既存建築物と放射能汚染

3.11の福島第一原子力発電所のメルトダウン以前は、既存建築物や都市における放射能汚染は西日本が高い数値を示していると言われていた。

その一つは、広島原爆によって発生した放射能に汚染された膨大なコンクリート瓦礫が、戦後の都市開発において再生骨材としてコンクリートに混入され西日本各地の建築物や土木構築物に使用されたからとされている。

しかしどのぐらいの量の瓦礫が再利用されたかは、詳しくわかっていない。

もう一つは、岡山県の人形峠で採掘されたウラン鉱採掘の際に発生した岩石や砂利と「ウラン煉瓦」によるものと言われている。ウラン煉瓦は約145万個製造され、約93万個が一般に売却され、各地の花壇や歩道の舗装材として使用されている。

この「ウラン煉瓦」は平均0.02msv/hと言われ、実際に計測した人の報告によると中には0.03msv/hを超えるものもあると報告されている。

今、福一の瓦礫の処理で再生利用をということが言われている。

これは東京電力㈱から発表されている「福島第一原子力発電所の固体廃棄物保管に関する中長期計画(案)について」(平成26年4月7日)で放射能汚染された金属くずは、溶融されリサイクル鋳造品として遮蔽体や貯蔵容器にリサイクルされることが検討されており、コンクリートくずはも再破砕され再生コンクリートに混入されたり路盤材としてリサイクルするということが検討されている。

また、日本建築学会でも2013年に材料施工委員会から「都市・建築・材料に関わる放射能汚染の現状とその対応に関する報告書」が出されているが、建築部材の線量測定手法や安全性の評価手法は、明確に定まったものはない。

さらに放射能汚染された木材の建築材料としての再利用も出てくるであろう。

建築物や都市空間のストック活用の評価基準のひとつとして、「放射能汚染度」も加わるのは、そんなに遠くはないように思う。

既存建物の調査は勿論、新築建物の建築現場でも、放射能対応マスクと作業着、そしてガイガーカウンターは必須になるかも知れない。

道の駅 保田小学校

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昨年の12月にオープンした「道の駅 保田小学校」

南房総の仕事のついでに寄り道

館山自動車道・鋸南保田インター出口からすぐのN.A.S.A設計共同体による千葉県鋸南町(きょなんまち)「鋸南町都市交流施設・道の駅 保田小学校」

N.A.S.Aとは古谷誠章/NASCAを代表に、渡辺真理+木下庸子/設計組織ADH、北山恒/architecture WORKSHOP、篠原聡子/空間研究所の4者で構成されたユニット。

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体育館を改装したマルシェ

外壁上部は、ポリカポネートの中空板

法的には用途変更+大規模模様替(?)

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旧校舎の窓側・バルコニー側に

新たに鉄骨造で半屋外の縁側空間を作り出している

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RC部分とはエキスパンションジョイントにし構造的には別建物扱いのように見える。旧校舎のRC造に遡及させない配慮だろうか。

法的には、増築+用途変更(?)

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1階は開放的な通路

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マルシェ妻側、平日の夕方に近い時間だったが、客が多かった。

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旧保田小学校の校庭にあったであろう二宮金次郎の像

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旧小学校職員室側の玄関

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室内は、教室の面影を残している。

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春になれば里のはらっぱは、房総の花々を咲かしてくれるだろう

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農林水産省の農村漁村活性化プロジェクト交付金の支援を受けている

廃校を新たなコミュニティの核となる施設として

再生する魅力的な空間を演出している。