鉄筋検査(監査)

久しぶりに鉄筋の検査をしました。配筋検査ではなく、工事現場事務所で書類上の検査(監査)です。

鉄筋の場外加工の場合、問屋から出荷された鉄筋は加工場に搬入されます。そして加工場で加工された鉄筋が、後日工事現場に搬入されます。

通常受入検査時に工事管理者(現場監督)は、下記の点を確認します。
・メタルタグに記載の製造番号とミルシートに記載の製造番号が一致しているか。
・ミルシート記載の鉄筋の規格、径、長さ、本数などが設計図書と整合し間違いなく搬入されているか。
・ロールマークより鉄筋の規格、径、メーカーなどを設計図書と確認する。

ようするに、頼んだ鉄筋が間違いなく納品されているかの確認・検品作業です。

検査員は、これらが書類として整理されているのを確認するのですが、鉄筋検査は久しぶりだったので写真で整理されていた書類のロールマークの見方を忘れていました。でも写真を見ているうちに思い出してきました。検査予習は常に必要です。

上記の写真の見方は、D25、東京鉄鋼、SD345です。

住宅医に認定されました。

1月23日、一般社団法人 住宅医協会の住宅医検定会に臨みましたが、本日2月5日認定通知が届きました。

これから正会員登録をして正式に住宅医となります。

検定会の講評等で寄せられた意見・質問には、この場で回答したいと思います。

たぶん住宅医検定会に参加した人にしか、解りづらいものとなるかも知れませんが御容赦ください。


【Q :  リノベーション物件の不動産としての資産価値については どのように考えていますか】

【A :  既存建築物の検査済証の無い建築物は、建築基準法の集団規定が違反していなければ現在のところ購入の際に銀行融資は可能のようですが、既存建築物を売却したい場合「検査済証」が無いと買い手が中々つかないようです。買い手がついても売却希望価格よりかなり低減されると聞いています。本件のように検査済証の無い既存建築物を増築し全体として工事完了検査済証を取得して適合化することは、資産価値(価格)の下落を防ぐことができます。】


【Q  : 既存との一体増築ではなくEXP.Jにより構造的に分離することにした理由を、もう少し詳しく説明してください。】

【A : これは「増築等に係る制限緩和の主な条件(令第137条の2関係)・出典 東京都荒川区」PDFを見てください。kanwa-joken

本件は「増改築部分の床面積が既存部分の1/2以下」ですが → 「増改築部分の床面積が既存部分の延べ面積の1/20以下かつ50㎡以下又は大規模の修繕・模様替」ではありません。50㎡以下ですが1/20を超えています。 → 「増改築後に法第20条第四号となる建築物」とはなりません。軒高が9mを超えています。 → 「増改築部分と既存部分が構造上分離」ここで一体増築と分離増築の分岐点となります。一体増築なら既存部分は、現行法の「耐久性関係規定」に適合させなければなりません。分離増築ならば既存部分は「地震に対する耐震診断+暴風積雪に対する許容応力度計算」となります。

本件は、平成9年に確認済証取得で今回実施した建築基準適合性状況調査により適合しており新耐震建築物なので、既存部分の暴風積雪に対する許容応力度計算を実施しました。

一方、一体増築の場合は既存部分と増築部分を現行の耐久性等関係規定に適合させ地震+地震以外の構造計算を行わなければならない規定になっています。また既存は構造計算ルート2の建物ですから全体として構造適判の対象となることを避けました。増築部分は軒高を9m以下にしてXY方向ともルート1で構造計算を行いました。】


【Q  : 検査済み証の無い建物の増築にあたって「ガイドライン調査」ではなく「法12条5項報告」で行った理由をもう少し詳しく説明してください。】

【A :  平成26年7月に国土交通省は、既存建築物の建築当時の法適合状況を調査するためのガイドラインを公表しました。調査者は、国土交通省に登録した指定確認検査機関のみに限定しています。この通称「ガイドライン調査」は、法的根拠がない任意の制度です。そもそも指定確認検査機関は、特定行政庁の確認事務をおこなっているにすぎません。法第6条の2第8項に規定されているように特定行政庁が法に適合してないと認めたときは、民間指定確認検査機関の確認済証は効力を失います。その結果、指定確認検査機関、確認検査員、設計者は処分を受けることがあります。

既存建築物の現場では、調査方法や調査結果の判断も含めて建築主事の法的判断が必要となることが多く、決してマニュアルだけでは解決できない問題に直面します。

何故弊社が多くを「ガイドライン調査(民間指定確認検査機関)」ではなく「法12条5項報告(役所)」を選択しているかというと、危機管理意識の問題だと思います。その他具体的には様々な相違がありますが、それは個別に回答します。】

2019年度 第1回住宅医検定会・東京会場

1月23日 一般社団法人・住宅医協会の認定資格「住宅医」の認定をいただくために検定会に臨みました。私は2014年住宅医スクールを修了しているので受験資格がありました。

