸で規模が 1,000 ㎡以上)の開発によるもので、都市再生特別措置法第 88 条第 3 項に基づき立地を適正なものとするために行われる市町村長の勧告に従わなかった場合、その旨が市町村長により公表できることとされています。

【交付申請時の工事出来高の確認について】
交付申請は、一定以上の工事の出来高が確認できる時点とし、各事業タイプにより異なります。(1)および(2)については、完了報告期限までに住宅の引渡し、入居の完了についての報告が必要です。

完了報告期限:交付決定~補助対象である建物に応じた下記期限

(1)戸建住宅 交付決定~2025年7月31日
(2)共同住宅等で階数が10以下 交付決定~2026年4月30日
(3)共同住宅等で階数が11以上 交付決定~2027年2月28日
申請時期(工事の出来高)
(1)注文住宅の新規※3 補助額以上の工事の完了後 ①基礎工事の完了
(抗基礎の場合は抗工事の完了)
②建物価格×工事出来高(〇%)
 ≧戸 当たり補助額 × 住戸数※4
(2)新築分譲住宅の購入※3
(3)リフォーム工事 すべての工事の完了後
※3(1)(2)のいずれの場合も①②のどちらかを満たしている場合に、補助額以上の工事が完了しているとみなす。

※4 戸建住宅:1戸、共同住宅:当該住宅の全住戸数(申請しない住戸を含む。)

出典:子育てエコホーム支援事業の内容について

対象期間
契約期間:2023年11月2日~遅くとも2024年12月31日(予定)
着工期間:2023年11月2日以降に基礎工事より後の工程の工事に着手※5
期間内に基礎工事より後の工程の工事に着手するものを対象とします。ただし、申請時に工事が一定以上の出来高※5に達しているとともに、別途定める期間内に申請、完了報告が可能なものに限ります。
※5 補助額以上の工事の完了とします。

○ 基礎工事より後の工程の工事への着手

令和5年11月2日(令和5年度経済対策閣議決定日)以降に基礎工事より後の工程の工事に着手※6するものを対象※7とします。

※6 工事請負契約後に行われる工事であること
※7 着手可能な工事と対象とならない工事(具体例は下表参照)

〇 2023年11月1日時点で、着手可能な工事 杭、基礎、地下室、基礎断熱、足場等の仮設、給排水、電気、土台数、外構
× 2023年11月1日時点で、着手済の場合は、対象とならない工事 地下階の柱、壁、梁、屋根
出典:子育てエコホーム支援事業の内容について

嬉しかったこと

相談に乗っているお客様からメールが届いた。

「ブログを定期的に拝見しております。過去規定の話題、タイムリーでした。
本職の建築士の方でさえ、過去規定で悩まれている方が多いので(ブログやtwitter(X)で見かけます)、寺田さんの知見は後進の方々にとって貴重な情報の宝ではないでしょうか。ブログでのシェアは素晴らしい社会貢献だと思います。様々な話題、今後も楽しみにしております。特に私は神社仏閣が好きなので、お話興味深いです。」

「理解してくれている人がいるんだな」と思って嬉しくなった。

若い時に読んだ、物理学者のアルベルト・アインシュタインの言葉が思い出される。

「人の価値とは、その人が得たものでなく、その人が与えたもので測られる」

生きていれば毎日毎日新しい発見があり、喜びや悲しみや怒りがある。爺(じじい)になって、否、なったからこそ、余計 色々な事を書き留めておこうと思っている。

『家康の誤算・「神君の仕組み」の創造と崩壊』磯田道史著

 二百六十五年の平和な江戸時代をつくりあげた徳川家康。盤石と思われたその体制は、彼の後継者たちによつて徐々に崩され、幕末ついに崩壊する。「神君」家康にとっての誤算を、近世から近代まで俯瞰し、現代まで続く家康がこの国に与えた影響について考察されている。

 私は通常、本の選定は、本の中で紹介されていた他の文献や他の著者の文献を次々とリレー方式で読むことが多い。あるいは新聞等の書評欄から選ぶ。そして稀に本屋で見つける。

