1月23日、一般社団法人 住宅医協会の住宅医検定会に臨みましたが、本日2月5日認定通知が届きました。
これから正会員登録をして正式に住宅医となります。
検定会の講評等で寄せられた意見・質問には、この場で回答したいと思います。
たぶん住宅医検定会に参加した人にしか、解りづらいものとなるかも知れませんが御容赦ください。
【Q : リノベーション物件の不動産としての資産価値については どのように考えていますか】
【A : 既存建築物の検査済証の無い建築物は、建築基準法の集団規定が違反していなければ現在のところ購入の際に銀行融資は可能のようですが、既存建築物を売却したい場合「検査済証」が無いと買い手が中々つかないようです。買い手がついても売却希望価格よりかなり低減されると聞いています。本件のように検査済証の無い既存建築物を増築し全体として工事完了検査済証を取得して適合化することは、資産価値(価格)の下落を防ぐことができます。】
【Q : 既存との一体増築ではなくEXP.Jにより構造的に分離することにした理由を、もう少し詳しく説明してください。】
【A : これは「増築等に係る制限緩和の主な条件(令第137条の2関係)・出典 東京都荒川区」PDFを見てください。kanwa-joken
本件は「増改築部分の床面積が既存部分の1/2以下」ですが → 「増改築部分の床面積が既存部分の延べ面積の1/20以下かつ50㎡以下又は大規模の修繕・模様替」ではありません。50㎡以下ですが1/20を超えています。 → 「増改築後に法第20条第四号となる建築物」とはなりません。軒高が9mを超えています。 → 「増改築部分と既存部分が構造上分離」ここで一体増築と分離増築の分岐点となります。一体増築なら既存部分は、現行法の「耐久性関係規定」に適合させなければなりません。分離増築ならば既存部分は「地震に対する耐震診断+暴風積雪に対する許容応力度計算」となります。
本件は、平成9年に確認済証取得で今回実施した建築基準適合性状況調査により適合しており新耐震建築物なので、既存部分の暴風積雪に対する許容応力度計算を実施しました。
一方、一体増築の場合は既存部分と増築部分を現行の耐久性等関係規定に適合させ地震+地震以外の構造計算を行わなければならない規定になっています。また既存は構造計算ルート2の建物ですから全体として構造適判の対象となることを避けました。増築部分は軒高を9m以下にしてXY方向ともルート1で構造計算を行いました。】
【Q : 検査済み証の無い建物の増築にあたって「ガイドライン調査」ではなく「法12条5項報告」で行った理由をもう少し詳しく説明してください。】
【A : 平成26年7月に国土交通省は、既存建築物の建築当時の法適合状況を調査するためのガイドラインを公表しました。調査者は、国土交通省に登録した指定確認検査機関のみに限定しています。この通称「ガイドライン調査」は、法的根拠がない任意の制度です。そもそも指定確認検査機関は、特定行政庁の確認事務をおこなっているにすぎません。法第6条の2第8項に規定されているように特定行政庁が法に適合してないと認めたときは、民間指定確認検査機関の確認済証は効力を失います。その結果、指定確認検査機関、確認検査員、設計者は処分を受けることがあります。
既存建築物の現場では、調査方法や調査結果の判断も含めて建築主事の法的判断が必要となることが多く、決してマニュアルだけでは解決できない問題に直面します。
何故弊社が多くを「ガイドライン調査(民間指定確認検査機関)」ではなく「法12条5項報告(役所)」を選択しているかというと、危機管理意識の問題だと思います。その他具体的には様々な相違がありますが、それは個別に回答します。】