あわくら会館 -5

建物の中央にあるあわくらホール。

西粟倉村議会議場も兼ねていると聞く

ウェーブ型重ね透かし梁構造

百森ひろば

「あわくら会館」は、森林経営、素材生産、木材流通や木製品・木製家具デザインなど、地域の川上から川下までの事業者が協働することにより建てられた木造庁舎及び多目的交流施設で、工期の分割や木材供給スケジュールに合わせた工程の設定等の工夫により、建物に使用する木材の村産材率97%を実現しているとの事。

地域の木造活用の為に材料寸法の制約も多かったようだが120×240という寸法を上手に利用していていた。

健全な森林経営の推進を目指す「百年の森林構想」に基づく計画的な設計プロセスと美しいデザインを実現している。

「あわくら会館」(岡山県英田郡西粟倉村)は、施主が西粟倉村、設計がアルセッド建築研究所、施工が梶岡建設です。

主要構造は木造軸組と鉄筋コンクリート地上2階建て(延べ3461平方㍍)。主な使用樹種 スギ、ヒノキ、クリ、カシだそうです。

内外装の大部分に同村産のスギとヒノキが使われています。

ドア開けると無垢材の木の香りが。大断面集成材の木造建築とは一味違う。人への優しさを感じる建物でした。

亀さん

いつもの美容院に行ったら、待ち椅子の脇の水槽から亀さんが首をあげて挨拶して来た。

もう10年以上 家族全員が同じ美容院に行ってるせいか、この亀さんもすっかり顔なじみで、最近はあいさつしてくる。

「こんにちは」

「はい。こんにちは」

「元気でやっていますか」

「なんとか元気にやっています。水槽の中ではマスクとかしなくていいですね」

「はい。軽快です。今日は婆ちゃんは一緒じゃないんですか?」

「今日は婆ちゃんは、後楽園スタジアムのコンサートに行きましたよ。虹色のマスクして 推しのTシャツ着て行ってます」

「婆ちゃん元気ですね」

「多分 明日は腰が痛い、湿布貼ってというと思うよ」

「アッハッハ カメカメ」

【省エネ適判】完了検査時の軽微変更

このところ省エネ適判の「軽微変更該当証明申請書」を交付してもらうのに慌ただしかった。完了検査日の10日前ぐらいに「軽微変更該当証明書」(軽微変更ルートC)を添付するように役所(計画通知案件)が設計者に言ってくるものだから、先週末に急ぎ省エネ適判機関に連絡をとり、書類を作成し若干の補正のやり取りをして、何とか完了検査に間に合わせることができた。

そもそも省エネ適判は、何ともせわしい業務だと思う。

適判時には確認申請事前審査であれこれと変更されることが多いが、それが確認申請本受付から決済までの短い期間で、再チェックし再計算し確認申請決済前に省エネ適判も決済させないといけないというタイムスケジュール上の課題がある。

確認申請の事前審査での各居室の面積や開口部の面積等を始め細部の変更は、構造適判に比べて省エネ計算上は多くの影響を及ぼす。現代の数値等の整合重視の審査ではとりわけ。

また聞くところによると省エネ適判の審査はどこも滞留気味、つまり審査時間がかかっていると聞く。

指定確認検査機関に勤務時代。ありとあらゆる建物の審査をし、沢山の設計者の書類や図面を見てきた。設計者の技術的力量は様々で一級建築士だから、有名アトリエ事務所だから、著名な会社だからと案ずることなかれ、未熟な設計者に出会うと通常の何倍も手間がかかる。そこからの教訓は、物事や設計者を一様のものととらえない事。不特定の設計者を対象にせず、ある程度技術的力量が判っている設計者だけを対象にしたビジネスモデルの方が効率が良いだろうという事だ。マーケットを限定するのだから小規模経営しかできないのは自明だが。

こうして技術的力量がある程度わかっている旧知の設計者の場合でも、あたふたしてしまうのが省エネ適判だ。だいたい「軽微変更該当証明申請書」を10日弱で交付できると思うのが役所の無茶ぶり。