 磯田さんの本は、稀に行く本屋さんで見つける事が多いが、視点が面白いのですぐ読めてしまう。だからこうして感想を書いてしまうと本棚に並ぶのが早い。机のまわりには待機している本も多く積んであるし、長期間読み半端な本もあるので、早く読み終わり感想を書いてしまわないと通常の業務に使う机のスペースが狭くなる一方だ。

 そんなことはともかく、この本で特に興味深かったのは、第五章の『家康から考える「日本人というもの」』の中の「幕府が民に信じてほしくない思想とは」の部分。

 徳川政権が民に信じて欲しい思想は朱子学だった。加えて親と主君に対する忠孝というベクトルを作り上げた。「分を守って、分相応に生きろ」と。人間が平等であったり、等しく権利を持っているという考えは天下を獲った人には不都合だった。

 キリスト教では「神の子」は均しく「理性」を共有していると考え、神に授けられた理性の灯(ともしび)をわかちあう存在は均しく「人権」を持つと考える。

 そして『「世直し」一揆と伊勢神宮の「おかげ」』という部分は、不明瞭だった徳川政権の「天照大神と伊勢神宮」について理解が深まった。

 「実は、伊勢神宮は徳川家康の頃から危険な存在だった」とある。

 伊勢踊りは、御託宣によるとして伊勢神宮の神霊を諸国に送る神送りの踊りであるが、晩年の家康が駿府にいた慶長19年(1614年)から翌元和元年にかけて大流行した。これは大阪冬の陣と、夏の陣の間の時期であり、伊勢神宮の神官達は、式年造営を復活させた豊臣よりで反徳川的だったようだ。家康は、この伊勢踊りを反体制的なものとして警戒していたとある。

 幕末、徳川体制が弱ってくると「ええじやないか踊り」が始まり、誰かが仕掛けて伊勢神宮の御札をばらまいて、「天から御札が降った」と狂乱する現象が起きた。こうして天皇と天照大神への信仰が、徳川への反抗に利用され始めた。

 もともと戦国時代から「一生にのうちに一度は伊勢神宮に参りたい」という信仰心が、世間一般に流布していた。どうも徳川は「お伊勢さま」信仰への対策を放置していた兆候がある。

 人々は伊勢神宮に参って、五穀を実らせる太陽神の天照大神のありがたみに感謝し、天皇を「あの天照大君から長く続くありがたい存在」と実感する。伊勢参りを繰り返す中で、日本人の心の中に「徳川から天皇」へと意識の変化が生じていった。だからお伊勢参りは尊王思想に繋がっていく。

 今年、10年振りに伊勢神宮に御参りをして、個人的には外宮(豊受大神宮)に、より聖域性を感じた。「それは何故なのか」という問いかけが自分の中に残った。

翔んで埼玉WOPPER SET

娘が昼に買ってきてくれたハンバーガーセツト

今、埼玉はバーガーキングのワッパーセットが大人気らしい

バーガーキングの味付けは、無理に日本的ではないので意外と好き

私はハンバーガーはつぶして食べず、一枚一枚めくって食べるので、

皆に邪道だ。汚い食べ方。作った人の意図を尊重していない等と

Disられながらも、我関せずと食す。

既存不適格

 既存不適格(きぞんふてきかく)は、建築・完成時の「建築基準法や各種規定の基準に適合して建てられた建築物」であって、その後、法令の改正や都市計画変更などにより、現行法に対して不適格な部分が生じた建築物のことをいう。

 既存建築物が全て該当するわけでなく建築確認済証・完了検査済証がある建物だけが、既存不適格の恩恵に預かることができる。

 まず第一に、これを理解していない建築士は多い。また「既存不適格」を「違反状態」と考えている建築士も多い。 

 「既存不適格」建築物は法文上で定義された用語ではないが「現に存在している建築物」で、その後の法改正によって法に不適合になったものに対しては建築基準法が適用されない旨を記した法3条2項の内容を示した言葉として使われている。

 例えば建築基準法第3条第2項が「いわゆる既存不適格建築物に定めた規定である」(「詳解 建築基準法・改訂版 平成13年11月発行)と記載がある。

 何故この規定が出来たかという説明として上記の「詳解 建築基準法」では、住居地域内の建蔽率を取り上げて「現在は適法であるが、都市計画法の改正により建蔽率が少なくなり、かつ、なんらの経過処置も規定されていないとしたら。これらの建築物は改築、修繕などの工事を一切しない場合でも違反建築物となってしまう」これは「法的安定性を害する」と記載している。

