建築プロジェクトの許認可・届出業務をするようになって、様々な行政の条例に接するが、かなり行政によって条例の内容に温度差があると感じるもののひとつに景観条例がある。
例えば、豊島区には「アメニティ形成条例」という景観条例がある。
届出の対象建築物が、
「新築、増築、改築、移転、大規模な修繕、大規模な模様替え、外観の過半にわたる色彩の変更」については、延床面積(地階を除く)が商業地域は800平方メートル以上、その他の地域は600平方メートル以上で、地階を除く階数が3階以上で、共同住宅で住戸数が15戸以上のものと比較的大規模な建築物に限定されている。
http://www.city.toshima.lg.jp/machi/machizukuri/002223.html
練馬区の景観計画では対象建築物は、
「新築、増築、改築、若しくは移転」「外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更」で、高さ10m以上又は延床面積が500m2以上。敷地面積500m2以上となっており、住宅街が多い練馬区の地域性を反映したものとなっている。
千葉県の市原市の場合は、
届出対象が地盤面からの高さが10mを超える建築物。建築面積が1,000m2を超える建築物となっている。
景観条例の内容についても色々と異なるが、練馬区の景観ガイドラインを見ていると中々きめが細かいなと感じる。
練馬区全域の景観の構造や特性を踏まえて四つの景観軸と三つの景観ゾーンを分けて景観形成基準を定めているところには感心した。
それらと比較して豊島区の「アメニティ形成条例」は大雑把というか、抽象的概論はあるが実態的にどれだけ景観形成に役立つか疑問に感じる。
私の参加している「まちづくり協議会」の中でも、不燃化特区の中での景観形成(色彩の一体性)が机上に上がったことがある。
地域・地区の景観を制御し、一体性のある街並みを作っていく方法として、「地区計画」(建築基準法)、「建築協定」(建築基準法)、「景観条例」(景観法)などがあるが、景観条例で不燃化特区内の景観形成を図っていくのも一案であるという発言をしたことがある。
そういえば豊島区のアメニティ形成条例に「アメニティ形成賞」というのかあったが、今は財政的理由で中断しているが、是非復活して欲しいものだ。