
日本の農業の実態は、ペンを持つ農民から聞くのが一番と思い、この本を読んだ。
山形県長井市で50年間、地域循環型家族農業を営む著者が、農業の現場から届ける百姓エッセイ。
いま農村で何が起きているのか、衝撃的な見出しが目に入ってくる。「大規模農業には農民も農村も不要」「生産費を賄えないコメの価格」「農仕舞いに追い打ちをかける農業機械の更新」「大規模化がつくる赤茶けた田んぼ、生き物がいない水田」等
大規模農業は、化学肥料・農薬・殺虫剤の利用とセットであり、その結果田んぼの中の小動物がいなくなり、カエルも少なくなった。虫がいないから田んぼの虫を食べるツバメもスズメもトンボも少なくなった。
カエルの声が一晩中聞こえる田、赤とんぼが舞う秋の情景。これは家族農業・小規模農家が低農薬で頑張っている証でもある。
そうした一次産業に従事する人たちが 日本の国土を守り、景観を環境を守ってきた。
日本の農業を支えてきた家族農家の人達が生活できなくなっている農業政策自体間違っている。大規模化促進と輸入米拡大は邪道だ。農協の解体を目論んでいる人達もいるんだろうと思う。
「俺たち百姓の時代的役割は、いままで培ってきた農と暮らしの知恵を活かし、地域の足元から生活者と連携し、ともに生きるための農業をつくりだしていくことだろう。負けていてはダメだ」と著者は書く。
農業・林業・漁業で暮らす人々にリスペクトし、生活が成り立つようにすべきだ。それが何よりもSDGSであり、日本の国土を守ることに繋がるのではないか。