 既存不適格建築物に対して大規模な修繕・模様替えあるいは増改築等を行う場合、基本的には既存不適格の部分にも新規定を適用する必要がある。しかし、全ての項目を新規定に合わせることは難しいため、法86条の7では制限の緩和を定めている。

 法文上定義されていない用語の為か、「既存不適格」という概念が建築基準法に限られた定義なのかわからないが、建築関係の訴訟に関わると、この「既存不適格」という言葉や意味を弁護士や裁判官がわかっているのかどうなのか疑問になることがある。

 法文上定義されていない用語は多い。「竪穴区画」もこの間まで法文上は出てこなかったし、「スバンドレル」という用語も最近では死語のようだ。若い建築士に言っても法文に記載がないから知らないと言われた。

「スパンドレル」とは防火区画に接する外壁で、区画の内側から外側へ、外気を介した炎の回り込みを防ぐ部位のことで、外部延焼防止帯ともいう。

 

 

「動物たちは何をしゃべつているのか?」山極寿一×鈴木俊貫著

書名に魅入られて購入した本

 近年、動物の認知やコミュニケーションに関する研究が進み、動物たちが何を考え、どんなおしゃべりをしているのかがわかってきたらしい。シジュウカラになりたくて年の半分以上を森で暮らす研究者と、ゴリラになりたくて群れの中で過ごした研究者が、最新の知見をもとに語り合った本。

 動物たちも言葉を使う。従来思われていたよりもずっと高度な会話をしていることがわかってきた。動物たちは環境への適応、生存や繁殖のために進化したので住む環境によって言葉も違う。動物たちのコミュニケーション手段は言葉だけではない。踊りや歌も重要なコミュニケーション手段。

 動物にあってヒトにない認知能力があり、ヒトとは異なる認知世界に生きている。

 ヒトにとっての社会的グルーミング(集団的接着剤)は、一緒に食事をする事(共食)。音楽。火(一緒に焚火を囲むこと)

 人間のコミュニケーションは「形式知」である言葉に依存しているが。動物のコミュニケーションは「暗黙知」を多用している。

 現代社会が言語に依存することで、人は非言語的な情報を認識できなくなる可能性があるが、テクノロジーをうまく使う事が出来れば、言語から切り捨てられる情報と現代社会の利便性を両立させることは可能だと言う。デジタルも大事だがアナログも大事だということに尽きるのかも知れない。

 言語とは何か、人間とはどのような動物なのか、そして真の豊かさとはどのような事なのか考えさせられる本。

佐野みそ本店

 以前仕事先の人に紹介されて、機会があれば来てみたいと思っていた「佐野みそ本店」に妻と行ってきた。JR亀戸駅から近い。

 妻が食・食品衛生の分野なので、こういう店に買い物に行く話は、すぐまとまる。この日も「味噌がなくなったから買わなくちゃ」というから「佐野みそ行ってみる?」ということで、すぐまとまった。

亀戸の本店は客が一杯だった。店が手狭に感じるぐらい味噌を始めとして各種調味料や漬物等の商品が並んでいる。

店の後ろの方にイートインコーナーがあり、焼きおにぎりと具沢山味噌汁を食べた。

味噌は6種類ほどから選択できる。身体が温まり美味しい味噌汁だった。

味噌とか漬物を購入したが、味噌は重たいので送ってもらう事にした。

今日から師走

一年が過ぎるのは早いもので、今日から師走

 2023年11月末での、当サイトの一日平均訪問者数が1,951、月合計58,550。PVは一日平均8,363 月合計250,896となりました。
一日の平均訪問者数は10月が1,421、9月が1,413でしたので11月飛躍的に訪問者数が伸びました。

 実務に追われているときは、あまり建築関係の事とか書きたくなくて、読んだ本とか、日々雑感のようなことを書くことが多いのです。だからか建築関係者ではない人が見ていてくれているのかも知れません。ただ閲覧者が増えると相談や照会も増加します。

