高山市庁舎

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花粉警報が真っ赤な中、飛騨高山市を訪れた。

高山市庁舎に行ってきた。

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日建設計の設計

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•建築面積:2,906.81㎡
•延床面積:14,458.24㎡
•階数:地下1階・地上6階
•構造:鉄骨鉄筋コンクリート造
着工:平成6年6月24日
完成:平成8年8月31日

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内部は、1階市民ロビーのアトリウムを中心に展開する

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駅前と伝建地区は、外国人観光客(とりわけ欧米人)でいっぱいだった。

現場調査のスタイルと装備

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最近整理した特殊建築物を現地調査するときの弊社のスタイルと各自が持つ装備のイラスト。

特殊建築物では、木造住宅等の調査とはまた少し異なる条件が加わる。

まず第一に調査面積が広いし、階数も多い。通電してない、エレベーター使えない、換気悪い等の条件も加わる。

実は、イラストも弊社の裏メニュー。わかりやすいでしょ。

ということで、来週一週間は調査の旅に出かけてきます。

素振りのようなもの

朝早く起きて「法規」の勉強をするようになったのは、いつ頃からだったろうか。

建築設計から転職して指定確認検査機関に勤めた頃からだろうか。

最近は必要に迫られて一級建築士試験の法規の問題を浚っているが、建築基準法ばかりではなく民事訴訟法とか民法とか法律全般の勉強をする。

若い時は、法規は苦手だった。

それが、今は法規が業務の中心になっている。

人生わからないものだ。

剣道をやっている人は 何段になろうとも毎日素振りをするそうだ。

そう 毎日 法規の勉強を続けよう。

建築基準法を33回読み通せば 神に近づけると言うし

そのうち良いこともあるだろう。

ストック活用と民法の壁

工事完了検査済証のない建物は、何故にこんなにも多いのか・・

とため息が出てしまう。

最近、相談を受けた建物は築30年で鉄骨3階建てのビル。最上階3階にビルオーナーの住まいがある。歳をとったので外部にエレベーターを増築したいと思い、業者に依頼したところ建ぺい率・容積率は余裕があるので増築は可能なのだが、工事完了検査済証が無いため申請が難しいと言われた。それで弊社に相談が持ち込まれた。

テレビコマーシャルで話題になった大手ハウスメーカーの設計施工の建物。

法適合状況調査の見積もりを作成したが、個人オーナーにはかなり負担だろうと思う金額になった。メーカーは構造計算書を建築主に渡していないのでなんとか協力してもらおうと建築主から連絡を取ってもらった。

メーカーの営業担当曰く「うちで工事をやらせてもらえるなら協力します」「技術資料は社外秘なので出せません」・・・馬鹿野郎と言いたくなる。

民法の不法行為の消滅時効は20年で、建築物関係にあてはめると時効期間が短いように思える。だいたい増築・用途変更・大規模模様替え等のアクションが起きるのは20年を過ぎたものが多い。だから民事で損害賠償請求するのは難しい。

逆に20年以内なら、これからは不法行為を問えるケースも出てくるだろう。

(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第724条不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
(不法行為による損害賠償)
第709条故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

建築基準法上は工事完了検査を受けず、検査済証がなく使用を開始するのは違法行為なのだが、当時は検査済証がなくてもとがめられなかった。というか多くは完了検査をうけなくても平気という風潮があった。登記できたし銀行融資も実行された。ところが今はそうはいかない。

平成26年に国交省から出された「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」、このガイドラインが出る前から事例は多くはなかったが特定行政庁と個別に協議し検査済証の無い建物の増築・用途変更等は申請することができた。大阪府下とか横浜市とか都区内でも幾つかの特別区は対応してくれていた。

弊社では、いまでも指定確認検査機関ではなく特定行政庁と個別に相談して法適合性調査を行っている。

だから、検査済証の無い建物の建築ストック活用を妨げている最大の障害は、その手順ではなく、法適合性調査にかかる費用なのだと思う。実際 調査費を聞いて増築や用途変更を断念する人は多い。だからと言って規制緩和のもと安全性をないがしろにする風潮には賛成できない。

