フォレストスクエア仙川-9・リーシング

 建築サイドから見ていて、つくづくリーシングは難しい業務だなと思う。

 他の業界の人には聞きなれない言葉だと思うが、「リーシングとは、不動産物件の賃貸借に関する一連の業務プロセスを指し、物件オーナーと入居希望者をマッチングさせる重要な役割を担っている。」 要するに単なる不動産屋さんではない。

商業施設では、実際リーシングこそが、その事業の成否を握っているといえる。

フォレストスクエア仙川のテナントは全16店(2026年2月7日時点)

1、フランスベッドギャラリー    寝具店  1/30オープン
2、CAL    カバン
3、Zoff    メガネ
4、DOG & CAT JOKER    ペットショップ   1/30オープン
5、L’epicerie Sgami     食品店 サカガミの新ブランド
6、ロバーツコーヒー コーヒーショップ  多摩地区初出店・北欧フィンランドコーヒー
7、Minimal Bean to Bar Chocolate  チョコレート専門店 2026,2以降オープン予定
8、クリスプサラダワークス   サラダ専門店 1/30オープン
9、匠がってん寿司   回転寿司
10、nib a Hamnburger works  オリジナルバーガー 新規業態・浅草本店
11、DE CARNED CASTE SENGAWA   カステラ
12、ボナペテイート・パパ イタリアンレストラン  さわやか新業態
13、京都焼肉天檀1965SENGAWA   京都焼肉 都内初出店
14、HOUSE MADE   スイーツカフェ 多摩地区初出店
15、スターバックス    カフェ
16、SHARE LOUNGE   シェアラウンジ  1/21オープン

 スターバックス、Zoff等おなじみのチェーン店も入居しているが、都内・多摩地区初出店や業態を変化させた店舗等が入居している。地域のマーケットターゲット(客層)を絞って、新鮮味のあるテナントをリーシングしている。リーシングを担当した三越伊勢丹は、苦労しただろうなと予想されるがリーシング力量は中々のものだと思う。三越伊勢丹にリーシングを依頼したカワマタの眼力は流石。

 リーシング能力の低いところだと賃貸条件(家賃等)から、安易にチェーン店を入居させ、結果として金太郎飴のような商業ビルになってしまう。その結果、開店から少し経つと商業フロアはガラガラになってしまうというのは、都内のあちこちに見られる。

 さて、フォレストスクエア仙川の記事は、とりあえずこれが最後。秀でた事例を多角的視点で学び事業を構築しましょう。

 建築デザイン、事業収益性、リーシング等、総合的にバランスが取れていないとビジネスとしては成立しません。 弊社は、そのお手伝いができます。

フォレストスクエア仙川-8・建物概要

・敷地面積  4,585㎡

・延べ床面積 8,754㎡ (2,648坪・容積率191%)

・建築面積  3,624㎡  (建蔽率79.05%)

・店舗面積  1,494㎡ (大店法面積・452坪)

・構造規模  鉄骨造5階、地下1階 (5階居宅)

・用途地域  近隣商業/準防火/建蔽率80%/容積率300%

・建物用途  居宅・事務所・店舗

・駐車場   48台(1階平面駐車場)

・提携駐車場 147台

・駐輪場   91台

・設計施工  ㈱竹中工務店

・建築主   ㈱カワタケ

・運営管理  三越伊勢丹(リーシング含む)

・推定事業費  根抵当極度額を初期事業費としたとき 151万円/坪

・まとめ  

 全体的に工事費を含む事業費を圧縮して事業採算の向上を目指したように見受けられる。地階を作らない。建物の軽量化。基礎躯体の低減(仙川周辺の地盤はGL-10mぐらいで支持地盤)。建物仕様のローコスト化。納まりはよく考えて仕上げているが、建築的に作りこんでいない。

 アウトモール型商業施設は、その集客に天候の影響を受けやすいことは言うまでもないが、建築コストとランニングコストを低減できる。そのバランスをどう見極めるかが要かと思う。

 この連載企画の意図するところは、ネット等で公表されているデーター、各種資料から、この建物の建築主の意図を類推することであり、㈱カワマタの公式発表ではない。

 こうした商業施設を分析・検討することで、一般の不動産オーナーの事業計画に寄与することを目指している。

フォレストスクエア仙川-7

3階から2階を見おろす

勾配屋根が

住宅街の街並みのような親しめる空間づくりに寄与している

 仙川の街に初めて来てみたが、駅周辺は意外と高密度な空間で、甲州街道は車の通行量が多いし、結構な騒音がある。それらから守るかのような建築の構成には好感が持てる。

 「スクウェア」には、「都市で、建物が街路に囲まれた方形の区画」というような意味があるから、低層商業施設に採用することでヒューマンスケールを保持できたのかもしれないと思う。