 公開している投稿数は、11月末で1,740。10年もブログをしていると投稿数も増えます。

 私にとって このブログは文字制限のないTwitter(X)のようなもので、まあ「つぶやき」。ときどき「覚書」。

 そもそも弊社は「隠れ家レストラン」「爺婆の町中華」のような存在ですから、会社を大きくしたり、名を売りたい気持ちはありません。

 最近は、過去に書いた記事の見直しをしなければと思っています。とりわけ建築関係の規定は、過去の取扱いとか解説を修正しないとならない箇所もあるので年末年始に作業しましょう。といっても年末年始には、これもしたい、あの本を読みたいと一杯詰め込み、結局寝正月ということも多いので どれだけ作業できるかはわかりませんが。

 X(ツイッター)と連携したらとか、アフリエイトしたらとか、動画もやってみたらとか、色々な助言をいただきますが、沢山の事をやる時間的余裕も少ないので 当分このまま、ひたすら頻繁に投稿するようにします。

 これからも宜しくお願いします。

「ユニコーンに乗って」

2022年に放送されたTBS火曜ドラマ。

最近ネットフリックスで一気に観てしまった。

実務に追われていると逃避的になる悪い癖

デジタルとアナログの融合のような、何だかほんわかするドラマ。

このドラマのロケ地には、幾つかの図書館が登場する

その一つが「武蔵野プレイス」(武蔵野市図書館分館)

正式名称は、

武蔵野市立「ひと・まち・情報 創造館 武蔵野プレイス」

図書館をはじめ生涯学習支援、市民活動支援、青少年活動支援の

4つの機能を備えた複合機能施設。

設計は、川原田康子と比嘉武彦によるアトリエ事務所「kwhgアーキテクツ」

雑誌で見て知っていたが、まだ実物は見に行ったことがない。

でも、可愛らしい建物だ

その他に、山梨県立図書館

主人公達の出身大学として登場してくるのが三鷹の国際基督教大学

緑豊かなキャンパスが印象的だった

そしてドリームポニーが入居しているビルとされていたのが、

H1O 神田

見慣れている建物がドラマに出てくると親しみが沸く

【超十夜法要2023】

阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩の三尊を讃える「三尊礼」。
 このお経を、伝統的な声明の旋律をそのままに、住職が篳篥(ひちりき)、琴、太鼓などの音源を用いて編曲して「和楽器mix」にされている。
 それに合わせて真言宗僧侶にしてダンサーの滝山隆心師とメイドくーたんが供養の踊りを奉納。

 現代の「踊念仏」とも呼ぶべき法座

進化した「ドローン仏」

スメルスケープ

スメルスケープとは匂い(smell)と風景(landscape)を合わせた造語で、失われつつある視覚以外の豊かな体験の復権を目指すものとして地理学者ポーティウスが提唱した概念だそうだ。

2023年北海道小樽市を訪ねた。9月だというのに今年の北海道は暑かった。

【写真は上下共・小樽運河2023夏】

 小樽の街の第一印象は「くっちゃい」だった。下水の臭いが街を支配していた。たぶん小樽運河の臭いなのだろうと思う。小樽運河も長い間浚渫をしていないのだろう。

最近の報道で、道路の標識が「Otaru Poot」(小樽おなら)と30年以上書かれたままだったというのがあった。正式には「Otaru Port」なのだろうけど、確信犯だったのではないかと思った。

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E5%B0%8F%E6%A8%BD%E3%81%8A%E3%81%AA%E3%82%89-%E3%81%AF%E3%81%93%E3%81%A1%E3%82%89-%E5%B0%8F%E6%A8%BD%E5%B8%82%E3%81%AE%E9%81%93%E8%B7%AF%E6%A8%99%E8%AD%98-%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E8%A1%A8%E8%A8%98%E3%83%9F%E3%82%B930%E5%B9%B4/ar-AA1l55og?ocid=msedgdhp&pc=SCOOBE&cvid=09fd348fa20148daba028913aec702b4&ei=61

