先般、ケン・ローチ監督の「わたしは、ダニエル・ブレイク」を観て、イギリスには保守党のキャメロン政権時の2013年に導入された「寝室税」(Bedroom Tax)というのがあることを知った。
この制度は生活保護を受けている(この場合は政府から住む場所を与えられていたり、家賃の負担をしてもらっている housing benefit を受けいている方が対象とのこと)低所得者に対して、使われていない寝室の数に応じて住宅手当が減額される仕組み。具体的には、1寝室以上の寝室があれば、その寝室を空き寝室とみなされ、住宅手当が減額されるそうだ。
ダニエル・ブレイクは大工さんだったが、心臓疾患で医者から仕事をしていけないと言われ、生活保護を受給していたが、妻と住んでいた広い家があるために、この寝室税で手当てを減額されていた。いつ働けなくなるかなんて、誰も予測できない。働く意欲があっても生活保護を受けざるを得ない場合がある。
例えばカップルが1LDKの家に住んでいた場合は全く問題ないらしいが、この同じカップルが2LDKの家に住んだら生活保護が14%カットされ、3LDK以上の家に住んだら生活保護が25%カットされる法令とのこと。
つまり「税金で暮らしているのにスペアールーム(寝室以外の部屋)があるなんて贅沢だ」という事で、予算を削除したものらしい。生活に困っている人から更にむしり取る、えげつないことがイギリスでは行われている。
さらに「Bedroom Tax」によると、例えば夫婦に12歳と14歳の息子さんが居た場合、この子供二人は16歳までは個室は「贅沢」なので同じ部屋で寝る事、性別が違う場合は10歳までなら同じ部屋で寝る事、などなど結構細かく決められているそうだ。
寝室税の詳しい内容は「ロンドンのサクラ子」
https://ameblo.jp/sakurako-london/entry-12219547032.html
から一部転載した
https://www.gov.uk/housing-benefit/what-youll-get
解散総選挙公約で目にした「空室税」なるものを言っている政党がある。空き家を放置していると課税しようというものらしい。
「非居住住宅」つまり実際に人が住んでいない住宅に対して税を課すことが柱らしいが、この定義はあやふやだ。所有者が海外赴任中であったり、家族の介護のために他地域に移って一時的に住んでいないケースもあるし、この制度を運用しようとすると地方自治体が一軒一軒について、現地確認、住民票やガス水道料金との紐づけ、個別のヒアリングなどの膨大な事務量の増加が予想される。課税対象者が不明なものや相続権者探し出すのでさえ困難な家だってあるんだぞ日本の空き家には。
マイナンバーカードのほかに「マイルームカード」でも新たに作らなければ総括的に把握することは難しいだろう。
第一「空室税」なるものを作って、それが新たな住宅供給や価格抑制につながるかは疑問だ。場合によっては、空室を抱えることが経済的負担となり、かえって住宅の放置や管理不全が増える可能性がある。
政策が、頭でっかちな印象だ。生身の人間を考慮しているのか甚だ疑問。若い人たちの軽減というより不動産業界の利益を代弁した政策のような気がしてくる。
既に住宅所有者は、固定資産税や都市計画税などを支払ってる。そこに新たな空室税が加われば、実質的に二重課税となり、とりわけ複数の住宅を所有している高齢者や、相続によって住宅を取得した人々にとっては、大きな経済的圧力となる可能性がある。
税金とることばかり考えるなよ!