何歳になっても試験を受けるのは緊張するものです。

事例を15分で発表し10分質疑を受けるのですが、15分で納めるために説明を削りに削ったので中身のない発表になってしまったのではないかと不安でした。

住宅医協会は木造建築病理学を軸としているので、私が事例発表した重量鉄骨造3階建住宅の増築+スケルトンリノベーションは場違いかと思いましたが、都市住宅は非木造も多いので、参考にして貰えるのではないかと思い発表しました。

発表に向けて、竣工した仕事を省み、整理し発表資料にまとめることができたので良い経験となりました。

東京での検定会に臨んだのは7人でしたが、参加者は、それぞれの審査講評を各自書くことになっており、私も深夜書いて事務局に送付しました。

私自身は、40代の前半から今まで5回の入院経験があり、医療や医療施設については実体験が豊富です。それで私なりに考えた「医療」「医者」に置き換えて、参加者に配布された各自A3×3枚の資料と、発表を聞いていた時に書いたメモを基に読みなおし講評を書きました。

医者は、大学で学び医師国家試験に合格したあと研修医(インターン)となり各科で研修を積み医者として自立します。多くは臨床医に一部は研究医になります。

では「住宅医」とは、どういう認定基準で資格を与えるべきなのか勝手な解釈をしました。受験者は建築士資格者がほとんどで、住宅医スクールや木造建築病理学の修了者ですから、一定の知識は身についているものと思います。

しかし知識があれば良い建築ができるとは限らないように、知識や技術があっても既存建築物を扱う住宅医(臨床医)には、プラスアルファした能力が必要なのではないかと思いました。それはクライアントに寄り添う資質、そしてコミュニケーション能力こそが必要不可欠だろうと思うのです。診察・検査・診断・治療という診療行為をひとりで責任を持つて行える人なのかどうかというのも判断の基準となりました。

そして「住宅・正看護師」「住宅・臨床検査技師」「住宅・研修医」「住宅・研究医」「住宅・臨床医」という称号をそれぞれ付け加えました。上から目線ですいません。

では「あんたはどうなのよ」と言われそうですが、検定会の結果は1週間から2週間後に来るそうです。

「テセウスの船」

同名の漫画やテレビドラマで有名になった「テセウスの船」

ギリシャ神話を源とする逆説(パラドックス)のひとつで「ある物体の全ての構成要素が置き替えられたとき、基本的に同じといえるのか」という問題です。

私の学生時代・1970年代半ば、もう40数年前に議論したテーマなので、とても懐かしく感じました。恩師・伊藤ていじの研究室では、伝統建造物保存地区の保存修景や古民家に関わることが多かったのですが、夜更かししたり研究室に泊まり込んでおしゃべりしていたことのひとつでした。その他に「カルネアデスの舟板」(緊急避難)などもテーマにあげられたことがありました。

歴史的建築物の保存修景(当時は静的保存が主流でした)において、どこまで歴史的な構成要素を残すのが保存修景と言えるのか、実態が違っても価値は同じと言えるのか、そういうものを保存修景して歴史的建築物として残すことに意味はあるのか。そんな答えの出ないような議論をしていた記憶がよみがえってきます。

ここ数年、古民家をリノベーションした建物を幾つか見せてもらったり、聞いたりしました。その中には、基礎・土台・柱等をほとんど新規のものにし、歴史的構成要素は、全体のフォルムと一部の梁材等だけという事例を見うけることがありました。又用途が異なる動的保存が増えていますが、それらは改修した後も「古民家」と言えるのでしようか。中には解体して新たに建て直す、全ての構成要素を現代のものにし、古民家風に見せた方が良いではなかったのではないかと思うものもありました。

歴史的建築物の動的保存が増えている現代において、建築設計者達は「テセウスの船」について語り合ったりしないのかなと思ったりしています。

用途変更の設計者資格と工事監理者

先般 用途変更の確認申請書類を役所に受理しに行った時の事。

副本に、「着工前に工事施工者届、工事監理者届を提出してください。それが提出されていないと工事完了届は受理できません」とメモしてあった。

「用途変更は工事監理者不要では?」「(法第87条の)準用規定から除外されているはずだよ」役所担当者「ちょつと調べてみます」

用途変更については、建築基準法第87条の準用規定に於いて、200㎡超の特殊建築物の用途に変更する場合に建築確認申請が必要とされています。
しかし、法第87条の用途変更の確認に対する準用規定に於いては、法第6条3項は除外されています。
即ち、用途変更については建築士法第3条の建築士の業務範囲が確認申請を受理を拒否する理由にはなりません。
つまり、用途変更確認申請・設計は、資格に関係なく誰でも行うことが出来るという事になります。ただし これは申請上のことで、業務として報酬を伴うものは建築士事務所登録が必要となります。

建築士法第3条の、資格による業務範囲についても、新築、増築、改築、大規模修繕、大規模模様替えについては、可能な設計・工事監理の範囲を定めていますが、用途変更については記載がありません。用途変更をするに当たり、増築・改築・大規模修繕・模様替えが伴わないのなら、工事監理者の資格もその存在も問われません。

