「施設参謀」

山下PMCの代表取締役社長である川原秀仁さんの本。

PM(プロジェクトマネジメント)、CM(コンストラクションマネジメント)の基本は、品質・コスト・納期をコントロールしながら、施設建設プロジェクト全体をマネジメントすることです。

昔は、CMと言えばコストカツター。分離発注で各専門工事会社からキックバックさせ建築主に隠れて儲ける怪しい人達というイメージもありましたが、昨今は第三者性を担保した健全なイメージが強くなりました。

2000年代の頃から日本の不動産ビジネスが開花しはじめデューデリジェンスの必要性が強調され、不動産証券化とともに設計図や各種施工結果報告書・竣工図の完備が必要となりました。

そしてデューデリジェンス業務(資産の適正評価のための調査・診断)やエンジアリング・リポート(建物状況調査報告書)といった新しい業務が生まれました。

とりわけ不動産投資や不動産管理において遵法性(建築関係法令)の遵守が前提となり、こうした調査業務も新しい業務として仲間入りしました。

昨今では、民間でも官庁でも発注方式が「設計・施工分離」から「設計施工一括発注」、設計の段階で施工者が関与する「ECI方式」などと多様になりつつあります。

そうした中でPMやCMは、これまで以上に重要な役割と責任を負うことになることが予想されます。

この本が出版されたのが2015年ですので、川原さんの書かれている「日本の未来をつくる7つの戦略」には、ちょつとどうかなと思うところもあります。

しかし川原さんは、この分野のトップランナーだけあって、この本に書かれている内容は、刺激的で多くの示唆に富むことが書かれていました。

「事業戦略と施設戦略を高度に融合した領域」は、私にとっては目指すべき高見かも知れません。