「建築武者修行~放課後のベルリン」光嶋裕介著

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思想家の内田樹さんの家を設計された光嶋裕介さんのザウアブルッフ・ハットン・アーキテクツ勤務時代のベルリンの街の様子、事務所の雰囲気、ドイツを始めとしたヨーロッパの建築について書かれた本です。

私にとってベルリンは見逃している都市のひとつで、グーグルマップに建築の位置をマークをしながら興味深く読みました。

ヨーロッパは保存・再生・病理学の元祖みたいなところです。

私も学生時代、カルロ・スカルパの建築に憧れました。スカルパの仕事は、ほとんど改修計画で新築はわずかでした。リノベーションの場合は 既存の建物があるわけですから新築より格段に制約が増えます。古びた建物を注意深く観察し、調査し、生かせるものは生かしながら死んだ空間は再生します。新築の場合の何倍もの労力と想像力を必要とします。

さてベルリンといえばライヒスターク(旧帝国議事堂)という歴史的建築物を新生ドイツの連邦議会として蘇らせています。フォスターのキューポラのデザインは「置換」のデザインの代表格といえます。

若い人の「建築旅の記録」を読むことはあまりないのですが、光嶋さんのチャレンジ精神、読書や芸術への造詣には多いに刺激を受けました。