その無茶ぶりが分かったのか、今回は「軽微変更該当証明申請書」を計画通知本体の軽微変更の添付書類には含まず、完了検査申請時に提出する書類として扱つてくれることになったのは良かった。もっとも こちらも変更箇所を細かく聞き再計算してみて、確かにルートCだなと判断できたのだが。もっと早くにチェック依頼があればあたふたすることは避けられたかもしれない。

省エネの軽微変更には、「ルートA、B、C」があると言うと「えっ。そうなの。知らなかった」というのが大概の設計者の反応だ。そのカテゴリは

「ルートA」・・・「省エネ性能が向上する変更」

「ルートB」・・・「一定範囲内の省エネ性能が減少する変更」

「ルートC」・・・「再計算によって基準適合が明らかとなる変更」

なのだが、意外とその区分はデリケート。そのルートの詳細は別の機会に記載するが、意匠設計者の思い込みと独断で判断しない事が大事。完了検査の最低でも1ケ月前にはアクションを起こしていないと、後々大変になる。

尚「軽微変更該当証明申請」には省エネ適判機関の申請手数料がかかる。当然弊社のような省エネサポート会社からも請求書が届きますので宜しく。


盆栽の手入れ

欅の盆栽の苔に黴が生えたようで、妻が盆栽の手入れ方法を教えてもらいに大宮・盆栽村に行ってきた。黴は元々の根に付いていたものらしい。盆栽の手入れの仕方、葉の切り方、水のやり方などを教えてもらう。

鉢から盆栽をとり、根の間の土を取った後に、根を水洗い

鉢をもう少し深くて大きいものに取り換えてもらい、新しい土を入れる。土が流れないように鉢底につけたメッシュの固定方法、植木の固定方法等を教えてもらったようだ。

藤樹園さんは盆栽教室を昭和40年より開講していると聞く。現在も老若男女が盆栽を楽しみながら勉強をしている。伺っときは意外にも若い人が多かった。

大宮盆栽村のかえで通り。その風情ある石畳の街並み

こんな素敵な街並み、住宅地がさいたまにあることを知らなかった。

「特積み」市街化調整区域の開発行為

「特積み」とは、貨物自動車運送事業法第2条第2項に規定する一般貨物自動車運送事業のうち、同上第6項に規定する特別積合せ貨物運送を行う事業の事。

法的には、都市計画法第29条第1項第3号に規定する「公益上必要な建築物」に該当するのだが、ほとんどの自治体が条例で特別積合せ貨物運送事業に係る開発行為の諸手続きが必要としている。

今不動産会社から流れてくる物件情報には、市街化調整区域の物件で特積み条件付きのものが目立つ。運送事業者のなかでも「特積み」の認可申請を検討する一般貨物事業者が増えていると聞く。

特積み事業者の特権は、市街化調整区域の開発行為。

市街化調整区域の開発行為は、都市計画法第34条各号に立地基準があり、物流施設の建築は容易ではないが「特積み」だけは可能性がある。

あくまでも可能性であって市街化調整区域の開発行為にはクリアーしなければならない他の法律が沢山ある。安易に考えている不動産事業関係者も多いのが現状。

特積みの申請は国土交通省運輸局自動車交通部貨物課になるが、特積みによる開発行為は計画地を所管する都市計画課に条例に基づき、一般的には最初に相談票を提出する。その相談票が特積みに該当するか否か国土交通省運輸局自動車交通部貨物課に照会され、その回答後に事業者へ「相談結果通知書」により通知する。このあたりの手続きフローは各自治体で多少異なる。

市街化調整区域の開発行為は、都市のインフラが整備されていなところが多いので開発行為の申請は容易ではない。大概は農地なので農地転用許可が必要となる為に結構なハードル。規模によっては都市計画審議会の決定が必要なものもあり、汚水雑排水等の排水経路・排水同意。青道・赤道の存在もあり、それらの廃止、付替え等の業務も発生する。結構面倒くさい。