しばらくして役所担当者「工事監理者届は不要です」との回答。


2019年10月22日追記

*横浜市では、横浜市建築基準条令第56条の6、第1項、第2項で、用途変更でも工事施工者、工事監理者の選任届が必要と規定している。


現在では、この用途変更に関わる部分の建築基準法・建築士法の規定は問題ありだと思います。

例えば床面積10,000㎡の用途変更や10階建てのビル全体の用途変更(フルコンバージョン)でも工事監理者が不要という事になります。設計者の資格も問われない。工事完了検査は不要で工事完了届(ただし監察対象となる場合がある)のみというのは、いかがなものでしょうか。これで遵法性を保持できるでしょうか。

用途変更の確認申請料が民間でも役所でも低価格すぎないか? 少し申し訳なささもありますので、料金についてもここに記しておきます。

又、用途変更は建築確認申請に際して「建築工事届」の提出が不要な為、国交省の統計データーから除外されてしまいます。どのぐらい用途変更の確認申請があるのか、実態は消防の統計データーで把握しなくてはならず、総務省のデーターに依存しているような状態です。ちなみに東京消防局では、この数年 年間600件前後の同意数があり過去から見ると飛躍的に用途変更の件数が増加しています。

不動産の再構築

日本は、少子高齢化や建築物の老齢化、経済活動の低迷の影響を受け、従来のスクラップアンドビルドから、環境面にもやさしいストック活用型に移行しつつあり、今後もその傾向は一層拡大していくことでしょう。

高度経済成長時代(1965年~1973年)に作られた、企業や官庁の施設・インフラ等は、これから軒並み耐用年数を迎え、所有する不動産の再構築が必要となります。

補修して使い続けるのか、解体するのか、別の用途に変更するのか、新しく建て直すのか、色々な選択肢があります。

民間はCRE戦略、公的不動産はPRE戦略といいますが。各自治体では公的不動産の活用についての検討が進んでいます。

豊島区では、区議会の中に「公共施設・公共用地有効活用対策調査特別委員会」が設けられており「学校跡地、公共施設及び公共用地のあり方に関する調査」を行っています。調査項目としては 1.公共施設の再構築等に関する諸課題、 2.施設・用地の有効活用に関する諸課題について検討をしています。

公共施設の再構築を図るためには、すなわち「公共施設等総合管理計画」を具現化するためには、施設の現状把握が不可欠です。

その為には、各種調査診断(遵法性調査・劣化調査・耐震診断・省エネ診断等)を行い、施設の状態を正確に分析・評価することから始めなければなりません。

弊社の不動産の再構築のための建物調査診断は、

  1. 設計会社・施工会社とは立場の異なる専門建築事務所として建物を調査診断します。
  2. 目視だけでなく専門機器による科学的調査分析により建物の健康状態を正確に診断します。
  3. 補修箇所や補修方法を適切に判断し工事の優先順位付けを実施します。
  4. 耐震診断から補強設計、耐震化工事までを提案し実施します
  5. 長年の経験をもとに建築・設備等の総合的な調査を実施します。
  6. 建築基準法、消防法等、建物関係法令が遵守されているか法的な調査検証を実施します。
  7. リノベーション(増築・用途変更)等を想定した調査診断を実施します。

「世界コンバージョン建築巡り第16回・ヘルシンキ」

東京都建築士事務所協会のコア東京に連載されている首都大学東京教授の小林克弘先生の「世界コンバージョン建築巡り・第16回・ヘルシンキ」が、とても参考になった。

ヘルシンキのサブタイトルが「コンパクト・シティにおけるコンバージョンの有用性」。

フィンランドの首都・ヘルシンキは、人口60万人強のコンパクトシテイ。中心部から東西南の三方向の港湾地区まで徒歩圏という規模の街。小林先生は、それぞれの地区の性格が変化した場合は、建築コンバージョンによる都市整備が有効に機能する実例としてヘルシンキを挙げている。

ヘルシンキといえば昔・アアルトだが、現代建築でもスティーブン・ホールの「ヘルシンキ現代美術館」や、2018年12月にオープンしたヘルシンキ中央図書館「Oodi」等と興味深い建築があるのだが、コンバージョン建築も中々面白そうだ。

ヘルシンキは、地理的に都市拡張が限定されているので、コンバージョンが活用されているようだ。

サウスハーバーの「スカンディック・ホテル・グランド・マリナ」は、1928年のRC造倉庫を1992年に高級ホテルに転用した事例。「ワンハ・サタマ」は1900年頃竣工した平屋の税関倉庫を、1984年のコンペをへて8つの貸ホールとレストラン施設に転用した事例等 豊富な事例が紹介されている。

小林先生は「ヘルシンキ自体、都市化の歴史が浅いため、過去の建築を尊重するという姿勢が強い」。その姿勢がヘルシンキのコンバージョンを盛んに推し進める原動力と記す。

自分にとってヘルシンキは、にわかに興味深い対象になった。

民泊がやってくる -2

民泊事業者の説明会の翌日 地元の区議会議員に連絡を取った。

そこで目白5丁目の住民から「違法民泊から住民の生活を守る陳情」が今年の6月に提出されており7月の区議会で継続審査になっているという情報を得たので、区議会事務局で その陳情書を見せてもらった。

