「軍艦島の生活〈1952/1970〉・住宅学者西山卯三の端島住宅調査レポート」

 昨年2025年に長崎市を訪れた時、長崎港を眺めながら、軍艦島(端島)があったなと思い出していた。日程的に端島ツアーの船に乗ることはできなかったが、若い時に西山卯三先生の本を随分読んだことを思い出した。確か20代前半に、西山卯三先生の講演を一度だけ聞いた。西山卯三先生が京大を退官した後だったな。そんな半世紀も昔のことを次々と思い出していた。

 「端島(軍艦島)は、長崎県長崎市の沖合に浮かぶ、面積約6.3ha、周囲約1.2kmの小さな島。海底炭鉱として明治20年から開削が開始され、明治23年からは三菱による本格的な炭鉱経営が開始された。戦間期と戦後に二度の高出炭期を迎え、国内有数の優良炭鉱であった端島には、多くの設備と人的投資が行われ、その結果狭い島内には、大量の鉱山設備と鉱員用の超高層住宅が迷宮のように立ち並ぶこととなった。その堂々たる威容からついた呼称が「軍艦島」であった。」と紹介されている。

 現在は、廃墟化しているが、一部の人には人気があるらしい。2015年には「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして世界遺産登録されている。

 さて、この本はかれこれ10年前に出版された本で、「昭和期日本の住宅学を切り拓いた住宅学者、西山夘三(1911-1994)が、戦後二度にわたり、「軍艦島」こと長崎県・端島を訪問調査し、カラーを含む住宅と生活の写真を数多く撮影していたことは、ほとんど知られていない。 本書は、それらの未公開写真を中心に、当時の調査レポートや資料を加え編集し、活気ある軍艦島の生活を誌上で再現した、貴重なビジュアルブックである。
 廃墟となった後の写真、当時のモノクロ写真などはすでに多く公開されているが、
これほど多くのカラー写真が公開される例は非常に珍しい。
 また、炭鉱関係者や写真家ではなく、人とすまいを見つめつづけた住宅学者の視点で残る当時の資料はほぼ唯一と言える。世界にも類を見ない、高密・高層炭鉱住宅群を、
日常のくらしを見据えた視線で捉えた写真とスケッチの数々は、日本を代表する炭鉱であった軍艦島の栄華と、特異な環境に生きる人々の生活を生き生きと伝えている。」

 今となっては、とつても貴重な記録だ。

 端島で多くの人が働き、暮らし、育ち、そして亡くなったという事に思いをよせ、歴史の光と影に目を向けるようになれば良いのだが。