今 弊社はコロナ禍のもと東京と埼玉で二拠点業務となっているが、埼玉でのつながりでは、物流と生産施設の話題が大半。

中銀カプセルタワービル 解体中

あの黒川紀章が設計した集合住宅・中銀カプセルタワービルの前を通った。解体用に足場がかけられて準備が進んでいる。

1972年に完成した中銀カプセルタワービルを「雑誌・新建築」で見たのは、田舎の高校生の時だった。黒川紀章の建築が好きだつたわけではなかったが、この建物は衝撃的だった。

黒川紀章は情報化社会の主役になるのは「移動しながら仕事したり暮らしたりする人物像」と予言し、「ホモ・モーベンス(移動する人民)」と名付けた。

そして「ホモ・モーベンス」の家がカプセル建築だと宣言していた。コロナ禍でテレワークやワーケーションなど仕事がどこでもできて多拠点生活が現実になって、時代が黒川に追いついたと誰がが言っていた。

高速道路の反対側の歩道橋から眺めていたら、何だか哀しくなってきた。

LANケーブルのカテゴリ

既存住宅の増改修で建築主からLANケーブルの敷設替えを依頼され、その時LANケーブルはカテゴリ5からカテゴリ6にと言われた。最終的にはカテゴリ6Aに敷設替えする事になつたのだが、材料費は意外とかからず、ほとんど電気屋さんの手間賃。

実のところLANケーブルに幾つも違いがあることを知らなかった。そこで備忘録的に記載しておこう。

「上図・サンワサプライのサイトより」

【LANケーブルのカテゴリ詳細】

【CAT5】…通信速度:100Mbps「100BASE-T」
数年前まで広く流通していた低速規格で安価。セール品などの安価な無線LANルーターやハブに同梱されているケースがある。

【CAT5e】…通信速度:1Gbps「1000BASE-T」
最近は超高速な光回線サービスも増えてきたが、基本的にはCAT5eで十分な速度を得ることができる。コストパフォーマンスに優れ、オフィスでの利用にも十分なカテゴリです。

【CAT6】…通信速度:1Gbps「1000BASE-T」
通信速度はCAT5eと同じですが、CAT6の周波数は2倍以上。周波数の上昇に合わせてより多くのデータ転送が可能になる。ネットを快適にと考えている方は、CAT6導入を検討する。

【CAT6A】…通信速度:10Gbps「10G-BASE-T」
液晶テレビやパソコンで動画コンテンツを楽しみたい方や、テレビ会議などを利用する方に最適。今後、主流になってくる10Gbpsにも対応できる通信規格なので、これから一般家庭で動画を観る場合、在宅勤務でWEB会議等が多い人にはCAT6Aの購入がおすすめと聞く。

【CAT7】…通信速度:10Gbps「10G-BASE-T」
CAT7は速度面もノイズ耐性も高く、ちょっとしたタイムラグが命取りになるようなオンラインゲームをプレイしている方におすすめです。また、負荷が高い業務用サーバーとの接続にも最適。

【CAT8】…通信速度:40Gbps「40G-BASE-T」
40Gbpsという超高速、2000MHzという広帯域を実現。現在における最上位規格。ノイズ耐性も高く、高速で安定したネットワークの構築が可能で、主に業務用。


【2022.05.22 件のクライアントよりLANケーブルについて追加情報を頂戴しましたので、下記に掲載します】

GIGAスクール構想の学校内LANはCAT6A以上が義務付けられています。
学校の場合今後はCAT7設置が中心になると思われる。

LANケーブル
CAT6Aにはシールドさないもの UTPケーブル (従来のCAT5、CAT6は UTPです) と
シールドされた STPケーブルの2種類がある。
CAT7以上はSTPになっています。正しいアース処理が必須です。

本来、STPシールドケーブルでアース処理をするとノイズの発生が抑えられます。
CAT6AでもSTPケーブルでアース処理した工事が多くありましたが、アース処理が下手、アース処理漏れ、あるいはUTPとSTPケーブルの混用、でノイズ発生が多発したようです。
現在もこの種混乱が続いているようです。