そこには民泊が周辺住民の生活権を著しく侵害しているという実態が写真付きで生々しく報告されていた。

民泊で発生したゴミは、全て事業系廃棄物として業者が搬出することになっているが、ペットボトル(中国語)、弁当、空き缶等の廃棄物がゴミ収集日以外の日に不法投棄されている。民泊施設管理者に注意喚起しても一向に改善されない。

クリーニング業者が狭い私道を塞ぐ形で1時間ほど駐車するので、通行が困難になる。

夜間 民泊利用者の室内の窓が常時開放され話声や騒ぐ声が大きい。

民泊利用者が路上喫煙を行い、煙草の吸殻をゴミ集積場所に投げ捨てるために危険である。

民泊利用者が私道を無断利用する。等々

幾ら事業者が民泊利用者に注意喚起の文書を配布したところで、あまり効果はなく、我々の危惧している事がそのまま発生しているのが実態である。

続く

民泊がやってくる -1

自宅兼事務所の道路を挟んだ向い側の家が民泊の届出の準備をしている。

先週、町会長から聞いて驚いた。

民泊予定建物は、以前木造2階建てだったが、売却され平成24年4月に現在の建物、鉄骨造2階建て105.25㎡(31.8坪)が新築された。敷地面積は99.17㎡(30坪)。家の間取りは見たことがないが、たぶん3LDKぐらいだと思う。築年数は7年。あまり近所付き合いのない人だったが、6月末に売却し転居していた。新しい所有者は豊島区内の不動産会社。

町会の要望で7月20日(土)の夜に集会場で事業者から説明を聞いた。

周辺住民が30人ぐらい集まった。

仕事として全国のホテル・ゲストハウスに関わってきたが、民泊には関わってこなかった。とりわけ民泊新法になってからは民泊からプチホテルへの変更には関係していたが、関係者から民泊はビジネスにならないと聞いていたので 手続き関係等について詳しく調べたことが無かった。

そこで豊島区の民泊条例について「手引き」等を読んでみた。

豊島区の民泊条例では、周辺住民の説明会を開催する義務がなく、届出の7日前に事業者が説明資料をポスティング等により周知すればよい。

事業者からの説明では、概ね20mの範囲の居住者には すでにポスティングしたと名簿と配布地図を示されたが、我が家には事前に配布されていなかった。その事を強く言うと「配布した」と強弁した。

しかし他者から、既に建物を取り壊して更地になっている所も配布したと名簿と地図に記載されているが、郵便ポストも無い所にどうやって配布したのかと問われて事業者は黙ってしまった。

事業者側は三名の出席があったが、チェックイン時間や喫煙の有無など説明の食い違いが目立ち、周辺住民からの意見・要望に対し事業者側から回答することを確約した。

続く

超音波厚さ計

中国の計測器メーカー品の「超音波厚さ計」

あまり薄いものは測れませんが、安価だったので買ってみました

取説が英語版のみ

息子に訳してもらい操作方法を教えてもらいました

たぶん測定器の価格よりアルバイト代の方が高くつきそう

錆止め塗装を落としカップリング材を塗っているところ

鉄骨埋込柱脚部からコラムの板厚を計測してみました

作業をしているのは、今年21歳になるインターンシップのI君

UT検査でもコラムの板厚は計測できていたので

板厚は、12mmというところでしょうか

「建築ストック再生・活用技術セミナー」 IN 大阪 終了しました。

【講師の伊藤さん】

5月15日、「建築ストックの再生・活用技術セミナー」IN  大阪は、会場一杯の参加者を得て終了しました。住宅医スクール関係・MOKスクール関係の人達の参加が多かったので、どうしても木造関係の話の方が馴染みやすかったようです。

これで企画・構想から始まった6ヶ月間の独自セミナーは終了しました。シナリオライターとしては、朝ドラが一本 ようやく終わったと言う感じです。

セミナー事務局長兼講師で、しかも 講師の中で一番長い90分という時間に変更したので、両方の準備が重なり 講師の方の準備が疎かになりがちでした。

それでも、この5年程の仕事をリフレクションでき、形にすることができたことは、大きな成果だったと考えています。

また、次の展開に向けての 足掛かりができました。

どこかへ行きたい

もともとゴールデンウィークにはどこにも行かないことにしている。かわいい孫達も遊びに来ることだし、天候も不順だけど、何だかどこかに行きたい。

頭を空っぽにする時間が欲しい。

キャンプにも行きたいが 時々ギアを買い集めるのとアウトドア関係の本を買うだけで済ましているものだから、余計ストレスが溜まってきて噴火寸前。

さて5月セミナーの為の原稿をようやく書き下ろした。

A4で30頁にもなった。

4月の東京セミナーでは原稿を作らなかったので言い忘れた事が沢山あった。

果たして90分で収まるだろうか。

配布資料を増やしてポイントだけ説明するようにした方が良いかもしれない。

原稿をパワポ修正チームに渡して作業に着手してもらわないとならない。

終わらしても終わらしても仕事が積みあがっていく。

「建築ストックの再生・活用技術セミナー」IN 東京 終了

【講師の大貫さん】

4月22日(月)「建築ストックの再生・技術セミナー」IN 東京 会場いっぱいの参加者を得て無事終了しました。

とにかく楽しいですね。

他の講師や参加者、若い人達から刺激を受けて。

一人で仕事をしていると家族以外とはあまり喋らないので、そのうち言葉を忘れて認知症になってしまうのかなと思うことがありましたが、しばらくは大丈夫のような気がします。

