「用途変更の円滑化について(技術的助言)」国住指第4718号

「用途変更の円滑化について(技術的助言)」国住指第4718号・平成28年3月31日が出されていた。行政庁ごとに運用のばらつきがあるので整理したとある。

「1、用途変更の手続き」で下記のように記載されている

「区分所有建築物等で 、異なる区分所有者等 が 100 ㎡以下の 特殊 建築物の用途 への 用途変更を別々に 行う 場合に、用途変更する部分の合計が 100 ㎡を超えた時点での用途変更手続 きは、特定行政庁が地域の実情に応じ必要と判断した場合に限 り、その手続きを要する 。なお、 用途変更の手続きを要しない場合であっても、建築基準関係規定が適用されることはいうまでもないが、 同一の者が 100 ㎡以下 の用途変更を 繰り返し行う場合については、意図的に意図的用途変更の手続きを回避しようとすることがありえるので、 特に留意すること。」

共同住宅等で区分所有部分が100㎡以下で、区分所有者が異なれば手続きは不要とある。建物総体で100㎡を超えても「特定行政庁が必要と判断」した場合のみであるとある。これでは意図的な用途変更の回避は制御できないだろうと感じた。

いつのまにやらマンションから飲食店ビルになっているかも知れない。

「2、用途変更時に適用される規定等について」

この部分は、指定確認検査機関の人達は、よく読んで理解してほしいと思う。用途変更の確認申請で、指定確認検査機関の審査担当者から、しばしば指摘されるのが法第28条の2(シックハウス)である。法第87条の既存遡及からは除外されている。

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法第28条の2が何故法第87条から除外されたのはわからないが、建物の一部を用途変更する場合しか想定していなかつたからではないかと思ったりする。建物全体を用途変更するフルリノベーションも増えてきた今日では、確かに法的には遡及しないがシックハウス・24時間換気を除外するのはいかがなものかなと考える。

同じように、用途変更では建築士の設計・工事監理は不要である。建築士法第3条、第3条の2、第3条の3には用途変更は除外されているから。これも法的には必要ないのだが、事務所ビルの1階をコンビニにするような用途変更ならいざ知らず、フルリノベーションでは、有資格者が介在しなくても良いのかどうか検討する必要があると考えている。

建築主からこの条文を逆手に取られて、用途変更は工事監理は不要なのだからと言われ工事監理料を大幅に削られたが、リノベーションの方が現場に行ったり打合せ回数が増え赤字になった。というような声も聞く。

用途変更・大規模改修・大規模模様替えに伴う法的な取扱いは、交通整理ができてないと思う。

例えば、

  1. 耐震補強をアウトフレームで行う場合は、増築や大規模模様替えにならないか
  2. 屋根防水を取り換え別の防水にする場合、大規模模様替えとするか否か
  3. 外断熱で改修する場合、大規模模様替えとなるか否か、床面積が増加し増築となるか否か

法的に考えていくとグレーな問題が沢山出てくる。

是非 国交省にあられては、ストック活用を巡る法的な問題において引き続き指導力を発揮し、運用の整理を行ってもらいたい。