 全体として「包摂」というか、人に優しい。包み込むという感じが好きだ

手摺子はフラットバーを90度回転させてリズムをつけている

あまり小細工しないところが良い

3階はヘビー飲食店でまとめている

 全体的に丁寧な仕事がなされている印象を受けた。ローコスト仕様だが、きちんと納まりが考えられ仕上がっている。さすが「仕上げの竹中」という感想を持った。

フォルストスクエア仙川-6

2階にあがる。

エスカレーター屋根があるだけましか。

屋外エスカレーターは、降水量多いと停止させないとスリップするし、

室内エスカレーターに比べて耐久性に劣り、

維持管理費が嵩むと言われている

2階は人工台地というか中庭のようなテラスが中央にあり

その周囲に店舗を配置している

開放感があり、各テナントを見渡せれる。

ようするに視認性がある

植樹は、この冬を越せるかどうかが、技術的な試金石

ROBERT’S  COFFEEで一休み

平日の夕方。客は女性、小さな(未就学児)子供連れ夫婦、老夫婦等

共用トイレは、2階に男子大2・小2、女子2+授乳室

フォレストスクエア仙川-5

東道路側

仙川駅との間に自社のステイヒルズ仙川があり、

2階通路と連絡している

1階は、大半が平面駐車場

仙川の街は、女性ドライバーが多いように見受けた。

やっぱり平面駐車場は人に優しい

こんな店舗レイアウトになっている

北側・甲州街道側

手すりは溶融亜鉛メッキ、外壁は鋼板サイディングと

全体的にローコスト仕様

1階は道路に沿って路面店舗、スタバとか入居済

甲州道路側の1階テナントは開店準備中

フォレストスクエア仙川-4・宣伝広告

フォレストスクエア仙川のオープン前の宣伝広告は、ネット上で見た限りでは、

サイトと

https://forestsquaresengawa.jp

インスタグラムしか見当たらなかった。

https://www.instagram.com/fs_sengawa

 サイトのアクセス数はいかほどか不明だが、インスタグラムのフォロワー数、投稿数を2025年12月11日の時点で調べたところインスタ投稿数30件、フォロワー数は4,317人だった。インスタ投稿数そのものが少なめで、工事途中経過をUPしている程度。その割にはフォロワー数が多いと感じた。

 2026年2月2日時点でのフォロワー数は4,739人で、オープン当初より422人増加している。投稿数は累計38件だ。

 全体として他の商業施設と比べてもネットでの宣伝・広告に資金を投入しているように見えない。仙川に多数の商業施設を創ってきた㈱カワタケの実績があるので、この程度のネット戦略でよいのかもしれない。紙媒体は仙川全体のフリーペーパー「SENTRAL」を発行している。

 饒舌だからと言ってフォロワーが増えるわけでもない。私自身は20年近く「ブロガー」と言われるほど幾つかのブログに投稿を続けてきたので、投稿の内容とアクセス数の関係。曜日によってどのような内容の投稿がアクセス数が増えるか等、なんとなくわかる。フォレストスクエア仙川のネット戦力は、ビジネスとしては低コストでしかも効果的な投稿だと思っていた。

 オープン当初の紙媒体での宣伝広告については不知。

フォレストスクエア仙川-3・カワタケ

 フォレストスクウェア仙川の建築に触れる前に、建築主である株式会社カワタケについて書いておこう。

http://www.kawa-take.jp

【カワタケ・フリーペーパーより】

 ㈱カワタケは、これまで仙川にBROAD SQUARE(ブロードスクエア)、STAY HILLS(ステイヒルズ)、OAK BUILD(カワタケオークビル)、PIVOT SENGAWA(ピボット仙川)、QUEEN’S ISETAN(クイーンズ伊勢丹)、P’S SQUARE(P’Sスクエア)、SOUTH COURT(サウスコート)という、それぞれが特徴のある商業施設を作ってきた。