さて昨日は、回収したアンケートを読んだり、修正点を講師間で忌憚なく指摘しあうなどしました。改善(リバイズ)にむけての取組みが開始されています。みんな真面目ですね。来月の大阪セミナーでは、よりバージョンアップしたものを提供できるかと思います。

東京セミナーの参加者を見渡した限りでは、木造系の設計者・技術者が多かったので「古民家」のほうが親しみやすかったかなあと思っています。

現役時代はパワーポイントを自分で作ったことが無く、若い人の作ったもの、発表したものに意見を言っているだけでした。

60歳過ぎてから自分でパワポを作るようになり、まだ数回なので技術も稚拙ですね。

講師の野上さんが原稿を作っており感心しましたが、他の人に聞いたら原稿は必要と言われました。ということで早速原稿づくりに着手。

また全体的に弁当箱にいっぱい詰め過ぎとも言われました。聞いている方が満腹になってしまうそうです。もっとゆっくり喋れ、原稿作らないで喋るから雑談みたいになるんだと・・・

この連休にプロジェクトチームが、私のパワーポイントを修正してくれるようなので大阪セミナーでは よりわかりやすい内容にしたいと思います。

写真を取り忘れ、また依頼するのを忘れて大貫さんの写真しかありません。

4月22日(月)「建築ストックの再生・活用技術セミナー」IN 東京

以前から告知していました「建築ストックの再生・活用技術セミナー」IN 東京は、4月22日(月)にいよいよ開催されます。東京会場は、関係者の皆様の御尽力で満席となりました。ありがとうございました。

セミナーというと、とかく一方的になりがちですが、公開カンファレンス(症例・事例研究)に近づけることができればと思って取り組んできました。あまり名前の知られていない建築事務所4社が共同開催なので、「上から目線」ではなく「事例研究」よって今後とも参加者と経験を交流していければと考えています。

カンファレンスは医療の世界のみならず、最近では弁護士事務所の中でも行われていると聞きます。しかし建築の世界では あまり事例がありません。上下の関係が強い企業の中では難しく、こうして設計者や工事関係者が経験を持ち寄って技術や意見を交換することが、技術的な課題も多く残っている「建築ストック再生・活用」の分野では とりわけ大事なのではないかと思っています。

準備は概ね出来てきましたが、私の担当分野については、お話しすることの推敲を未だ行っているところです。

「建築ストックの再生・活用技術セミナー」を開催します

このたび「都市×地方それぞれの建築ストック再生」を副題として「建築ストックの再生・活用技術セミナー」を開催する運びとなりました。

弊社で近年取り組んできた都市の多層階住宅のリノベーション・重量鉄骨造検査済無建物の増築改修と、野上氏・大貫氏が取り組んできた養蚕農家のホテルへのリノベーション・増築改修の二つのテーマで公開セミナーを行います。いずれも調査・申請・設計というプロセスに焦点をあてた実務者に役立つセミナーになっています。

講師陣・建築系事務所4社共同主催・共催 (一社)住宅医協会です。

是非 御参加いただけれは幸いです。

【東京会場】4月22日(月)13時~17時 連合会館401号室

<終了しました>

詳細及び参加申込書・PDF

ストック再生セミナー・東京

【大阪会場】5月15日(水)13時~17時 (株)ニチネン本社4階会議室

<終了しました>

詳細及び参加申込書・PDF

ストック再生セミナー・大阪

*新建ハウジング・WEBで紹介されました。新建ハウジング

*(一社)住宅医協会・WEBで紹介されました。住宅医協会


【3/26 講師陣打合せ】

4人の講師陣がセミナーで発表するパワーポイントを持ち寄り、それぞれの担当部分を説明し、みつちり4時間にわたり意見交換等を行いました。調査・申請・設計にわたるプロセスが詳細に語られ、経験やノウハウも語られるレベルの高いセミナーになりそうな予感がします。

リノベーションセミナーは最近多くなっていますが、どちらかというと「まちづくり系」で、実務者(建築設計者・建築技術者)の知りたいことに寄り添った「技術セミナー」は、あまりないと思います。今回のセミナーは、再生・活用技術を深化させたセミナーとなっています。

野上氏・大貫氏の養蚕農家を旅館にリノベーションした事例は、木造の一体増築にチャレンジした意欲的な作品です。用途変更した事例は数多いのですが一体増築は現行法の構造規定に遡及しなければならないので技術的にハードルが高く、それをひとつひとつクリアした経験が述べられています。プレゼン資料も美しく、説明も親切で感心しました。

私、寺田と構造設計担当の伊藤氏による「多層階住宅のリノベーション」は、数件の同様事例を比較する事で、法的な問題点、調査項目や行政の対応など分かってくる事が多いと思います。そして今のところ重量鉄骨造の多層階住宅がスケルトン・インフィルが実現できる最適な構造ではないかと考えています。