 
かれこれ50年以上前に小樽市を訪ねたことはあるのだが、その時は冬でもあり、臭いは感じなかった。そして今日も小樽は雪だと聞くので臭いはないだろう。

 夏の皇居の外堀、神楽坂下あたりのカフェで嗅いだ臭いだ。東京駅周辺でも時々、特定の箇所で嗅ぐ臭い。

 そんな小樽の経験から「街を覆う臭い」が気になり始めた。

 視覚も大事だけど聴覚(音)とか嗅覚(匂い)も大事なのだろう。「音のある風景」というのは聞いた事があるが「香りのある風景」というのは、実は聞いたことがなかった。

 環境省は平成8年に「残したい”日本の音風景100選”」を選定し、平成13年には「かおり風景100選」を選定していた。

 どうやら都市計画の風景概念が視覚的なものから聴覚・嗅覚、そして五感全域に向け拡張し捉え直そうと様々な分野で試みられているが、その背景には,視覚に偏り人間の身体から乖離した近代的風景観を是正しようとする動機だけでなく、社会の近代化にともなう環境悪化・荒廃に起因する「風景の危機」がいっそう進んでいるという認識があるのだと思う。

 建築学会の論文等でも「スメルスケープ」について既往の研究が散見される。時々勉強している程度なので、まだこれ以上書けないが、継続して勉強していきたいテーマとなった。

「トビウオが飛ぶとき」桑原亮子著

 この本は、NHK連続テレビ小説「舞い上がれ!」の脚本家であり歌人の桑原亮子さんが、「舞い上がれ!」の中から選んだ短歌集です。

 ほとんどテレビを見ないので「舞い上がれ!」も見ていませんが、短歌集は字が大きく電車で読むには、うってつけなので、最近は色々な歌人の短歌集を集めています。

 さて特に気に入った短歌を書いておきます。

梅津貴司の第一歌集「デラシネの日々」より

「トビウオが飛ぶとき他の魚は知る水の外にも世界があると」

「支えきれなかった。ごめん。落ちていくバラモン凧の糸の悲しみ」

「デラシネ」とは「故郷を喪失した人」「根無し草」という意味であり、懐かしい言葉に出会った。五木寛之の初期の作品に「デラシネの旗」という小説があった。五木寛之自身のパリ滞在時の経験をもとに、フランスの5月革命を描いたもの。昭和44年(1969)刊行の本だが、青年時代に読んだ記憶がある。当時「デラシネ」という言葉は結構流行っていたように思うのだ。

 自分自身の一生を振り返ると、生まれ故郷に帰る事もなく、ひとつの地域にこだわるでもなく根無し草の人生だったようにも思う。

 短歌というのは、不思議なもので他人が詠んだ歌でも、自分の記憶とシンクロすると過去の情景が浮かび上がり、感情が揺さぶられることがある。

 短歌を詠む一人ひとりが違う人間で、何を面白いと思うのか、どんな言葉を使うのかはみな違うので出来上がる短歌も違ってくる。誰とも違う自分が詠んだ短歌は、ときには他の人の力となる事もある。短歌というのは、本当に不思議な力を持っていると思う。

 この本の中から 最近孫娘に贈った短歌

「君が行く新たな道を照らすように千億の星に頼んでおいた」

「本のある空間採集」政木哲也著

 この本は、個人書店・私設図書館・ブックカフエなど、国内の様々な「本のある空間」を訪れ、その空間を「実測」し、立体的な図に起こし1冊にまとめた本。

 かってあつた小さな地域密着型書店は次々と閉店してしまう時代に、新しい形で人と本の出合う拠点をつくり運営している個人書店・私設図書館・ブックカフェがある。それらに身を置くことでどんな空間体験がもたらされのか、著者の探求の旅の成果。

 この10年もっぱらアマゾンで本を購入することが多い者としては、この本で取り上げている「本のある空間」には、大変魅力を感じる。

 最近、見せてもらった仕事関係者の自邸(写真)は、壁面全体が書籍棚で その広い空間の中にベッドが置いてあり、人を羨ましいと思う事はあまりないが、この時はとても羨ましく思った。

 本屋さんになりたいと思ったことはないが、「本に囲まれた空間」は希求してきた。しかし、残された本の行き末を考えると暗澹たる気持ちになる事もある。