それで戸建て住宅なんかでは最近はCAT6A UTP にして旧来のCAT5 CAT6 同様に特殊な処理をせずに 配線するケースが中心になっています。
それで我が家も業者が置いていた使用予定のケーブルを確認し CAT6A UTP だったのでそれでよいと回答しました。

学校、事業所、データセンターなどではCAT7(当然STPシールドケーブル 正しいアース処理)が必須です。
なお、戸建て住宅の様に短距離の配線であれば、CAT6でも実用上は10Gは出せるようですので体感上の違いはないでしょう。

盆栽の風景

我が家の盆美人達が一目ぼれした欅の盆栽

直幹と言って幹が真っ直ぐ伸びるタイプのものらしい

少し遠くから眺めると緑の丘の上に植えられた一本の欅の大樹のような風景を持っている。しかし盆栽は手入れが大変そうだ。まずは水やり。夏は朝昼夕と一日3回ぐらい水をやらないとならないらしい。陽にあてるのも大切。よほど暇じゃないと育てられない。大変だ。

「盆美」さいたま市大宮盆栽美術館

駐車場から竹林の雰囲気のある路を通って正面玄関に向かう

外壁の左官壁と目地

配置図、右が駐車場で配置上の建物のサイドを通って玄関にアプローチ

中庭には、立派な盆栽が一杯。

館内には真行草の床の間がしつらえてあって、それぞれの床の間に盆栽が飾られている。盆栽にはひとつひとつ風景があり、異なる世界があって面白い。盆栽をめでながらお茶するようなところがあれば一日中いれそう。

さいたま市で「和」の空間に包まれたかったら「盆美」

日本国憲法前文

『日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。』

憲法記念日に家族が集まった時に「憲法で何条が好きか」という話題になり、「99条」「9条」「25条」あれこれ・・・。全員一致で「前文」が最も好きな条文になりました。

役場の食堂@江戸川区役所

江戸川区役所5階の食堂で大盛カツカレーを食べる

午後2時のラストオーダー直前に食堂に入ったのでカツカレーが1枚しかなく、半分は相棒と分けた。役場のカレーライスには、懐かしい味に出くわすことが時々ある。この食堂のカレーライスも何だか懐かしいほっこりする味だった。カツはハムカツのように薄かったが、これで610円なのだから仕方あるまい。

午後2時だと、メニューのほとんどは売り切れ

そういえば江戸川区役所にくるのは始めてだったかもしれない。都市計画情報や建築計画概要書は、自分で検索して必要なところを印刷する端末が2台導入されていた。取得した建築計画概要書を持つて窓口に行けば建築確認記載台帳証明を発行してくれる。

ただし床面積5,000㎡以上、10,000㎡以上の場合 東京都庁で発行される年度のものがあるので事前に確認しておく必要がある。

「縁食論・孤食と共食のあいだ」藤原辰史著

著者の藤原辰史さんは、「ナチスのキツチン」、「ナチスドイツの有機農業」、「分解の哲学」等を書かれており現在は京都大学で農業史、食の思想史を教えている。1976年生まれとあるから自分の子供達の世代だが、私が個人的に期待する将来有望の研究者。

どちらかと言うと最近は農業・食・地域経済に興味があって、藤原さんの本も先に読み始めたのは「【決定版】ナチスのキツチン」なのだが、藤原さんの本は分厚い上に考える事が多すぎて、まだ読み切った本が多くない。何しろこちらも好奇心が旺盛なので、あっちの本、こっちの本と積読が増えていく。

ひとりで食べることを望まないのに、ひとりで食べるのは寂しい。連れ合いに先立たれたら独りの食事は「エサ」になってしまうだろう。独居老人はどう生きていくべきなのだろうか。そんなことを考える今日この頃

今では「子ども食堂」が全国で急速に広がっていると聞く。「NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」によると2016年5月の段階で全国に319カ所あった子ども食堂は、2019年6月には3718カ所にまで急激に増えている。3年間で11倍を超える。これは全国の児童館数4000件にほぼ近いというのは驚きだ。