個々の説明時間を調整した結果、私の持ち時間が増えました。

また学生参加費を1,000円としてリノベーションに取り組んでいられる大学の研究室を通じて参加をお誘いすることにしました。


【4/10 東京セミナー満席】

おかげさまで東京セミナーは、満席となりました。

東京セミナーは秋田県、宮城県、群馬県、名古屋市、埼玉県各地等 遠方からも参加申し込みがあり、建築ストックの再生活用技術への関心が全国各地に広がっていることを新めて実感しました。

ありがとうごさいます。


 

 

「リフレクション」

「リフレクション」(省察・内省)という言葉がビジネス界や教育現場で注目されているようだ。

「リフレクション」とは実践を振り返り教訓を導き出すこと。「リフレクション」を「主要能力の核心」と位置付けているところもある。反省とはことなり実践して起きた事象を振り返り本源的なものに気付く事と本には書かれている。

現役の頃は、忙しさにかまけて振り返ることがなかった。今も現役と言えば現役で、たぶん今の方が仕事の時間は長いと思うが、毎週毎週作らされた業務報告書や会議に忙殺されていたころよりも何故か時間を作れる。現在は、年に一度程度セミナーをすることでようやくリフレクションすることができている。

今年東京と大阪で開催する「建築ストックの再生・活用技術セミナー」は、多層階住宅のリノベーションに対象を絞ってリフレクションした為に、色々な課題が明確になった。

ほとんど書下ろしみたいな内容になっているので、以前のセミナーで使ったパワーポイントのページはあまり使えなかった。現在も4月22日のセミナーに向かって推敲を続けているが、自分なりに面白いもの、若い技術者に役立つものに仕上がってきたと思っている。

このセミナーには東京会場では、宮城県・群馬県・名古屋市等の遠方の方々。大阪会場では福岡・金沢・兵庫・奈良等と全国各地の方々から参加申し込みがあった。

私なりのリフレクションを公開できると思う。

 

用途変更確認申請200㎡以内は不要・幾つかの危惧

2018年6月の建築基準法改正による施行日(現在未定だが2019年6月27日迄)が迫ってきた。

今まで4号建築の用途変更が少なかったのは、工事完了検査済証が無い建物が多かった事にも起因している。今でこそ全体の完了検査率は90%ぐらいになってきているが20年前の平成10年前までは、完了検査率は40%以下だった。多分4号建築物に限るともっと完了検査率は低いと思われる(国交省資料)。

工事完了検査済証が無い建物は、実態的に違反建築物が多いため違反部分の適法化工事や建築基準適合性調査に一定の費用がかかる。その為個人の費用負担が多額なる事が多く用途変更を断念する場合が多かった。

4号建築は工事完了検査済証が無くても使用開始出来た事。済証がなくても登記や融資を受けれた事。社会の遵法意識が低かった事。戦後の建築基準法等の弱点である「負の遺産」の集積を現在に引き継いでいる。そうして実態的に違反建築物を社会に広く存在させてしまつた。今回の用途変更確認申請対象面積の緩和は、これら負の遺産である「違反建築物を恩赦」しようとしているようにも思える。

何しろ既存住宅の30%は100㎡以下だが、200㎡以下だと既存住宅90%が恩赦の対象となる。そもそも、この法改正は空家住宅対策と言う事だったが、改正基準法では、法第6条第1項第一号の「100㎡」を「200㎡」に改正しただけなので4号建築だけでなく1~4号までの全ての建物に適用される。

200㎡以下は用途変更確認申請が不要になることによって建築設計事務所と指定確認検査機関の業務が一定量減じることは間違いない。

「確認申請は不要だけど遵法性は保つてね」というは、現実的には悩ましい。

最近の事例で、RC3階建てのリノベーションで用途変更変更確認申請等が不要と言う事でインテリアコーディネーターが「絵」を描いた。出来た「絵」はRCの耐力壁がきれいさっぱりなくなり、床に大きな開口があく、文字通り「自由な設計」だった。たまたま関係者が一級建築士が構造安全性を担保してくれないと工事できないと言ったので検証したら、床は補強すれば何とかなるが耐力壁の開口は駄目。

建築業界では、ともすれば「法の規制を受けない」「構造安全性からの解放」「避難安全性の制約を受けない」ことが設計の自由度が高まったと受け止められる。

「違反建築物に恩赦」を与えることで遵法性意識のある建築士、建設業登録をしているような施工者は「建築ストックの活用」に関与できる機会がかえって少なくなるのではないか。

「自己責任」「設計者責任」だけが重くのしかかりそうだ。

私が事業者なら、コンビニ、保育園、ディーサービス、共同住宅、ホテル等の特殊建築物で、その面積に近いものは全て200㎡以下で成立するように、基本設計の見直し用途変更確認申請は不要ととして諸費用の削減、工期の短縮を図るだろう。

建築ストックの活用が増えると手放しで喜んでもいられないのではないかと思った。

ボルトが無い・・・

【3/8 ING】

昨年の秋に着工した荒川区内の多層階住宅のリノベーション。住みながら工事をしていて3階部分と1階部分の内装が完了。これから2階部分と前面増築部分の工事を行うところで、全体をまとめている人、基礎工事、鉄骨工事の人達から施工上の要望を聞きながら打ち合わせをした。

基礎工事の会社の人からはコンクリート量が増えても良いから型枠を単純にして欲しい。鉄骨工事の人からはハイテンションボルトのM16がなく、M20なら少し在庫があるので変更して欲しい旨の要望が出された。M16の入荷を待つと鉄骨建て方が8月以降になるらしい。

ハイテンションボルトが無いということは聞いていたが、現実に自分の現場でも直面するとは思っていなかった。

ハイテンションボルトM16をM20にした場合は、軽微変更で良いのか ?