たとえ不法行為の消滅時効が経過しているとしても、「検査済証無建物」に関わつた事業者、少なくても現在も継続して事業を行っている設計事務所・建築会社はその責任の一旦を担わなければならないのではないかと思う。

このことは、社会問題化しないと解決していかないのではないかと思ってきた。というか相談した弁護士のアドバイス。

検査済証の無い建物は、多くが実態的にも建築基準法に違反している。

集団規定に抵触している場合、避難経路の場合、構造上の問題、「どこにやましいところがあつて完了検査を受けなかったのか」と疑ってみなければならない。「手続きがめんどくさかった」ということだけ完了検査を受けなかつたケースは少ないと考えている。

RC造のスパン計画

つらつらと昨年度の一級建築士設計製図試験の課題をみていた。スパン割りは、7m×7m=49㎡とか6m×8m=48㎡が標準のようだ。スラブ厚は200mm程度にしている。

設計製図の課題の場合は、建築面積から単位グリッド(スパン割り)の目安をつけ、敷地の形状・敷地ゾーニング計画から決定する。設計製図の場合、均等スパンが基本だろうから、7m×7mあるいは6m×8m等の、どのスパンが適正なのか判断しないとならないだろう。

私が一級建築士を受けた1982年今から34年前は6m×6m=36㎡、スラブ厚120mmだったように記憶している。戦前昭和12年頃のオフィスビルの図面をみていたらスパン割りは5.4m×5.4m=29㎡でスラブ厚120mmだった。

これにはコンクリート強度も関係があって、現在はFc24N/m㎡が標準だが、戦前はFc13.5N/m㎡。80年間の建築技術の進歩を感じる。

最近読んだJSCA(日本建築構造技術者協会)の資料で、「梁せい-スパン-コスト」に関するものを読んだ。これはエクスナレッジ刊「スパッとわかる建築構造」に書かれている。

RC造の大梁のせい、スパンを変化させ、適正断面を検討したもので、RC5階建ての4階の大梁を想定していた。6m×8mの場合で大梁のせいを変化させたとき、梁せいを小さくすると鉄筋量が増えコストアップにつながり、梁せいがL/11~L/10の範囲ではコストはさほど変わらないようだ。

久しぶりに一級建築士の設計製図試験の課題をながめてみたが、要求図面+面積表+計画の要点について記載しないとならなくなっており、より実務的というか、かなり幅広い建築知識が必要なものになつていると感じた。設備計画などは、設備設計一級建築士の試験を思い出した。

士法19条は、まもられているか

建築士法第19条「設計の変更」に関わるトラブルは昔から結構ある。

「設計監理契約が途中で解約となり、自分の設計をほとんど利用して、別の設計者が設計して建物を完成させた。」「工事監理が別の設計事務所になり、計画変更確認申請が出されたが、承諾を求められなかった」等

長く設計事務所を営んでいる人なら、こうした建築士法第19条にまつわる発注者とのトラブルは大なり小なり経験している事だろう。

建築士法第19条はこう書いてある。

(設計の変更) 
第十九条 
一級建築士、二級建築士又は木造建築士は、他の一級建築士、二級建築士又は木造建築士 の設計した設計図書の一部を変更しようとするときは、当該一級建築士、二級建築士又は木造建築士の承諾を求めなければならない。 
ただし、承諾を求めることのできない事由があるとき、又は承諾が得られなかつたときは、自己の責任において、その設計図書の一部を変更することができる。

「設計を変更しようとした場合、原設計者の承諾を得られない場合は、自己責任において変更できるとあるが、 もし杭や基礎、RC部の躯体を変更せずに、構造計算書による耐力の範囲内で屋根や間取りが変更された場合、杭、基礎、RC部の躯体の設計責任は弊社に残るのものなのか?」という質問があった。

第三者が監理を行う場合、設計者が参加しない「設計変更」とその場合の「設計責任」について私見を述べた。

「 設計変更を承諾するのは建築士法で設計者となっています。しかし建築士法第19条のただし書き「承諾の得られない事由」がありますのでその解釈によっても捉え方が変わると思います。