 仙川の「まちづくり」を語る上で、街の活性化への寄与度、今日の仙川の知名度を上げたうえで㈱カワタケの存在は多大なるものがある。

 会社として商業施設を創り運営・管理する能力と経験は突出したものがある。商業施設を通じた「まちづくり」の先駆者である。

 ㈱カワタケは「仙川のミッシングピースをつくる」と高らかに謳っている。「ミッシングピース」とは、「何かを完成させるために必要な欠けている部分」という意味だが、サイトのミッションには「開発する商業施設やテナントは、1つひとつが仙川という街をデザインするピース。街全体を見つめ、1店1店を誘致し、開発していく。」とある。

 小規模でも商業テナントビルを作れば、無理なく店舗や事務所が借りてくれる時代ではない。その街の特性、商圏は変化する。駅前にタワマンが出来れば、生活系の店舗需要が増えるし、街場の不動産所有者・大家さんは、個店のビル経営者でも自分の頭で考え抜かなればならないと生き残れない、継承できない時代なのだと思う。

 そうした商業施設の経験豊富なカワタケが、延床面積8,754㎡という商業施設「フォレストスクエア仙川」を世に送り出そうとしていたのだ、当然注目するだろう。

フォレストスクエア仙川-2・商圏

 商圏分析とは、特定の地域における市場の特性を分析することで、商業戦略の最適化を図る手法と言われている。商圏の人口特性、競合状況、交通アクセス、消費動向などの様々なデーターを分析し、マーケッティングや出店計画、様々な販促計画に活かすことが目的とされている。特に小売業、飲食業、不動産業などでは、商圏を正確に捉えることが必須と言われている。

 商圏は教科書的には、一次商圏(最も近い顧客層・約0から3km圏内)、二次商圏(中距離の顧客層・約3kmから10km圏内)、三次商圏(広域の顧客層・約10km以上)に分類されるとされている。

 マーケッティング分析の専門家ではないので、フォレストスクエア仙川の建築について考えていた時に集めていた資料を公開する。

【京王線仙川駅の乗降者数】

参考に千歳烏山が2023年は77,686人。2024年は79,689人。

参考に調布が2023年が115,507人。2024年が118,575人。

参考に笹塚が2023年が70,603人。2024年は73,199人。

https://www.keio.co.jp/company/corporate/corporate_manual/number-of-passengers.html

【エリア人口】

上記の地図は、フォレストスクエア仙川から半径500mの円を記入したもの(線が薄い)

 上記は調布市の行政区分図で、仙川駅周辺は仙川町、若葉町、緑ケ丘だが、前回書いたように東側は世田谷区と隣接している。

https://www.city.chofu.lg.jp/030040/p017111.html

https://people.mapexpert.net/StatMap?L=13208

 評論を加えることなく、数字をありのままに見ていく。

フォレストスクエア仙川-1・調布市仙川

 調布市仙川は、若い女性達(20代、30代)に人気があるオシャレな街として有名で、「京王線の自由ケ丘」とも言われている。1940年に桐朋学園の前身である山水女子高等学校が設立されたのが街が形成されていったきっかけだそうだ。その当時は武蔵野の林と農地が広がっていたとのこと。そこに桐朋学園が来て徐々に街が発展していったという。

 桐朋学園は、国立市にある男子部門、調布市仙川に女子部門、そして同じく仙川、調布及び富山市の計3つのキャンパスを持つ音楽部門の、3つの部門から成り立っていて、この仙川の女子部門には、桐朋幼稚園、桐朋小学校(共学)、桐朋女子中学校、桐朋女子高等学校普通科、桐朋学園芸術短期大学があるという、まさに女子の学校だ。

 そして仙川には、もうひとつ白百合女子大学がある。

 仙川は、調布市東部に位置し、東端で世田谷区との市区境に接する。京王電鉄京王線が市域を東西に横断し、街は南北に分断されているが、もともとの商店の集積は南側に多くある。

 その仙川駅北側に2025年12月9日にオープンした「フォレストスクエア仙川」という商業施設について、続けて投稿していきたいと思う。

 アウトモール型複合商業施設である「フォレストスクエア仙川」は、オープン前から注視していたのだが、2025年12月は仕事が混んでいて視察できずにいた。2026年1月末に何店かオープンして商業施設は、ほぼグランドオープンなので2月に入ったら見に行ってこようと思っている。資料などを収集していたので、まずはマーケッティングについて考えてみて、その後建物について触れていきたい。

https://forestsquaresengawa.jp

 仙川には、建築設計者には有名な「安藤ストリート」という建築家・安藤忠雄が設計した建物が6件もある(下図の青い部分)エリアがある。それについては、既に沢山紹介されているので割愛する。

https://tatefro.com/entry-6.html