規則第3条の2を読む限りでは「軽微変更」で良さそうだが確認しておこう。

【BEFORE】

道路側に増築する為にバルコニーや屋上部分の跳ねだし部分を全て解体撤去した。既存サッシも幾つか変更したので外壁は全面再塗装。周囲の建物が「下町色」だから明るい色が良いかな。屋上防水も一部補修してトップコートを塗り替える。

「ならのきの家」構造見学会

3年ほど前に建物調査に参加した埼玉県川口市内にある築175年(棟札・天保14年)の古民家の構造見学会に参加して来た。

調査時点で床下や茅葺屋根の劣化が判明していたが、基礎は布基礎・土間コンクリートに、土台や柱の多くは新材に変更されていた。屋根は茅葺を止めてガリバリウム鋼板になるらしい。

豪快な小屋梁はそのままだ。

2018年12月に棟上げし、竣工後は、居宅+カフェになるとの事。

  • 調査、設計 : サンカクスケールLLP(木村慶一級建築士事務所・スピカ建築工房)
  • 施工 : 日沢建設(青森県三戸郡)

多層階住宅

【箱根で見つけたタイルを張ったベンチ・お尻が熱かった】

最近の仕事の依頼は「多層階住宅のリノベーション」しかも「検済無」が圧倒的。

恐らく弊社の事務所兼住宅が豊島区の密集市街地にあり、まわりにあるのは3階建て以上の多層階住宅で「職住近接」「店舗併用住宅」が多いからなのだとは思う。居住しているからこそ地縁・人縁も年月が経っにつれ広がっている。

新築で建てた建物も20年も経てば家族構成も変わるし、下階にあった事務所や作業所も不要になったりする。高齢化に伴いエレベ―ター設置の希望も多い。住宅が不要になって他の用途に変更したいという相談もある。

既存の多層階住宅のほとんどが重量鉄骨造で、これが意外とスケルトン・インフィルで内部間仕切りの可変性が高い。鉄骨造特有の内部結露を起こしている建物も多いが、これは断熱改修をすれば改善する。

何度か郊外に移ろうかとも考えたこともあるが、交通の利便性がよいのでこの地が捨てがたい。三多摩等と比べる生鮮食料品等の物価は高いし品質も悪いと感じるが・・・。

しばらく「多層階住宅」の可能性を探ってみようと思う。

検済無・横増築・多層階住宅のリノベーション・荒川区町屋PJ

築21年、鉄骨造3階建て既存延床面積182㎡の建物の前面道路側・横に増築するプロジェクトです。既存建物の工事完了検査済み証がなかったので建築基準適合性状況調査を行い、荒川区に法第12条第5項報告と建築確認申請を提出しました。

建築主からの最初の希望は、屋上に増築して4階をつくりたい。新築する時に施工会社に依頼したし、上増築が出来るようになっていると言われていた。と言う事でした。

既存建物の構造計算書が残っていたので検討した結果。確かに屋上の積載荷重を多く見ていましたが、逆日影で検討したところ屋根裏部屋のようなものしか出来ない事。直通階段の設置が難しい事。既存建物全体の補強工事や法適合工事がかかる割には要望する空間が得られない事。つまり投資対効果が悪い事から4階増築は断念し横増築に変更しました。

既存建物が建てられた頃は建ぺい率が60%でしたが、その後の都市計画の変更で建蔽率が80%に変更されていましたので、横増築が可能となりました。

この物件は、法第12条第5項報告が比較的短期間にスムーズに終了しました。一番の理由は、荒川区が検査済証の無い建物の調査について調査報告書の指針・書式等を完備しているからだと思います。都内で自前の書式等を整備しているのは荒川区だけです。イレギュラーな部分は打合せ協議をし、物理的調査について調査者の判断で良いのかあるいは第三者機関の証明が必要なのか個々に打合せしておけば良く、後から追加調査が必要となるような追加指示がありませんでした。勿論弊社の調査報告書の完成度が高かったと言う事もありますが、行政側の方針がゆるぎなかったと言う事が一番の要因です。

既存延床面積182㎡+増築面積33㎡ 合計215㎡で1階から3階までが多層階住宅(二世代住宅)となっています。また新たに3層用ホームエレベーターを設置しています。建築確認申請上の工事種別は増築となっております。

