「伝統的民家における温熱特性と現代住宅への応用に関する研究」金田正夫著

本書は現在、無垢里一級建築士事務所を主宰されている金田正夫氏の学位論文です。金田氏は 設計実務を続けながら法政大学に学び2011年3月に博士号を取得され、現在も実務と研究を続けられている「在野の研究者」です。

本書では、民家の温熱特性については茅葺屋根の日射遮熱効果や民家の通風特性についての既往研究は調査事例があり解明されつつあるとし、夏季における置き屋根による日射遮熱、土壁による西日遮熱、民家構成材による調湿、冬季における放射熱源と土壁の採熱・蓄熱については調査事例が少なかったので それらを補完するのが本研究の第一目的としています。

また、民家の温熱特性を現代住宅の諸条件の中で応用し、その効果を対比検証していますが、それが第二の目的としています。

とりわけ面白いと思ったのは「置き屋根(二重屋根)」による遮熱効果。夏の良好な温熱環境をつくるうえで無視できない西日遮熱の問題。民家の調湿効果を類似の新建材に特化した調湿実験の結果。約10年間にわたる実測に裏打ちされた研究成果が満載されています。

「自費出版」ですが、住宅の温熱環境に関心がある人には読んでほしい一冊です。

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無垢里