子ども食堂は貧困家庭の子どものためという目的だけでなく地域の交流活性化という二本足で立つ実践だという。

子どもを取り巻く環境は悪化の一方だ。日本の15歳未満人口比率は世界194か国中193位と世界ワースト2位(2020年)。更に昨年2021年の出生数は過去最少。子育て公的支援はイギリスやフランスの半分。教育への公的支出は世界181か国中135位(2019年)。OECDで賃下げは日本だけ、非正規雇用4割弱で子育てが困難になっている。親が貧しくなっていき、そのしわ寄せが子供達に押し寄せている。爺婆が子供世代を助けてやろうと思うのだが、老人を巡る経済的環境も段々と悪化しており その余裕は少なくなってきている。

自己責任論が強まりすぎると、みんな自分を守るのに必死になるから、結果他人に気が遣えなくなる。そうやって殺伐とした社会となり、色々なモラルが崩壊する。大事なのは「お互い様」の精神なのだがと思うのだが。

現代社会は貧困を拡大し、人を孤独にした。現在は無縁社会。人間と人間のつながり、人間と生命・自然、環境のつながりがブチブチ切れている。この無縁社会を再び結ぶには食が第一。食は両方をつなげることができる。それが「縁食」だ。「孤食」のように孤独ではなく、家族等とともに食べる「共食」でもなく、家族のだんらんほど押し付けがましくもない緩やかな連帯、食堂でふと隣り合った人との縁や、「こども食堂」で生まれた縁を大切にする「縁食」を広げ、無縁社会をなくしていきたいと私も思う。

消防水利

都市計画法の開発許可の場合、消防との都計法32条協議で所轄消防署・警防課と事前の打ち合せが必要となります。建築の設計者は建物が防火対象物でも共同住宅等の一般的な案件は消防署に打合わせに行かない。ちょつと特殊な建物とか複合的な建物とか、法令集などでは取扱いに迷う時に消防署の予防課に行きます。しかし消防水利は担当が警防課です。

消防水利とは消防活動を行う際の水利施設の事です。万が一開発箇所で火災が発生した時に有効な消火活動ができるかどうか。これは消火栓からの位置と消防用活動空地があるかどうかで判断されます。

消火栓の位置から120m(場所によっては100m)の範囲以内に開発する場所が入っているかで判断されます。消火栓の位置は、水道局で取得できる水道の配管図に記載されているものを見るか、現地で実際に見て確認します。また消防署の警防課に行けば確認できます。

消火栓は口径によつては消防水利上有効ではないと判断される場合も有り、こればかりは警防課に出向かないとわからない事項です。

既設の消火栓がない場合は、新たに消火栓か防火水槽を開発者負担で設置しなければなりません。

とある開発行為(都内特別区まちづくり条例)をともなう建物の設計で、開発行為も建物の設計監理契約に含めているのに関わらず、こうした役所との打合せは基本設計に含まれておらず、協議は実施設計段階の業務であると主張した建築士がいました。

通常の建築士の感覚では建物の基本設計と同時並行的に開発行為に係る関係役所との打合せ協議をするものです。そうでないと「与条件の整理」にあたる基本設計の業務が完結できません。あとから防火水槽必要です。費用は開発者(建築主)負担ですなどと言ったら建築主から怒られますもの。建物地下に防火水槽を設置する場合は構造にも関わってきますし、基本設計段階で潰しておかなければ事項のひとつです。

まあ世の中 色々な建築士がいて驚きます。

尚、開発敷地が20,000㎡以上かつ、建物が1階建て又は2階建てでその他の建物で5,000㎡以上、準耐火で10,000㎡、耐火で15,000㎡以上の場合には、消防用水の設置が必要となります。

消防用水と消防水利は いずれも消防隊の活動に供するものですが、消防用用水が当該防火対象物に義務付けられているのに対して、消防水利は周辺地区における消火活動を目的としています。消防水利と消防用水の兼用は可能です。