【建築場所】東京都荒川区町屋
【法的規制】準工業地域・準防火地域・容積率300%・建蔽率80%
【既存書類・図書】意匠図・有/設備図・有/構造図・有/構造計算書・有/各種施工報告書・無/工事中写真・一部有
【調査・設計・許認可申請】株式会社 寺田建築事務所
【構造設計】一級建築士事務所 ビオス
【法12条5項・建築確認】荒川区

古民家の宿・川の音

群馬県神流町の古民家の宿「川の音」

6/26 OPEN

先日、設計者の野上恵子さんと大貫修二さんから、この古民家の調査から設計でぶつかった諸問題についてお話を聞いてきました。調査から竣工まで約2年間この案件に関われてたと聞きました。同じような案件があった場合を想定して色々と意見を述べさせてもらいました。

調査資料や設計図書を見せていただき群馬県神流町のサイトから古民家の宿「川の音」の写真を見て中々の労作だと思いました。

「建築ストックの再生と活用」と言っても 関係者の汗が滴る献身があってこそ こうして世の中に出ていくのです。

地図で見たところ あの御巣鷹山の麓である上野村の下流にあります。

遠いけど、ちょっと行ってみたいなと思っていますが、まる一日のんびりできるのは秋までお預け状態が続いています。

それにしても野上さんから頂いたジャンヌトロワのオレンジピールは、大人の味で美味しかった。

群馬県神流町・古民家の宿「川の音」

 

「リファイン建築が社会を変える」青木茂著

青木茂さんが首都大学東京を退官するに際して、青木さんの仕事を支えてくれた10人の方々と対談し、10年間を振り返るという内容の対談集。

中々示唆に富む指摘が散りばめられていた。

私が、建築法規の分野から建築ストックの再生と活用に関わりだし始めたのは、随分と前からなのだが、本格的にはリタイアしてからの この5年。

今でも、建築ストック活用プロジェクトの建築法規の領域だけに関わることが多いが、最近では直接 建築主から依頼され調査・申請・設計監理まですることも多くなった。

久しぶりに設計に直接かかわりだすと、やはり設計というのは法規や施工、構造・設備に目を配らないとうまくできないことを実感する。設計こそが鍛錬の近道なのではないかと 今更ながら思う。

建築ストックの再生と活用には法的調査が必須だが、新築と異なり現代法のみ勉強していれば良いというわけではなく、それに加えて現代法の改正履歴を学ぶこと、さらに明治から昭和25年建築基準法成立までの近代建築法制史(市街地建築物法だけでも)を学んでおく必要があると思っている。

いつまで経っても勉強することは山ほどある。

現地詳細調査 -4

荒川区町屋の鉄骨3階建て外壁・屋根ALC版t=100の建物・築27年

外壁劣化・屋上防水に際立つた損傷がなかったので、内部結露であろう。3階天井裏すなわち陸屋根屋上の下の鉄骨部に発錆が見られた。鉄骨造の建物では、鉄骨部の発錆は比較的よくある事象である。

恐らく天井裏に敷き込んだグラスウールt=50に保水し結露したものと思われる。鉄骨部材・材質調査を担当していた調査員が 簡単な温湿度測定を実施してくれたが、外気温と3階室内、3階天井裏では温度はほとんど変化がなかったが、3階天井裏の湿度は外気に比べて15%程高かった。

言われたことだけ自分の担当部分だけ調査するのではなく、常に建物全体を総合的に目を配る調査員になってくれれば調査員としては一流だ。

1階の西側外壁面の内壁の石膏ボードにカビが発生していた。これも壁体内結露だろうと推測できる。

こうした詳細調査を通じて既存建物の問題点が浮かび上がる。既存建物の温熱計算をして、断熱改修を検討する必要がありそうだ。

鉄骨の部材や材質の調査の為に天井点検口を設置し天井裏を覗いたのだが、鉄部の発錆から、その場で総合的に考えるのが大事だと思っている。調査が外注だと温湿度計で測る事などしてくれないだろう。調査員達で事象から意見交換を行い方向性を見出すことができた。

現場調査準備工事・荒川区町屋

昨晩 新千歳夜9時発の飛行機で東京に戻り、自宅に着いたのは少しばかり日が変わっていた。ちょっと疲れた。

今朝は、荒川区町屋の鉄骨造3階建ての検査済みの無い建物に、エレベーター等を増築するのと二世帯住宅にするために全面的に改装する計画の詳細現場調査の準備の立会。

都市住宅は、一方向だけ道路に接している場合が多く、他は建物と敷地境界との離隔距離が無い為、地面下の調査には苦労する。

予想通りではあるが、排水管と建物との間にはガス管が敷設されており、下部には水道管等が敷設されていた。この隙間でコンクリートコアを抜くことができるだろうか。コアが抜けなければシュミットハンマーで調査するしかないかなと思案する。

コアを抜く予定の他の二カ所は、スラブ配筋でコンクリートが厚かったので斫るのに苦労した。配筋はD13@200縦横だった。

地盤が悪い為に耐圧版なのだがコンクリートガラを粉砕した再生砂で埋め戻しし、よく転圧してからコンクリートスラブを打設していた。地中梁の施工状態も良好で、最初に施工された基礎工事会社はいい仕事をされている。

明日の、現場詳細調査の準備はできた。