以前 知人の事務所が施主と意見があわず工事監理者により計画変更がなされた時にまず、文書で建築士法第19条に基づき「計画変更願い」(図面等添付)を提出させました。

設計者からの回答として「承諾できない旨」の文書を発行し「設計を含めた全責任を工事監理者が請け負うことの趣旨の念書」を書いてもらった事があります。

上記について弁護士と相談し対応しました。

設計者の承諾なしで行われた設計変更に起因する不具合や瑕疵は、設計者にとっては民法上も免責事項になります。

但し、知っていて何も行動しなかったときは、請負人が負う、
「知りて告げざりし責任(民法640条)」が類推適用され責任を問われる場合があります。

今回は設計変更を知ってしまったので逆に何らかのアクションをしないとまずいのではないかと思います。

設計者と監理者の意見が異なった場合に生じた事項に対する責任は、決定に至った状況によりますので、何ともいえません。

また建物全体は一体性がありますから部分の変更にともなう全体や他の部分への影響は、因果関係の証明に苦労します。

発注者の意志で、設計者を参加させないで変更しても良いかとなれば、設計者の承諾を得ない限り、建築士法(設計者の承諾義務)、著作権法(同一性保持権)に違反することと思います。

いずれにしても弁護士に相談しながら対応し、設計者としての保険をかけておいた方が良いと思います。」

と回答しておいた。

この件は、どうやら確認済証が出ているので、工事取止め届を出して、工事監理者が設計変更したもので確認申請を出しなおす方向で、発注者と話し合いがまとまりそうだとのことだった。

弊社の裏メニュー的な業務として「建築法務」がある。建築界も表面には出てこないがトラブルは結構ある。

小石川二丁目マンション(ル・サンク小石川後楽園)@事件の現場

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2/25、小石川二丁目マンション(ル・サンク小石川後楽園)の現地を訪れてみた。

外構工事を残して工事は中止されたままだった。工事事務所は撤収されており、現在は管理者は常駐していないように見受けられた。

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地下鉄の後楽園駅、春日通り・文京区役所の交差点からはとても近く、利便性が良くマンションとして最適な立地だと感じた。

しかし道は狭い。

住民側の要望だった「車寄せを敷地内に設けてください。ゴミ出し場やメインエントランスを車寄せに代用しないでください」というのは、近くに住んでいる人達にとっては、至極あたりまえのような要望だと思った。

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この建物の敷地は凸型で、実質は急傾斜の「掘坂」に面していて、六角坂とかこの道には形ばかりの接道なのだ。

DSCF2350_R「堀坂」は、歩道はあるものの、思っていたより急傾斜だった。

私だったらこの坂の途中に駐車場の出入り口があるのは嫌だな。何よりも坂道発進苦手だし。

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「堀坂」を「六角坂」から見たところ。住民側の要望に「駐車場出入口を坂が平坦になる位置に移してください。」とあったが、マンション側住民の駐車場出入りの安全性から考えても検討の余地はあったのではないか。

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1階の駐車場出入口付近

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「六角坂」は、一方通行だが幅員は6m程度ある

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「六角坂」側の接道。

昨年平成27年11月2日付けで東京都建築審査会で建築確認申請が取り消されたのだが、その後公表された「第1254回口頭審査議事録」「建築計画概要書」等を読んだ。

こうした傾斜地に建つ建物の「避難階」の考え方は難しい。建築基準法では、施行令第13条第一号に「避難階」カッコ書きで「直接地上に通ずる出入口のある階をいう」とあるだけだ。法律の解釈だけで是非を判断しがちだけど、果たしてそうだろうかと思う事が多い。

竣工間際の建築物の工事の執行停止や建築確認を取り消す事が、どれだけ社会的に影響が大きいことか。マンションを契約していた人達、事業者、設計者、施工者・・・。そして地域の人達にとっても、このままこの建物が放置されることは望んではいないのではないかと思う。

建築業界のみならず、様々な教訓を「事件の現場」は提起してくれる。